これまでの分類に収まらない、「個性派」辞書・事典を集めてみました。
英語で使われる固有名詞の発音だけを集めに集めた辞典です。意味や例文などはまったく載っていません。収録されているすべての単語(固有名詞)に「発音記号」が付いているだけ。しかし、通常の英和辞典、英英辞典は固有名詞をあまり数多く拾わないので、固有名詞の発音を知るためには絶対に欠かせない一冊です。収録語数92,500語。
見出し | 英語:アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | 特になし |
いわゆる「ジェスチャー」について、英米と日本でどう違うのか解説した事典です。同じ動作で似たような意味を表わすものもありますが、まったく逆の意味になる動作もいくつかあります。
日本人の場合、向こうにいる人に向かって手を伸ばして手の平をヒラヒラさせると「こっちへおいで」という意味になります。このとき、手の平は地面のほう、手の甲は空を向いています。
英米人に向かって同じ手の動きをすると、実は「あっちへ行け」の意味になってしまいます。では、呼ぶときにはどうするのか。手の平を空に向け、手の甲を地面に向けて、手をヒラヒラさせます。これで「こっちへおいで」の意味。日本式のやり方とは、手の向きが裏返しになるわけです。
親指と人差指で輪を作って「お金」の意味になるのは日本独特。英米では「OK、それでいいよ」の意味。英米で「お金」を表わす動作は「手の平を上に向けて、親指と人差指をこすり合わせる動作」です。
「ボディ・ランゲージ」とは英語の"body language"。実は、言語学で使う専門用語で、「身体言語」などと訳されます。コミュニケーションの手段で特に、言語を使わない種類のものを指します。具体的には、身振り、手振りなどのジェスチャーから、顔の表情なども含みます。
見出し | 英語:項目別 |
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索 引 | 英語:アルファベット順 日本語:意味、用法・用語 |
その他 | 巻頭にジェスチャーの研究についての記述あり |
英語で使われる数と量表現について、徹底的に解説した辞典。パーセント、分数、小数点の表記など、ごく基本的なことから、あらゆる単位の表記法、数学、物理、化学などの専門的な分野で使われる複雑な計算式など、非常に高度な内容まで網羅します。
見出し | 英語:項目別 |
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索 引 | 英語:アルファベット順(例文・事項) |
その他 | 前半は数量表現の解説 |
英語で使われる「略語」を集めて元の言葉を記し、意味を簡単に説明した辞典。もちろん、"Modem"や"MS-DOS"も載っています。しかし、"PC-DOS"や"UNIX"はまだ拾っていません(涙)。
見出し | 英語:アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | 参考文献の記述あり |
英単語を綴りの“お尻”のほうから見てアルファベット順に並べた辞典。具体的には、この辞典の【C】の項目はこのように並んでいます。
【引用:「英語逆引辞典」郡司利男 編(開文社出版 1976)、9頁から、訳や発音記号など一部省略】specific特定の、明確なterrific:恐ろしい、ものすごいscientific:科学のmagic:魔法(の)tragic:悲劇の
普通の英和辞典と思って綴りの頭のほうから見ると、それぞれの単語は一見バラバラに並んでいます。"s"の次に"t"、その次がまた"s"、そして"m"…。しかし、単語のお尻のほうから見てみると、整然とアルファベット順に並んでいます。"-cific"の次は"-rific"となり、その次は"-tific"が続き、"-gic"が来ます。
……で、「こんな辞書なんに使うの?」ですが、語源の似た単語が見出し語でズラリと並ぶという利点があります。もう一度上記のリストを見てみると、「〜の、〜な」の意味の単語が並んでいます。これは"-ic"という語尾が「〜の」や「〜な」という“形容詞的意味”を付加する性質を持つからです。
また、実際に発音してみると、お尻の発音が似ている単語が並ぶとなんとなく語呂がいいように感じられます。名詞を作る"-tion"や"-ism"、形容詞を作る"-ful"や"-al"、副詞を作る"-ly"など、お尻の部分が共通で“頭”の部分だけが異なる単語はたくさんあります。
わからない単語の意味をすぐに調べるには不向きの辞典かもしれません。逆配列の見出しに慣れる必要があります。ただし、引いた単語の前後に似たような意味の単語が並ぶと、単語の意味がつかみやすくなるのも確かです。言われてみれば、単語の頭からアルファベット順に並ぶ通常の辞典は、目指す単語の前後には派生語を除くと意味的にはほとんど関係ない単語が並びます。
この辞典は大学受験を目指す高校生向けのものなので、収録語彙数は派生語などをすべて含めて約13,000語。サイズも小型の英和辞典程度です。
見出し | 英語:逆配列アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | 発音記号表、英語の綴り発音、接頭辞便覧、逆配列不規則動詞変化表、その他 |
辞書タイトル通り、"anagram"を集めた辞典です。収録語彙数は約20,000語。"anagram"とは単語の中のアルファベットを置き換えて別の単語にしてしまうこと、あるいは、その置き換えた単語のことです。欧米では一種の「言葉遊び」として、「クロスワードパズルの問題」などによく登場します。"anagram"は日本語では「つづり換え、字なぞ、アナグラム」と言います。
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、43頁から】cheat → teach
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、91頁から】hearth → earth
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、183頁から】silent → listen
欧米の怪奇小説などで見られる"Dracula" → "alucard"は、この辞典には載っていません。これはアナグラムとは言わないのかな?
巻頭に"anagram"の略史を掲載。巻末には"Cognate Anagrams"として、つづり換える前の語句と後の語句の意味が類似する新旧の定型句を集めてあります。
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、240頁から】LIFE INSURANCE → I rule finances
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、241頁から】THE MONA LISA → Ah, not a smile?
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、245頁から】SPRING, SUMMER, AUTUMN, WINTER → "Time's running past", we murmur.
見出し | 英語:アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | "anagram"の略史、"congnate anagram"のリスト |
"The Anagram Dictionary"には載っていない言葉ですが、"anagram"とよく似た「言葉遊び」をいくつかご紹介いたします。
「逆つづり名」などと訳され、人名を順番を入れ替えずにそのまま逆さまにつづったものです。作家や実業家などが「偽名、筆名」に使うことがあるそうです。
【例】:"Agnes" → "Senga", "Oprah" → "Harpo"
「たけやぶやけた」のような、日本語で「回文」と呼ばれるもの。頭から読んでもお尻から読んでもまったく同じ文章になります。
【例】:"Madam I'm Adam."
【例】:"A man, a pain, a mania, Panama."
「逆さ言葉、逆読み俗語」となどと訳されます。日本語でも「芸能界の言葉、業界用語」と称して使う「ワイハー(= ハワイ)」「しーめー(= 飯)」のような言葉遊びのこと。英語圏でもお店などで従業員同士や馴染みの客との「内輪の言葉」として使うようです。