「方言」って何?と聞かれると、ある特定の地域のみで使われる言葉だ、と答える場合がほとんどでしょう。たとえば日本語で言うと「関西弁」や「博多弁」など。「関西弁」は関西の人たちが話す独特の言葉、「博多弁」は博多や福岡の人たちが話す独特の言葉。
「方言」に相当する言葉は英語では"dialect"と言います。意味は日本語の「方言」とほぼ同じです。しかし、特に辞書で「方言」を扱う場合には、「ある特定の地域」のほかに、「ある特定の時代」に使われた言葉、あるいは、「ある特定の人々(民族、種族、文学の特定の流派など)」が使う言葉を指すこともあります。
方言の中で、特にアメリカの文学作品の中に出てくるものを扱った辞典です。具体的には、ウイリアム・フォークナーやジョン・スタインベックら文学者の作品中に出て来る語句の中で、「他では見られない妙な綴り字」を集めて、発音、標準の綴り、品詞、意味、語源などを解説した辞書。総語彙数は約6,000語。
【引用:「アメリカの文学方言辞典」沢田敬也 編著(オセアニア出版社 1984)、219頁から、一部内容省略】nervish (= nervous): 神経質な:ケンタッキーやノ−ス・カロライナの一部で使用
【引用:「アメリカの文学方言辞典」沢田敬也 編著(オセアニア出版社 1984)、248頁から、一部内容省略】raal (= real): 実際の:このつづり字は北部スコットランドで使用
「文学方言」として扱う範囲は、数百年前から現在に至るまでのさまざまな時代の方言や俗語を含みます。辞典の後半にはパートIIとして、前半部分の解説から漏れた3,300語をリストアップし、標準の綴りを併記してあります。
巻末に語学や地理学などの専門用語を簡潔に解説してあるので、見出し語の解説部分でわからない用語は逐次調べることができます。
見出し | 英語:アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | 方言に関する専門用語の解説 |
アメリカやイギリスではほとんど使わないけれど、オーストラリアとニュージーランドではよく使う語句を集めた辞書。ただし、英米でよく見かける語句でも、オーストラリアやニュージーランドでは別の意味で使うもの、あるいは、オーストラリアとニュージーランドに何らかの所縁があるものも採録しています。
収録語彙の範囲は、現在使われているものだけでなく、過去に使われていた古い言葉も含みます。オーストラリア原住民のアボリジニー語、ニュージーランド原住民のマオリ語も積極的に収集。
見出し語の次に日本語で意味と語義の解説を配置。発音については、まだ研究が充分でないため自信を持って示すことができないとのこと。代わりに、巻末に概論として、オーストラリア英語の発音、ニュージーランド英語の発音、アボリジニー語の発音、マオリ語の発音を独立した項目としてまとめています。
"speech level"も十三に区分。必要に応じて見出し語に目印のマークを付けています。
【引用:「オーストラリア ニュージーランド英語辞典」沢田敬也 編著(オセアニア出版社)、7頁と8頁から、一部内容省略】(1)オーストラリアで使用(2)ニュージーランドで使用(3)オーストラリア・ニュージーランドで使用(4)オーストラリアの口語として使用(5)オーストラリアの俗語として使用……(中略)……(12)アボリジニーの神話・伝説に使用(13)マオリの神話・伝説に使用
巻頭に当時の(?)オーストラリア大使とニュージーランドの大使からのメッセージを掲載しています。
見出し | 英語:アルファベット順 |
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索 引 | なし |
その他 | オーストラリア英語、ニュージーランド英語、 アボリジニー語、マオリ語の発音の解説 |