【その他の辞典/事典】
  1. 固有名詞英語発音辞典(三省堂)[1984 第一版]
  2. 日英比較ボディ・ランゲージ事典(大修館書店)[1985 第一版]
  3. 英語の決め手 数量表現(IPC)[1987 第一版]
  4. 英語略語辞典 第三版(研究社出版)[1993]
  5. 英語逆引辞典(開文社出版)[1976 第一版]
  6. The Anagram Dictionary [1982 first edition]



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これまでの分類に収まらない、「個性派」辞書・事典を集めてみました。

***

固有名詞英語発音辞典

ENGLISH PRONOUNCING DICTIONARY OF PROPER NAMES
大塚高信 寿岳文章 菊野六夫 編
三省堂[1984 第一版]

英語で使われる固有名詞の発音だけを集めに集めた辞典です。意味や例文などはまったく載っていません。収録されているすべての単語(固有名詞)に「発音記号」が付いているだけ。しかし、通常の英和辞典、英英辞典は固有名詞をあまり数多く拾わないので、固有名詞の発音を知るためには絶対に欠かせない一冊です。収録語数92,500語。

見出し英語:アルファベット順
索 引なし
その他特になし

日英比較ボディ・ランゲージ事典

中野道雄 ジェイムズ・カーカップ 著
大修館書店[1985 第一版]

いわゆる「ジェスチャー」について、英米と日本でどう違うのか解説した事典です。同じ動作で似たような意味を表わすものもありますが、まったく逆の意味になる動作もいくつかあります。

日本人の場合、向こうにいる人に向かって手を伸ばして手の平をヒラヒラさせると「こっちへおいで」という意味になります。このとき、手の平は地面のほう、手の甲は空を向いています。

英米人に向かって同じ手の動きをすると、実は「あっちへ行け」の意味になってしまいます。では、呼ぶときにはどうするのか。手の平を空に向け、手の甲を地面に向けて、手をヒラヒラさせます。これで「こっちへおいで」の意味。日本式のやり方とは、手の向きが裏返しになるわけです。

親指と人差指で輪を作って「お金」の意味になるのは日本独特。英米では「OK、それでいいよ」の意味。英米で「お金」を表わす動作は「手の平を上に向けて、親指と人差指をこすり合わせる動作」です。

「ボディ・ランゲージ」とは英語の"body language"。実は、言語学で使う専門用語で、「身体言語」などと訳されます。コミュニケーションの手段で特に、言語を使わない種類のものを指します。具体的には、身振り、手振りなどのジェスチャーから、顔の表情なども含みます。

見出し英語:項目別
索 引英語:アルファベット順
日本語:意味、用法・用語
その他巻頭にジェスチャーの研究についての記述あり

英語の決め手 数量表現

数と量を徹底解説
数量表現研究会+富井 篤 編
IPC[1987 第一版]

英語で使われる数と量表現について、徹底的に解説した辞典。パーセント、分数、小数点の表記など、ごく基本的なことから、あらゆる単位の表記法、数学、物理、化学などの専門的な分野で使われる複雑な計算式など、非常に高度な内容まで網羅します。

見出し英語:項目別
索 引英語:アルファベット順(例文・事項)
その他前半は数量表現の解説

英語略語辞典 第三版

The Kenkyusha Dictionary of English Abbreviations
広永周三郎 編
研究社出版[1993 第三版]

英語で使われる「略語」を集めて元の言葉を記し、意味を簡単に説明した辞典。もちろん、"Modem"や"MS-DOS"も載っています。しかし、"PC-DOS"や"UNIX"はまだ拾っていません(涙)。

見出し英語:アルファベット順
索 引なし
その他参考文献の記述あり

英語逆引辞典

An Inverted English Dictionary
郡司利男 編
開文社出版[1976 第一版]

英単語を綴りの“お尻”のほうから見てアルファベット順に並べた辞典。具体的には、この辞典の【C】の項目はこのように並んでいます。

【収録例】
specific特定の、明確な
terrific:恐ろしい、ものすごい
scientific:科学の
magic:魔法(の)
tragic:悲劇の
【引用:「英語逆引辞典」郡司利男 編(開文社出版 1976)、9頁から、訳や発音記号など一部省略】

普通の英和辞典と思って綴りの頭のほうから見ると、それぞれの単語は一見バラバラに並んでいます。"s"の次に"t"、その次がまた"s"、そして"m"…。しかし、単語のお尻のほうから見てみると、整然とアルファベット順に並んでいます。"-cific"の次は"-rific"となり、その次は"-tific"が続き、"-gic"が来ます。

……で、「こんな辞書なんに使うの?」ですが、語源の似た単語が見出し語でズラリと並ぶという利点があります。もう一度上記のリストを見てみると、「〜の、〜な」の意味の単語が並んでいます。これは"-ic"という語尾が「〜の」や「〜な」という“形容詞的意味”を付加する性質を持つからです。

また、実際に発音してみると、お尻の発音が似ている単語が並ぶとなんとなく語呂がいいように感じられます。名詞を作る"-tion"や"-ism"、形容詞を作る"-ful"や"-al"、副詞を作る"-ly"など、お尻の部分が共通で“頭”の部分だけが異なる単語はたくさんあります。

わからない単語の意味をすぐに調べるには不向きの辞典かもしれません。逆配列の見出しに慣れる必要があります。ただし、引いた単語の前後に似たような意味の単語が並ぶと、単語の意味がつかみやすくなるのも確かです。言われてみれば、単語の頭からアルファベット順に並ぶ通常の辞典は、目指す単語の前後には派生語を除くと意味的にはほとんど関係ない単語が並びます。

この辞典は大学受験を目指す高校生向けのものなので、収録語彙数は派生語などをすべて含めて約13,000語。サイズも小型の英和辞典程度です。

見出し英語:逆配列アルファベット順
索 引なし
その他発音記号表、英語の綴り発音、接頭辞便覧、逆配列不規則動詞変化表、その他

The Anagram Dictionary

1982 first edition
Michael Curl
Macmillan London[1982]

辞書タイトル通り、"anagram"を集めた辞典です。収録語彙数は約20,000語。"anagram"とは単語の中のアルファベットを置き換えて別の単語にしてしまうこと、あるいは、その置き換えた単語のことです。欧米では一種の「言葉遊び」として、「クロスワードパズルの問題」などによく登場します。"anagram"は日本語では「つづり換え、字なぞ、アナグラム」と言います。

【収録例】
cheat → teach
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、43頁から】
hearth → earth
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、91頁から】
silent → listen
【引用:"The Anagram Dictionary" Michael Curl [Macmillan London 1982]、183頁から】

欧米の怪奇小説などで見られる"Dracula" → "alucard"は、この辞典には載っていません。これはアナグラムとは言わないのかな?

巻頭に"anagram"の略史を掲載。巻末には"Cognate Anagrams"として、つづり換える前の語句と後の語句の意味が類似する新旧の定型句を集めてあります。

【"Cognate Anagrams"の収録例】
LIFE INSURANCE → I rule finances
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、240頁から】
THE MONA LISA → Ah, not a smile?
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、241頁から】
SPRING, SUMMER, AUTUMN, WINTER → "Time's running past", we murmur.
【引用:"The Dictionary of Anagram" Michael Curl [Macmillan London 1982]、245頁から】
見出し英語:アルファベット順
索 引なし
その他"anagram"の略史、"congnate anagram"のリスト
***
ちょっと脱線

"The Anagram Dictionary"には載っていない言葉ですが、"anagram"とよく似た「言葉遊び」をいくつかご紹介いたします。

"ananym"

「逆つづり名」などと訳され、人名を順番を入れ替えずにそのまま逆さまにつづったものです。作家や実業家などが「偽名、筆名」に使うことがあるそうです。

【例】:"Agnes" → "Senga", "Oprah" → "Harpo"

"palindrome"

「たけやぶやけた」のような、日本語で「回文」と呼ばれるもの。頭から読んでもお尻から読んでもまったく同じ文章になります。

【例】:"Madam I'm Adam."
【例】:"A man, a pain, a mania, Panama."

"back slang"

「逆さ言葉、逆読み俗語」となどと訳されます。日本語でも「芸能界の言葉、業界用語」と称して使う「ワイハー(= ハワイ)」「しーめー(= 飯)」のような言葉遊びのこと。英語圏でもお店などで従業員同士や馴染みの客との「内輪の言葉」として使うようです。

【例】:"yneep" → "penny", "cool" → "look", "doog" → "good", "kew" → "week"
語法 | 文法 | シソーラスと類語 | 俗語・スラング | 難語・奇語・珍語 | 神話・伝承 | 風物・資料・文化
日本語表記 | 句読法 | 擬音語・擬態語 | 熟語・慣用句 | コロケーション | 正誤 | 地名・人名 | 方言 | その他
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