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英作文の“ツボ”

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英語っぽい表現にしてみる
日本語の常識が通じない場合

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はじめに

日本語の場合、書き言葉でもたびたび文の主語を表現しません。ところが英語では、文の主語はたいてい明確に表現します。英語の場合、主語が欠けると不自然な表現に陥ることがほとんどです。

このコーナーでは、そういった、日本語と英語の特徴の違いが原因で起こるミスを集めて、その原因はどこにあるのか解説し、英語らしい文章に修正します。

ナチュラルな日本語表現とはどんなものか、それを英語に直訳するとどこが誤りになるのか、誤りをどう修正してナチュラルな英文に仕上げるのか、一つの例として参考にして下さい。

英語っぽい表現にしてみる(1)
代名詞の数と人称は統一しよう 先頭へ

代名詞の人称が変わると別人を指す

漠然と「人々」を指すとき、英語ではよく主語に"people"を使います。

"people"を主語にした場合、受ける代名詞は通例、"they, their, them"を使います。文の途中で"we"や"I"などに変更すると、英語として不自然な文章になります。"we"や"I"が誰を指すのか、何を言い換えたのか、あいまいです。

【例文】:人々自分の国の文化について討論した。みんなそれぞれ自国の独自の文化を持っているという理解に達した。
【 × 】:People discussed my own culture of their countries. We understood that I have distinctive culture.
【 ○ 】:People discussed their own culture of their countries. They understood that each of them has distinctive culture.
→"people"は通例"they, their, them"で受ける

【例文】の場合、「自分の」="my"、「みんな」="we"、「自国の〜を持っている」="I have 〜"と英訳しているので、一見ミスはなさそうに見えます。

よくよく考えてみると、【例文】の場合、「自分の」「みんな」「自国の」はすべて文頭の主語「人々」のことです。

つまり、「自分の」「みんな」「自国の」は三つとも「討論に参加している人々(= people)」を指します。英語の場合、文の途中で"I"や"we"が出て来ると、"people"とは別の人間を指すことになります。

【例文】の場合、議論したのも結論に達したのもすべて三人称複数の"people"です。なので、受ける代名詞も三人称複数の"they, their, them"を使います。一人称の"I, my, me, we, our, us"や二人称の"you, your"で"people"を受けることは【例文】の場合、不可です。

あと二つ例文を。

【例文】:我々地球人は自滅しつつあるのか。
【 × 】:Are we earthling destroying myself?
【 ○ 】:Are we earthling destroying ourselves?

「自滅しつつある(= 自分たちを滅ぼしつつある)」のは"we"なので"myself"は不可。"we"に合わせて"ourselves"を使います。

【例文】:他人を当てにせず、自分の目で確かめなさい。
【 × 】:You should not depend on others but see everything with my own eyes.
【 ○ 】:You should not depend on others but see everything with your own eyes.

「確かめる」のは"you"なので"my eyes"は不可。"you"に合わせて"your eyes"を使います。

【関連トピック】
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英語っぽい表現にしてみる(2)
英語はクドいほどに主語を表現する 先頭へ

省略される日本語の主語

日本語では、書き言葉でも主語をしょっちゅう省略します。

【例文】:昨日、自分のブログを作ったよ。
【 × 】:Yesterday, has started my own blog.
【 ○ 】:Yesterday, I have started my own blog.

【例文】には主語がありません。しかし、「ブログを作ったのが“誰なのか”」はすぐにはっきりとわかります。自動的に「私は」「俺は」「僕は」などの主語を補って、文の意味を瞬時に理解します。

英語の場合、「私は」「俺は」「僕は」を省略すると、不自然です。なので、英訳する場合は、まず日本語で「“誰が”何をしたか」をはっきりさせます。

# 英訳の前に、まず日本語文の主語を確認する

【例文】の場合だと、「ブログを始めた」のは“私”です。なので、主語の「私は」を補充して文を書き換えます。こうして、まず日本語で「主語と述語」をはっきりさせてから、英文に直します。

【例】:「昨日、自分のブログを作ったよ」
↓……主語の「私は」を補充する
【例】:「昨日、私は自分のブログを作ったよ」
↓……「私は」を"I"と英訳する
【訳】:Yesterday I have started my own blog.

【例文】の「作ったよ」の意味は、実は「私は作ったよ」でした。

もう一つ、省略された主語を補充して英訳する例を。

【例文】:今日、朝御飯にピザを食べた。
【 × 】:Today pizza ate at breakfast.
【 ○ 】:Today I ate pizza at breakfast.

【例】:「今日、朝御飯にピザを食べた」
↓……主語の「私は」を補充する
【例】:「今日、私は朝御飯にピザを食べた」
↓……「私は」を"I"と英訳する
【訳】:Today I ate pizza at breakfast.

【例文】の「食べた」の意味は、実は、「私は食べた」でした。

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英語っぽい表現にしてみる(3)
「〜は」が主語とは限らない 先頭へ

日本語の「〜は」が表わすもの

日本語の「〜は」が主語を表わすとは限りません。

【例文】:CDは明日までに返して下さい。
【 × 】:The CD return to me by tomorrow.
【 ○ 】:You should return the CD to me by tomorrow.

【例文】の場合、述語、つまり、動詞がどれかはすぐにわかります。「返して下さい」です。では、主語は何か。

「CD」とあるので「CDは」が主語のような気がします。しかし、動詞が「返して下さい」なので、主語は“人”のはず。“CD”が「物を返す」なんてことはできません。

# 英訳の前に、まず日本語文の主語を確認する

【例文】の場合、実は、主語は「あなたは」です。つまり、話の聞き手です。「CDを返す」のは「CD」自体や「私」ではなく「あなた」です。ただし、【例文】では主語の「あなたは」を省略しています。

省略を使わずに【例文】を書き換えてみます。

【例】:「CDは明日までに返して下さい」
↓主語の「あなたは」を補充する
【例】:「あなたはCDを明日までに返して下さい」
↓「あなたは」を"You"と英訳する
【訳】:You should return the CD to me by tomorrow.

【例文】の「CD」の意味は、実は、「CD」でした。

もう一つ、日本語の「〜は」が主語でない例を。

【例文】:このネクタイは娘が買ってくれたのだ。
【 × 】:This tie bought me my daughter.
【 × 】:This tie bought my daughter for me.
【 ○ 】:My daughter bought me this tie.
【 ○ 】:My daughter bought this tie for me.

【例】:「このネクタイは娘が買ってくれたのだ」
↓文全体の主語は「娘が」
【例】:「娘が私にこのネクタイを買ってくれたのだ」
↓「娘が」を"My daughter"と英訳して文頭に置く
【訳】:My daughter bought me this tie.
【訳】:My daughter bought this tie for me.

【例文】の「このネクタイ」の意味は、実は、「このネクタイ」でした。主語は「娘」です。

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英語っぽい表現にしてみる(4)
主語の"I"はちょっと待て!……主語のない日本語文の場合 先頭へ

表現されていない主語が「私」とは限らない

主語のない日本語文を英訳するとき、機械的に"I"と置き換えるとたいてい不自然な英文ができあがります。

【例文】:今時、どこの国へ旅行しても日本人を見かける。
【 × 】:Today I can always see Japanese people when I travel to any foreign country.
【 ○ 】:Today you can always see Japanese people when you travel to any foreign country.

【例文】の日本語文には主語がありません。これを英訳するとき、無意識のうちに"I"を主語に置きがちですが、間違いです。【例文】の内容は"I"(私)の個人的な体験話ではありません。海外旅行をする人々「みんな」に当てはまる話です。

# 不特定多数を表わす"you, we, one"

このように、特定の個人ではなく、不特定多数の人々を指すとき、英語では"you, we, one"などを主語に置きます。"I"で不特定多数の人々を表わすことはできません。

もう一つ、主語がない日本語文の例を。

【例文】:ビールを飲んでクルマを運転するなどもってのほかだ。
【 × 】:I must not drive a car after drinking beer.
【 ○ 】:We must not drive a car after drinking beer.

やはり【例文】の日本語文には主語がありません。しかし、飲酒運転が駄目なのは"I"(私)だけではありません。「ドライバー全員」に当てはまる話です。なので、主語に"I"は不可。不特定多数の人々を指す"you, we, one"などを主語に置きます。

不特定多数の人々を指す"you, we, one"には、多少のニュアンスの違いがあります。

# you……(聞き手を含めて)人間というものは一般に〜
# we……(話し手を含めて)人間というものは一般に〜
# one……(話し手を含めて)人間というものは一般に〜[※やや堅苦しい表現]

三語とも、不特定多数の人々を指すことに違いはありません。しかし、ニュアンスに「あなたも含めて人は〜」なのか、「私も含めて人は〜」なのかの差があります。"one"はやや堅苦しい言葉。会話より正式な文書でよく使います。

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英語っぽい表現にしてみる(5)
主語の"I"はちょっと待て!……「自分」=「誰でも」の場合 先頭へ

日本語では「自分」=「私」とは限らない

特に誰に限った話でなく、誰にでも当てはまる話の場合、英語では"you, we, one"などを主語に置きます→【参照】:『主語の"I"はちょっと待て!……主語のない日本語文の場合』

ところが日本語では、誰にでも当てはまる話の主語に、一人称の「自分」を使うことがあります。

【例文】:自分が昨日の夜、何を食べたか思い出すのはなかなかむつかしい。
【 × 】:I am almost unable to remember what I ate for dinner last night.
【 ○ 】:You are almost unable to remember what you ate for dinner last night.
【 ○ 】:We are almost unable to remember what we ate for dinner last night.
【 ○ 】:One is almost unable to remember what one ate for dinner last night.[※やや堅苦しい表現]
→「自分」は話し手ではなく、「不特定多数の人々」を表わす

【例文】の場合、「自分が」の意味は「人は誰でも」です。「思い出すのがむつかしい」のは特定の個人に限った話ではなく、誰にでも当てはまる話です。

不特定多数の人々を指すとき、英語では"you, we, one"などを主語に置きます。"one"はやや堅苦しい表現なので、主に正式な文章で使います。"I"で不特定多数の人々を表わすことはできません。

"I"は話し手自身を指す

英語の"I"は「話し手」を指します。なので"I"を使うと意味は、「私が昨日の夜何を食べたか、私が思い出すのはなかなかむつかしい」になります。話が「私」限定なります。

【例文】:I am almost unable to remember what I ate for dinner last night.
【 × 】:自分が昨日の夜、何を食べたか思い出すのはなかなかむつかしい。
【 ○ 】:自分が昨日の夜、何を食べたか思い出すのは私にはなかなかむつかしい。
→"I"は話し手自身を指す

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英語っぽい表現にしてみる(6)
主語の"I"はちょっと待て!……「自分」=「あなた」の場合 先頭へ

日本語では「自分」=「私」とは限らない

日本語の「自分」は「あなた」の意味で使うこともあります。

【例文】:自分のことは自分でしなさい。
【 × 】:Do my own thing myself!
【 ○ 】:Do your own thing yourself!

たとえば、母親が子供に「自分のことは自分でしない」と言うとき、「自分」は母親ではなく「子供」のほうを指します。英語に直すと、「自分の」は"your"を使い、「自分で」は"youself"を使います。

"my, myself"は話し手自身を指す

"my"や"myself"を使うと、母親が自分に向かって「私のことは私自身がやりなさい」と命令することになります。

【例文】:Do my own thing myself![※文として不自然]
【 × 】:自分のことは自分でしなさい。
【 × 】:私のことは自分でやりなさい。[※文として不自然]

【例文】は命令文なので、自分が自分に命令していることになります。自分自身に言い聞かせているような場合を除き、通常は意味的に不自然です。

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英語っぽい表現にしてみる(7)
「〜だった」は過去とは限らない 先頭へ

日本語の「〜だった」は未来を表わすこともある

「昨日は大雨だった」や「去年はうるう年だった」の「〜だった」は過去を表わします。ところが、「明日晴れだったら」や「来年も不景気だったら」の「〜だった」は未来を表わします。

特に、条件を提示して「もし〜だったら」と表現するとき、「〜だったら」が「未来」を表わすことがあります。「未来」を表わす「もし〜だったら」は「もし〜なら」とほぼ同じ意味を表わします。

# 未来を表わす:「もし〜だったら」=「もし〜なら」

【例文】:明日晴れだったら、学校のプール掃除だ。
(= 明日晴れなら、学校のプール掃除だ)
【 × 】:If it was fine tomorrow, we will clean the school pool.
【 × 】:If it will be fine tomorrow, we will clean the school pool.
【 ○ 】:If it is fine tomorrow, we will clean the school pool.

【例文】の場合、「晴れだったら」の直訳の"If it was fine"は不可です。「晴れだったら」は明日のことなので、意味的には「未来」です。ただし、「未来時制」を使う"If it will be fine tomorrow"は英語として不自然です。

「もし〜だったら」のような「条件」を表わす文では、「未来時制」をあまり使いません。「未来時制」を使って"If it will be fine tomorrow"とすると、「もし明日晴れるだろうなら」という不自然な表現になります→【参照】:『未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!

なので、「現在時制」を使って"If it is fine tomorrow"(もし明日晴れたなら = もし明日晴れなら)と表現します。

もう一つ例文を。

【例文】:来年も不景気だったら、失業率はさらに上昇するだろう。
(= 来年も不景気なら失業率はさらに上昇するだろう)
【 × 】:If recession continued into next year, the unemployment rate will increase even more.
【 × 】:If recession will continue into next year, the unemployment rate will increase even more.
【 ○ 】:If recession continues into next year, the unemployment rate will increase even more.

【例文】の場合、「不景気だったら」の直訳の"If recession continued"は不可です。「不景気だったら」は来年のことなので、意味的には「未来」です。ただし、「未来時制」を使う"If recession will continue into next year"は英語として不自然です。

「もし〜だったら」のような「条件」を表わす文では、「未来時制」をあまり使いません。「未来時制」を使って"If recession will continue into next year"とすると、「もし来年も不景気だろうなら」という不自然な表現になります→【参照】:『未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!

なので、「現在時制」を使って"If recession continues into next year"(もし来年も不景気だったら = もし来年も不景気なら)と表現します。

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英語っぽい表現にしてみる(8)
「〜した」は過去とは限らない 先頭へ

日本語の「〜した」は未来を表わすこともある

「コンビニに行った」や「中学を卒業した」の「〜した」は過去を表わします。ところが、「今度会ったときに話します」や「見た人はびっくりするでしょう」の「〜した」は未来を表わします。

特に、これから行うであろう動作を予測して「〜した」と表現するとき、「〜した」が「未来」を表わすことがあります。

【例文】:そのことについては、今度会ったときに話します。
【 × 】:I'll talk about it when we met next time.
【 × 】:I'll talk about it when we will meet next time.
【 ○ 】:I'll talk about it when we meet next time.

【例文】の場合、「会った」の直訳の"met"は不可です。「今度会った」はこれからのことなので、意味的には「未来」です。ただし、「未来時制」を使う"when we will meet next time"は英語として不自然です。

「〜するときに」のような「時」を表わす文では、「未来時制」をあまり使いません。「未来時制」を使って"when we will meet next time"とすると、「次に会うだろうとき」というやや不自然な表現になります→【参照】:『未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!

なので、「現在時制」を使って"when we meet next time"(今度会ったとき = 今度会うとき)と表現します。

もう一つ例文を。

【例文】:この写真を見た人は目を丸くするでしょう。
【 × 】:People who saw this photo will be startled.
【 △ 】:People who will see this photo will be startled.
【 ○ 】:People who see this photo will be startled.

【例文】の場合、「見た」の直訳の"saw"は不可です。「この写真を見た」はこれからのことなので、意味的には「未来」です。ただし、「未来時制」を使う"People who will see this photo"はやや不自然です。【例文】の場合、「この写真を見ること」が一種の「条件」を表わします。「目を丸くする」には、まず前提条件として「この写真を見る」必要があります。

このような「条件」を表わす文では、「未来時制」をあまり使いません。「未来時制」を使って"People whowill see this photo"とすると、「この写真を見るだろう人は」というやや不自然な表現になります→【参照】:『未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!

なので、「現在時制」を使って"People who see this photo"(この写真を見た人は = この写真を見る人は)と表現します。