二冊ともイギリスの Chambers が出していた、いわゆる「英語学習者向け辞書」。主に「英語を母国語としない英語学習者」向けの辞書です。残念ながら、どちらも現在は絶版・品切れらしく、店頭でもまったく見かけず、出版社のカタログにもありません。
Chambers Universal Learner's English Dictionary の初版は1980年。収録した見出し語は5万5,000以上、例文の総数は6万以上。Chambers Concise Usage Dictionary の初版は1986年。収録した見出し語は約2万4,000、例文の総数は約3万。事実上、Chambers Concise Usage Dictionary は Chambers Universal Learner's English Dictionary の改訂簡約版のようです。収録語数と例文を減らしコンパクト化された模様。定義の解説文はほぼ同一と思われます。
Chambers Concise Usage Dictionary にはごく少数イラストを掲載。写真はなし。一部の見出し語には類義語とのニュアンスの違い、誤りやすいスペリングのミス、間違えやすい語法とその正しい用法、などが載っています。
Longman Dictionary of Contemporary English あたりと比べると、定義文は短いけれど充分わかりやすく、例文も切り詰められた「句」ではなく「フルセンテンス」を積極的に載せています。
写真やイラストを豊富に取り入れた The American Heritage English Dictionary の学習辞書版。タイトル通り「英語を母国語としない英語学習者」向けの辞書です。数はそれほど多くはありませんが、この辞書もモノクロの写真やイラストを掲載。収録語数は約4万。初版は1998年。
ペーパーバック版は一見して厚みが薄く、平べったい感じ。ページを広げると、活字が肉太で大きめ。行間のスペースも他の同種の辞書と比べると若干広く取ってあるので、せまいスペースにぎゅうぎゅう詰めという感じはほとんどしません。
定義文は短めで、例文は豊富に収録。追加情報として、類義語(synonyms)とその意味の違いの解説、同音異義語(homonyms)のリスト、語法上の注意と解説、同じ接頭辞や接尾辞を持つ別単語の意味と解説、などを掲載。英英辞典を使い慣れた方にもお薦めの辞書です。
イギリスの Cambridgeが出している、いわゆる「英語学習者向け辞書」。CD-ROM版の辞書が付属したものもあります。初版は2001年。
ページを開くと二色刷りになっており、見出し語の活字は空色、定義文は黒。ちょっと好みが別れる配色かもしれませんが、個人的には明るく見やすいと感じられます。
定義文の解説は比較的長くてくわしい。イラストはかなり豊富で一部はカラー。動詞の"dive"のような「動作」などもイラストで説明してあります。類義語(synonyms)の意味の区別、使い分けの方法なども随所に追記しており、高校生にもお薦めの一冊です。
定義文のあとに囲み記事のコラムとして"USAGE"を多数掲載。内容は似た綴りや似た意味を持つ語句の意味の細かい相違と使い分け、よく見る間違った構文とその正解、ハイフン(-)を使った年齢の表記の仕方」、など。
これもタイトル通り「英語学習者向け辞書」です。初版は1991年。この手の学習英英辞典にしては見た目がややぶ厚い感じ。収録語は4万以上。写真やイラストは一切ありません。
定義文は短め、例文は長めで数も豊富。見出し語には、"informal"、"technical"などの"usage level"を数多く付けています。また、裏表紙にある宣伝文句の通り、"idiom"を積極的に拾って解説しており、同種の他の辞書とはこの点で大きく異なります。
上記の"The Penguin English Student's Dictionary"と書名がそっくりですが、まったく別物の辞書です。2001年に出版された"The Penguin Compact English Dictionary"のリプリント版。
書名に"Student"とありますが、例文は一切収録していません。見出し語の次には品詞を表わす略号や異綴が示され、その後に語義ごとの定義文をずらりと記述しています。定義文自体は比較的長くてくわしい。元本の"The Penguin Compact English Dictionary"初版は2001年。収録定義数は15万以上。写真やイラストは一切ありません。
見出し語によっては"Usage note"を掲載。主に、似た綴りの語句や類義語との使い分けを紹介。語源の解説を載せている見出し語も少数あります。例文を載せていないので初学者向きというよりは、中級者以上向けの辞書と思われます。
アメリカの Heinle & Heinle Publishers Inc. が出している「英語学習者向け」英英辞典。初版は1996年。
この辞典も上記の"The American Heritage English as a Second Language Dictionary"と同様に、やや大きめの活字で組まれており、最初に見開いた時点で非常に見やすく感じられます。数は少なめですがイラストも掲載。
定義文は短め。むつかしい単語は使っていないので、非常に理解しやすい。例文は長めのものが多く、単語は高校生にも充分わかるもののみを使い、切り詰められた「句」ではなく「フルセンテンス」を積極的に採用しています。
いくつかの見出し語には、定義の説明のあとに囲み記事のコラムとして"USAGE NOTE"を追加。内容は語源やよく使うフレーズの紹介、類義語(synonyms)との意味の細かい違いの説明、定義文だけでは説明できない実用上の微妙なニュアンス、など。
第四版では二色刷りとなり、いくつかの見出し語には類義語(synonyms)追記しています。さらに、パソコンで使える辞書データと検索ソフト、オンラインソフト検索、発音ガイドソフトなどを納めたCD-ROMが付属。専用の辞書検索ソフトは、音声データを再生して発音も聞くことができます。ソフトについては別コーナーでくわしく扱っています→【参照】:辞書ソフト: Heinle's Newbury House Dictionary of American English[2004 foruth version]
イギリスの Bloomsbury が出している、いわゆる「英語学習者向け辞書」。収録語は3万2,000以上。初版は1999年。
定義文の解説は比較的短め。例文は豊富。よく見かける主要な単語については、一つの意味に対して複数の例文を付けることもあります。"put"や"get"などの基本単語では、句動詞が項目として独立させてあり、意味も細かく分けて、定義を解説しています。
ほとんどの例文は、切り詰められた「句」ではなく「フルセンテンス」を収録。見出し語によっては、類義語(synonyms)、反意語(antonyms)も載せています。写真やイラストなどは一切なし。
語法や文法の追加情報や囲み記事もなし。ただし、例文の総数は類書よりもかなり多い。接続詞でつながれた数行に渡る長いセンテンスもたくさんあります。代名詞ばかりの素気ない文章はほとんど見当たらず、実際に新聞や雑誌、文学作品などで使われた思えるような、生きた文章を豊富に収録しています。
1997年に出た"The Random House Webster's Dictionary of American English"を元に編纂された辞書。収録語は3万6,000語以上。副題のとおり、「英語を母国語としない英語学習者」向けの辞書です。"ESL"は"English as a second language"の略。
定義文の解説は概ね短め。例文は切り詰められた「句」ではなく「フルセンテンス」を多数収録。ただし、例文の収録数自体はかなり少なめ。定義文のみで例文を省略している見出し語も多々あります。
ごく少数の見出し語には、追加情報として"Usasge"を併載。見出し語のくわしい使い方、誤りやすい表現、似た綴りを持つ単語とのニュアンスや使い方の違い、などを載せています。
イラストを多数収録。目次にはイラストのみのページ番号をリストアップしています。掲載内容は病院内の各部屋の名称や、楽器の名前、人間の身体の各部位の名称など。
アメリカの NTC Publishing Group が出している「英語学習者」向けの辞書。収録語は6,000語以上。初版は2000年。
上記の各辞書とは多少趣が異なり、この辞書は収録語をさらに厳選して、ごく基本的な単語のみに絞り込んでいます。そのため収録語数も約6,000とかなり少なめ。英英辞典を初めて使う学習者向けの辞書と言えます。序文にも「基礎的な単語に絞った基本的な辞書」とあります。
辞書のサイズは意外に大きめで、厚さもそれほど薄くはありません。しかし、ページを開くと上下左右の余白部分をかなり広く取っており、活字も大きめなので、非常に見やすく感じられます。
定義文の解説は概ね短め。ただし、見出し語によっては数行にわたり懇切丁寧に説明しているものもあります。ほとんどの例文は、切り詰められた「句」ではなく「フルセンテンス」を収録。各例文の先頭には白抜きの四角(■)が付いており、定義文はどこまでで例文はどこから始まるのか、ひと目でわかります。
写真やイラストなどはなし。イディオムや句動詞も、編集方針のせいか、あまり載せていません。また、理由は不明ですが、筆者が基本語と感じる単語がいくつか未収録でした。
定義文は充分わかりやすく、例文も豊富なので一度はパラパラと眺めてほしい辞書ですが、上記の基本単語が抜け落ちているので、いざという時に調べたい単語が見当たらないことも充分にありえます。
フランスの Larousse が出している「英語学習者」向けの辞書。収録語は5万5000語以上、例文は6万5000以上。同系統の辞書としては、語彙も例文もかなり豊富です。
「英語学習者」向けの辞書としては、本体サイズがかなり大型。Concise Oxford Dictionary[2004 11th]とほぼ同じサイズです。ページを開くと、活字の行間が広く取られているせいか、文字がぎゅうぎゅう詰めではなく、きわめて見やすい。
語義の解説文は全体に長め。数行に渡ってくわしく説明することもあります。イディオム(idiom)や句動詞(phrasl verb)の収録数もかなり多く、どちらも太字で印刷してあるのですぐに見つけることができます。
多義語の場合、各語義の先頭にその語義が使われるシチュエーションを提示します。たとえば、"growl"(うなる)の場合、1.[of an animal]〜語義と例文〜, 2.[of a person]〜語義と例文〜、とあるので、目指す意味に素早く辿り着くことができます。
百科事典的な特色も持たせてあり、類書ではなかなか見つからない見出し語(固有名詞や略語)も多数載せています。
写真やイラスト、図表は一切なし。ただし、巻末に付録として"Living in the United States, United Kingdom, and Australia"というコーナーがあり、アメリカ、イギリス、オーストラリアの三つの国について十の部門(地理、国政・行政、交通、電信・電話、労働、通貨制度、医療、教育、マス・メディア、娯楽)で比較し、特徴や異なる点を簡潔にまとめています。
巻頭には四ページに渡って不規則変化動詞の活用を掲載。さらに、数字で始まる主要な語句を一つのページに集めて提示。最終ページには"Conversion Calculator"という表を掲載。簡単な表を使って、主要な度量衡の数値を相互に確認することができます。