「仮定法」は「もしも」の話
仮定法とは「現実は〜じゃないけど、もし〜だったらどうなるのか」という話です。話し手の頭の中にはたいてい、「こんなことは百パーセントありえないけど……」という意識があります。
【例文】:もし、恐竜が生き延びていたら、人間は恐竜のエサになっているだろう。
【英訳】:If dinosaurs survived, human beings would become their food.
百パーセントありえない話です。恐竜は大昔に死滅しています。なので、人間が恐竜のエサになることは絶対にありえません。こんな時、《仮定法》を使います。
「条件」は“ありうる話”
《仮定法》と同じ「もしも」の話に「条件」があります。
「条件」も「もし〜なら」という文になります。《仮定法》と決定的に違うのは、「条件」の場合、要件をクリアすれば「ありうる話」ということです。《仮定法》はたいてい「ありえない話」として始めます。
【例文】:もし太陽が突如消え失せたら、ほとんどの生物は死に絶えてしまうだろう。
【英訳】:If the sun abruptly disappeared, almost all the living things would die out.
→「ありえない話」なので仮定法過去を使う
【例文】の場合、太陽が急に消え失せることはまずありえないので《仮定法》を使います。
【例文】:太陽が沈むと、このあたりは急激に温度が下がる。
【英訳】:If the sun sets, the temperature around this area suddenly goes down.
→条件さえ満たせば「ありうる話」なので、仮定法は不可、「条件」を使う
【例文】の場合、太陽が沈むのは毎日のことなので、ありえない話ではありません。なので、ただの「条件」を表わします。
仮定法の形
《仮定法》は主に三つに分類できます。
仮定法現在
仮定法の三つの形(1)
↑
《仮定法現在》は将来的な提案や注意すべき重要事項を表わすときによく使います。
通例、if節なしで、"suggest, ask, be important"などの表現と一緒に使います。動詞の時制を変化させず動詞を原形のまま使うので厳密に言えば「現在」ではありませんが、便宜上、「仮定法現在」と呼びます。
《仮定法現在》を使う動詞や形容詞は別のコーナーにくわしくまとめています→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:that節で仮定法』
【例文】:The United Nations proposed that the military government stop developing nuclear weapons.
【和訳】:国連は軍事政権に核兵器の開発中止を提案した。
→"propose"(提案する)を使う場合、that節の動詞は原形の"stop"を使う
【例文】の場合、今現在、軍事政権は核兵器の開発を進めているので、「核兵器の開発中止」は「将来的な提案」です。「これから〜してくれ」の話なので《仮定法現在》を使います。"proposed"の過去時制に合わせて"stopped"ではなく、原形の"stop"を使うところがミソです。
【例文】:It is important that the vaccine require two shots two weeks apart.
【和訳】:このワクチンは二週間の間隔をあけて二回の接種が必要であることが重要です。
→"important"(重要な)を使う場合、that節の動詞は原形の"require"を使う
【例文】の場合、「ワクチンは二週間の間隔をあけて二回接種」は「注意すべき重要事項」です。「これから決して忘れずに〜してくれ」の話なので《仮定法現在》を使います。"is"の現在時制に合わせて"requires"ではなく、原形の"require"を使うところがミソです。三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"は不要です。
仮定法過去
仮定法の三つの形(2)
↑
《仮定法過去》は現在の事実に反する仮定、そうなる可能性がかなり低い未来を表わします→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:仮定法過去(もし〜だとしたら)』
時制は過去時制を使います。過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です→【参照】:『仮定法の時制ってヘンだよね』
【例文】:If hydrogen vehicles replaced all gasoline cars, air pollution would be considerably reduced.
【和訳】:ガソリン車が全部水素自動車に置き換ったら、大気汚染はかなり軽減されるだろう。
→時制は過去時制、過去形の助動詞"would"を使う
今現在、ガソリン車のほうが圧倒的に数が多いので、「世界中の車が全部水素自動車だったら」は現在の事実に反する仮定の話です。「もしも〜だったなら」の話は《仮定法過去》を使います。
【例文】:If teleportation were invented and implemented, almost all kinds of cars might be extinct.
【和訳】:もし瞬間移動が発明されて実用化されれば、ほとんどの自動車は無くなってしまうかもしれない。
→時制は過去時制、過去形の助動詞"might"を使う
将来的にも瞬間移動は実現しそうにないと話し手が考えれば、「瞬間移動が発明されて実用化される」はそうなる可能性がかなり低い未来です。「もしも〜になったら」の話でも《仮定法過去》を使います。
仮定法過去完了
仮定法の三つの形(3)
↑
《仮定法過去完了》は過去の事実に反する仮定を表わします→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:仮定法過去完了(もし〜だったとしたら)』
時制は過去完了時制を使います。過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です→【参照】:『仮定法の時制ってヘンだよね』
【例文】:If I hadn't drunk isotonic drinks at that time, I might have suffered heat exhaustion.
【和訳】:あの時、スポーツドリンクを飲んでいなかったら熱中症になっていたかもしれない。
→時制は過去完了時制、過去形の助動詞"might"を使う
現実はスポーツドリンクを飲んで熱中症も予防できたので、「あの時、スポーツドリンクを飲んでいなかったら」は過去の事実に反する仮定の話です。「もしも〜だったら」の話は《仮定法過去完了》を使います。
【例文】:I would have stayed in hospital for several months if I had not received the vaccine shot.
【和訳】:もしワクチンを接種していなかったら入院は数カ月に及んだだろう。
→時制は過去完了時制、過去形の助動詞"would"を使う
現実はワクチンを接種して入院も短期間ですんだので、「もしワクチンを接種していなかったら」は過去の事実に反する仮定の話です。「もしも〜だったら」の話は《仮定法過去完了》を使います。
はい、原則として過去形の助動詞が必要不可欠です
"if"を使った仮定法過去や仮定法過去完了の構文では過去形の助動詞(would, should, could, might)が必ず必要です。
【例文】:If he arrived in Tokyo, Bruce would phone us.
【和訳】:もし、東京に着いているなら、ブルースは電話をくれるでしょう。
【例文】のニュアンスは「今のところブルースはまだ東京に到着していないし、当然、電話もまだない」です。
《仮定法》は「もしも」の話なので、通常の文よりは話し手の意識がかなり強く表われます。そのため、「これは客観的な事実ではなく、話し手の気持ちだよ」と表現するために過去形の助動詞(would, should, could, might)を使います。
【例文】の場合、"would phone"を"phoned"にすると、たいてい《仮定法》ではなく「習慣的に行う行為」を表わします。
【例文】:If he arrived in Tokyo, Bruce phoned us.
(= Whenever he arrived in Tokyo, Bruce phoned us.)
【 × 】:もし、東京に着いているなら、ブルースは電話をくれるでしょう。
【 ○ 】:東京に着いたら、ブルースはいつも電話をくれた。
"would"がなくなると、話し手の気持ちを強調するニュアンスがなくなり、過去の事実を客観的に述べる意味合いになります。
仮定法で使える助動詞は四つだけ
仮定法過去や仮定法過去完了の場合、"if 〜"の結果を表わす節で使える助動詞はごく少数です。使用可能なのは"would, should, could, might"の四つのみ。
# 仮定法過去、仮定法過去完了で使える動詞……would, should, could, might
"if 〜"の結果を表わす節で"can, must, may, need, ought, used"などは通例、使いません。《仮定法》の時制は過去時制あるいは過去完了時制なので、必ず過去形が存在する助動詞の過去形を使います。
《仮定法》で"must"を使って「〜に違いない」という意味を表わすことはできません。文法的に不可です。
【例文】:もし、昨日休憩なしで働いていたら、暑さで倒れていたに違いない。
【 × 】:If we had continued working without a break yesterday, we must have collapsed from the heat.
→仮定法の場合「〜に違いない」の意味で"must"は使えない
「〜に違いない」のニュアンスが必要なときは、助動詞は"would"のままで、"certainly"や"surely"(確かに、きっと)などの副詞を付け加えます。
【例文】:もし、昨日休憩なしで働いていたら、暑さで倒れていたに違いない。
(= もし、昨日休憩なしで働いていたら、きっと暑さで倒れていただろう)
【 ○ 】:If we had continued working without a break yesterday, we would certainly have collapsed from the heat.
→仮定法の場合「〜に違いない」は"would certainly 〜"で表わす
いいえ、「if = 仮定法」ではありません
"if"を使う文がすべて仮定法過去や仮定法過去完了とは限りません。
日本語で考えてみても、「もし〜」と来たらすべての話が「実際にはありえない仮定の話」というわけではありません。仮定ではなく「条件の話」として、「もし〜するなら、〜になるだろう」と表現することも当然あります→【参照】:『仮定法は条件ではない?!』
# 「条 件」 → 前提条件を満たせば、かなりありうる話
# 「仮定法」 → 完全にありえないことが、仮に実現したらの話
【例文】:明日、晴れたら、家の庭でバーベキューパーティをしよう。
【 × 】:If it was fine tomorrow, we would have a barbecue party in the garden of my house.
【 ○ 】:If it is fine tomorrow, we will have a barbecue party in the garden of my house.
【例文】は単に「明日もし〜なら」という「条件」を表わしています。「明日もし〜だったなら」という「仮定」の話ではありません。話し手の頭の中には「明日は晴れるかどうかはわからないけど…」という意識があります。
「明日晴れる」のはかなりの確率でありえる話なので【例文】の場合、《仮定法》は不可。「条件の話」として、時制は現在時制や未来時制を使います。助動詞も過去形の"would"ではなく"will"を使って未来時制を表わします。
"was"の代わりに"were"を使う
《仮定法》の場合、"if"を使う節では"was"の代わりによく"were"を使います。
【例文】:私だったらそんなことはしない。
【 ○ 】:If I was you, I wouldn't do that.[※ややくだけた言い方]
【 ○ 】:If I were you, I wouldn't do that.
英語文法の原則を考えると、"I"の次なので単数形の"was"を使うべきです。ただし、《仮定法》のときは、「現実は〜じゃないけど、もし〜だったらどうなるのか」のニュアンスを表わすために、"was"の代わりに文法的にはおかしな"were"をよく使います。
【例文】の《仮定法》の場合、"was"を使った"If I was"はややくだけたニュアンスがあります。
ほかにも"was"の代わりに"were"を使う《仮定法》の表現があります。
if + 主語 + were to不定詞(もしも万が一〜したら)
仮定法は"were"ばっかり使う(1)
↑
《仮定法》の"if + 主語 + were to不定詞"は「実現の可能性がきわめて低い未来」を表わします。主語が単数でも"were"を使います。
"if + 主語 + were to不定詞"で一つの決まり文句。話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:if + 主語 + were to不定詞』
【例文】:もし一日だけ世界を支配できるとしたら、私は何をするだろう。
【 ○ 】:What would I do if I was to rule the world for only one day?[※ややくだけた言い方]
【 ○ 】:What would I do if I were to rule the world for only one day?
→英作文では"were"を使うほうが無難
if it were not for 〜(もし〜がなかったら)
仮定法は"were"ばっかり使う(2)
↑
《仮定法》の"if it were not for 〜"は「現在の事実に反する仮定」を表わします。主語が単数の"it"でも"were"を使います。"were"の次にはたいてい名詞を置いて「(今は普通にあるけど)もし〜がなくなってしまったら」という仮定を表わします。
"if it were not for 〜"で一つの決まり文句。話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:if it were not for 〜』
【例文】:もしミツバチがいなかったら、多くの植物は実をつけないだろう。
【 ○ 】:If it was not for bees, many plants would not fruit.[※ややくだけた言い方]
【 ○ 】:If it were not for bees, many plants would not fruit.
→英作文では"were"を使うほうが無難
as if 〜, as though 〜(あたかも〜のように)
仮定法は"were"ばっかり使う(3)
↑
《仮定法》の"as if, as though"は「事実に反する仮定」を表わします。"as if, as though"がある節は主語が単数でも"were"を使います。「(実際は違うけれど)まるで〜のようだ」という仮定を表わします。
話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:as if 〜, as though 〜』
【例文】:姉は未だに私を子供扱いする。
【 ○ 】:My big sister still treats me as if I was a kid.
【 ○ 】:My big sister still treats me as if I were a kid.
→英作文では"were"を使うほうが無難
主語 + wish 〜(〜であればよかったのだが)
仮定法は"were"ばっかり使う(4)
↑
《仮定法》の"主語 + wish 〜"は「現状や過去に対する後悔」を表わします。"主語 + wish 〜"に続く節は主語が単数でも"were"を使います。「(現実はそうじゃないけれど)〜だったらよかったのに」という仮定を表わします。
話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:主語 + wish 〜』
【例文】:あなたのように勇気があるといいんだが。
【 ○ 】:I wish I was as brave a person as you.[※ややくだけた言い方]
【 ○ 】:I wish I were as brave a person as you.
→英作文では"were"を使うほうが無難
"if only 〜"もほぼ同じ意味を表わします。「〜だったらいいのに」という気持ちは"if only"のほうが強く表われます→【参照】:『仮定法は"were"ばっかり使う:if only 〜(〜でありさえすればいいのに)』
【例文】:あなたのように勇気があるといいんだが。
【英訳】:I wish were as brave a person as you.
【例文】:あなたのように勇気がありさえすればいいんだけど。
【英訳】:If only I were as brave a person as you.
if only 〜(〜でありさえすればいいのに)
仮定法は"were"ばっかり使う(5)
↑
《仮定法》の"if only"は「現状や過去に対する後悔」を表わします。"if only"がある節は主語が単数でも"were"を使います。「(現実はそうじゃないけれど)〜だったら文句なしだったのに」という仮定を表わします。
話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"if only 〜"』
【例文】:もっと自分に自信が持てさえすればいいんだけど。
【 ○ 】:If only I was more self-confident.[※ややくだけた言い方]
【 ○ 】:If only I were more self-confident.
→英作文では"were"を使うほうが無難
"主語 + wish 〜"もほぼ同じ意味を表わします。「〜だったらいいのに」という気持ちは"if only"のほうが強く表われます→【参照】:『仮定法は"were"ばっかり使う:主語 + wish 〜(〜であればよかったのだが)』
【例文】:もっと自分に自信が持てさえすればいいんだけど。
【英訳】:If only were more self-confident.
【例文】:もっと自分に自信が持てればいいんだけど。
【英訳】:I wish I were more self-confident.
仮定法のヘンな時制
正直言って《仮定法》の時制はヘンです。現在や未来のことを過去時制で表わし、過去のことを過去完了時制で表わします。
仮定法過去の場合
仮定法のヘンな時制(1)
↑
【例文A】:もし、宝クジで百万円当たったら、クルマを買うつもりだ。
【英訳】:If I won one million yen in a public lottery, I would buy a car.
→当たる訳ないと思っている(未来の話)
【例文B】:もし、私に霊感があれば、幽霊が見えるはずです。
【英訳】:If I were a psychic, I could see ghosts.
→私に霊感などない(現在の話)
【例文A】の内容は未来の話、【例文B】の内容は現在の話です。ところが、英文に直した場合、時制は両方とも過去時制を使います。
《仮定法》ならこれで正解。《仮定法》では話し手の頭の中に「そんなことは百パーセントありえない」という意識があります。この時、今日や明日の話でも、わざと時制をズラして過去にします。
実は、日本語でも今日や明日のことを話すのに過去時制を使うことがあります。
上記の【例文A】でも「もし、宝クジで百万円当たったら、〜」と過去時制を使っています。【例文B】も「霊感があれば」は「霊感があったら」と過去時制でも表現可能です。これに気づくと、英語の《仮定法》のズレた時制もナルホドと思えてきます。
仮定法過去完了の場合
仮定法のヘンな時制(2)
↑
【例文】:昨日、晴れだったら、遠足に行けたのに。
【英訳】:If it had been fine yesterday, we would have gone to school excursion.
→昨日の天気は最悪で遠足にも行けなかった
過去の出来事で「そんなことは百パーセントありえなかった」という話なら仮定法過去完了を使います。
「過去」の話だけど、《仮定法》であることを示すために一つ時制が過去のほうにズレます。つまり、過去のさらに過去である過去完了時制を使います。
現在の事実に反する仮定、そうなる可能性がかなり低い未来
"if + 主語 + 過去形の動詞 + 〜, 主語 + 過去形の助動詞 + 動詞の原形 + 〜"で《仮定法過去》を表わします。
話題は現在の事実に反する仮定、そうなる可能性がかなり低い未来です。ニュアンスは「(現実はそうではないけれど)もし〜だとしたら」「(そんなことはありえないけれど)もし〜したら」→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法過去 』
仮定法過去は現在の事実に反する仮定を表わします。
【例文】:If the earth's axis were not tilted, we would not feel the change of the four seasons.
【和訳】:もし地軸が傾いていなかったら、四季の移り変わりを感じることはないだろう。
→現実は地軸が傾いているので四季は訪れる、話題は現在の事実に反する仮定
"if 〜"の条件に対する結果を表わす節の助動詞は必ず過去形を使います。"would"のほかに"could"や"might"も使えます。
【例文】:If the earth's axis were not tilted, we could not feel the change of the four seasons.
【和訳】:もし地軸が傾いていなかったら、四季の移り変わりを感じることはできないだろう。
→"could"も使える
【例文】:If the earth's axis were not tilted, we might not deeply feel the change of the four seasons.
【和訳】:もし地軸が傾いていなかったら、四季の移り変わりをはっきりと感じることはないかもしれない。
→"might"も使える
仮定法過去はそうなる可能性がかなり低い未来も表わします。
【例文】:If I had a butch cut, I would certainly look a kind of gangster with a scary face.
【和訳】:坊主刈りになんかしちゃったら絶対にコワモテのちょっと悪い人に見られてしまう。
→坊主刈りにするつもりなどこれっぽっちもない、話題はそうなる可能性がかなり低い未来
一つの文の中に仮定法過去と仮定法過去完了を混在させることもできます。
【例文】:If you had worn a short-sleeved shirt yesterday, sunburn would irritate your skin today.
【和訳】:もし昨日半袖を着ていたら、今ごろは日焼けで肌がヒリヒリしているだろう。
→"if 〜 yesterday"は仮定法過去完了、"sunburn 〜 today"は仮定法過去
【例文】の場合、「昨日半袖を着ていたら」は過去の事実に反する仮定。現実は昨日は長袖を着ていたので日焼けはほとんどしなかった。「今ごろは日焼けで肌がヒリヒリしている」は現在の事実に反する仮定。昨日の日焼けは最小限だったので肌がヒリヒリするほどではない。
過去の事実に反する仮定
"if + 主語 + had + 過去完了形の動詞 + 〜, 主語 + 過去形の助動詞 + have + 過去完了形の動詞 + 〜"で《仮定法過去完了》を表わします。
話題は過去の事実に反する仮定です。ニュアンスは「(現実はそうではなかったけれど)もし〜だったとしたら」→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法過去完了 』
【例文】:If we had not taken the wrong road, we would have arrived on time.
【和訳】:道を間違えなければ時間通りに着いたんだが。
→道を間違えたので到着が遅れた
"if 〜"の条件に対する結果を表わす節の助動詞は必ず過去形を使います。"would"のほかに"could"や"might"も使えます。
【例文】:If we had not taken the wrong road, we could have arrived on time.
【和訳】:道を間違えなければ時間通りに着くことができたんだが。
→"could"も可能
【例文】:If we had not taken the wrong road, we would have arrived on time.
【和訳】:道を間違えなければ時間通りに着いたかもしれないんだが。
→"might"も可能
一つの文の中に仮定法過去と仮定法過去完了を混在させることもできます。
【例文】:If I had not received flu vaccine, I might be absent from school for a week.
【和訳】:インフルエンザの予防接種をしていなかったら、一週間学校を休むことになっているかもしれない。
→"if 〜 vaccine"は仮定法過去完了、"I might 〜 a week"は仮定法過去
【例文】の場合、「予防接種をしていなかったら」は過去の事実に反する仮定。現実は予防接種を受けた。「一週間学校を休む」は現在の事実に反する仮定。おそらく、予防接種のおかげでインフルエンザ感染を免れて元気に登校している。
「万が一」の"if + 主語 + should 〜"
"if + 主語 + should 〜"は、"if + 主語 + were to不定詞"と同じく、「たぶんそうはならんだろうな」という話し手の気持ちを表わします。話題は「実現の可能性がかなり低い未来」。和訳は「万が一〜したら」です。
# if + 主語 + should 〜(万が一〜したら)【実現の可能性がかなり低い未来の話】
「そんなことはありえない」という気持ちは"if + 主語 + should 〜"よりも、"if + 主語 + were to不定詞"のほうが強く出ます。
"if + 主語 + should 〜"は「そんなことはありえないがもし〜だったら」という「事実に反する仮定」を表わすことはありません。わずかながらでも「ありえる話」の時に使います。
if節の次に続く文ではたいてい"will, would, could, might"などの助動詞を使います。
【例文】:If we should discover the Yeti, we will catch it alive.
【例文】:If we should discover the Yeti, we would catch it alive.
【和訳】:万が一「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえよう。
→発見する見込みは多少はあると思っている
"happen to 〜"や"should happen to 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:If we happen to discover the Yeti, we will catch it alive.
【例文】:If we should happen to discover the Yeti, we will catch it alive.
【和訳】:万が一「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえよう。
"if + 主語 + should 〜"の後ろにはよく命令文が続きます。
【例文】:If you should discover the Yeti, catch it alive.
【和訳】:万が一「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえるんだ。
if + 主語 + were to不定詞(もしも万が一〜したら)
実現の可能性がきわめて低い未来を表わす
"if"を使う仮定法アレコレ(4)if + 主語 + were to不定詞(1)
↑
"if + 主語 + were to不定詞"は、"if + 主語 + should 〜"と同じく、「たぶんそうはならんだろうな」という話し手の気持ちを表わします。話題は「実現の可能性がきわめて低い未来」。
# if + 主語 + were to不定詞(もしも万が一〜したら)【実現の可能性がきわめて低い未来の話】
「そんなことはありえない」という気持ちは"if + 主語 + should 〜"よりも、"if + 主語 + were to不定詞"のほうが強く出ます。
"if + 主語 + were to不定詞"の構文は仮定法過去です。なので、意味的には未来ですが過去時制の"were"を使います。「ありえない」という気持ちがそれだけ強く表われます→【参照】:『仮定法は"were"ばっかり使う』
if節の次に続く文ではたいてい"would, should, could, might"などの過去形の助動詞を使います。"will"は不可。
【例文】:もしも万が一「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえよう。
【 × 】:If we were to discover the Yeti, we catch it alive.
【 × 】:If we were to discover the Yeti, we will catch it alive.
【 ○ 】:If we were to discover the Yeti, we would catch it alive.
→発見する見込みはほぼゼロだと思っている
依頼やお願いを表わす
"if"を使う仮定法アレコレ(4)if + 主語 + were to不定詞(2)
↑
「もし〜だったら」のニュアンスを活かして、"if + 主語 + were to不定詞"が依頼やお願いを表わすことがあります。ニュアンスは「もし〜してくれたら、〜なのだが」です。
【例文】:If you were to work a little more quickly, the job could be done sooner.
【和訳】:もう少し機敏に動いてくれれば仕事も早く終わるんだが。
→"were to"(〜してくれたら)でお願いのニュアンスを表わす
"were to"なしでも意味はほぼ同じ
"if"を使う仮定法アレコレ(4)if + 主語 + were to不定詞(3)
↑
"if + 主語 + were to不定詞"は仮定法過去なので、"were to"を使わない仮定法過去の構文を使っても意味はほとんど変わりません。
【例文】:もしも万が一「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえよう。
【 ○ 】:If we discovered the Yeti, we would catch it alive.
【 ○ 】:If we were to discover the Yeti, we would catch it alive.
→"were to"なしでも意味はほぼ同じ、発見する見込みはほぼゼロだと思っている
「現在の事実に反する仮定」であることを強調するときは"if + 主語 + 動詞の過去形 + 〜"を使い、「そうなる可能性がかなり低い未来」であることを強調するときは"if + 主語 + were to不定詞"を使って意味の違いをはっきりさせることができます。
【例文】:もし期限切れの牛乳を飲んだりしたら、お腹を壊すかもしれませんね。
【英訳】:If you were to dirnk the expired milk, you might have trouble in your bowels.
【英訳】:If you drank the expired milk, you might have trouble in your bowels.
→誤って「期限切れの牛乳」を飲んでしまったらの話
【例文】の場合、期限切れの牛乳を飲む可能性は将来的にも低いと話し手が考えているニュアンスがあります。「そうなる可能性が低い未来の話」なので"if + 主語 + were + to不定詞"、あるいは、"if + 主語 + 動詞の過去形"を使います。
【例文】:この牛乳が期限切れだったら、捨てるべきですね。
【英訳】:If this milk were expired, you should discard it.
→「期限切れの牛乳」は飲んでいない
【例文】の場合、実際にはこの牛乳は期限切れではないというニュアンスがあります。現在の事実に反する仮定の話なので、"if + 主語 + 動詞の過去形"を使います。
「were to + 動作動詞」が普通
"if"を使う仮定法アレコレ(4)if + 主語 + were to不定詞(4)
↑
"if + 主語 + were to不定詞"の場合、"to"の次に置く動詞はたいてい"watch"(〜を見る)や"eat"(〜を食べる)などの動作を表わす動作動詞です。"be"(〜である)や"remain"(〜のままである)などの状態動詞を使うときはたいてい、"were to"なしの仮定法過去を使います。
【例文】:そのホラー映画を見たら、あなた一人で寝れないよ。
【 ○ 】:You couldn't sleep alone if you were to watch the horror movie.
【 ○ 】:You couldn't sleep alone if you watched the horror movie.
→"watch"は動作を表わすので"were to"が使える、ホラー映画を見る勇気があるとは思っていない
【例文】:今のままのあなただったら、友達を作るのはむつかしい。
【 △ 】:If you were to remain as you were, it would be difficult for you to make friends.
【 ○ 】:If you remained as you were, it would be difficult for you to make friends.
→"remain"は状態を表わすので"were to"を使うとやや不自然、人柄が変化するとは思っていない
"was"も使える
"if"を使う仮定法アレコレ(4)if + 主語 + were to不定詞(5)
↑
"if + 主語 + were to不定詞"は主語が単数でも"were"を使います。"if + 主語 + were to不定詞"で一つの決まり文句。話し言葉では"was"を使うこともありますが、英作文では"were"を使うほうが無難です→【参照】:『仮定法は"were"ばっかり使う:if + 主語 + were to不定詞(もしも万が一〜したら)』
【例文】:もしも万が一私が「雪男」を発見したら、生きたまま捕まえよう。
【 △ 】:If I was to discover the Yeti, I would catch it alive.[※くだけた言い方]
【 ○ 】:If I were to discover the Yeti, I would catch it alive.
→"were"を使うほうが普通
「もしも〜がなかったら」の"if it were not for 〜"
"if"を使う仮定法アレコレ(5)if it were not for 〜(1)
↑
"if it were not for 〜"は仮定法過去です。話題は現在の事実に反する仮定の話。ニュアンスは「(現実には存在するけれど)もし〜がなかったら」です。"for"の次にはたいてい名詞を置きます。
# if it were not for 〜(もし〜がなかったら)【現在の事実に反する仮定の話】
【例文】:もしオゾン層が存在しなければ、人間の目や皮膚は紫外線によって深刻なダメージを受けるだろう。
【 × 】:If it were not for the ozone layer, ultraviolet rays will severely damage our eyes and skin.
【 ○ 】:If it were not for the ozone layer, ultraviolet rays would severely damage our eyes and skin.
→オゾン層は現に存在するので現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去の"would"を使う
"but for 〜"や"without 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:もしオゾン層が存在しなければ、人間の目や皮膚は紫外線によって深刻なダメージを受けるだろう。
【英訳】:But for the ozone layer, ultraviolet rays will severely damage our eyes and skin.
【英訳】:Without the ozone layer, ultraviolet rays would severely damage our eyes and skin.
(= If it were not for the ozone layer, ultraviolet rays would severely damage our eyes and skin.)
「もしも〜がなかったとしたら」の"if it had not been for 〜"
"if"を使う仮定法アレコレ(5)if it were not for 〜(2)
↑
過去の事実に反する仮定の話だったら、仮定法過去完了を使います。時制を過去完了時制にして"if it had not been for 〜"です。"for"の次にはたいてい名詞を置きます。
# if it had not been for 〜(もし〜がなかったとしたら)【過去の事実に反する仮定の話】
【例文】:もし電話してくれなかったら、まだ寝ていただろう。
【 × 】:If it had not been for your call, I was still in bed.
【 ○ 】:If it had not been for your call, I would still have been in bed.
→電話で起きることができたので過去の事実に反する仮定、仮定法過去完了の"would have"を使う
"but for 〜"や"without 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:もし電話してくれなかったら、まだ寝ていただろう。
【英訳】:But for your call, I would still have been in bed.
【英訳】:Without your call, I would still have been in bed.
(= If it had not been for your call, I would still have been in bed.)
if節なしで「もし〜なら」を表わす
if節なしで《仮定法》を表わす主な表現をまとめます。
that節で仮定法現在を使う動詞や形容詞
「提案」を表わす動詞の"suggest"や「不可欠」を表わす形容詞の"essential"などは、that節の中の動詞を原形にすることがあります。
that節の内容が事実をそのまま述べるのではなく、「〜してはどうか」「〜することが重要だ」という将来の話なので《仮定法》を使います。動詞を原形のまま使うので《仮定法現在》と呼びます→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
【提案】を表わす動詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(1)
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動詞の中で「(相手に)〜してはどうだろうか」という「提案」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使います。イギリス英語では"should"を使います。
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜してはどうか」という「仮定の話」なので仮定法現在を使います→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
文全体の時制が過去時制でもthat節内の動詞は「原形」にするのが普通です。文全体が現在時制の場合にも、三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"は付けません。イギリス英語では「should + 動詞の原形」を使います。
【例文】:もう三十分、先生を待つことを提案した。
【 × 】:I suggested that we waited for our teacher another half an hour.
【 ○ 】:I suggested that we wait for our teacher another half an hour.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:I suggested that we should wait for our teacher another half an hour.[※イギリス英語]
→"waited"とはしない、"wait"か"should wait"とする
be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:消費者団体は使用済みの割り箸のリサイクルを提案した。
【 × 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks were recycled.
【 ○ 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks be recycled.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks should be recycled.[※イギリス英語]
→"were"とはしない、"be"か"should be"とする
否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:消費者団体は使用済みの割り箸をゴミとして処分しないことを提案した。
【 × 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks were not disposed of as trash.
【 ○ 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks not be disposed of as trash.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:The consumer group suggested that used disposal chopsticks should not be disposed of as trash.[※イギリス英語]
→"were not"とはしない、"not be"か"should not be"とする
【要求】を表わす動詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(2)
↑
動詞の中で「(相手に)〜してはくれないか」という「要求」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使います。イギリス英語では"should"を使います。
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜してはくれないか」という仮定の話なので《仮定法現在》を使います→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
文全体の時制が過去時制でもthat節内の動詞は「原形」にするのが普通です。文全体が現在時制の場合にも、三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"は付けません。イギリス英語では「should + 動詞の原形」を使います。
【例文】:村の人たちは警察が行方不明の子供を一刻も早く発見することを要求しました。
【 × 】:The villagers asked that the police found the missing child as soon as possible.
【 ○ 】:The villagers asked that the police find the missing child as soon as possible.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:The villagers asked that the police should find the missing child as soon as possible.[※イギリス英語]
→"found"とはしない、"find"か"should find"とする
be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:避難した人々は一時帰宅を許可するよう求めた。
【 × 】:The evacuees asked that they were allowed to return home briefly.
【 ○ 】:The evacuees asked that they be allowed to return home briefly.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:The evacuees asked that they should be allowed to return home briefly.[※イギリス英語]
→"were"とはしない、"be"か"should be"とする
否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:地元住民たちは航空機の夜間飛行を許可しないよう求めた。
【 × 】:Local residents asked that aircraft were not permitted to fly by night.
【 ○ 】:Local residents asked that aircraft not be permitted to fly by night.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:Local residents asked that aircraft should not be permitted to fly by night.[※イギリス英語]
→"were not"とはしない、"not be"か"should not be"とする
【決定】を表わす動詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(3)
↑
動詞の中で「〜することにしよう」という「決定」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使うことがあります。イギリス英語では"should"を使います。
《仮定法》を使うのはたいてい、仮主語の"it"を使う受動態のときです。《仮定法》を使わずに"wouldなどを使うこともあります"→【参照】:『仮主語"it"を使う主な他動詞(受動態で使うもの)【決定】:decide(〜だと決める, resolve(〜だと決定する)』
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜することにしよう」という仮定の話なので《仮定法現在》を使うことがあります→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
仮定法現在を使う場合、文全体の時制が現在時制でも過去時制でもthat節内の動詞は「原形」にします。三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"は付けません。イギリス英語では「should + 動詞の原形」を使います。
【例文】:試験を受けられなかった生徒は追試験を受けることが決定した。
【 ○ 】:It was decided that the students who had been unable to take the examinations would take supplementary examinations.
【 ○ 】:It was decided that the students who had been unable to take the examinations take supplementary examinations.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It was decided that the students who had been unable to take the examinations should take supplementary examinations.[※イギリス英語]
→"would take", "take", "should take"のいずれも可能
仮定法現在を使う場合、be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:公立の学校はすべて三週間の休校が決まった。
【 ○ 】:It was decided that all public schools would be closed for three weeks.
【 ○ 】:It was decided that all public schools be closed for three weeks.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It was decided that all public schools should be closed for three weeks.[※イギリス英語]
→"would be", "be", "should be"のいずれも可能
仮定法現在を使う場合、否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:余震が頻発するので避難命令は解除されないことが決定した。
【 ○ 】:It has been decided that the evacuation order will not be lifted due to frequent aftershocks.
【 ○ 】:It has been decided that the evacuation order not be lifted due to frequent aftershocks.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It has been decided that the evacuation order should not be lifted due to frequent aftershocks.[※イギリス英語]
→"will not be", "not be", "should not be"のいずれも可能
【意図】を表わす動詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(3)
↑
動詞の中で「〜するつもりだ」という「意図」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使うことがあります。イギリス英語では"should"を使います。
《仮定法》を使うのはたいてい、仮主語の"it"を使う受動態のときです。《仮定法》を使わずに"wouldなどを使うこともあります"→【参照】:『仮主語"it"を使う主な他動詞(受動態で使うもの)【意図】:intend(〜だと決める, resolve(〜だと意図する)』
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜するつもりだ」という仮定の話なので《仮定法現在》を使うことがあります→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
仮定法現在を使う場合、文全体の時制が現在時制でも過去時制でもthat節内の動詞は「原形」にします。三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"は付けません。イギリス英語では「should + 動詞の原形」を使います。
【例文】:偵察機の領空侵犯は意図的なものではなかった。
【 ○ 】:It was not intended that the reconnaissance plane would intrude into the airspace.
【 ○ 】:It was not intended that the reconnaissance plane intrude into the airspace.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It was not intended that the reconnaissance plane should intrude into the airspace.[※イギリス英語]
→"would intrude", "intrude", "should intrude"のいずれも可能
仮定法現在を使う場合、be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:もともとこの学校は避難所として使うつもりでした。
【 ○ 】:Originally it was intended that the school would be used as an evacuation center.
【 ○ 】:Originally it was intended that the school be used as an evacuation center.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:Originally it was intended that the school should be used as an evacuation center.[※イギリス英語]
→"would be", "be", "should be"のいずれも可能
仮定法現在を使う場合、否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:落石に遭う危険を避けるためバスはあえていつもの路線は通りませんでした。
【 ○ 】:It was intended that the would not take the usual route to avoid a rockfall hazard.
【 ○ 】:It was intended that the not take the usual route to avoid a rockfall hazard.
【 ○ 】:It was intended that the should not take the usual route to avoid a rockfall hazard.
→"would not take", "not take", "should not take"のいずれも可能
【重要性】を表わす形容詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(4)
↑
形容詞の中で「〜は重要である」という「重要性」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使うことがあります。イギリス英語では"should"を使います。
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜することが重要だ」という仮定の話なので《仮定法現在》を使います→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
《仮定法現在》である「動詞の原形」や"should"を使うのはやや堅苦しい表現です。
文全体の時制が現在時制でもthat節内の動詞に三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"を付けずに「原形」や「should + 動詞の原形」を使うことがあります。
【例文】:重要なことは、あらゆる国が食料危機を乗り越えるために努力することです。
【 ○ 】:It is important that every country makes effort to overcome food crisis.
【 ○ 】:It is important that every country make effort to overcome food crisis.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is important that every country should make effort to overcome food crisis.[※イギリス英語]
→"makes"の代わりに"make"や"should make"を使うことがある、やや堅苦しい言い方
be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:重要なことは、絶滅危惧種を人間の手で保護することだ。
【 ○ 】:It is important that endangered species are protected by human beings.
【 ○ 】:It is important that endangered species be protected by human beings.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is important that endangered species should be protected by human beings.[※イギリス英語]
→"are"の代わりに"be"や"should be"を使うことがある、やや堅苦しい言い方
否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:重要なことは、人間が自然に対して余計な手を加えないことだ。
【 ○ 】:It is important that human beings do not tamper with nature.
【 ○ 】:It is important that human beings not tamper with nature.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is important that human beings should not tamper with nature.[※イギリス英語]
→"did not tamper"の代わりに"not tamper"や"should not tamper"を使うことがある、やや堅苦しい言い方
英作文の場合は、that節の代わりに「for 〜 + to不定詞」を使うほうが無難です。
【例文】:重要なことは、あらゆる国が食料危機を乗り越えるために努力することです。
【英訳】:It is important for every country to make effort to overcome food crisis.
(= It is important that every country makes effort to overcome food crisis.)
【例文】:重要なことは、絶滅危惧種を人間の手で保護することだ。
【英訳】:It is important for endangered species to be protected by human beings.
(= It is important that endangered species are protected by human beings.)
【例文】:重要なことは、人間が自然に対して余計な手を加えないことだ。
【英訳】:It is important for human beings not to tamper with nature.
(= It is important that human beings do not tamper with nature.)
【不可欠】を表わす形容詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(5)
↑
形容詞の中で「〜は欠かせない」という「不可欠」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使うことがあります。イギリス英語では"should"を使います。
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜することがきわめて重要だ」という仮定の話なので《仮定法現在》を使います→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
《仮定法現在》である「動詞の原形」や"should"を使うのはやや堅苦しい表現です。
文全体の時制が現在時制でもthat節内の動詞に三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"を付けずに「原形」や「should + 動詞の原形」を使うことがあります。
【例文】:各国が温室効果ガスを削減するのはなによりも重要です。
【 ○ 】:It is essential that each country reduces the emission of green house gases.
【 ○ 】:It is essential that each country reduce the emission of green house gases.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is essential that each country should reduce the emission of green house gases.[※イギリス英語]
→"reduces"の代わりに"reduce"や"should reduce"を使うことがある、やや堅苦しい表現
be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:授業中にきちんと起きていることが最も大切です。
【 ○ 】:It is essential that you are fully awake during class.
【 ○ 】:It is essential that you be fully awake during class.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is essential that you should be fully awake during class.[※イギリス英語]
→"are"の代わりに"be"や"should be"を使うことがある、やや堅苦しい表現
否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:授業中に居眠りしないことが最も大切です。
【 ○ 】:It is essential that you don't take a nap during class.
【 ○ 】:It is essential that you not take a nap during class.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:It is essential that you should not take a nap during class.[※イギリス英語]
→"don't take"の代わりに"not take"や"should not take"を使うことがある、やや堅苦しい表現
英作文の場合は、that節の代わりに「for 〜 + to不定詞」を使うほうが無難です。
【例文】:各国が温室効果ガスを削減するのはなによりも重要です。
【英訳】:It is essential for each country to reduce the emission of green house gases.
(= It is essential that each country reduces the emission of green house gases.)
【例文】:授業中にきちんと起きていることが最も大切です。
【英訳】:It is essential for you to be fully awake during class.
(= It is essential that you are fully awake during class.)
【例文】:授業中に居眠りしないことが最も大切です。
【英訳】:It is essential for you not to take a nap during class.
(= It is essential that you don't take a nap during class.)
【望み】を表わす形容詞
"if"を使わない仮定法アレコレ(1)that節で仮定法(6)
↑
形容詞の中で「〜をしたい」という「望み」を表わすものは、that節の中で《仮定法》を使うことがあります。イギリス英語では"should"を使います。
"that"以下は事実を述べるのではなく、「これから〜することを望む」という仮定の話なので《仮定法現在》を使います→【参照】:『仮定法の三つの形:仮定法現在』
《仮定法現在》である「動詞の原形」や"should"を使うのはやや堅苦しい表現。
文全体の時制が現在時制でもthat節内の動詞に三・単・現(三人称・単数・現在)の"s"を付けずに「原形」や「should + 動詞の原形」を使うことがあります。
【例文】:遺族は会社が事故の責任を認めることを心から望んでいる。
【 ○ 】:Victim's family are anxious that the company accepts the responsibility of the accident.
【 ○ 】:Victim's family are anxious that the company accept the responsibility of the accident.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:Victim's family are anxious that the company should accept the responsibility of the accident.[※イギリス英語]
→"accepts"の代わりに"accept"や"should accept"を使うことがある、やや堅苦しい表現
be動詞の場合はそのまま"be"を使います。イギリス英語では"should + be"です。
【例文】:主婦は消費税の即時廃止を望んでいる。
【 ○ 】:Homemakers are anxious that consumption tax is abolished immediately.
【 ○ 】:Homemakers are anxious that consumption tax be abolished immediately.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:Homemakers are anxious that consumption tax should be abolished immediately.[※イギリス英語]
→"is"の代わりに"be"や"should be"を使うことがある、やや堅苦しい表現
否定文は助動詞を使わず、動詞の前に"not"のみを置きます。イギリス英語では「should + not + 動詞の原形」です。
【例文】:主婦は消費税率の引き上げを望んではいない。
【 ○ 】:Homemakers are anxious that the rate of consumption tax isn't raised.
【 ○ 】:Homemakers are anxious that the rate of consumption tax not be raised.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:Homemakers are anxious that the rate of consumption tax shouldn't be raised.[※イギリス英語]
→"isn't"の代わりに"not be"や"shouldn't be"を使うことがある、やや堅苦しい表現
英作文の場合は、that節の代わりに「for 〜 + to不定詞」を使うほうが無難です。
【例文】:遺族は会社が事故の責任を認めることを心から望んでいる。
【英訳】:Victim's family are anxious for the company to accept the responsibility of the accident.
(= Victim's family are anxious that the company accepts the responsibility of the accident.)
【例文】:主婦は消費税の即時廃止を望んでいる。
【英訳】:Homemakers are anxious for consumption tax to be abolished immediately.
(= Homemakers are anxious that consumption tax is abolished immediately.)
【例文】:主婦は消費税率の引き上げを望んではいない。
【英訳】:Homemakers are anxious for the rate of consumption tax not to be raised.
(= Homemakers are anxious that the rate of consumption tax isn't raised.)
後悔を表わす
"wish"は「〜だったらいいのに」という「現状や過去に対する後悔」を表わすことがあります。「そうではなくて、別の状態であればいいんだが」という仮定の話を表わすので、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。
もともと、"主語 + wish that 〜"の構文ですが、"that"はたいてい省略します。
主語 + wish + 仮定法過去(〜であればよかったのだが)
"if"を使わない仮定法アレコレ(2)主語 + wish 〜(1)
↑
現在の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去を使います。
【例文】:I wish I were born in the Edo period.
【和訳】:江戸時代に生まれたかった。
→「私」は現代人、現在の事実に反する仮定なので仮定法過去を使う
現代人が「江戸時代に生まれたかった」と望んでいます。
"if only"もほぼ同じ意味を表わします。"if only"を使うと、望む気持ちが多少強くなります→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"if only 〜"』
【例文】:If only I were born in the Edo period.
【和訳】:江戸時代に生まれさえすればよかった。
→「私」は現代人、"I wish"より強く望んでいる
事実に反する仮定ではなく、「実際にそうなって欲しい」という願望を表わすときは"hope"を使います。
【例文】:車の免許が取れるといいね。
【 × 】:I wish you got a driving licence.
【 ○ 】:I hope you get a driving licence.
【 ○ 】:I hope you will get a driving licence.
→免許が取れるといいねの意味
「残念な気持ち」ではなく希望を表わすので、"wish"は不可。"hope"を使います。"hope"以下の時制は現在時制でも未来時制でもOK。
主語 + wish + 仮定法過去完了(〜であったらよかったのだが)
"if"を使わない仮定法アレコレ(2)主語 + wish 〜(2)
↑
過去の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去完了を使います。
【例文】:Everybody wishes the government had examined all the imported foods.
【和訳】:輸入食品は国がすべて検査しておいたらよかったのにとみんな思っている。
→検査は一部の食品のみだった、過去の事実に反する仮定なので仮定法過去完了を使う
「国が全品検査をしてくれなかった」と誰もが残念に感じています。
主語A + wish + 主語B + would(主語Bが〜してくれるといいのだが)
"if"を使わない仮定法アレコレ(2)主語 + wish 〜(3)
↑
"主語A + wish + 主語B + would 〜"の形で第三者に対する残念な気持を表わします。ニュアンスは「〜だったらいいのに、〜してくれるといいのだが」です。
"would"を使うと、将来こうあって欲しいという願望のニュアンスを追加します。
【例文】:I wish the teacher would speak more loudly.
【和訳】:もうちょっと大きな声で先生は話してくれたらいいのに。
→先生の声が小さくて聞き取りにくい
【例文】の場合、声を大きくして欲しいという将来の願望も表わすので"would"を使います。
【例文】:The ranger wishes all the ivory poachers would be forcibly deported.
【和訳】:自然保護官は象牙を狙う密猟者が全員強制的に国外退去になることを望んでいる。
→現実として強制的な国外退去はなかなかむつかしい
【例文】の場合、密猟者を強制国外退去にして欲しいという将来の願望も表わすので"would"を使います。
他人に対する願望を表わす
"主語 + would rather"はthat節を従えて"主語 + would rather that 〜"の形で願望を表わします。ニュアンスは「(他人に対して)〜するほうがよいのに、(相手に対して)〜してはどうかな」です。
「〜するほうがよいのに」という「仮定の話」を表わすので、通例that節は仮定法過去や仮定法過去完了を使います。
"主語 + would rather that 〜"と"主語 + would sooner that 〜"はほぼ同じ意味を表わします。"that"は省略するほうが普通です。"would"も省略形の"'d"をよく使います→【参照】:『比較級:比較級を使う主なイディオム:would sooner + that節は「現在の願望」を表わす』
主語 + would rather (that) + 仮定法過去(〜したらいいのに)
"if"を使わない仮定法アレコレ(3)主語 + would rather 〜(1)
↑
話題が現在や未来の話のときは「主語 + would rather (that) + 仮定法過去」を使います。"that"は省略するほうが普通です。
【例文】:あなたも同窓会に出席したらどうでしょう。
【 × 】:I'd rather you will attend our class reunion.
【 × 】:I'd rather you attend our class reunion.
【 ○ 】:I'd rather you attended our class reunion.
→「〜したらどうかな」という仮定の話、仮定法過去を使う
【例文】:どなたかこの野良猫たちを引き取って頂けたらと思います。
【 × 】:We would rather someone adopt these stray cats.
【 ○ 】:We would rather someone adopted these stray cats.
→「〜してくれないかな」という仮定の話、仮定法過去を使う
「主語 + would sooner (that) + 仮定法過去」もほぼ同じ意味を表わします。"that"は省略するほうが普通です。
【例文】:あなたも同窓会に出席したらどうでしょう。
【英訳】:I'd sooner you attended our class reunion.
(= I'd rather you attended our class reunion.)
【例文】:どなたかこの野良猫たちを引き取って頂けたらと思います。
【英訳】:We would sooner someone adopted these stray cats.
(= We would rather someone adopted these stray cats.)
主語 + would rather (that) + 仮定法過去完了(〜したらよかったのに)
"if"を使わない仮定法アレコレ(3)主語 + would rather 〜(2)
↑
話題が過去の話のときは「主語 + would rather (that) + 仮定法過去完了」を使います。"that"は省略するほうが普通です。
【例文】:あなたも同窓会に出席したらよかったのに。
【 × 】:I'd rather you attended our class reunion.
【 ○ 】:I'd rather you had attended our class reunion.
→「〜したら」という過去の仮定の話、仮定法過去完了を使う
【例文】:そのことは秘密にしておいたほうがよかったのに。
【 × 】:I'd rather you kept it secret.
【 ○ 】:I'd rather you had kept it secret.
→「〜しておいたら」という過去の仮定の話、仮定法過去完了を使う
「主語 + would sooner (that) + 仮定法過去完了」と「主語 + wish (that) + 仮定法過去完了」もほぼ同じ意味を表わします。"that"は省略するほうが普通です。
【例文】:あなたも同窓会に出席したらよかったのに。
【英訳】:I'd sooner you had attended our class reunion.
【英訳】:I wish you had attended our class reunion.
(= I'd rather you had attended our class reunion.)
【例文】:そのことは秘密にしておいたほうがよかったのに。
【英訳】:I'd sooner you had kept it secret.
【英訳】:I wish you had kept it secret.
(= I'd rather you had kept it secret.)
頃合や好機を表わす
"it's time 〜"で「すでに〜すべき時間です、もう〜すべき時だ」という意味を表わします。"time"以下はたいてい過去時制を使って仮定法過去を表わします。"it is"は短縮形の"it's"を使うのが普通です。
it's time + 仮定法過去(もう〜する頃だ)
"if"を使わない仮定法アレコレ(4)it's time 〜(1)
↑
「まだ〜はしていないがすでに〜していてもいい頃だ」という仮定の話を表わすので、"time"以下は仮定法過去を使います。
【例文】:もうおいとまする時間だ。
【 × 】:It's time we leave.
【 ○ 】:It's time we left.
→「本来ならば〜すべき時間である」という仮定の話、仮定法過去を使う
it's high time + 仮定法過去(とっくに〜する時間だ)
"if"を使わない仮定法アレコレ(4)it's time 〜(2)
↑
意味を強調して「とっくに〜する時間だ、とうに〜してもいい頃だ」と言うときは、"high"を使って"it is high time + 仮定法過去"です。
【例文】:君の場合とっくに自分が何をすべきか自分で決めなければならない。
【 × 】:It's high time you have to decide what to do.
【 ○ 】:It's high time you had to decide what to do.
→「本来ならばとっくに〜すべきである」という仮定の話、仮定法過去を使う
it's about time + 仮定法過去(そろそろ〜する時期だ)
"if"を使わない仮定法アレコレ(4)it's time 〜(3)
↑
今すぐではなくて「そろそろそ〜する時期だ、〜するようになってもおかしくはない」と言うときは、"about"を使って"it's about time + 仮定法過去"です。
【例文】:そろそろお互いに腹を割って話し合ってもいい頃だ。
【 × 】:It's about time we can talk candidly with each other.
【 ○ 】:It's about time we could talk candidly with each other.
→「まだしていないがそろそろ〜すべきである」という仮定の話、仮定法過去を使う
何かが存在しないと仮定する
"but for 〜"が《仮定法》を表わすことがあります。たいてい、結果を表わす節に過去形の助動詞の"would, should, could, might"を使います。
逆の意味の「もし〜があったら」を表わすときは"with"を使います→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:with 〜』
but for + 仮定法過去(もし〜がなかったら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(5)but for 〜(1)
↑
話題が現在の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去を使います。
【例文】:もし月がなかったら、地球の環境は今とは全然違うだろう。
【 × 】:But for the moon, the global environment is completely different from today.
【 ○ 】:But for the moon, the global environment would be completely different from today.
→月は現に存在するので現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去を使う
"if it were not for 〜"や"without 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:もし月がなかったら、地球の環境は今とは全然違うだろう。
【英訳】:If it were not for the moon, the global environment would be completely different from today.
【英訳】:Without the moon, the global environment would be completely different from today.
(= But for the moon, the global environment would be completely different from today.)
but for + 仮定法過去完了(もし〜がなかったとしたら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(5)but for 〜(2)
↑
話題が過去の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去完了を使います。
【例文】:台風さえ来なければ、沖縄でダイビングを楽しむことができたのに。
【 × 】:But for the typhoon, we enjoyed diving in Okinawa.
【 ○ 】:But for the typhoon, we would have enjoyed diving in Okinawa.
→台風は来てしまったので過去の事実に反する仮定、仮定法過去完了を使う
"if it had not been for 〜"や"without 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:台風さえ来なければ、沖縄でダイビングを楽しむことができたのに。
【英訳】:If it had not been for the typhoon, we would have enjoyed diving in Okinawa.
【英訳】:Without the typhoon, we would have enjoyed diving in Okinawa.
(= But for the typhoon, we would have enjoyed diving in Okinawa.)
何かが存在すると仮定する
前置詞の"with"が《仮定法》を表わすことがあります。たいてい、結果を表わす節に過去形の助動詞の"would, should, could, might"を使います。
逆の意味の「もし〜がなかったら」を表わすときは"without 〜"や"but for 〜"を使います→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:without 〜』『"if"を使わない仮定法アレコレ:but for 〜』
with 〜 + 仮定法過去(もし〜があったら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(6)with 〜(1)
↑
話題が現在の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去を使います。
【例文】:もう少しお金があれば、この複合機も買えるんだが。
【 × 】:With a little more money, I can also buy the multi-function printer.
【 ○ 】:With a little more money, I could also buy the multi-function printer.
(= If I had a little more money, I could also buy the multi-function printer.)
→今はお金が足りない、現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去を使う
with 〜 + 仮定法過去完了(もし〜があったとしたら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(6)with 〜(2)
↑
話題が過去の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去完了を使います。
【例文】:友達が一人でもいれば、悩み事を相談できたんですが。
【 × 】:With a single friend, I could ask the friend some advice about my worries.
【 ○ 】:With a single friend, I could have asked the friend some advice about my worries.
(= If I had had a single friend, I could have asked the friend some advice about my worries.)
→当時は友達がいなかったので相談できなかった、過去の事実に反する仮定の話、仮定法過去完了を使う
何かが存在しないと仮定する
前置詞の"without"が《仮定法》を表わすことがあります。たいてい、結果を表わす節に過去形の助動詞の"would, should, could, might"を使います。
逆の意味の「もし〜があったら」を表わすときは"with"を使います→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:with 〜』
without 〜 + 仮定法過去(もし〜がなかったら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(7)without(1)
↑
話題が現在の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去を使います。
【例文】:インターネットがなかったら、不便な生活を強いられる。
【 × 】:Without the Internet, we will have to live an inconvenient life.
【 ○ 】:Without the Internet, we would have to live an inconvenient life.
(= If we did not have the Internet, we would have to live an inconvenient life.)
→現在インターネットは存在する、現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去を使う
"if it were not for 〜"や"but for 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:インターネットがなかったら、不便な生活を強いられる。
【英訳】:If it were not for the Internet, we would have to live an inconvenient life.
【英訳】:But for the Internet, we would have to live an inconvenient life.
(= If we did not have the Internet, we would have to live an inconvenient life.)
without 〜 + 仮定法過去完了(もし〜がなかったとしたら)
"if"を使わない仮定法アレコレ(7)without(2)
↑
話題が過去の事実に反する仮定の話のときは仮定法過去完了を使います。
【例文】:もしAEDがなかったら、男性は助からなかったかもしれない。
【 × 】:Without an AED, the man may have been dead.
【 ○ 】:Without an AED, the man might have been dead.
(= If there hadn't been an AED, the man might have been dead.)
→AEDのおかげで男性は助かった、過去の事実に反する仮定の話、仮定法過去完了を使う
"if it had not been for 〜"や"but for 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:もしAEDがなかったら、男性は助からなかったかもしれない。
【英訳】:If it had not been for an AED, the man might have been dead.
【英訳】:But for an AED, the man might have been dead.
(= If there hadn't been an AED, the man might have been dead.)
to不定詞 + 仮定法過去(もし〜したら)
たいてい、知覚動詞の"see"や"hear"と仮定法過去を表わす助動詞の"would, should, could, might"と一緒に使います→【参照】:『to不定詞の意味:副詞の代わり:条件、仮定(〜すると、〜すれば)』
ニュアンスは「〜のように見えるけれど実は違う、〜のように聞こえるけれど実は違う」です。
【例文】:To see the girl skating, you would never think she began skating only six months ago.
(= If you saw the girl skating, you would never think she began skating only six months ago.)
【和訳】:その女の子のスケートを見ていると、とてもスケートを始めてまだ半年とは思わないだろう。
→現実として女の子のスケート歴は半年、現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去を使う
【例文】:To hear fireworks going off in the distance, you might think the thunder was roaring.
(= If you heard fireworks going off in the distance, you might think the thunder was roaring.)
【和訳】:遠くで花火が鳴っているのを聞くと、雷鳴と勘違いするかもしれない。
→実際に鳴っているのは雷ではなく花火、現在の事実に反する仮定の話、仮定法過去を使う
助動詞のみの仮定法
過去形の助動詞の"would, should, could, might"のみで仮定法過去や仮定法過去完了を表わすことがあります。いずれも、"would, should, could, might"が単独で「もし〜だったら」というニュアンスを表現します。
would
"if"を使わない仮定法アレコレ(9)"would, should, could, might"のみ(1)
↑
【例文】:A person with common sense would never spit on the street.
(= If a person had common sense, he would never spit on the street.)
【和訳】:常識のある人は道路で唾など吐かない。
→唾を吐く人は常識がない、"would"が仮定法過去を表わす
【例文】のニュアンスは、道路で唾を吐くような常識のない人を見て「もし常識があれば、そんなことはしない」です。現在の事実に反する仮定の話なので仮定法過去を使います。
should
"if"を使わない仮定法アレコレ(9)"would, should, could, might"のみ(2)
↑
【例文】:People who have ever visited Okinawa should be astonished at the beautiful sea.
(= If people ever visited Okinawa, they should be astonished at the beautiful sea.)
【和訳】:一度でも沖縄に行ったことがある人なら、きれいな海にびっくりするだろうに。
→沖縄の海のすばらしさは行ってみないとわからない、"should"が仮定法過去を表わす
【例文】のニュアンスは、沖縄に行ったことがない人に対して「もし行ってみれば、海のすばらしさを実感できる」です。現在の事実に反する仮定の話なので仮定法過去を使います。
could
"if"を使わない仮定法アレコレ(9)"would, should, could, might"のみ(3)
↑
【例文】:In my younger days I could easily memorize the first 100 digits of pi.
(= If I were in my younger days, I could easily memorize the first 100 digits of pi.)
【和訳】:若い頃はは円周率を百桁くらい楽に覚えられたんだが。
→今は記憶力が低下して覚えられない、、"ould"が仮定法過去を表わす
【例文】のニュアンスは、今は記憶できないけれど「もし若い頃の記憶力だったら、百桁記憶できる」です。現在の事実に反する仮定の話なので仮定法過去を使います。
might
"if"を使わない仮定法アレコレ(9)"would, should, could, might"のみ(4)
↑
【例文】:You might have been defrauded. We should be cautious of a suspicious phone call.
(= If you trusted the phone call, you might have been defrauded.)
【和訳】:だまされていたかもしれませんね。不審な電話には注意しないと。
→電話を信用せず相手にしなかったので詐欺には引っ掛からなかった、"might"が仮定法過去完了を表わす
【例文】のニュアンスは、不審な電話に引っかからなかった人に対して「もし電話を信用していたら、だまされていたかも」です。過去の事実に反する仮定の話なので仮定法過去完了を使います。
「もし〜ならば」の"if 〜"
"if 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
「条件」を表わす場合、"if"がある節はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。ニュアンスは「もし条件が整えば〜となるだろう」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(現実は違うけれど)仮に〜だとしたら、(現実は違ったけれど)仮に〜だったとしたら」です。
【条件】:「もし〜ならば、もし〜だったならば」
仮定法と条件どちらも可能(1)if 〜(1)
↑
"if 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"if"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、"if 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:If you avoid oily and fatty foods, you can recover your health.
【和訳】:脂っこい食べ物を控えれば、健康を取りもどせます。
→健康を取りもどすのは充分に可能、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜すれば…である」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【例文】:If you have watched this movie, don't tell me the end of the story.
【和訳】:この映画を見たのなら結末は言わないでね。
→映画鑑賞ずみは充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜したのなら…である」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
原則として、"if"がある節では未来時制が使えませんが、"if 〜"の結果を表わす節には未来時制が可能です→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:雨と雷が止めば、野外コンサートは再開されるだろう。
【 × 】:If the thunder and rain will stop, the outdoor concert will resume.
【 ○ 】:If the thunder and rain stop, the outdoor concert will resume.
→コンサート再開は雨と雷次第、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜すれば…だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"if 〜"で「条件」を表わす場合、接続詞の"when"(〜すると)に近い意味を表わすこがあります→【参照】:『when 〜(〜のときに、〜すると)』
【例文】:If a giant sunspot emerges, communications are disrupted.
(= When a giant sunspot emerges, communications are disrupted.)
【和訳】:太陽に巨大な黒点が現われると通信に障害が発生する。
→巨大黒点の出現は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜すれば…である」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【仮定法過去】:「(現実はそうではないけれど)もし〜だとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(1)if 〜(2)
↑
"if 〜"で現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「現実はそうではないけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"if"がある節も"if 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。"if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:If autonomous cars were widespread, the number of traffic accidents might be greatly reduced.
【和訳】:自動運転車が普及していれば、交通事故の数は大幅に減らせたかもしれない。
→自動運転車は現時点ではまだ普及していない
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
仮定法過去は未来を表わすこともあります。話し手には「そうなる可能性がかなり低いけれど……」という意識があります。
【例文】:If all the ice of Antarctica melted, sea levels would increase by at least 40 meters.
【和訳】:もし南極の氷が全部溶けたら、海面は最低でも40メートルは上昇するだろう。
→話し手は南極の氷が全部溶けるとはつゆほどにも思っていない
【例文】の内容はまずありえないと話し手が信じている未来の話です。なので、仮定法過去を使います。
【仮定法過去完了】:「(現実はそうではなかったけれど)もし〜だったとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(1)if 〜(3)
↑
"if 〜"で過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"if"がある節も"if 〜"の結果を表わす節も過去完了時制を使います。"if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:If the school houses had not been seismically retrofitted, the earthquake would have collapsed all of them.
【和訳】:もし耐震補強工事がなされていなかったら、すべての校舎は地震で倒壊していただろう。
→耐震補強工事ずみだったので倒壊は免れた
【例文】の内容は過去の現実に反する話です。なので、仮定法過去完了を使います。
「たとえ〜だとしても」の"even if 〜"
"even if 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
「条件」を表わす場合、"even if"がある節はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。ニュアンスは「(はっきりとはわからないけれど)たとえ〜だとてしても」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"even if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(ほとんどありえないとは思うけれど)たとえ〜だとしても、(ほとんどありえないとは思うけれど)たとえ〜だったとしても」です。
"even"なしの"if"のみで"even if"と同じ意味を表わすことがあります。
【条件】:(たとえ〜だとしても、たとえ〜だったとしても」
仮定法と条件どちらも可能(2)even if 〜(1)
↑
"even if 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"even if"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、"even if 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Oil states will not increase oil production, even if the other countries demand it.
【和訳】:たとえ各国が要求しても、産油国は原油を増産するつもりはないだろう。
→産油国が増産の要求に応じる様子はまったくないわけではない、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「たとえ〜しても…だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【例文】:Even if the rain has stopped, you must not go near the river.
【和訳】:たとえ雨が止んでいても、川に近づいてはいけない。
→雨がすでに上がっていることは充分ありうる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「たとえ〜していたとしても…である」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"even if"がある節では未来時制が使えませんが、"even if 〜"の結果を表わす節には未来時制が可能です→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:Even if the buses have been stopped by heavy snow, I'll go to school on foot.
【和訳】:たとえ大雪でバスが止まっていたとしても、歩いて学校に行きますよ。
→大雪が原因でバスが運行停止は充分ありうる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「たとえ〜していたとしても…であるだろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【仮定法過去】:「たとえ〜だとしても」
仮定法と条件どちらも可能(2)even if 〜(2)
↑
"even if 〜"で現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「現実はそうではないけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"even if"がある節も"even if 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。"even if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Oil states would not increase oil production, even if the other countries demanded it.
【和訳】:たとえ各国が要求しても、産油国は原油を増産するつもりはない。
→産油国が増産の要求に応じる様子はまったくない
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
【仮定法過去完了】:「たとえ〜だったとしても」
仮定法と条件どちらも可能(2)even if 〜(3)
↑
"even if 〜"で過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"even if"がある節も"even if 〜"の結果を表わす節も過去完了時制を使います。"even if 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Oil states would not have increased oil production, even if the other countries had demanded it.
【和訳】:たとえ各国が要求したとしても、産油国は原油を増産するつもりはなかった。
→産油国が増産の要求に応じる様子はまったくなかった
【例文】の内容は過去の現実に反する話です。なので、仮定法過去完了を使います。
「あたかも〜のように」の"as if 〜, as though 〜"
"as if 〜, as though 〜"は現実の様子や事実に反する仮定を表わします。
現実の様子を表わす場合、"as if, as though"がある節は現在時制を使います。ニュアンスは「外見や様子が〜のように見える、まるで〜のようだ」です。実際にどんな風に見えたか感じたかを表わします。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"as if, as though"がある節の時制は過去時制か過去完了時制です。
《仮定去》を使うとき、話し手には「実際はそうではないけれど……」という意識があります。ニュアンスは「(実際は違うけれど)まるで〜のようだ、(実際は違ったけれど)まるで〜のようだった」です。
"as if, as though"の次には主語と動詞を備えた節だけでなく、ing形やto不定詞、形容詞、前置詞句などの句を置くこともできます。
"as if 〜"と"as though 〜"はほぼ同じ意味です。
【事実】:「まるで〜のように」
仮定法と条件どちらも可能(3)as if 〜, as though 〜(1)
↑
"as if 〜, as though 〜"で現実を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、実際にそう見えるという話です。"as if, as though"がある節の時制は現在時制を使います。
【例文】:You look as if you eat and drink nothing for some days.
【例文】:You look as though you eat and drink nothing for some days.
【和訳】:数日間、飲まず食わずだったように見えますよ。
→実際に飲まず食わずだったように見える
【例文】の内容は、「もしかするとそうかもしれないが……、たぶんそうだろうが……」です。現実にそう見えるという話です。
【仮定法過去】:「(そんなことがあるわけないが)あたかも〜のように」
仮定法と条件どちらも可能(3)as if 〜, as though 〜(2)
↑
"as if 〜, as though 〜"で現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「そんなことがあるわけないが……」という意識があります。"as if, as though"がある節の時制は過去時制を使います。
【例文】:You look as if you ate and drank nothing for some days.
【例文】:You look as though you ate and drank nothing for some days.
【和訳】:まるで数日間、飲まず食わずだったように見えますよ。
→実際はそうではないが、一つの例えとして飲まず食わずだったように見える
【例文】の内容は現在の話です。なので、述語の"look"は現在時制です。ただし、現在の事実に反する仮定の話なので"as if, as though"がある節の時制は過去時制にして仮定法過去を使います。
【仮定法過去完了】:(そんなことがあったはずがないが)あたかも〜だったように」
仮定法と条件どちらも可能(3)as if 〜, as though 〜(3)
↑
"as if 〜, as though 〜"で過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「そんなことがあったはずはないが……」という意識があります。"as if, as though"がある節の時制は過去完了時制を使います。
【例文】:You looked as if you had eaten and drunk nothing for some days.
【例文】:You looked as though you had eaten and drunk nothing for some days.
【和訳】:まるで数日間、飲まず食わずだったように見えましたよ。
→実際はそうではなかったが、一つの例えとしてその時は飲まず食わずだったように見えた
【例文】の内容は過去の話です。なので、述語の"looked"は過去時制です。ただし、過去の事実に反する仮定の話なので"as if, as though"がある節の時制は過去完了時制にして仮定法過去完了を使います。
【仮定法】:as if/as thouth + 句:「(実際はそんなことはないが)あたかも〜のように)
仮定法と条件どちらも可能(3)as if 〜, as though 〜(4)
↑
"as if, as though"の次にing形やto不定詞、形容詞、前置詞句などの句を置くこともできます。意味的にはたいてい仮定法過去や仮定法過去完了を表わします。
【例文】:My dog sometimes snarls while sleeping as if fighting with something.
【例文】:My dog sometimes snarls while sleeping as though fighting with something.
【和訳】:うちの犬はときどき寝ている最中にまるで何かとケンカしているかのようにウーウーうなります。
→"as if fighting with something"は仮定法過去を表わす
【例文】:The dog was waggling its tail as if to say thank you.
【例文】:The dog was waggling its tail as though to say thank you.
【和訳】:その犬はまるでありがとうと言わんばかりに尻尾を振っていた。
→"as if to try to say thank you"は仮定法過去完了を表わす
【例文】:Last night you talked and answered my questions as if awake.
【例文】:Last night you talked and answered my questions as though awake.
【和訳】:昨日の夜、あなたはまるで起きているかのように話をして私の質問に答えていましたよ。
→"as if awake"は仮定法過去完了を表わす
【例文】:A good restaurant has a relaxing atmosphere that makes you feel as if at home.
【例文】:A good restaurant has a relaxing atmosphere that makes you feel as though at home.
【和訳】:いいレストランにはまるで自宅にいるかのようにリラックスできる雰囲気がある。
→"as if at home"は仮定法過去を表わす
「〜でありさえすれば」の"if only 〜"
"if only 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
「条件」を表わす場合、"if only"がある節はたいてい現在時制を使います。ニュアンスは「(将来的に)〜になるといいのに」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"if only 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(実際はそうはならなかったけれど)〜だったらいいのに」です。
よく似た表現の"only if 〜"は絶対条件(〜する場合のみ)を表わします→【参照】:『実は仮定法ではない:only if 〜』
【条件】:(将来的に)もし〜でありさえすれば
仮定法と条件どちらも可能(4)if only 〜(1)
↑
"if only 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。ニュアンスは「実際に〜にしてくれるといいのに、現実が〜にならないかな」です。
"if only"がある節の時制はたいてい現在時制、"if only〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
"if"から"only"を切り離して動詞の前、あるいはbe動詞や助動詞の後ろに置くことがあります。
【例文】:If only my fever goes down, I can go to school.
【例文】:If my fever only goes down, I can go to school.
【和訳】:熱が下がりさえすれば、学校に行けるのに。
→熱は下がる可能性は充分にある、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しさえすれば…だ」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【例文】:If only you review every lesson constantly, you will get a good score on a test.
【例文】:If you only review every lesson constantly, you will get a good score on a test.
【和訳】:どの教科も復習をきちんとすれば、テストでいい点数が取れますよ。
→テストでいい点数が取れる可能性は充分にある、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しさえすれば…だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【仮定法過去】:(現実はそうではないけれど)もし〜でありさえすれば
仮定法と条件どちらも可能(4)if only 〜(2)
↑
"if only 〜"で現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「現実はそうではないけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"if only"がある節も"if only 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。"if only 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
"if"から"only"を切り離して動詞の前、あるいはbe動詞や助動詞の後ろに置くことがあります。
【例文】:If only we had enough blood supply, we could start operation immediately.
【例文】:If we only had enough blood supply, we could start operation immediately.
【和訳】:輸血用の血液が充分にあれば、すぐにでも手術を始めることができるんだが。
→今のところ血液が足りないので手術を始められない
"if only 〜"を単独で使うこともできます。ニュアンスは「(現実はそうではないが)〜だったらいいのに」です。"I wish 〜"とほぼ同じ意味。"if only 〜"を使うとと多少意味を強調し、「〜だったらいいのに」という気持ちがいっそう強く表われます→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:"wish 〜"』
【例文】:If only I could speak English.
【和訳】:英語を話せたらいいのに。
【例文】:I wish I could speak English.
【和訳】:英語を話せさえすればいいのに。
→今は英会話ができない、仮定法過去
【仮定法過去完了】:(現実はそうではなかったけれど)もし〜でありさえすれば
仮定法と条件どちらも可能(4)if only 〜(3)
↑
"if only 〜"で過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"if only"がある節も"if only 〜"の結果を表わす節も過去完了時制を使います。"if only 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
"if"から"only"を切り離して動詞の前、あるいはbe動詞や助動詞の後ろに置くことがあります。
【例文】:If only you had driven more carefully, you would have avoided the accident.
【例文】:If you had only driven more carefully, you would have avoided the accident.
【和訳】:もっと慎重に運転していたら、事故は避けることができたのに。
→事故は実際に起きてしまった
"if only 〜"を単独で使うこともできます。ニュアンスは「(実現しなくて残念だが)〜だったらよかったのに」です。"I wish 〜"とほぼ同じ意味。"if only 〜"を使うとと多少意味を強調し、「〜だったらよかったのに」という気持ちがいっそう強く表われます→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:"wish 〜"』
【例文】:If only we had met yesterday.
【和訳】:昨日会えさえすればよかったんだが。
【例文】:I wish we had met yesterday.
【和訳】:昨日会えればよかったんだが。
→昨日は会えなかった、仮定法過去完了
「もし〜ならば」の"suppose 〜, supposing 〜"
"suppose 〜, supposing 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
「条件」を表わす場合、"suppose, supposing"がある節はたいてい現在時制を使います。ニュアンスは「仮に〜という場合を想定すると」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(現実にはありえないが)仮に〜だった場合を想定すると」です。
"suppose 〜"と"supposing 〜"はほぼ同じ意味。二つともたいてい文頭で使います。本来は"that"を付けて"suppose that 〜, supposing that 〜"ですが、今では"that"は省略するほうが普通です。
"suppose 〜, supposing 〜"はよく"what"などの疑問詞を使う疑問文を後ろに置いて「もし〜だとしたらどうしますか」という疑問のニュアンスを表わします。
"suppose"はもともと動詞、意味は「〜だと思う、〜であると考える」です。
【条件】:「もし〜なら」
仮定法と条件どちらも可能(5)suppose 〜, supposing 〜(1)
↑
"suppose 〜, supposing 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"suppose, supposing"がある節の時制はたいてい現在時制、"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい未来時制を使います。
【例文】:Suppose the last bus already goes, what will we do to return home?
【例文】:Supposing the last bus already goes, what will we do to return home?
【和訳】:もし最終バスがすでに出発していたら、どうやって家に帰ろうか。
→最終バスが出発した可能性はかなり高いと思っている、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜だったらどうしよう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"suppose 〜, supposing 〜"を単独で使うこともできます。文末に疑問符(?)を置いて「〜だったらどうしよう」というニュアンスを表わすこともあります。
【例文】:Suppose the flight is canceled?
【例文】:Supposing the flight is canceled?
【和訳】:飛行機が飛ばなかったらどうしよう。
→飛行機が飛ばない可能性はかなり高いと思っている、事実に反する仮定ではない
"what if 〜?"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:What if the flight is canceled?
(= Suppose the flight is canceled?)
(= Supposing the flight is canceled?)
【和訳】:飛行機が飛ばなかったらどうしよう。
→飛行機が飛ばない可能性はかなり高いと思っている、事実に反する仮定ではない
【仮定法過去】:「(現実はそうではないが)もし〜だとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(5)suppose 〜, supposing 〜(2)
↑
"suppose 〜, supposing 〜"が現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「こんなことは実際にはとうてい起こらないが……」という意識があります。
時制はたいてい"suppose, supposing"がある節も"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Suppose all the electric power transmission was stopped, what would we do?
【例文】:Supposing all the electric power transmission was stopped, what would we do?
【和訳】:仮にすべての送電がストップしたら、どうする。
→電気が止まるなんてありえないと思っている
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
"suppose 〜, supposing 〜"を単独で使うこともできます。文末に疑問符(?)を置いて「〜だったらどうしよう」というニュアンスを表わすこともあります。
【例文】:Suppose your dog began to speak human language?
【例文】:Supposing your dog began to speak human language?
【和訳】:もし飼っている犬が人間の言葉を話し出したらどうする。
→犬が人の言葉を話すワケがない
"what if 〜?"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:What if your dog began to speak human language?
(= Suppose your dog began to speak human language?)
(= Supposing your dog began to speak human language?)
【和訳】:もし飼っている犬が人間の言葉を話し出したらどうする。
【仮定法過去完了】:「(現実はそうではなかったが)もし〜だったとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(5)suppose 〜, supposing 〜(3)
↑
"suppose 〜, supposing 〜"が過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"suppose, supposing"がある節も"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節も過去完了時制を使います。"suppose 〜, supposing 〜"の結果を表わす節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Suppose you had lost the election, what would you have done?
【例文】:Supposing you had lost the election, what would you have done?
【和訳】:仮に選挙に負けていたとしたら、どうするつもりだったの。
→選挙には勝った
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。
"suppose 〜, supposing 〜"を単独で使うこともできます。文末に疑問符(?)を置いて「〜だったとしたらどうしよう」というニュアンスを表わすこともあります。
【例文】:Suppose you had broken your finger?
【例文】:Supposing you had broken your finger?
【和訳】:指の骨が折れていたらどうするつもりだったの。
→骨は折れてはいなかった
"what if 〜?"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:What if you had broken your finger?
(= Suppose you had broken your finger?)
(= Supposing you had broken your finger?)
【和訳】:指の骨が折れていたらどうするつもりだったの。
「〜だと想像してごらん」の"imagine that 〜"
"imagine that 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
"imagine that 〜"はたいてい単独のセンテンスで文頭に置いて使います。「(想像してみると)〜になるだろう」という結果を表現するときは、ピリオドで区切って別のセンテンスにするのが普通です。"that"は省略可能。
「条件」を表わす場合、"imagine that"があるセンテンスはたいてい現在時制か現在完了時制を使います。ニュアンスは「(一つの可能性として)〜である場合を想像してみると」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはありえないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(現実にはありえないが)仮に〜である場合を想像してみると」です。
"imagine that"はよく"what"などの疑問詞を使う疑問文を後ろに置いて「もし〜だとしたらどうしますか」という疑問のニュアンスを表わします。
"imagine"はもともと動詞、意味は「〜を想像する、〜の様子を思い描く」です。
【条件】:「〜だと想像してごらん」
仮定法と条件どちらも可能(6)imagine that 〜(1)
↑
"imagine that 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"imagine that"があるセンテンスの時制はたいてい現在時制か現在完了時制、"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスの時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Imagine that your plane has been hijacked by terrorists. Can you stand the fear of death?
【和訳】:テロリストによって飛行機が乗っ取られたと想像してみて下さい。あなたは死の恐怖に耐えられますか。
→乗っ取りはありうると思っている、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜した場合を想像すれば」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【例文】:Imagine that a nuclear power plant causes explosive accident. The damage will be serious.
【和訳】:原発が爆発事故を起したときを想像してごらんなさい。被害は深刻なものになるでしょう。
→事故はありうると思っている、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜した場合を想像すれば」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【仮定法過去】:(そんなことはありえないが)仮に〜であると想像してごらん」
仮定法と条件どちらも可能(6)imagine that 〜(2)
↑
"imagine that 〜"が現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「こんなことは実際にはとうてい起こらないが……」という意識があります。
時制はたいてい"imagine that"があるセンテンスも"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスも過去時制を使います。"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Imagine that the end of the world would come tomorrow. What would you want to do first?
【和訳】:世界の終わりが明日来ると想像して下さい。まず、何をやりたいですか。
→世界の終わりはまだ来ない
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
"imagine that"があるセンテンスに"could"を使うこともできます。
【例文】:Imagine that you could travel back in time. Who would you meet in the past?
【和訳】:もし自分が時をさかのぼることができると想像してみて下さい。過去にもどって誰と会いますか。
→現時点では時間旅行は不可能
【仮定法過去完了】:「(そんなことはありえなかったが)仮に〜だったらと想像してごらん」
仮定法と条件どちらも可能(6)imagine that 〜(3)
↑
"imagine that 〜"が過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"imagine that"があるセンテンスは過去完了時制、"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスは過去時制か過去完了時制を使います。"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Imagine that Japan had not ended national isolation. Samurais might be still alive.
【和訳】:日本が鎖国を解かなかったと想像してみて下さい。侍が生き残っているかもしれません。
→鎖国は終った、侍はもういない
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。一方、"imagine that 〜"の結果を表わすセンテンスは現在の事実に反する仮定なので、仮定法過去を使います。
【和訳】:Imagine that all kinds of dinosaurs had survived. It is mammals that might have been extinct.
【和訳】:恐竜の全種が生き延びたと想像してみて下さい。絶滅したのは哺乳類のほうかもしれない。
→恐竜は太古の時代に絶滅した
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。
「もし〜ならば」の"say 〜, let's say 〜"
"say 〜, let's say 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
"say 〜, let's say 〜"が「条件」や事実に反する仮定を表わすときはたいてい文頭に置いて使います。文頭に動詞の原形の"say"があるので見かけは命令文ですが、内容は"imagine that 〜"に近い意味を表わします。"that"を付けて"say that 〜, let's say that 〜"も可能です。
「条件」を表わす場合、"say, let's say"があるセンテンスはたいてい現在時制を使います。ニュアンスは「(可能性としては充分ありえるが)もし〜である場合を考えてみると」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはありえないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「(現実にはありえないが)仮に〜である場合を考えてみると」です。
"say 〜, let's say 〜"はよく"what"などの疑問詞を使う疑問文を後ろに置いて「もし〜だとしたらどうしますか」という疑問のニュアンスを表わします。
"say 〜, let's say 〜"は接続詞として【例示、例解】(たとえば〜)の意味を表わすことがあります→【参照】:『【例示、例解】を表わす接続詞:say, let's say(たとえば)』
【条件】:「もし〜ならば」
仮定法と条件どちらも可能(7)say 〜, let's say 〜(1)
↑
"say 〜, let's say 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"say 〜, let's say"があるセンテンスの時制はたいてい現在時制、"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスの時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Say an earthquake early warning is broadcast, what will you do first?
【例文】:Let's say an earthquake early warning is broadcast, what will you do first?
【和訳】:もし緊急地震速報が流れてきたら、まずあなたは何をしますか。
→緊急地震速報の放送はありうると思っている、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜である場合は」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
【例文】:Say you see someone shoplifting.
【例文】:Let's say you see someone shoplifting.
【和訳】:あなたが万引きの現場を目撃したとしましょう。
→万引きの目撃はありうると思っている、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜である場合は」です。条件さえ整えば充分にありうる話。【例文】のように"say 〜, let's say 〜"節のみで使うこともあります。
【仮定法過去】:「(そんなことはありえないが)もし〜だとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(7)say 〜, let's say 〜(2)
↑
"say 〜, let's say 〜"が現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「こんなことは実際にはとうてい起こらないが……」という意識があります。
時制はたいてい"say, let's say"があるセンテンスも"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスも過去時制を使います。"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Say you left your smartphone at home, what would you do?
【例文】:Let's say you left your smartphone at home, what would you do?
【和訳】:もしスマートフォンを家に忘れて来たらあなたはどうしますか。
→今スマートフォンは手元にある
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
"say"がある節に"were + to不定詞"を使うこともできます。「実現の可能性がきわめて低い未来」を表わします→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:if + 主語 + were to不定詞(もしも万が一〜したら)』
【例文】:Say you were to live on a deserted island, what would you bring with you?
【例文】:Let's say you were to live on a deserted island, what would you bring with you?
【和訳】:もし無人島に住むことになったら、何を持って行きますか。
→無人島に住む予定はない
【仮定法過去完了】:「(そんなことはありえなかったが)もし〜だったとしたら」
仮定法と条件どちらも可能(7)say 〜, let's say 〜(3)
↑
"say 〜, let's say 〜"が過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
時制はたいてい"say, let's say"があるセンテンスは過去完了時制、"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスは過去時制か過去完了時制を使います。"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスには過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:Say you hadn't given the man a cardiac massage, he wouldn't be alive.
【例文】:Let's say you hadn't given the man a cardiac massage, he wouldn't be alive.
【和訳】:もしあなたが心臓マッサージを行わなかったら、男性は生きてはいないだろう。
→心臓マッサージのおかげで男性は助かって生きている
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。一方、"say 〜, let's say 〜"の結果を表わすセンテンスは現在の事実に反する仮定なので、仮定法過去を使います。
【例文】:Say the rain had not stopped, a secondary disaster such as a mudslide might have occurred.
【例文】:Let's say the rain had not stopped, a secondary disaster such as a mudslide might have occurred.
【英訳】:もし雨が止まなかったら土砂崩れなどの二次災害が発生していたかもしれない。
→雨は止んで二次災害も発生しなかった
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。
「そうでなかったら〜である」の"otherwise 〜"
"otherwise 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
"otherwise 〜"は、条件を導く"if"とは異なり、結果となる文を導きます。ニュアンスは、直前の話題を受けて「その条件が満たされなかったら、〜になってしまう」「その条件が満たされなかったら、〜になっていただろうに」です。
「条件」を表わす場合、"otherwise"がある節はたいてい未来時制を使います。ニュアンスは「もしそうでないなら〜になるだろう」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"otherwise"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「もしそうでなかったら〜になるだろう」です。
"otherwise"を接続詞として使う場合は、前にコンマ(,)かセミコロン(;)を置いて二つの文をつなぎます。副詞として使う場合は、前のセンテンスをピリオド(.)で終わらせて"otherwise"を文頭に置きます。
【条件】:「さもないと〜だろう」
仮定法と条件どちらも可能(8)otherwise 〜(1)
↑
"otherwise 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
"otherwise"がある節の時制はたいてい未来時制を使います。
【例文】:無理なダイエットは控えて下さい。そうしないと貧血や骨粗鬆症にかかりやすくなります。
【英訳】:You'd better avoid unhealthy diet, otherwise it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.
【英訳】:You'd better avoid unhealthy diet; otherwise it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.
【英訳】:You'd better avoid unhealthy diet. Otherwise it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.
(= If you don't avoid unhealthy diet, it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.)
→無理なダイエットは病気につながる、"otherwise 〜"は結果を表わす
【例文】の内容は「(直前の話題を受けて)そうしないと〜だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"otherwise 〜"が「条件」を表わす場合、よく「命令文 + otherwise + 未来時制」の形を使います。ニュアンスは「〜しなさい。さもないと〜だよ」です。脅迫に近いおどしのニュアンスを持つこともあります。
# 命令文 + otherwise + 未来時制……「〜しなさい。さもないと〜だよ」
【例文】:話をするときは必ず大きな声を出して下さい。さもないと生徒たちはたいして注目してくれませんよ。
【英訳】:Be sure to speak loudly, otherwise students won't pay much attention to you.
【英訳】:Be sure to speak loudly; otherwise students won't pay much attention to you.
【英訳】:Be sure to speak loudly. Otherwise students won't pay much attention to you.
(= If you don't speak loudly, students won't pay much attention to you.)
→声が小さいとおそらく生徒たちに無視される、"otherwise 〜"は結果を表わす
【例文】の内容は「(直前の話題を受けて)そうしないと〜だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"or"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"or 〜"』
【例文】:You'd better avoid unhealthy diet, or it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.
(= If you don't avoid unhealthy diet, it'll increase the risk of anemia or osteoporosis.)
【和訳】:無理なダイエットは控えて下さい。そうしないと貧血や骨粗鬆症にかかりやすくなります。
→無理なダイエットは病気につながる、"or 〜"は結果を表わす
【例文】:Be sure to speak loudly, or students won't pay much attention to you.
(= If you don't speak loudly, students won't pay much attention to you.)
【和訳】:話をするときは必ず大きな声を出して下さい。さもないと生徒たちはたいして注目してくれませんよ。
→声が小さいとおそらく生徒たちに無視される、"or 〜"は結果を表わす
【仮定法過去】:「さもないと〜だろう」
仮定法と条件どちらも可能(8)otherwise 〜(3)
↑
"otherwise 〜"が現在の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「こんなことは実際にはとうてい起こらないが……」という意識があります。
"otherwise"がある節の時制は過去時制を使います。"otherwise"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:誰かが定期的に花壇に水をまいてくれる。さもないと植物が枯れてしまっているだろう。
【英訳】:Someone waters the flower bed regularly, otherwise the plants would wither.
【英訳】:Someone waters the flower bed regularly; otherwise the plants would wither.
【英訳】:Someone waters the flower bed regularly. Otherwise the plants would wither.
(= If nobody watered the flower bed regularly, the plants would wither.)
→誰かの水まきのおかげで花は枯れていない、"otherwise 〜"は結果を表わす
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
"or"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"or 〜"』
【例文】:Someone waters the flower bed regularly, or the plants would wither.
(= If nobody watered the flower bed regularly, the plants would wither.)
【和訳】:誰かが定期的に花壇に水をまいてくれる。さもないと植物が枯れてしまっているだろう。
→誰かの水まきのおかげで花は枯れていない、"or 〜"は結果を表わす
【仮定法過去完了】:「さもないと〜だっただろう」
仮定法と条件どちらも可能(8)otherwise 〜(4)
↑
"otherwise 〜"が過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
"otherwise"がある節の時制は過去完了時制を使います。"otherwise"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:指の骨は折れていたにちがいない。さもなければ、痛みはすぐに引いただろう。
【英訳】:Your finger must have broken, otherwise the pain would have soon gone.
【英訳】:Your finger must have broken; otherwise the pain would have soon gone.
【英訳】:Your finger must have broken. Otherwise the pain would have soon gone.
(= If your finger had not broken, the pain would have soon gone.)
→骨折していたので指の痛みは引かなかった、"otherwise 〜"は結果を表わす
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。
"or"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"or 〜"』
【例文】:Your finger must have broken, or the pain would have soon gone.
(= If your finger had not broken, the pain would have soon gone.)
【和訳】:指の骨は折れていたにちがいない。さもなければ、痛みはすぐに引いただろう。
→骨折していたので指の痛みは引かなかった、"or〜"は結果を表わす
「そうでなかったら〜である」の"or 〜"
"or 〜"は「条件」や事実に反する仮定を表わします。
"or 〜"は、条件を導く"if"とは異なり、結果となる文を導きます。ニュアンスは、直前の話題を受けて「その条件が満たされなかったら〜になってしまうだろう」「その条件が満たされなかったら〜になっていただろうに」です。
「条件」を表わす場合、"or"がある節はたいてい未来時制を使います。ニュアンスは「もしそうでないなら〜になるだろう」です。
事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去や仮定法過去完了を使います。"or 〜"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
《仮定法》を使うとき、話し手には「まさかそんなことはないだろうが……」という意識があります。ニュアンスは「もしそうでなかったら〜になるだろう」です。
"else"を付け加えて"or else"も可能。意味はほぼ同じ。
"or"は似た意味の"otherwise"とは異なり、前にコンマ(,)を置いて文を区切ります。ただし、コンマ(,)はよく省略します。前にピリオドを使うのは通例不可。
【条件】:「さもないと〜だろう」
仮定法と条件どちらも可能(9)or 〜(1)
↑
"or 〜"で「条件」を表わす場合、事実に反する仮定の話ではなく、条件さえクリアすれば充分にありえる話です。
【例文】:You must take this medicine, or you will get carsick.
【例文】:You must take this medicine, or else you will get carsick.
(= If you don't take this medicine, you will get car sick.)
【和訳】:この薬を飲んでおきなさい。さもないと車酔いするよ。
→酔い止めの薬なしだとおそらく車酔いする、"or 〜"は結果を表わす、"else"は省略可能
【例文】の内容は「(直前の話題を受けて)そうしないと〜だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"or 〜"が「条件」を表わす場合、よく「命令文 + or + 未来時制」の形を使います。ニュアンスは「〜しなさい。さもないと〜だよ」です。脅迫に近いおどしのニュアンスを持つこともあります。
# 命令文 + or + 未来時制……「〜しなさい。さもないと〜だよ」
【例文】:Wear a mask, or pollen will get into your nose and throat.
(= If you don't wear a mask, pollen will get into your nose and throat.)
【和訳】:マスクを付けなさい。さもないと花粉が鼻や喉に入るよ。
→マスクなしだと花粉が鼻や喉に入り込む、"or 〜"は結果を表わす
【例文】の内容は「(直前の話題を受けて)そうしないと〜だろう」です。条件さえ整えば充分にありうる話。
"otherwise"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"otherwise 〜"』
【例文】:You must take this medicine, otherwise you will get carsick.
(= If you don't take this medicine, you will get car sick.)
【和訳】:この薬を飲んでおきなさい。さもないと車酔いするよ。
→酔い止めの薬なしだとおそらく車酔いする、"otherwise 〜"は結果を表わす
【例文】:Wear a mask, otherwise pollen will get into your nose and throat.
(= If you don't wear a mask, pollen will get into your nose and throat.)
【和訳】:マスクを付けなさい。さもないと花粉が鼻や喉に入るよ。
→マスクなしだと花粉が鼻や喉に入り込む、"otherwise 〜"は結果を表わす
【仮定法過去】:「さもないと〜だろう」
仮定法と条件どちらも可能(9)or 〜(2)
↑
"or 〜"が事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去を使います。話し手には「こんなことは実際にはとうてい起こらないが……」という意識があります。
"or"がある節の時制は過去時制を使います。"or"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:The information that someone planted a bomb was untrue, or the airport would be closed at this time.
【例文】:The information that someone planted a bomb was untrue, or else the airport would be closed at this time.
(= If the information that someone planted a bomb was true, the airport would be closed at this time.)
【和訳】:爆弾が仕掛けられたという話は嘘だった。さもないと、空港は今頃閉鎖されているはずだ。
→爆弾騒ぎはデマだったので空港は平常通り営業中、"or 〜"は結果を表わす、"else"は省略可能
【例文】の内容は現在の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去を使います。
"otherwise"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"otherwise 〜"』
【例文】:The information that someone planted a bomb was untrue, otherwise the airport would be closed at this time.
(= If the information that someone planted a bomb was true, the airport would be closed at this time.)
【和訳】:爆弾が仕掛けられたという話は嘘だった。さもないと、空港は今頃閉鎖されているはずだ。
→爆弾騒ぎはデマだったので空港は平常通り営業中、otherwise 〜"は結果を表わす
【仮定法過去完了】:「さもないと〜だっただろう」
仮定法と条件どちらも可能(9)or 〜(3)
↑
"or 〜"が過去の事実に反する仮定を表わす場合、仮定法過去完了を使います。話し手には「現実はそうではなかったけれど……」という意識があります。
"or"がある節の時制は過去完了時制を使います。"or"を含む節には過去形の助動詞の"would, should, could, might"が必要です。
【例文】:The seatbelt saved your life, or you would have been thrown out of the car.
【例文】:The seatbelt saved your life, or else you would have been thrown out of the car.
(= If the seatbelt hadn't saved your life, you would have been thrown out of the car.)
【和訳】:シートベルトのおかげで命が助かったんだよ。さもないと、あなたは車外に放り出されていただろう。
→シートベルトをしていたので助かった、"or 〜"は結果を表わす、"else"は省略可能
【例文】の内容は過去の事実に反する仮定の話です。なので、仮定法過去完了を使います。
"otherwise"もほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:"otherwise 〜"』
【例文】:The seatbelt saved your life, otherwise you would have been thrown out of the car.
(= If the seatbelt hadn't saved your life, you would have been thrown out of the car.)
【和訳】:シートベルトのおかげで命が助かったんだよ。さもないと、あなたは車外に放り出されていただろう。
→シートベルトをしていたので助かった、"otherwise 〜"は結果を表わす
「〜する場合を除いて」の"unless 〜"
"unless 〜"は除外や例外を表わします。
"unless 〜"は事実に反する仮定ではなく、「〜する場合を除いて、〜しない限り」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"unless"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。過去のことなら、"unless"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
"unless"は一種の「条件」を表わすので、"unless"がある節の中で未来時制は文法的に使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【現在や未来の除外、例外】:「〜の場合を除いて」
実は仮定法ではない(1)unless 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"unless"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、"unless"の結果を表わす節はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:The floodgates stay open unless a major tsunami warning or a tsunami warning is issued.
【和訳】:大津波警報あるいは津波警報が出されない限り、防潮門は開けています。
→警報が出た時のみ防潮門は閉じる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しない限り…である」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:Nobody can enter the room unless someone has opened the door lock with this key.
【和訳】:この鍵でドアを開けない限り、誰もこの部屋には入れない。
→部屋に入れるのは鍵を持つ者のみ、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しない限り…である」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"unless"があるで節は未来時制が使えませんが、"unless 〜"の結果を表わす節には未来時制が可能です→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:代替燃料を実用化しない限り、石油資源は近い将来枯渇する。
【 × 】:Oil resources will be depleted in the near future unless we will implement alternative fuel.
【 ○ 】:Oil resources will be depleted in the near future unless we implement alternative fuel.
→代替燃料が実用化さえすれば、石油資源はまだ枯渇しない、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しない限り…する」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"except if"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:The floodgates stay open except if a major tsunami warning or a tsunami warning is issued.
【和訳】:大津波警報あるいは津波警報が出されない限り、この防潮門は開けています。
(= The floodgates stay open unless a major tsunami warning or a tsunami warning is issued.)
【例文】:Nobody can enter the room except if someone has opened the door lock with this key.
(= Nobody can enter the room unless someone has opened the door lock with this key.)
【和訳】:この鍵でドアを開けない限り、誰もこの部屋には入れない。
【例文】:Oil resources will be depleted in the near future except if we implement alternative fuel.
(= Oil resources will be depleted in the near future unless we implement alternative fuel.)
【和訳】:代替燃料を実用化しない限り、石油資源は近い将来枯渇する。
【過去の除外、例外】:「〜だった場合を除いて」
実は仮定法ではない(1)unless 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい"unless"がある節も"unless 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【英訳】:We were not permitted to enter dangerous zones unless we had compelling reasons.
【例文】:やむを得ない理由がある場合を除き、危険区域への立ち入りは認められなかった。
→正当な理由があれば立ち入りは可能だった、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜である場合を除いて…であった」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"except if"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:We were not permitted to enter dangerous zones except if we had compelling reasons.
(= We were not permitted to enter dangerous zones unless we had compelling reasons.)
【和訳】:やむを得ない理由がある場合を除き、危険区域への立ち入りは認められなかった。
「〜しさえすれば」の"as long as 〜, so long as 〜"
"as long as 〜"と"so long as 〜"は何かをする際の前提条件を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「〜しさえすれば、とりあえず〜してくれたら」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
"as long as 〜"と"so long as 〜"はたいてい未来のことを表わしますが、"as long as"や"so long as"がある節の時制はもっぱら現在時制を使います。
"as long as 〜"と"so long as 〜"は一種の「条件」を表わすので、"as long as"や"so long as"がある節の中では未来時制は文法的に使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
"as long as 〜"と" so long as 〜"はほぼ同じ意味。
【現在の前提条件】:「(とりあえず)〜しさえすれば」
実は仮定法ではない(2)as long as 〜, so long as 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"as long as, so long as"がある節の時制はたいてい現在時制、"as long as 〜, so long as 〜"の結果を表わす節はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:壊れた主要幹線道路が再び開通しさえすれば、被災地の復興は劇的に進むだろう。
【 × 】:The devastated areas will be dramatically recovered as long as the damaged main highways will be repaired and reopened.
【 × 】:The devastated areas will be dramatically recovered so long as the damaged main highways will be repaired and reopened.
【 ○ 】:The devastated areas will be dramatically recovered as long as the damaged main highways are repaired and reopened.
【 ○ 】:The devastated areas will be dramatically recovered so long as the damaged main highways are repaired and reopened.
→道路の復旧は充分ありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜しさえすれば…だろう」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
「〜する場合のみ」の"only if 〜"
"only if 〜"は何かをする際の絶対条件を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「〜する場合のみ、最低限〜という条件をクリアしたときのみ」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"only if"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。過去のことなら、"only if"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
"only if 〜"は一種の「条件」を表わすので、"only if"がある節の中で未来時制は文法的に使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
よく似た表現の"if only 〜"は願望(〜だったらいいのに)を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:if only 〜』
【現在や未来の絶対条件】:「〜という場合のみ」
実は仮定法ではない(3)only if 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"only if"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、" only if 〜"の結果を表わす節はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:You can enter the zoo free of charge only if you are under sixteen.
【和訳】:十六歳未満の子供のみ、無料で動物園に入ることができます。
→子供が十六歳未満であることは充分ありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜である場合のみ…できる」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:You may graduate only if you have completed all necessary credits.
【和訳】:必要な単位をすべて取得した場合のみ、卒業が認められます。
→単位未習得で卒業できないことは充分ありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜である場合のみ…する」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"only if"がある節では未来時制が使えませんが、"only if 〜"の結果を表わす節では未来時制が可能です→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:Reactors will be restarted only if the plants have passed the examinations of experts.
【和訳】:専門家による発電所の検査に合格した場合のみ、原子炉は再稼働される。
→検査に不合格の場合再稼働は認められない、事実に反する仮定ではない
強調のため"only if 〜"を文頭に置くと、"only if 〜"の結果を表わす節で倒置を使うことがあります。やや堅苦しい表現です→【参照】:『副詞の倒置:"only"を含む副詞句:only then, only after, etc』
【例文】:Only if you are under sixteen can you enter the zoo free of charge.[※やや堅苦しい言い方]
(= You can enter the zoo free of charge only if you are under sixteen.)
【和訳】:十六歳未満の子供に限り、無料で動物園に入ることができます。
→"can"を主語の"you"の前に置くことがある
【例文】:Only if you have completed all necessary credits may you graduate.[※やや堅苦しい言い方]
(= You may graduate only if you have completed all necessary credits.)
【和訳】:必要な単位をすべて取得した場合に限り、卒業が認められます
→"may"を主語の"you"の前に置くことがある
【例文】:Only if the plants have passed the examinations of experts will reactors be restarted.[※やや堅苦しい言い方]
(= Reactors will be restarted only if the plants have passed the examinations of experts.)
【和訳】:専門家による発電所の検査に合格した場合に限り、原子炉は再稼働される。
→"will"を主語の"reactors"の前に置くことがある
"provided that 〜, providing that 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:You can enter the zoo free of charge provided that you are under sixteen.
【例文】:You can enter the zoo free of charge providing that you are under sixteen.
(= You can enter the zoo free of charge only if you are under sixteen.)
【和訳】:十六歳未満の子供のみ、無料で動物園に入ることができます。
【例文】:You may graduate provided that you have completed all necessary credits.
【例文】:You may graduate providing that you have completed all necessary credits.
(= You may graduate only if you have completed all necessary credits.)
【和訳】:必要な単位をすべて取得した場合のみ、卒業が認められます
【例文】:Reactors will be restarted provided that the plants have passed the examinations of experts.
【例文】:Reactors will be restarted providing that the plants have passed the examinations of experts.
(= Reactors will be restarted only if the plants have passed the examinations of experts.)
【和訳】:専門家による発電所の検査に合格した場合のみ、原子炉は再稼働される。
【過去の絶対条件】:「〜という場合だったのみ」
実は仮定法ではない(3)only if 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい"only if"がある節も"only if 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:The class was closed temporarily only if the number of absentees in a class was twenty or more.
【和訳】:クラスの欠席者が二十人を越えたときのみ、学級閉鎖が行なわれた。
→欠席者が二十人を越えることは実際にあった、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜である場合のみ…だった」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
強調のため"only if 〜"を文頭に置くと、"only if 〜"の結果を表わす節で倒置を使うことがあります。やや堅苦しい表現です→【参照】:『副詞の倒置:"only"を含む副詞句:only then, only after, etc』
【例文】:Only if the number of absentees in a class was twenty or more was the class closed temporarily.[※やや堅苦しい言い方]
(= The class was closed temporarily only if the number of absentees in a class was twenty or more.)
【和訳】:クラスの欠席者が二十人を越えたときに限り、学級閉鎖が行なわれた。
→"was"を主語の"the class"の前に置くことがある
"provided that 〜, providing that 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:The class was closed temporarily provided that the number of absentees in a class was twenty or more.
【例文】:The class was closed temporarily providing that the number of absentees in a class was twenty or more.
(= The class was closed temporarily only if the number of absentees in a class was twenty or more.)
【和訳】:クラスの欠席者が二十人を越えたときのみ、学級閉鎖が行なわれた。
「もし〜という条件なら」の"on condition that 〜"
"on condition that 〜"は何かをする際の絶対条件を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「〜という条件なら、最低限〜するなら」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"on condition"がある節の時制はたいてい現在時制や現在完了時制、未来時制を使います。過去のことなら、"on condition"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
前置詞"on"の代わりに"under"を使った"under condition that"や"under the condition that"も可能。
【現在や未来の絶対条件】:「〜という条件なら」
実は仮定法ではない(4)on condition that 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"on condition that"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、未来時制、"on condition that 〜"の結果を表わす節はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Animals are allowed on condition that they are service animals such as guide dogs.
【和訳】:盲導犬などの介助動物であれば、入場できます。
→入場できる動物もいる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…できる」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:You can try the thrill ride on condition that you have read and signed the consent form.
【和訳】:同意書をお読みになって署名したのであれば、この絶叫マシーンに乗ることができます。
→署名できずに乗れない人もいる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…できる」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
ほかの「条件」を表わす表現とは異なり、話の内容が現在や未来の場合、"on condition that"がある節は未来時制、現在時制、動詞の原形の三つを使うことができます。
【例文】:その国が核兵器開発を中止するのであれば、経済制裁が解除される。
【 ○ 】:The economic sanctions will be lifted on condition that the country will cease the development of nuclear weapons.
【 ○ 】:The economic sanctions will be lifted on condition that the country cease the development of nuclear weapons.
【 ○ 】:The economic sanctions will be lifted on condition that the country ceases the development of nuclear weapons.
→核兵器開発の中止は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…する」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"if"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:Animals are allowed if they are service animals such as guide dogs.
(= Animals are allowed on condition that they are service animals such as guide dogs.)
【和訳】:盲導犬などの介助動物であれば、入場できます。
【例文】:You can try the thrill ride if you have read and signed the consent form.
(= You can try the thrill ride on condition that you have read and signed the consent form.)
【和訳】:同意書をお読みになって署名したのであれば、この絶叫マシーンに乗ることができます。
【例文】:The economic sanctions will be lifted if the country ceases the development of nuclear weapons.
(= The economic sanctions will be lifted on condition that the country ceases the development of nuclear weapons.)
【和訳】:核兵器開発を中止するのであれば、経済制裁を解除しましょう。
【過去の絶対条件】:「〜という条件だったなら」
実は仮定法ではない(4)on condition that 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい"on condition that"がある節も"on condition that 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:The person accepted the interview on condition that they didn't film his face.
【和訳】:顔を撮影しないことを条件に、その人物はインタビューに応じた。
→インタビュー中に顔を撮影しなかった、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…した」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"if"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:The person accepted the interview if they didn't film his face.
(= The person accepted the interview on condition that they didn't film his face.)
【和訳】:顔を撮影しないことを条件に、その人物はインタビューに応じた。
「もし〜という条件なら」の"provided that 〜, providing that 〜"
"provided that 〜"と"providing that 〜"は何かをする際の絶対条件を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「〜という条件なら、最低限〜するなら」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"provided that"や"providing that"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。過去のことなら、"provided that"や"providing that"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
「条件」を表わすので、"provided that, providing that"がある節の中で未来時制は文法的に使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
"provided that 〜"と" providing that 〜"はほぼ同じ意味を表わします。"provided that 〜"のほうをよく使います。二つとも"that"は省略可能。"provide"のもともとの意味は「与える、供給する」です。
【現在や未来の絶対条件】:「〜という条件なら」
実は仮定法ではない(5)provided that 〜, providing that 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"provided that, providing that"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、" provided that, providing that 〜"の結果を表わす節はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Provided that you register yourselves at the volunteer center, you can participate in volunteer activities.
【例文】:Providing that you register yourselves at the volunteer center, you can participate in volunteer activities.
【和訳】:ボランティアセンターで登録すれば、ボランティア活動に参加できます。
→ボランティアとして登録することはありうる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…できる」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:Provided that you have fully recovered from flu, you can go to school.
【例文】:Providing that you have fully recovered from flu, you can go to school.
【和訳】:インフルエンザを完全に直したら登校してもよい。
→インフルエンザから完治することはありうる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…できる」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
未来のことでも"provided that, providing that"がある節は現在時制を使います→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:景気が回復さえしてくれれば、失業率も減ります。
【 × 】:Provided that the economy will recover, the unemployment rate will decrease.
【 × 】:Providing that the economy will recover, the unemployment rate will decrease.
【 ○ 】:Provided that the economy recovers, the unemployment rate will decrease.
【 ○ 】:Providing that the economy recovers, the unemployment rate will decrease.
→景気回復は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…する」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"only if 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:You can participate in volunteer activities only if you register yourselves at the volunteer center.
(= Provided that you register yourselves at the volunteer center, you can participate in volunteer activities.)
【和訳】:ボランティアセンターで登録すれば、ボランティア活動に参加できます。
【例文】:You can go to school only if you have fully recovered from flu.
(= Provided that you have fully recovered from flu, you can go to school.)
【和訳】:インフルエンザを完全に直したら登校してもよい。
【例文】:The unemployment rate will decrease only if the economy recovers.
(= Provided that the economy recovers, the unemployment rate will decrease.)
【和訳】:景気が回復さえしてくれれば、失業率も減ります。
【過去の絶対条件】:「〜という条件だったなら」
実は仮定法ではない(5)provided that 〜, providing that 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい"provided that, providing that"がある節も" provided that 〜, providing that 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:Providing that we didn't touch anything there, we were permitted to explore the tumulus.
【例文】:Provided that we didn't touch anything there, we were permitted to explore the tumulus.
【和訳】:何一つ手を触れないことを条件に、我々は古墳の調査を許可してもらった。
→古墳の調査は実施された、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であれば…してもらった」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"only if 〜"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:We were permitted to explore the tumulus only if we didn't touch anything there.
(= Provided that we didn't touch anything there, we were permitted to explore the tumulus.)
【和訳】:何一つ手を触れないことを条件に、我々は古墳の調査を許可してもらった。
「〜であることを考慮すれば」の"given that 〜"
"given that 〜"は判断を行う際の前提条件を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「〜を考慮に入れると、〜であることを考えると」という「条件」を表わします。「実際の状況や出来事」についての話です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"given that"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。過去のことなら、"given that"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
"given that 〜"は一種の「条件」を表わすので、"given that"がある節の中で未来時制は使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
"given the fact that 〜"という形も使えます。意味は"givne that 〜"とほぼ同じ。
【現在や未来の前提条件】:【〜であることを考慮すると】
実は仮定法ではない(6)given that 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「今の状況を考えると……」という意識があります。
"given that"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制、"given that 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:Given that I have little gas left in my car, I have to fill the tank.
【例文】:Given the fact that I have little gas left in my car, I have to fill the tank.
【和訳】:ガソリンがほとんど残っていないことを考えると、給油しなければならない。
→ガソリンは残り少ない、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であることを考えると…である」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:Given that El Nino has occurred, we may have abnormal weather such as heat wave also this year.
【例文】:Given the fact that El Nino has occurred, we may have abnormal weather such as heat wave also this year.
【和訳】:エルニーニョ現象が発生していることを考えると、今年も猛暑などの異常気象になるかもしれない。
→エルニーニョ現象は発生して継続中、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜であることを考えると…である」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
未来のことでも"given that"がある節は現在時制を使います→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:石油の枯渇が避けられないことを考えると、代替エネルギーの開発は急がねばならない。
【 × 】:Given that oil depletion will be inevitable, we must hurry to invent alternative energy.
【 × 】:Given the fact that oil depletion will be inevitable, we must hurry to invent alternative energy.
【 ○ 】:Given that oil depletion is inevitable, we must hurry to invent alternative energy.
【 ○ 】:Given the fact that oil depletion is inevitable, we must hurry to invent alternative energy.
→石油の枯渇は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
「given + 名詞句 + 現在時制」も可能です。意味は「〜を考慮に入れると」。やはり判断を行う際の前提条件を表わします。
【例文】:Given the history of this country, people will not trust any politicians.
【和訳】:この国の歴史を考えると、人々は政治家なんて信用しないだろう。
→この国の過去の歴史を考慮すると、事実に反する仮定ではない
【過去の前提条件】:「〜であったことを考慮すると」
実は仮定法ではない(6)given that 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「あの時の状況を考えると……」という意識があります。
時制はたいてい、"given that"がある節も"given that 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:Given that the earthquake intensity was upper 6, fortunately the damage was slight.
【例文】:Given the fact that the earthquake intensity was upper 6, fortunately the damage was slight.
【和訳】:地震の震度が6強だったことを考えると、被害は幸いにも軽微だった。
→実際に震度は6強だった、事実に反する仮定ではない
「given + 名詞句 + 過去時制」も可能です。意味は「〜を考慮に入れると」。やはりやはり判断を行う際の前提条件を表わします。
【例文】:Given the global warming, it was almost natural that floods had occurred in various places.
【和訳】:地球温暖化を考えると、各地で発生した洪水は不思議とは言えない。
→実際に地球温暖化は進行している、事実に反する仮定ではない
「仮に〜だとしても」の"granted that 〜, granting that 〜"
"granted that 〜, granting that 〜"は判断を行う際の前提条件を表わします。「〜だとしても」という譲歩をニュアンスを含みます。
事実に反する仮定ではなく、「仮に〜であるとすると、もし〜である場合は」という「条件」を表わします。多少なりとも「ありうる話」です。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"granted that, granting"がある節の時制はたいてい現在時制や現在完了時制を使います。過去のことなら、"granted that, granting that"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
"granted that 〜"は一種の「条件」を表わすので、"granted that"がある節の中で未来時制は使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
"granted that 〜"と"granting that 〜"はほぼ同じ意味。どちらも"that"は省略可能。"grant"のもともとの意味は「〜であることを認める、権利などを与える」です。
【現在や未来の前提条件】:「仮に〜だとしても」
実は仮定法ではない(7)granted that 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"granted that"がある節の時制はたいてい現在時制や現在完了時制、"granted that 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制や未来時制を使います。
【例文】:Granted that you have some talent, you cannot necessarily find it yourselves.
【例文】:Granting that you have some talent, you cannot necessarily find it yourselves.
【和訳】:仮に自分に何らかの才能があるとしても、その才能を自分で見つけることができるとは限らない。
→何らかの才能を持っていることは充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「仮に〜だとしても…である」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
未来のことでも"granted that"がある節は現在時制を使います→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:仮にミサイルの発射を探知できても、そのミサイルを撃墜できないかもしれない。
【 × 】:Granted that we will manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.
【 × 】:Granting that we will manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.
【 ○ 】:Granted that we manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.
【 ○ 】:Granting that we manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.
→ミサイル発射の探知は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
「条件」を表わす"granted that 〜, granting that 〜"は"even if 〜"とほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:even if 〜』
【例文】:Even if you have some talent, you cannot necessarily find it yourselves.
(= Granted that you have some talent, you cannot necessarily find it yourselves.)
(= Granting that you have some talent, you cannot necessarily find it yourselves.)
→何らかの才能を持っていることは充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【和訳】:仮に自分に何らかの才能があるとしても、その才能を自分で見つけることができるとは限らない。
【例文】:Even if we manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.
(= Granted that we manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.)
(= Granting that we manage to detect the launch of missiles, we may be unable to shoot them down.)
【和訳】:仮にミサイルの発射を探知できても、そのミサイルを撃墜できないかもしれない。
→ミサイル発射の探知は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【過去の前提条件】:「仮に〜だったとしても」
実は仮定法ではない(7)granted that 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい、"granted that"がある節も"granted that 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:Granted that the man wasn't the main robber, probably he helped the other robbers escape.
【例文】:Granting that the man wasn't the main robber, probably he helped the other robbers escape.
【和訳】:仮にその男が主犯ではなかったとしても、おそらく強盗たちの逃走を助けた。
→男が主犯であることは充分ありえた、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「仮に〜だったとしても…であった」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
「条件」を表わす"granted that 〜, granting that 〜"は"even if 〜"とほぼ同じ意味を表わします→【参照】:『仮定法と条件どちらも可能:even if 〜』
【例文】:Even if the man wasn't the main robber, probably he helped the other robbers escape.
(= Granted that the man wasn't the main robber, probably he helped the other robbers escape.)
(= Granting that the man wasn't the main robber, probably he helped the other robbers escape.)
【和訳】:仮にその男が主犯ではなかったとしても、おそらく強盗たちの逃走を助けた。
→男が主犯であることは充分ありえた、事実に反する仮定ではない
「この先〜する場合に備えて」の"in case 〜"
"in case 〜"は将来に備えての準備や用意を表わします。
事実に反する仮定ではなく、「予想される今後の事態に備えて、〜するといけないので」という多少なりとも「ありうる話」を表わします。なので、事実に反する仮定を表わす仮定法過去や仮定法過去完了は通例不可。
現在や未来のことなら、"in case"がある節の時制はたいてい現在時制か現在完了時制を使います。過去のことなら、"in case"がある節の時制はたいてい過去時制を使います。
"in case 〜"は一種の「条件」を表わすので、"in case"がある節の中で未来時制は文法的に使えません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
"should"や"happen to 〜"を使って"in case + 主語 + should"や"in case + 主語 + should happen to 〜"、"in case + 主語 + happen to 〜"もほぼ同じ意味を表わします。「十中八九そんなことはないだろうが」というニュアンスを強調します。
【現在の準備、備え】:「将来〜する場合に備えて」
実は仮定法ではない(8)in case 〜(1)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえることだが……」という意識があります。
"in case"がある節の時制はたいてい現在時制、"in case 〜"の結果を表わす節の時制はたいてい現在時制か未来時制を使います。
【例文】:This hospital has a private generator in case we suffer a power cut.
【和訳】:この病院では停電が起こる場合に備えて自家発電機を用意している。
→停電発生は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「〜が起こった場合に備えて…だ」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
"in case"は【準備、備え】を表わすので話題はたいていこれから先のことです。しかし、一種の「条件」を表わすので"in case"がある節は現在時制を使います→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!』
【例文】:車酔いすることに備えてこの薬を飲んでおきなさい。
(= 車酔いしないようにこの薬を飲んでおきなさい)
【 × 】:You should take this medicine in case you will get carsick.
【 ○ 】:You should take this medicine in case you get carsick.
→車酔いすることは充分にありえる、事実に反する仮定ではない
助動詞の"should"や"might"を使う"in case + 主語 + should 〜, in case + 主語 + might 〜"も可能です。やや堅苦しい表現。
【例文】:This hospital has a private generator in case we should suffer a power cut.[※やや堅苦しい言い方]
【例文】:This hospital has a private generator in case we might suffer a power cut.[※やや堅苦しい言い方]
→停電発生は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【和訳】:この病院では停電の発生に備えて自家発電機を用意している。
【例文】:You should take this medicine in case you should get carsick.[※やや堅苦しい言い方]
【例文】:You should take this medicine in case you might get carsick.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:車酔いすることに備えてこの薬を服用しておきなさい。
→車酔いすることは充分にありえる、事実に反する仮定ではない
動詞の"happen + to不定詞"を使う"in case + 主語 + happen to 〜"や"in case + 主語 + should happen to 〜"も可能です。「そんなことはとうてい起こらないだろうが」というニュアンスを強調します。
【例文】:This hospital has a private generator in case we happen to suffer a power cut.
【例文】:This hospital has a private generator in case we should happen to suffer a power cut.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:この病院では万が一の停電発生に備えて自家発電機を用意している。
→停電発生は充分にありえる、事実に反する仮定ではない
【例文】:You should take this medicine in case you happen to get carsick.
【例文】:You should take this medicine in case you should happen to get carsick.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:万が一車酔いすることに備えてこの薬を飲んでおきなさい。
→車酔いすることはわずかでも可能性としてありえる、事実に反する仮定ではない
【過去の準備、備え】:「〜した場合に備えて」
実は仮定法ではない(8)in case 〜(2)
↑
《仮定法》ではないので、話し手には「充分にありえたことだが……」という意識があります。
時制はたいてい"in case"がある節も"in case 〜"の結果を表わす節も過去時制を使います。
【例文】:We took refuge in the public hall in case the mudslide occurred.
【和訳】:土砂崩れが起こる場合に備えて公民館へ避難しました。
→土砂崩れは充分にありえた、事実に反する仮定ではない
助動詞の"should"や"might"を使う"in case + 主語 + should 〜, in case + 主語 + might 〜"も可能です。やや堅苦しい表現。
【例文】:We took refuge in the public hall in case the mudslide should occur.[※やや堅苦しい言い方]
【例文】:We took refuge in the public hall in case the mudslide might occur.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:土砂崩れが発生する場合に備えて公民館へ避難しました。
→土砂崩れは充分にありえた、事実に反する仮定ではない
動詞の"happen + to不定詞"を使う"in case + 主語 + happen to 〜"や"in case + 主語 + should happen to 〜"も可能です。「そんなことはとうてい起こらないだろうが」というニュアンスを強調します。
【例文】:We took refuge in the public hall in case the mudslide happened to occur.
【例文】:We took refuge in the public hall in case the mudslide should happen to occur.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:万が一の土砂崩れが発生する場合に備えて公民館へ避難しました。
→土砂崩れはわずかでも可能性としてありえた、事実に反する仮定ではない
【条件】:「もし〜ならば、万が一〜の場合は」
実は仮定法ではない(8)in case 〜(3)
↑
アメリカ英語では"in case"を"if"に近い意味で使うことがあります。"if"の意味で使うときは"in case"をよく文の先頭に置きます。
ニュアンスは「もしも〜したら、万が一〜したら」です。たいてい、《仮定法》ではなく「条件」の意味で使います。条件さえ整えば充分にありえる話。
【例文】:In case you find any suspicious object, please inform the station staff.[※アメリカ英語]
【和訳】:もし不審物を見かけたら駅員に知らせて下さい。
(= If you find any suspicious object, please inform the station staff.)
→不審物を見つける可能性は多少ある、事実に反する仮定ではない
【例文】の内容は「もし〜した場合は…して下さい」です。条件さえ整えば充分にありえる話。
原則として仮定法では時制の一致が不要
引用符("")なしの会話文の場合、原則として《仮定法》の時制の変更は不要です→【参照】:『会話の表現の時制:時制の変更が不要な場合』
ただし、引用符("")なしの会話文ではなく、《仮定法》の中で動詞の目的語としてthat節やwhat節を使う場合は、原則として時制の一致が必要です。
引用符なしの会話文の場合
仮定法は時制の一致が不要なの?(1)
↑
引用符("")なしの会話文で仮定法現在や仮定法過去、仮定法過去完了を使う場合、"were"を"had been"にするなどの時制の変更は不要です。
仮定法現在
仮定法は時制の一致が不要なの?:引用符なしの会話文の場合(1)
↑
引用符("")なしの会話文で仮定法現在を使う場合、"be"を"was"にするなどの時制の変更は不要です→【参照】:『"if"を使わない仮定法アレコレ:that節で仮定法』
【例文】:新聞によれば国連は化学兵器の廃棄を要求している。
【 × 】:The newspaper said that the UN insisted that chemical weapons were disposed of.
【 ○ 】:The newspaper said that the UN insisted that chemical weapons be disposed of.
(= The newpaper said, "the UN insists that chemical weapons be disposed of.")
→時制を変更せずに"be"のまま使う
【例文】の英訳では、"insist"が要求を表わすので仮定法現在を使います。なので、that節内のbe動詞は原形のまま"be"です。
仮定法過去
仮定法は時制の一致が不要なの?:引用符なしの会話文の場合(2)
↑
引用符("")なしの会話文で仮定法過去を使う場合、"was"を"had been"にするなどの時制の変更は不要です。過去時制のままにしておきます。
【例文】:もし景気が回復すれば、私たちの生活は豊かになるだろうと大学生は言った。
【 × 】:The college student said that if business had recovered, our lives would have become rich.
【 ○ 】:The college student said that if business recovered, our lives would become rich.
(= The college student said, "If business recovered, our lives would become rich.")
→時制を変更せずに"recoverd", "would become"のままにする
【例文】は現在の事実に反する仮定の話なので、英訳では仮定法過去を使います。
that節内の"recovered"と"would become"の時制は過去時制のままでOKです。過去完了時制の"had recovered", "would have become"に変更すると仮定法過去完了となり、過去の事実に反する仮定を表わします。【例文】の英訳としては意味的に不可。
仮定法過去完了
仮定法は時制の一致が不要なの?:引用符なしの会話文の場合(3)
↑
引用符("")なしの会話文で仮定法過去完了を使う場合、時制の変更は一切不要です。過去完了時制のままにしておきます。
【例文】:もしテロリストたちを撃たなければ、もっと多くの犠牲者が出ていたかも知れませんと警察署長は言った。
【 ○ 】:The police chief said that if they hadn't shot the terrorists, there might have been more victims.
(= "If we hadn't shot the terrorists, there might have been more victims," said the police chief.)
→時制は一切変更しない
【例文】は過去の事実に反する仮定の話なので、英訳では仮定法過去完了を使います。過去完了時制は引用符("")ありの会話文でも引用符("")なしの会話文でも時制は一切変更しません。
動詞の目的語のthat節などの場合
仮定法は時制の一致が不要なの?(2)
↑
《仮定法》の文の中で"I thought that 〜"などを使う場合、that節内の動詞に時制の一致を適用させることがあります。原則として、仮定法過去では時制の一致が必要、仮定法過去完了では不要です。
仮定法過去の場合
仮定法は時制の一致が不要なの?:動詞の目的語のthat節などの場合(1)
↑
引用符("")なしの会話文ではなく、仮定法過去の文の中で"I thought that 〜"(〜だと思った)や"We realized that 〜"(〜であることに気づいた)などを使う場合、that節内の時制は"thought, realized"の過去時制に縛られて時制を過去時制に変更します。
【例文】:もし自分が不死だと気づいたらどうします。
【 × 】:What would you do if you knew that you are immortal?
【 ○ 】:What would you do if you knew that you were immortal?
→現実として自分は不死ではない、現在の事実に反する仮定の話
【例文】は現在の事実に反する仮定の話なので英訳では仮定法過去を使います。that節内の"are"(現在形)は時制の一致のルールに従い"were"(過去形)に変更するのが普通です。
仮定法過去完了の場合
仮定法は時制の一致が不要なの?:動詞の目的語のthat節などの場合(2)
↑
仮定法過去完了の文の中で"I had thought that 〜"(〜だと思った)や"We had noticed that 〜"(〜であることに気づいた)などを使う場合、that節内の時制は"had thought, had noticed"の過去完了時制に一致させる必要はありません。過去時制のままでOKです。
【例文】:もし運転手が道路に大穴が開いていることに気づかなかったら、車は穴に落ち込んでいたかもしれない。
【 × 】:If the driver hadn't noticed that there had been a large hole in the road, the car might have fallen into the hole.
【 ○ 】:If the driver hadn't noticed that there was a large hole in the road, the car might have fallen into the hole.
→運転手は穴に気づいたので落下は免れた、過去の事実に反する仮定の話
【例文】は過去の事実に反する仮定の話なので英訳では仮定法過去完了を使います。"that"内の時制は過去時制のまま"was"でOKです。"hadn't noticed"に合わせて過去完了の"had been"にする必要はありません。
はい、可能です。ただし、仮定法ではありません
《仮定法》で"if"がある節では通例、助動詞の"will"や"would"は使いません→【参照】:『未来時制アレコレ:未来時制なのに"will, shall"が使用不可?!:「if/when + 主語 + will + 〜」が不可の場合』
"should"なら"if + 主語 + should 〜"(万が一〜なら)として使うことができます→【参照】:『"if"を使う仮定法アレコレ:"if + 主語 + should 〜"』
特別なニュアンスを持たせる場合、"if + 主語 + will 〜"や"if + 主語 + would 〜"の形を使うことがあります。ただし、《仮定法》ではありません。「百パーセントありえない話」ではなく「充分にありえる話」です。"if"がある節に"will"や"would"を使う主な表現をまとめます。
目的や結果を表わす
"if + 主語 + will 〜"や"if + 主語 + would 〜"は可能?(1)
↑
if節で「結果(〜になるのなら)」を表わす場合、"if + 主語 + will 〜"の形を使います。
# if節に"will"なし → 「初めにもし〜すれば、最終的に…となるだろう」
# if節に"will"あり → 「最終的にもし〜となるのなら、先に…しよう」
【例文】:If it will help you to study, we will buy a personal computer for you.
【和訳】:勉強の役に立つのなら、パソコンは買ってあげましょう。
→「パソコンを買ってあげる」は原因、「勉強の役に立つ」は結果
【例文】の場合、「勉強の役に立つ」は結果を表わします。一方、「パソコンを買ってあげる」は「勉強の役に立つ」の原因を表わします。このように、原因の前に先に結果を表現するとき、"if + 主語 + will 〜"の形を使います。
"will"がない"if"文の場合、"if 〜"は原因を表わします。
【例文】:If my parents buy me a personal computer, I can study more efficiently.
【和訳】:両親がパソコンを買ってくれれば、もっと効率良く勉強できる。
→「両親がパソコンを買ってくれる」は原因、「もっと効率良く勉強できる」は結果
丁寧なお願いや依頼を表わす
"if + 主語 + will 〜"や"if + 主語 + would 〜"は可能?(2)
↑
丁寧表現の一つとして、"if you will 〜"や"if you would 〜"を使うことがあります。"will"よりも"would"のほうがいっそう丁寧です。「仮定」ではなく「条件」なので充分にありえる話です。
【例文】:If you come to my home, I will give you my old motor scooter.
【和訳】:家にまで取りに来れば、古いスクーターはあげるよ。
→普通
【例文】:If you will come to my home, I will give you my old motor scooter.
【和訳】:家にまで取りに来てくれれば、古いスクーターは差し上げます。
→丁寧
【例文】:If you would come to my home, I will give you my old motor scooter.
【和訳】:拙宅まで取りに来ていただければ、古いスクーターは差し上げます。
→かなり丁寧
こだわりや強情を表わす
"if + 主語 + will 〜"や"if + 主語 + would 〜"は可能?(3)
↑
主語のこだわりや強情を表わすとき、"if + 主語 + will 〜"を使うことがあります。ニュアンスは「どうしても〜しようとする、意地でも〜しようとする」です。「仮定」ではなく「条件」なので充分にありえる話です。
【例文】:If you eat this cake, I will not prepare dinner for you.
【和訳】:もしこのケーキを食べるのなら、あなたの夕飯はなしです。
→「食べたらだめよ」という通常の注意
【例文】:If you will eat this cake, I will not prepare dinner for you.
【和訳】:どうしてもこのケーキを食べるっていうのなら、あなたの夕飯は抜きよ。
→「絶対に食べる」と言って聞かない相手に厳重注意
"will"にはもともと「どうしても〜しようする」という意味があります。現在の固執を表わします→【参照】:『未来や推量ではない"will":どうしても〜しようとする【現在の固執】』
"if + 主語 + won't + 〜"で警告や脅しを表わすことがあります。ニュアンスは「主語が〜することをやめないと〜になるよ」です。
【例文】:If you won't stop drinking and eating too much, you will suffer lifestyle diseases.
【和訳】:暴飲暴食を止めないと生活習慣病にかかるよ。
→"won't stop"は「どうしても〜することを主語が止めないのなら」の意味
「動詞 + 主語」の語順になる
《仮定法》の場合、"if"を省略して、"Were + 主語 + 〜"という語順になることがあります。
動詞が主語の前に出て来ることを倒置と言います。《仮定法》の場合、倒置で文頭に出て来るのは"were, had, should"の三つのみです。やや堅苦しい言い方。
否定文のときは"not"を単独で主語の次に置きます。
【例文】:天気が良ければここから富士山が見えるのですが。
【英訳】:Were it clear, we could see Mt. Fuji from here.[※やや堅苦しい言い方]
(= If it were clear, we could see Mt. Fuji from here.)
【例文】:もし、また大きな揺れが来たら、損壊した市庁舎は倒壊するだろう。
【英訳】:Were another major earthquake to strike, the damaged city hall would collapse.[※やや堅苦しい言い方]
(= If another major earthquake were to strike, the damaged city hall would collapse.)
【例文】:携帯電話にGPS機能が付いていなかったら、道に迷っていただろう。
【英訳】:Had the cell phone not had a GPS, we would have lost our way.[※やや堅苦しい言い方]
(= If the cell phone had not had a GPS, we would have lost our way.)
→"not"は単独で主語"the cell phone"の次に置く
【例文】:万が一雨が降れば、花火大会は延期となります。
【英訳】:Should it rain, the firework show will be suspended.[※やや堅苦しい言い方]
(= If it should rain, the firework show will be suspended.)
"if"がなくなるのでif文の省略形が文の途中に入り込むと、文の意味がわかりにくくなります。
【例文】:Politics and economy would be totally paralyzed were it not for computers.[※やや堅苦しい言い方]
(= Politics and economy would be totally paralyzed if it were not for computers.)
【 × 】:政治と経済が完全に麻痺するだろうことはそれをコンピューターのためにない。
【 ○ 】:コンピューターがないと、政治経済は完全な麻痺状態に陥るだろう。
文の途中に突如"were it"や"had we"などが出て来たら、"if"を追加して"if it were"や"if we had"と解釈してみましょう。《仮定法》の"if it were 〜"や"if we had 〜"かもしれません。