冠詞は三語のみ
《冠詞》という言葉は日本語の文法には存在しません。英語にも三語しかありません。"a, an, the"の三つです。たいてい、名詞の前に置きます。
# 英語の冠詞……"a, an, the"
【例文】:On average, a cat sleeps for 16 hours a day.
【和訳】:猫は平均して一日に十六時間も睡眠を取る。
→"a"は二つとも冠詞
【例文】:富士山は日本一高い山だ。
【和訳】:Mt. Fuji is the highest mountain in Japan.
→"the"は冠詞
冠詞は一種の形容詞
《冠詞》はもっぱら名詞に付くので通例、形容詞の一種と見なします。ただし、ほかの形容詞とはかなり違う使い方があるので、独立して《冠詞》という名前が付いています。
たとえば、《冠詞》には比較級や最上級がありません。また、一つの名詞に複数の《冠詞》を使うことは普通ありません。たいてい、使えるのは一つの名詞につき一つの《冠詞》のみです。
【例文】:猫はたいてい魚が大好きだ。
【 × 】:A the cat generally like fish very much.
【 ○ 】:A cat generally likes fish very much.
→冠詞"a"と"the"を同時に使うのは不可
【例文】:その犬の名前はヨーゼフです。
【 × 】:The a dog is called Josef.
【 ○ 】:The dog is called Josef.
→冠詞"a"と"the"を同時に使うのは不可
冠詞はなるべく前のほうへ置く
《冠詞》はたいてい名詞の前に置きます。名詞の前に"black"や"very"などの形容詞や副詞がたくさん並んでいたら、たいていその先頭に置きます。位置的には名詞から一番遠い場所です。
【例文】:私の机の上に大きな黒いダンボール箱が置いてあった。
【 × 】:There was large black cardboard a box on my desk.
【 × 】:There was large black a cardboard box on my desk.
【 × 】:There was large a black cardboard box on my desk.
【 ○ 】:There was a large black cardboard box on my desk.
→冠詞"a"は"large"の前に置く
【例文】:その銀色にピカピカ光る野球のボールくらいの物体は空から降って来ました。
【 × 】:I saw silver shiny baseball-sized the stuff fall from the sky.
【 × 】:I saw silver shiny the baseball-sized stuff fall from the sky.
【 × 】:I saw silver the shiny baseball-sized stuff fall from the sky.
【 ○ 】:I saw the silver shiny baseball-sized stuff fall from the sky.
→冠詞"the"は"silver"の前に置く
発音しやすいので後ろに回る
名詞に形容詞がくっついた場合、たいてい《冠詞》は名詞から離してなるべく前の方に置きます。【例】:a long and winding road(曲がりくねった長い道)→【参照】:『冠詞を置く位置:原則は名詞、形容詞、副詞』
ただし、ごく少数の単語では不定冠詞(a,an)に限り、名詞のほうに近づいて語順が「形容詞 + a/an + 名詞」や「副詞 + 形容詞 + a/an + 名詞」となることがあります。
half(半分の), quite(けっこう), rather(かなり)
冠詞を置く位置(2)形容詞、副詞の後ろに置く場合(1)
↑
"half, quite, rather"の場合、不定冠詞(a,an)を後ろに置いて語順は"half a 〜, quite a 〜, rather a 〜"が普通です。不定冠詞(a,an)を後ろに置くと発音しやすく感じるようです。
不定冠詞(a,an)を前に置く"a half 〜, a quite 〜, a rather 〜"の語順も可能ですが、あまり使いません。
# a half/quite/rather 〜[※あまり使わない]
# half/quite/rather a/an 〜
【例】:半リットルのビール、けっこう大きな猫、かなり小さい犬
【△】:a half liter of beer, a quite large cat, a rather little dog[※あまり使わない]
【○】:half a liter of beer, quite a large cat, rather a little dog
so(それほど、とても), such(そのような), too(あまりに)
冠詞を置く位置(2)形容詞、副詞の後ろに置く場合(2)
↑
"so, such, too"の場合、不定冠詞(a,an)は必ず"so, such, too"の後ろに置きます。これも発音しやすくするためです。
# so/too 形容詞 a/an + 名詞[※"so, too"は副詞]
# such a/an + 名詞[※"such"は形容詞]
【例】:非常にかわいい猫、あまりに大きい犬、それほど小さな犬
【×】:a so cute cat, a too large dog, a such little dog
【○】:so cute a cat, too large a dog, such a little dog
→冠詞"a"は"so, such, too"の後ろに置く
"so"と"too"は副詞なので形容詞の意味を補足説明して語順は「so + 形容詞 + a/an + 名詞」「too + 形容詞 + a/an + 名詞」です。不定冠詞(a,an)は名詞のすぐ前に置きます。
一方、"such"は形容詞なので名詞の意味を補足説明して語順は「such + a/an + 形容詞 + 名詞」です。不定冠詞(a,an)は"such"のすぐ後ろに置きます。
as 〜 as(同じくらい〜)
冠詞を置く位置(2)形容詞、副詞の後ろに置く場合(3)
↑
原級を表わす"as 〜 as"と"so 〜 as"の場合、不定冠詞(a,an)は形容詞や副詞の次に置きます。形容詞や副詞の前ではありません。これも発音しやすくするためです。
【例文】:この土地は予想通り住み心地がよい。
【 × 】:This is an as comfortable place to live as we expected.
【 × 】:This is as a comfortable place to live as we expected.
【 ○ 】:This is as comfortable a place to live as we expected.
→"a"は"place"の前に置く
【例文】:こんなに大きなクワガタムシは見たことがない。
【 × 】:I haven't seen a so big stag beetle as this.
【 × 】:I haven't seen so a big stag beetle as this.
【 ○ 】:I haven't seen so big a stag beetle as this.
→"a"は"stag beetle"の前に置く
限定論 → 定冠詞(the)、一般論 → 不定冠詞(a, an)
定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)について、主な意味と構文の違いをまとめます。
不定冠詞(a, an)のもともとの意味は"one"です。「数が一つであること」を表わします。なので、不定冠詞(a, an)は原則として「数えられる名詞」の前に置きます。しかも、名詞は原則として単数形に限ります。
一方、定冠詞(the)のもともとの意味は「これ、それ」です。形容詞の"this, that, these, those"に近い意味です。なので、次に置く名詞は単数でも複数でもOK。「数えられる名詞」にも「数えられない名詞」にも使えます。
意味
定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)の違い(1)
↑
定冠詞(the)も不定冠詞(a, an)も名詞に付けます。ただし、意味はかなり異なります。
定冠詞(the)は聞き手も話し手もすでに知っていることを表わします。なので、"the"が付くと、たいてい自動的に「すでに以前話したことだけど」というニュアンスが加わります。あるいは、見える範囲内に存在する物事を話題にしていることを暗示します。
一方、不定冠詞(a, an)はどれとは限定せずあいまいのままにしておきます。なので、一般論として「〜というものは」と話を始めるとき、"a, an"を使います。また、「これから話すことを聞き手は知らないだろう」と判断した物事も"a, an"を使います。
構文
定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)の違い(2)
↑
定冠詞(the)も不定冠詞(a, an)も名詞に付けます。ただし、構文はかなり異なります。
不定冠詞は"a"と"an"
《冠詞》には二種類あります。定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)の二つ。"a, an"は不定冠詞です。
"a, an"の基本的な意味は"one"(一つの〜、一個の〜、一人の〜)です。
【例文】:Long long time ago there was a girl named Alice.
【和訳】:昔々アリスという名前の一人の女の子がいました。
→不定冠詞"a"の意味は「一人の〜」
"a"と"an"に意味の違いなし
不定冠詞(a, an)には"a"と"an"がありますが、意味的な違いはまったくありません。次に来る語句との発音のしやすさによって、どちらを使うか決めます。
次に来る語句の先頭が母音(a,e,i,o,u)なら"an"を使います。それ以外はすべて"a"です。綴りはまったく関係ありません。純粋に発音の問題です。
# an + 発音が母音(a,e,i,o,u)で始まる語句
# a + 発音が母音(a,e,i,o,u)以外で始まる語句
【例】:一個のリンゴ、一本の食べられる花、一つの病気、一つの目の錯覚、一人の叔父さん
【×】:a apple, a edible flower, a illness, a optical illusion, a uncle
【○】:an apple, an edible flower, an illness, an optical illusion, an uncle
日本人にとって実際に発音してみても、"a"と"an"どちらが発音しやすくなるのか、あまり体感できないかもしれません。一語一語を区切って発音するよりも、英語らしく次の語句と音がつながるように発音してみて下さい。
よくあるミス
"a"を使うか"an"を使うかで間違えやすい例を挙げます。スペルに惑わされず、発音でどちらを使うか決めます。
【例】:一つの大学、一時間、一人の相続人
【×】:an university, a hour, a heir,
【○】:a university, an hour, an heir,
"university"の発音は「ユニヴァーシティ」なので先頭は母音(a,e,i,o,u)ではありません。なので、"an university"は不可。
"hour, heir"はどちらも先頭の"h"は発音せず、実際の発音はそれぞれ「アワァ」と「エア」です。二語とも先頭は母音(a,e,i,o,u)なので、"an hour, an heir"が正解です。
単独のアルファベット"A, E, I, O"は母音(a,e,i,o,u)なので、それぞれ文字で始まる略語も"an"を付けます。さらに、"F, H, L, M, N, R, S, X"も一文字で発音すれば先頭は母音(aかe)なので、それぞれの文字で始まる略語なども"a"ではなく"an"を付けます。
「数えられない名詞」には使えない
不定冠詞(a, an)はもともと"one"と同じ意味なので、「数えられる名詞」の単数形に付けます。同じ「数えられる名詞」でも、複数形には原則として使いません。【○】:a dog(一匹の犬)、【×】:a dogs
「数えられない名詞」についても、たとえば"one"を使って"one water, two water"と数えることができないので、不定冠詞(a, an)を使うことができません。"water"のような「数えられない名詞」は"a cup of 〜, two cups of 〜"のような表現を使います→【参照】:『「数えられない名詞」を数える(a piece of 〜)』
日本語からの判断だと、英語の「数えられない名詞」には意外なものが多数あります。そこで、《名詞》が数えられるか否かを見分ける目安として、意味を基に「数えられない名詞」を分類します。いずれの「数えられない名詞」もたいていの場合、不定冠詞(a, an)は使わず、複数形も不可です→【参照】:『「数えられない名詞」ってナニ?』
同じ語句でも、意味の違いによって「数えられる名詞」と「数えられない名詞」の両方が可能な場合があります。【例】:experience(経験)→「数えられない名詞」、experiences(経験したこと、体験談)→「数えられる名詞」。
「病気の名前」の中で、"cold(風邪)"や"headache(頭痛), backache(腰痛)"のような"〜ache(〜痛)"は「数えられる名詞」として扱います。【例】:I've caught a cold.(風邪をひいています), people suffering from backaches.(腰痛に悩む人たち)。
もともとの意味は"one"
不定冠詞(a, an)の基本的な意味は"one"と同じ「一つの〜、一人の〜、一個の〜」です。「数えられる名詞」が一つあることを示します。ほかにもいくつかの意味があります。
数が一つであることを表わす
不定冠詞の意味(1)
↑
不定冠詞(a, an)は「数えられるもの」が一つだけあることを表わします。英語は名詞の「数」にこだわるので、人や生き物、物品、物事が一つなのか二つ以上あるのか、常に注意を払います。なので、「一つのみである、複数ではない」ことを表わすために、名詞に不定冠詞(a, an)を付けます。
定冠詞(the)と異なり、不定冠詞(a,an)を付けた名詞ついてこれから始まる新しい話題であることを暗示します。
【例文】:砂場で一人の男の子が遊んでいる。
【 × 】:I see boy playing in the sandbox.
【 ○ 】:I see a boy playing in the sandbox.
→"a boy"の意味は二人や三人ではなく「一人の男の子」
【例文】:海外で働くという一つの夢がある。
【 × 】:I have dream of working abroad.
【 ○ 】:I have a dream of working abroad.
→"a dream"の意味は二つや三つではなく「一つの夢」
「一人である、一個である」ことを特に強調するときは、"one"を使います。
【例文】:トマトを一つ、ジャガイモを三個、ニンジンを五本買いました。
【 ○ 】:I bought a tomato, three potatoes and five carrots.
【 ○ 】:I bought one tomato, three potatoes and five carrots.
→「個数」の話なので「一個」を強調して"one"を使う
その種類全体を表わす
不定冠詞の意味(2)
↑
人や動物、物事を一つに限定せず、その種類全体を指し示すとき不定冠詞(a, an)を使います。《冠詞》なしの名詞の複数形もほぼ同じ意味を表わします。
# 「a, an + 単数名詞」……種全体を指す
【例文】:犬はうれしいときに尻尾を振ります。
【 × 】:Dog wags its tail when it is happy.
【 ○ 】:A dog wags its tail when it is happy.
(= Dogs wag their tail when they are happy.)
【例文】の「犬」は家で飼っている犬や、どこかで見かけた一匹の犬を指すわけではありません。「犬」という動物全体を表わします。不定冠詞(a, an)を使った"a dog"には、「犬という動物、犬という生き物」という意味があります。
《冠詞》なしの単数形"dog"は不可です。不定冠詞(a, an)は必ず「数えられる名詞」に付きます。「数えられる名詞」を《冠詞》なしの単数形で使うのは文法的に不可。「犬全般」を指す場合は不定冠詞(a, an)を付けるか、複数形にします。
「the + 単数形の名詞」でその種全体を表わすこともあります。ただし、「a, an + 単数形の名詞や「複数形の名詞」を使うほうが普通です。
【例文】:犬はうれしいときに尻尾を振ります。
【 △ 】:The dog wags its tail when it is happy.
【 ○ 】:A dog wags its tail when it is happy.
【 ○ 】:Dogs wag their tail when they are happy.
→"the dog"を使うのはややまれ
「the + 単数形の名詞」は、「ほかの種と比べて〜」というニュアンスを強調するときによく使います。
【例文】:チーターは陸上で最速の動物です。
【 △ 】:A cheetah is the fastest land animal.
【 ○ 】:The cheetah is the fastest land animal.
【例文】の場合、「チーターは」のニュアンスは「あらゆる陸上動物の中でチーターは」です。同じカテゴリーに属するほかの種と比較するニュアンスを含めるときは、「the + 単数形の名詞」を使うほうが普通です。
数や量の多い少ないを表わす
不定冠詞の意味(3)
↑
不定冠詞(a,an)は"few, little"の前に置いて、「数」や「量」が「少しはある」ことを表わします。不定冠詞(a,an)を使わずに"few, little"のみなら、「数」や「量」が「ほとんどない」ことを表わします。
【例文】:A few children are playing in the schoolyard.
【和訳】:校庭で数人の子供が遊んでいる。
【例文】:Few children are playing in the schoolyard.
【和訳】:校庭で遊んでいる子供はほとんどいない。
【例文】のように"a"が付くと「数人はいる」、"a"がないと「ほとんどいない」のニュアンスです。
【例文】:There is a little soy sauce in the bottle.
【和訳】:びんに醤油が少し残っている。
【例文】:There is little soy sauce in the bottle.
【和訳】:びんに醤油はほとんど残っていない。
【例文】のように"a"が付くと「少しはある」、"a"がないと「ほとんどいない」のニュアンスです。
"a few, a little"のように"a + 〜"で数や量の多い少ないを表わす表現はたくさんあります。
基準や単位を表わす
不定冠詞の意味(4)
↑
不定冠詞(a, an)は「〜につき、〜ごとに」という意味を表わします。変化する数値の基礎となる基準や単位を表わします。不定冠詞(a, an)自体に「〜につき、〜ごとに」の意味があるので、"in"などの前置詞は不要。"once an hour"で「一時間に一回」です。
【例文】:一日三回、体温を測って下さい。
【 × 】:Measure your temperature three times in a day.
【 ○ 】:Measure your temperature three times a day.
→"a day"の意味は「一日につき」、"in"は不要
【例文】:時速百三十キロメートルの玉を投げることができます。
【 × 】:I can pitch a ball at 130 kilometers in an hour.
【 ○ 】:I can pitch a ball at 130 kilometers an hour.
→"an hour"の意味は「一時間につき」、"in"は不要
"per"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:一日三回、体温を測って下さい。
【英訳】:Measure your temperature three times per day.
【例文】:時速百三十キロメートルの玉を投げることができます。
【英訳】:I can pitch a ball at 130 kilometers per hour.
人名に付けて未知の人物を表わす
不定冠詞の意味(5)
↑
話し手がよく知らない人物のことを不定冠詞(a, an)で表わすことがあります。たいてい、敬称(Miss, Mrs., Ms., Mr.)の前に不定冠詞(a, an)を置きます。
# a Miss/Mrs./Ms./Mr. 人名(〜さんという方)
【例文】:There's a Mr. Holmes to see you.
【 × 】:あなたに会う一人のホームズさんがいます。
【 ○ 】:ホームズさんという方がお見えになっています。
【例文】:You have a call from a Mr. Holmes.
【 × 】:あなたは一人のホームズさんからの要求を持っています。
【 ○ 】:ホームズさんという方からお電話です。
名字に付けて一家の一員を表わす
不定冠詞の意味(6)
↑
「〜家の人、〜家の方、〜家の人物」を表わす場合、不定冠詞(a, an)を使うことがあります。不定冠詞(a, an)なので「一人の人物」を指します。
# a, an + 名字(〜家の一員、〜家の人、〜家の方、〜家の人物)
「〜家」を表わすので、"a, an"を付けるのは「名字(family name)」のほうです。たとえば、"Arsene Lupin"(アルセーヌ・ルパン)なら、「名字(family name)」は"Lupin"なので"a Lupin"(ルパン家の一員)です。
【例文】:As a Lupin you must take responsibility for your actions.
(= As a member of the Lupin family you must take responsibility for your actions.)
【 × 】:一人のルパンとして、自分の行動に責任を持ちなさい。
【 ○ 】:ルパン家の一員として、自分の行動に責任を持ちなさい。
「〜家の人々」は定冠詞(the)を使います。「人々」は複数なので名字(family name)も複数形を使います。
【例】:the Lupins(ルパン家の人々), the Watsons(ワトソン家の人々)
定冠詞(the)は物事を限定する
英語には定冠詞が一つしかありません。"the"のみ。
物事を決め付けないでなるべく広い範囲の話をする不定冠詞(a, an)とは異なり、定冠詞(the)は「この事である、あの話である」と、物事をはっきりと限定します。"the"はもともとは"this"や"that"と近い意味を持っていたので、「これ、それ」のニュアンスを含みます。
【例文】:The T-shirt is very funky.
【和訳】:そのTシャツ、いやに派手だな。
→"the T-shirt"は着ているTシャツか、近くにあるTシャツを指す
【例文】:A T-shirt is largely made of cotton.
(= T-shirts are largely made of cotton.)
【和訳】:Tシャツは主に綿から作られる。
→"a T-shirt"と"T-shirts"はTシャツ全体を指す
定冠詞(the)はどちらもOK
不定冠詞(a, an)と異なり、定冠詞(the)は複数形の名詞に付けることができます。
【例文】:I've seen the movie.
【和訳】:その映画は見たことある)
→"movie"(映画)は単数
【例文】:I've seen the movies.
【和訳】:その映画はどれも見たことある。
→"movies"(映画)は複数
【例文】:昨日、ノラの子猫一匹を拾ったけど、家では飼えない。
【英訳】:I picked up a stray kitten yesterday, but I can't keep the kitten.
→"the kitten"は「昨日拾った一匹のノラの子猫(= a stray kitten)」を指す
【例文】:昨日、ノラの子猫を三匹拾ったけど、家では飼えない。
【英訳】:I picked up three stray kittens yesterday, but I can't keep the kittens.
→"the kitten"は「昨日拾った三匹のノラの子猫(= three stray kittens)」を指す
「数えられない名詞」にもOK
不定冠詞(a, an)とは異なり、定冠詞(the)は「数えられない名詞」にも付けることができます。特定の物事の中で限定した一つを指し示します。
【例文】:日本史が好きです。
【 × 】:I like history of Japan.
【 × 】:I like a history of Japan.
【 ○ 】:I like the history of Japan.
(= I like Japanese history.)
→"history"は「数えられない名詞」
【例文】を英訳する場合"the history"の意味は、世界中のありとあらゆる歴史の中で「日本の歴史」です。
【例文】:ここの砂は裸足で歩くと気持ちがいい。
【 × 】:It's comfortable to walk barefoot on sand.
【 × 】:It's comfortable to walk barefoot on a sand.
【 ○ 】:It's comfortable to walk barefoot on the sand.
→"sand"は「数えられない名詞」
【例文】を英訳する場合"the sand"の意味は、この世のありとあらゆる砂の中で「ここの砂」です。
もともとの意味は「これ、それ」
定冠詞(the)のもともとの意味は「これ、それ」です。形容詞の"this, that, these, those"に近いニュアンスです。なので、次に置く名詞は単数でも複数でもOK。「数えられる名詞」にも「数えられない名詞」にも使えます。
初めての話題ではないことを表わす
定冠詞(the)の意味(1)
↑
定冠詞(the)は話し手か聞き手、あるいは両方がすでに知ってる話題を表わします。よく「その〜、あの〜」と和訳します。
【例文1】:I had a dog when I was a child. The dog liked me very much.
【和訳1】:子供のころ、犬を飼っていました。その犬はよく私になついていました。
【例文2】:I had a dog when I was a child. A dog liked me very much.
【和訳2】:子供のころ、犬を飼っていました。私はよく犬に好かれました。
【例文1】の場合、話題として出て来る「犬」は一匹だけです。なのに、最初は"a dog"、次に出て来るときは"the dog"とします。"a dog"のニュアンスは「犬という生き物」です。どの犬とは限定せずに犬全般を指します。一方、"the dog"のニュアンスは「(ほかの犬ではなく)私が子供のころに飼っていた犬」です。
これは日本語でもニュアンスは同じです。「犬を飼っていました」の「犬」はどの犬とは限定せずに犬という生き物全般を指します。「その犬」のニュアンスは「(ほかの犬ではなく)私が子供のころに飼っていた犬」です。
英語でも日本語でも、どの「犬」とは限定せずに話を始めると「a dog = 犬」です。どの「犬」かはっきりわかると、日本語では「その犬」、英語では"the dog"です。
【例文2】と【和訳2】のように、英語でも日本語でも、話の中で「a dog = 犬」の次にまた「a dog = 犬」と出て来ると、「子供のころに飼っていた犬」とは別の「犬」の話になってしまいます。
付近にある人や物を指す
定冠詞(the)の意味(2)
↑
定冠詞(the)はたいてい聞き手か話し手がすでに知っている話題を指します→【参照】:『定冠詞」の意味:初めての話題ではないことを表わす』
話の最初から"the dog(その犬)"や"the cell phone(あの携帯電話)"と言い出すときは、話をしている現場の近くにあるものを定冠詞(the)で表現することがあります。
【例文】:あの犬が携帯電話をくわえて持って行っちゃった。
【 × 】:A dog held a cell phone in its mouth and went away.
【 ○ 】:The dog held the cell phone in its mouth and went away.
【例文】に出て来る「犬」も「携帯電話」もまだ見える範囲にある場合は"the"を使います。特にどこの「犬」か知らない、誰の「携帯電話」かわからなくても、見えるところにあるので"the dog", "the cell phone"です。
【例文】:この電柱、ちょっと傾いているように見えるよね。数日中に倒れるかもね。
【 × 】:A pole looks slanted a bit, doesn't it? It may fall down in a few days.
【 ○ 】:The pole looks slanted a bit, doesn't it? It may fall down in a few days.
【例文】の場合、話している二人から見えるところに「傾いた電柱」があります。なので、初めて見る「電柱」であっても、すでに二人は「傾いた電柱」を目撃しているので定冠詞(the)を使います。
代わりになるものが存在しなことを表わす
定冠詞(the)の意味(3)
↑
定冠詞(the)は代わりが存在しないただ一つのものに付けます。「same(同一の)、first(最初の)、second(二番目の)、形容詞のonly(唯一の)、最上級」などは自動的に「一つしかないもの、ほかにはないもの」を表わすので、たいてい前に定冠詞(the)を置きます。
# the + same/first/second/only(形容詞)/最上級 〜……唯一であることを表わす
same
定冠詞(the)の意味:代わりになるものが存在しなことを表わす(1)
↑
"same"は別の個体ではあるが外見や性質などがまったく同一であることを表わします。ほかにはないというニュアンスを持つのでよく定冠詞(the)を前に置きます。
【例文】:I'm the same age as you.
【和訳】:君とは同い年だ。
【例文】:Donald eats the same things for lunch everyday.
【和訳】:ドナルドは毎日昼御飯で同じものを食べている。
first, second, next, last, etc
定冠詞(the)の意味:代わりになるものが存在しなことを表わす(2)
↑
"first(一番目の), second(二番目の), tenth(十番目の), hundredth(百番目の), etc"は「ほかの順番ではなく一つ目の二つ目の」というニュアンスを表わすので、たいてい定冠詞(the)を前に置きます。
【例文】:Turn the first crossroads to the right.
【和訳】:一つ目の交差点を右に曲って下さい。
【例文】:Push the second red button from the left.
【和訳】:左から二番目の赤いボタンを押して下さい。
【例文】:Today is the 10th birthday of my son.
【和訳】:今日は息子の十回目の誕生日です。
【例文】:The next bus stop is about 500 metres away.
【和訳】:次のバス停まで五百メートルほどあります。
【例文】:The last patient infected with COVID-19 has been cured and discharged from hospital.
【和訳】:新型コロナウイルスに感染した最後の患者が完治して退院しました。
only
定冠詞(the)の意味:代わりになるものが存在しなことを表わす(3)
↑
形容詞の"only"の意味は「唯一の、〜のみの」です。ニュアンスは「一つしかない〜、ほかにはない〜、ただ〜のみの」です。ほかには存在しないことを強調するので形容詞として使う場合はたいてい前に定冠詞(the)を置きます。
【例文】:The moon is the only satellite of the Earth.
【和訳】:月は地球の唯一の衛星です。
【例文】:This is the only road to reach the village.
【和訳】:その村に通じる唯一の道がこれです。
最上級
定冠詞(the)の意味:代わりになるものが存在しなことを表わす(4)
↑
「最上級」は「最高の、最上の」を表わすので意味的には「一つ」しか存在しません。なので、たいてい定冠詞(the)を前に置きます。
【例文】:The best choice was to go home.
【和訳】:最良の選択は家に帰ることだった。
【例文】:A gorilla may be the cleverest animal.
【和訳】:ゴリラは最も賢い動物かもしれない。
国名や地域名の名詞に付けて「〜の人全員」を表わす
定冠詞(the)の意味(4)
↑
国名や地域名を表わす単語の中で語尾が"ese, ss, ch, sh"で終るものは、定冠詞(the)を付けると名詞として「〜国の人々みんな、〜に住む人全員」の意味を表わします。「みんな」を意味するので複数扱いです。
【例文】:日本人が勤勉で礼儀正しいというのは昔の話だ。
【 × 】:It was said that the Japanese was diligent and polite.
【 ○ 】:It was said that the Japanese were diligent and polite.
→"the Japanese"の意味は「日本国民全員」、複数扱い
【例文】:スコットランド人はゴルフが好きだそうだ。見るのもプレーするのも好きだ。
【 × 】:I hear that the Scottish likes golf. She likes playing and watching it.
【 × 】:I hear that the Scottish likes golf. He likes playing and watching it.
【 ○ 】:I hear that the Scottish like golf. They like playing and watching it.
→"the Scottish"の意味は「スコットランド人全員」、複数扱い
「国名や地域名の形容詞 + people」もほぼ同じ意味を表わします。やはり、複数扱いです。
【例文】:日本人が勤勉で礼儀正しいというのは昔の話だ。
【英訳】:It was said that Japanese people were diligent and polite.
→"Japanese people " = "the Japanese"
【例文】:スコットランド人はゴルフが好きだそうだ。見るのもプレーするのも好きだ。
【英訳】:I hear that Scottish people like golf. They like playing and watching it.
→"Scottish people " = "the Scottish"
形容詞に付けて「〜な人は全員」を表わす
定冠詞(the)の意味(5)
↑
形容詞の前に定冠詞(the)を置いて「〜である人々みんな」を表わします。ただし、使える形容詞はごく少数です。「みんな」を意味するので、どの表現も複数扱いです。
「形容詞 + people」もほぼ同じ意味を表わします。【例】:the dead = dead people(死者), the poor = poor people(貧しい人々)。
【例文】:四十代や五十台の失業者の数が増えつつある。
【 × 】:The number of the jobless who is in his forties or fifties is increasing.
【 ○ 】:The number of the jobless who are in their forties or fifties is increasing.
(= The number of jobless people who are in their forties or fifties is increasing.)
→"the jobless(= jobless people)"は複数扱い
形容詞に付けて「物事や出来事」を表わす
定冠詞(the)の意味(6)
↑
定冠詞(the)は抽象的な意味を表わす形容詞の前に置いて、その形容詞が表わす「物事や出来事」を表わすことがあります。「物事や出来事」を表わす「the + 形容詞」はたいてい単数扱いです。
【例文】:No matter how well we have prepared, the unexpected tends to occur.
【和訳】:どんなに入念に準備していても、想定外の出来事は発生しがちだ。
→"the unexpected"(想定外の出来事)は単数扱い
【例文】:There is always a way to make the impossible possible.
【和訳】:不可能を可能にする方法は必ずあります。
→"the impossible"(実行や実現が不可能な物事)は単数扱い
【例文】:Illusionists can make the unreal look real.
【和訳】:マジシャンは非現実を現実であるのように見せることができる。
→"the unreal"(非現実的な物事)は単数扱い
名字に付けて「〜家の人々」を表わす
定冠詞(the)の意味(7)
↑
定冠詞(the)は名字(family name)の前に置いて「〜家の人々」を表わします。「人々」なので「数」は複数となり、名字(family name)も複数形にします。「〜家の一人、一員」は名字(family name)の前に不定冠詞(a, an)を置きます。
【例】:リンカーン家の人々、リンカーン家の一人
【訳】:the Lincolns, a Lincoln
→「人々」なので語尾に"s"を付ける
名字(family name)の最後が"s"で終わる場合は"es"を付けます。
【例文】:I hear that the Thomases will move.
【和訳】:トーマスさん一家は引っ越すそうですよ。
→"Thomases"は"Thomasの複数形"
「the + 比較級」で「〜であるほど」を表わす
定冠詞(the)の意味(8)
↑
定冠詞(the)は普通、名詞の前に置いて名詞の意味を補足説明します→【参照】:『「冠詞」ってナニ?』
ときどき、定冠詞(the)を比較級に変化させた形容詞や副詞の前に置くことがあります。
【例文】:A war correspondent is a dangerous job but all the more it is worth doing it.
【和訳】:従軍記者は危険な仕事だが、それだけにやりがいがある。
【例文】:The more I think about the question, the more perplexed I am.
【和訳】:この問題は考えれば考えるほど、いよいよわからなくなる。
【例文】の"the"はいずれも副詞の比較級(more)に付いています。名詞の補足説明ではなく副詞の補足説明なので、"the"は副詞として機能します。意味は「程度、度合」を表わし、和訳はたいてい「それだけ〜、その分だけ〜、それほど〜、いよいよ〜」です。物事が変化すればそれに連なってもう一つの物事が変化することを表わします。
"all the more"の"all"は強調を表わします。
# the(副詞) + 比較級(それだけ〜、その分だけ〜、それほど〜、いよいよ〜)
"more"以外の比較級を使うこともよくあります。「the + 形容詞」と勘違いして、「その〜であること」と和訳すると日本語として意味不明です。
【例文】:Some scientists say that the less we eat the healthier we are.
【 × 】:数人の科学者はそのより少ないを食べて、そのより健康が私たちである。
【 ○ 】:少食であればあるほどよりいっそう健康になれる、と言う科学者もいる。
→"less"は副詞の比較級、"healthier"は形容詞の比較級
【例文】:My son is studying all the harder for having got a perfect score.
【 × 】:私の息子は百点取ったためにすべてそのより一生懸命を勉強する。
【 ○ 】:息子はテストで百点を取ったので、それだけjやる気が出て一生懸命勉強しています。
→"harder"は副詞の比較級
量的に充分であることを表わす
定冠詞(the)の意味(9)
↑
定冠詞(the)は抽象的な意味を表わす名詞の前に置いて、その名詞が量的に充分にあることを表わします。話題に出て来た何かを指すのではなく、目標を達成するために充分な量が存在することを表わします。
【例文】:A teacher should have the patience to listen to what students say without any prejudice.
【 × 】:先生は生徒が何を話すかを一切の偏見なしに聞くその忍耐が必要だ。
【 ○ 】:先生は生徒の話に一切の偏見なしに耳を傾ける忍耐が必要だ。
→"the patience"の意味は「〜するのに充分な忍耐」
【例文】:I don't have the time to finish my homework.
【 × 】:宿題を終らせるためにその時間がない。
【 ○ 】:宿題を終らせる時間がない。
→"the time"の意味は「〜するのに充分な時間」
【例文】:I want to gain a little weight, but I don't have the appetite.
【 × 】:もう少し体重を増やしたいけれどその食欲がない。
【 ○ 】:もう少し体重を増やしたいけれど食欲が追い付かない。
→"the appetite"の意味は「〜するのに充分な食欲」
"enough"もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:A teacher should have enough patience to listen to what students say without any prejudice.
(= A teacher should have the patience to listen to what students say without any prejudice.)
【和訳】:先生は生徒の話に一切の偏見なしに耳を傾ける忍耐が必要だ。
【例文】:I don't have enough time to finish my homework.
(= I don't have the time to finish my homework.)
【和訳】:宿題を終らせる時間がない。
【例文】:I want to gain a little weight, but I don't have enough appetite.
(= I want to gain a little weight, but I don't have the appetite.)
【和訳】:もう少し体重を増やしたいけれど食欲が追い付かない。
習慣的に定冠詞を付ける語句
たとえば、"go to school"の意味は「通学する」です。しかし、"go to the school"は「学校を訪問する、学校を訪ねる」です。
"school"の場合、《冠詞》なしの意味は「教育施設としての学校」です。定冠詞(the)を付けると意味は「建物としての学校」です。このように、《冠詞》のある、なしで意味が変化する語句をまとめます。たいてい、場所を表わす語句です。《冠詞》なしだと「その建物で何をするのか」を強調します。
"college, university, hospital"の三語は、「そこで何をするのか」を強調する場合、イギリス英語では《冠詞》なしで使い、アメリカ英語では定冠詞(the)を使います。【例】:「大学へ通う」:"go to the college/universtiy"(アメリカ英語), "go to college/universtiy"(イギリス英語)。【例】:「入院する」:"enter the hospital"(アメリカ英語), "enter hospital"(イギリス英語)。
"school"が「そこで何をするのか」を強調する場合、アメリカ英語でもでもイギリス英語でも《冠詞》なしで使います。【例】:「通学する」:"go to school"。
固有名詞や普通名詞でたいてい"the"を付けるもの
習慣的に定冠詞(the)を付ける語句の中で見落としがちなものをまとめます。
固有名詞
固有名詞や普通名詞でたいてい"the"を付けるもの(1)
↑
普通、固有名詞に《冠詞》を付けませんが、定冠詞(the)を付ける固有名詞もあります。
上記のルールに当てはまるもの以外も含めて、たいてい定冠詞(the)を前に置く固有名詞を意味別にまとめます。
固有名詞なので単語自体はいずれも大文字で始めますが、前に置く定冠詞(the)は小文字で始めて"the"のままで使います。ただし、オランダの都市名「ハーグ」(The Hague)は定冠詞(the)も必ず大文字で始めます。新聞名は定冠詞(the)を大文字で始めるものが多いようです。【例】:The Times(タイムズ)。
固有名詞に定冠詞(the)を付ける付けないのルールはそれほど厳密には守られないので、ここで挙げた語句でも定冠詞(the)を付けないことがあります。
普通名詞
普通名詞や普通名詞でたいてい"the"を付けるもの(2)
↑
普通名詞の中で、話題の限定なしに、原則として定冠詞(the)を付ける例をまとめます。
冠詞不要の表現
原則として、「数えられる名詞」の複数形や「数えられない名詞」は定冠詞(the)や不定冠詞(a, an)なしでもよく使います。
【例】:I like dogs (= I like a dog).
【訳】:犬が好き。
→"dogs"は数えられる名詞、意味は「(漠然と)犬」
【例】:I like coffee. I drank tree cups of coffee.
【訳】:コーヒーが好きだ。コーヒーを三杯飲んだ。
→"coffee"は数えられない名詞、意味は「(漠然と)コーヒー」
ここでは特に、定冠詞(the)や不定冠詞(a, an)を付けそうで実は付けない単語や表現をまとめます。
名詞(school, work, etc)
無冠詞(1)
↑
定冠詞(the)や不定冠詞(a, an)を付けそうで実は付けない名詞と名詞を使う言い回しをまとめます。《冠詞》のあるなしで意味が変化するものもあります。
施設
無冠詞:名詞(1)
↑
"school"(学校)や"church"(教会)など施設を表わすごく一部の名詞は、その施設で何をするのか、そこはどういう施設なのかのニュアンスを強調する場合、無冠詞で使います。
【例文】:私は学校に通っています。(= 私は学生です)
【 × 】:I go to a school.
【 × 】:I go to the school.
【 ○ 】:I go to school.
(= I'm a student.)
→学生として通学しているので"a, the"は不要
【例文】:私は大学に通っています。(= 私は大学生です)
【 × 】:I go to a college.
【 × 】:I go to the college.
【 ○ 】:I go to college.
(= I'm a college student.)
【例文】:私は大学に通っています。(= 私は大学生です)
→学生として通学しているので"college"に"a, the"は不要
【 × 】:I go to a university.
【 ○ 】:I go to the university.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:I go to university.[※イギリス英語]
(= I'm a university student.)
→学生として通学しているので"university"に"the"は不要、アメリカ英語では"the"を付ける
【例文】:毎週日曜日には教会へ行きます。
【 × 】:I go to a church every Sunday.
【 × 】:I go to the church every Sunday.
【 ○ 】:I go to church every Sunday.
→信徒として礼拝などの儀式に参加するので"church"に"a, the"は不要
【例文】:絵を見るためにその教会を訪れました。
【 × 】:I visited church to look at the paintings.
【 ○ 】:I visited the church to look at the paintings.
→外部の人間が教会を訪問するだけなので"church"に"the"が必要
【例文】:救急車で病院に運ばれました。
【 × 】:The ambulance took me to a hospital.
【 ○ 】:The ambulance took me to the hospital.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:The ambulance took me to hospital.[※イギリス英語]
→治療や処置のため病院へ運ばれたので"hospital"に"a"は不要、アメリカ英語では"the"を付ける
【例文】:二日で退院しました。
【 × 】:I left a hospital in two days.
【 ○ 】:I left the hospital in two days.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:I left hospital in two days.[※イギリス英語]
→患者として入院していたので"hospital"に"a"は不要、アメリカ英語では"the"を付ける
【例文】:明日裁判所へ出廷します。
【 × 】:I will appear in a court tomorrow.
【 × 】:I will appear in the court tomorrow.
【 ○ 】:I will appear in court tomorrow.
→裁判のために裁判所へ行くので"court"に"a, the"は不要
【例文】:裁判所の敷地内で火災が発生した。
【 × 】:A fire broke out inside court.
【 ○ 】:A fire broke out inside the court.
→火災発生現場としての裁判所なので"court"に"the"を付ける
【例文】:一年間刑務所に入っていました。
【 × 】:I was in a jail/a prison for one year.
【 × 】:I was in the jail/the prison for one year.
【 ○ 】:I was in jail/prison for one year.
→囚人として入所していたので"jail, prison"に"a, the"は不要
【例文】:ある囚人に会うためにその刑務所を訪れました。
【 × 】:I visited jail/prison to meet a prisoner.
【 ○ 】:I visited the jail/the prison to meet a prisoner.
→外部の人間が刑務所を訪問するだけなので"jail, prison"に"the"が必要
場所
無冠詞:名詞(2)
↑
"bed"(ベッド)など場所を表わすごく少数の名詞は、その場所で何をするのか、そこはどういう場所なのかのニュアンスを強調する場合、無冠詞で使います。
複数の意味がある"space"や"work"など場所を表わすごく少数の名詞は、特定の意味で使う場合、無冠詞で使うことがあります。
【例文】:いつもは十一時前に寝ます。
【 × 】:I usually go to a bed before eleven.
【 × 】:I usually go to the bed before eleven.
【 ○ 】:I usually go to bed before eleven.
→ベッドやふとんに入って睡眠を取ることを表わすので"bed"に"a, the"は不要
【例文】:今朝は五時に起きました。
【 × 】:I was out of a bed at five this morning.
【 × 】:I was out of the bed at five this morning.
【 ○ 】:I was out of bed at five this morning.
→目を覚ましてベッドやふとんから出ることを表わすので"bed"に"a, the"は不要
【例文】:ベッドの上で物を食べないで。
【 × 】:Don't eat on bed.
【 ○ 】:Don't eat on the bed.
→単なる場所としてのベッドなので"the"を付ける
【例文】:地球を宇宙から見てみたい。
【 × 】:I want to see earth from a space/an outer space.
【 × 】:I want to see earth from the space/the outer space.
【 ○ 】:I want to see earth from space/outer space.
→宇宙空間を指すので"space, outer space"に"a, the"は不要
【例文】:この扇風機リビングに置くとずいぶんと場所を取るなぁ。
【 × 】:This fan takes up too much a space in the living room.
【 × 】:This fan takes up too much the space in the living room.
【 ○ 】:This fan takes up too much space in the living room.
→空きや置き場所を表わすので"space"に"a, the"は不要
【例文】:無料で車を止めることができる場所があります。
【 × 】:There's free parking space available.
【 ○ 】:There's a free parking space available.
→特定の用途に使う場所をあらわすので"space"に"a"を付ける
【例文】:これが町で一番高いビルです。
【 × 】:This is the highest building in a town.
【 × 】:This is the highest building in the town.
【 ○ 】:This is the highest building in town.
→自分が住んでいる町を指すので"town"に"a, the"は不要
【例文】:中心街にはバスのターミナルと鉄道の駅があります。
【 × 】:There are a bus terminal and a railroad station in a town.
【 × 】:There are a bus terminal and a railroad station in the town.
【 ○ 】:There are a bus terminal and a railroad station in town.
→町の中心部や中心街を指すので"town"に"a, the"は不要
【例文】:都会生まれの田舎育ちです。
【 × 】:I was born in town and raised in the country.
【 ○ 】:I was born in the town and raised in the country.
→田舎に対する都会の意味なので"town"に"the"を付ける
【例文】:自転車通勤です。
【 × 】:I go to a work by bike.
【 × 】:I go to the work by bike.
【 ○ 】:I go to work by bike.
→職場、仕事場を表わすので"work"に"a, the"は不要
【例文】:職場の人たちから誕生日プレゼンをもらいました。
【 × 】:The people at a work gave me a birthday present.
【 × 】:The people at the work gave me a birthday present.
【 ○ 】:The people at work gave me a birthday present.
→職場、仕事場を表わすので"work"に"a, the"は不要
【例文】:力が必要な仕事は子供たちには荷が重い。
【 × 】:Work that requires strength is too heavy for children.
【 ○ 】:The work that requires strength is too heavy for children.
→特定の性質の仕事を指すので"work"に"the"を付ける
装置
無冠詞:名詞(3)
↑
「放送を視聴する」の意味を表わす場合、"radio"は定冠詞(the)を省略することがあります。"television"と"TV"はたいてい定冠詞(the)省略します。
【例文】:ロックダウン(都市封鎖)のことはラジオで聞きました。
【 × 】:I heard about the lockdown on a radio.
【 ○ 】:I heard about the lockdown on the radio.
【 ○ 】:I heard about the lockdown on radio.
→「ラジオ放送、ラジオ番組」の意味では"the"のあるなし両方が可能
【例文】:緊急事態宣言はラジオとテレビで放送された。
【 × 】:The state of emergency declaration was broadcast on a radio and a television.
【 × 】:The state of emergency declaration was broadcast on the radio and the television.
【 ○ 】:The state of emergency declaration was broadcast on radio and television.
→無冠詞の"radio"の意味は「ラジオ放送、ラジオ番組」、無冠詞の"television"の意味は「テレビ放送、テレビ番組」
【例文】:ラジオもテレビも持っていません。
【 × 】:I don't have radio or TV.
【 ○ 】:I don't have a radio or a TV.
→"a radio"の意味は「受信機としてのラジオ」、"TV"の意味は「受像機としてテレビ」
スポーツ名
無冠詞:名詞(4)
↑
スポーツの競技名は「数えられない名詞」なのでたいてい無冠詞で使います。
【例文】:野球/バスケットボール/ゴルフ/サッカー/バレーボールをします。
【 × 】:I play a baseball/a basketball/a golf/a soccer/a volleyball.a
【 × 】:I play the baseball/the basketball/the golf/the soccer/the volleyball.the
【 ○ 】:I play baseball/basketball/golf/soccer/volleyball.
食事名
無冠詞:名詞(5)
↑
食事名は「数えられない名詞」なのでたいてい無冠詞で使います。ただし、同じ食事名を表わす"meal(食事)"と"snack(軽食、間食)"は「数えられる名詞」なので定冠詞(the)や不定冠詞(a, an)を付けることがあります。
【例文】:朝食/ブランチ/昼食/夕食/夕食/軽食は食べました。
【 × 】:I had a breakfast/a brunch/a lunch/a dinner/a supper/a tea.
【 × 】:I had the breakfast/the brunch/the lunch/the dinner/the supper/the tea.
【 ○ 】:I had breakfast/brunch/lunch/dinner/supper/tea.
→"breakfast, brunch, lunch, dinner, supper, tea"は数えられない名詞、"a, the"は不要
"brunch"は遅めの朝食を表わします。朝食と昼食を兼ねた食事です。"dinner"はその日のメインの食事を表わします。特にイギリスでは昼御飯がその日のメインの食事(dinner)となることがあります。"supper"はその日の最後の食事を指します。寝る前に摂る夜食も"supper"です。"tea"は昼食と夕食の間に摂る軽い食事を指します。主にイギリスの習慣です。
【例文】:食事/軽食は摂りました。
【 × 】:I had meal/snack.
【 ○ 】:I had a meal/a snack.
→"meal, snack"は数えられる名詞、"a"が必要
"meal"と"snack"はともに「数えられる名詞」です。"meal"は食事全般を表わします。"snack"は食事と食事の間に摂る軽食を指します。子供のおやつを表わすこともあります。
時間帯
無冠詞:名詞(6)
↑
"day"(昼間)や"dusk"(夕暮れ時)など一日の内の限定した時刻や時間帯を表わす単語は無冠詞で使うことがあります。
時間帯を表わす名詞の場合、前置詞の"at, by, before, after"などと一緒に使うときは無冠詞が普通です。特定の時刻や時間帯をあえて指し示すときは定冠詞(the)や"this, last, next"などを使うことがあります→【参照】:『前置詞なしで「時」を表わす副詞句(next 〜, last 〜, etc)』
"at"は特定の時刻や時間帯を表わします。"by"は"day, night"と一緒に使うと、ある程度の長さの時間帯(昼の間、夜の間)を表わします。"day, night"以外の場合は期限(〜までに)を表わします。
"at 〜"や"by day, by night"は毎日の昼、毎日の夜に当てはまる一般的な出来事を表わすときによく使います。特定の日の昼や夜を指すときは"in 〜"(〜の時に)や"during 〜"(〜の間に)を使います。
"morning, afternoon, evening"は"by"(〜までに)と使うときは無冠詞です。三語とも前置詞の"at"が使えません。毎日の朝昼夕であろうと特定の日の朝昼夕であろうと、前置詞の"in"を使って"in the morning, in the afternoon, in the evening"と表現します。
【例文】:昼間は寝て夜に働きます。
【英訳】:I sleep by day and work by night.
→"day"(昼間)、"night"(夜間)は"by"の次では無冠詞で使う
【例文】:夜間に目が覚めてトイレに行くことはありますか。
【英訳】:Do you wake up and go to the bathroom at night?
→"night"(夜間)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:真夜中の十二時に寝て次に起きたら昼間の十二時だった。
【英訳】:I went to bed at midnight and woke up at midday.
→"midnight"(真夜中)と"midday"(真昼)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:正午にここで待ち合わせましょう。
【英訳】:We will meet here at noon.
→"noon"(真昼)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:雨は朝までには上がった。
【英訳】:The rain stopped by morning.
→"morning"(朝)は"by"(〜までに)の次では無冠詞で使う
【例文】:夕方までにはもどります。
【英訳】:I'll be back by evening.
→"evening"(夕方)は"by"(〜までに)の次では無冠詞で使う
【例文】:夕暮れ時は交通量が増える。
【英訳】:The traffic is heavy at dusk.
→"dusk"(夕暮れ時)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:たそがれ時は道路標識や信号が見にくくなる。
【英訳】:It's hard to see traffic sings and signals at twilight.
→"twilight"(たそがれ時)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:陽が落ちて捜索はいったん打ち切られた。
【英訳】:The search was suspended at nighfall.
→"nightfall"(夕暮れ時)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:夜明けとともに捜索を再開します。
【英訳】:We will resume the search at dawn.
→"dawn"(夜明け)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:いつも日が昇る前にうちの猫に起こされる。
【英訳】:My cat regularly wakes me before daybreak.
→"daybreak"(夜明け)は"before"の次では無冠詞で使う
【例文】:日の出の風景というものをまだ見たことがありません。
【英訳】:I haven't see scenery at sunrise/sunup.
→"sunrise, sunup"(日の出)は"at"の次では無冠詞で使う
【例文】:捜索は日没時に中止するつもりです。
【英訳】:We will stop searching at sunset/sundown.
→"sunset, sundown"(日没)は"at"の次では無冠詞で使う
曜日名、月名、季節名
無冠詞:名詞(7)
↑
曜日名と月の名前は原則として、どの曜日かどの月か限定せずに「日曜日はいつも、五月は毎年」などの意味を表わすときは無冠詞で使います。季節名も「毎年春はいつも」などの意味で使う限りは無冠詞ですが、アメリカ英語では定冠詞(the)を付けることもあります。
【例文】:この店は水曜日が休みだ。
【 × 】:This shop is closed on a Wednesday.
【 × 】:This shop is closed on the Wednesday.
【 ○ 】:This shop is closed on Wednesday.
→"Wednesday"に"a, the"は不要
【例文】:私の生まれは2000年の1月です。
【 × 】:I was born in the January of 2000.
【 ○ 】:I was born in January of 2000.
(= I was born in January, 2000)
→"January"に"the"は不要
【例文】:私は2000年の2月14日生まれです。
【 × 】:I was born on the 14th of the February in 2000.
【 ○ 】:I was born on the 14th of February in 2000.
(= I was born on February 14th, 2000.)
→"February"に"the"は不要
【例文】:この島は春には花で一杯になる。
【 ○ 】:This island is full of flowers in the spring.[※アメリカ英語]
【 ○ 】:This island is full of flowers in spring.
→"spring"は"the"付けても付けなくてもOK
病気名、症状名
無冠詞:名詞(8)
↑
ほとんどの病名や症状名は「数えられない名詞」なのでたいてい無冠詞で使います。
ただし、"cold(風邪)"と"allergy(アレルギー)"は「数えられる名詞」なので不定冠詞(a,an)を付けます。"ache"で終る"backache"(腰痛)や"headache"なども「数えられる名詞」なので不定冠詞(a,an)を付けます。
【例文】:インフルエンザ/結核は公衆衛生上の深刻な問題だ。
【 × 】:An influenza/A tuberculosis is a serious public health problem.
【 × 】:The influenza/The tuberculosis is a serious public health problem.
【 ○ 】:Influenza/Tuberculosis is a serious public health problem.
→病気の名前は数えられない名詞、"a, the"は付けない
【例文】:大人もぜんそくを患うことがあります。
【 × 】:Older people can suffer from an asthma, too.
【 × 】:Older people can suffer from the asthma, too.
【 ○ 】:Older people can suffer from asthma, too.
→病気の名前は数えられない名詞、"an, the"は付けない
【例文】:腰痛/頭痛がひどい。
【 × 】:I have severe backache/severe headache.
【 ○ 】:I have a severe backache/a severe headache.
→「〜痛」を表わす"-ache"は数えられる名詞、"a"を付ける
【例文】:ハウスダストとダニアレルギーです。
【 × 】:I have allergy to house dust and dust mites.
【 ○ 】:I have an allergy to house dust and dust mites.
→"allergy"は数えられる名詞、"an"を付ける
その他
無冠詞:名詞(9)
↑
意味によっては無冠詞で使う名詞でよく見かけるものをまとめます。
【例文】:授業中にしゃっくりが止まらなくなった。
【 × 】:I couldn't stop hicupping in a class.
【 × 】:I couldn't stop hicupping in the class.
【 ○ 】:I couldn't stop hicupping in class.
→「授業中に」の英語は"in class"、"a, the"は不要
【例文】:英語の授業をサボった。
【 × 】:I skipped English class.
【 ○ 】:I skipped the English class.
→どの授業なのか明確なので"the"を付ける
科目を指定せずに単に「授業」の意味で使う場合、"class"は無冠詞単数形が普通です。
【例文】:太古の時代、人々は自然と調和して暮していた。
【 × 】:In ancient times, people lived in harmony with a nature
【 × 】:In ancient times, people lived in harmony with the nature
【 ○ 】:In ancient times, people lived in harmony with nature
→大自然や自然界の意味では"nature"に"a, the"は不要
【例文】:感染症の世界的流行は日常生活の質を変化させてしまう。
【 × 】:A pandemic of an infectious disease changes nature of everyday life.
【 ○ 】:A pandemic of an infectious disease changes the nature of everyday life.
→"nature"の意味は「質、性質」、"the"が必要
科学や機械文明などを特徴とする「人間界」に対して、人が関わらない「自然界」の意味で使う場合、"nature"は無冠詞単数形が普通です。
【例文】:現代社会おいても未だに人種差別や少数民族差別は存在している。
【 × 】:Racism and minority discrimination still exist in a modern society.
【 × 】:Racism and minority discrimination still exist in the modern society.
【 ○ 】:Racism and minority discrimination still exist in modern society.
→人の集まりや共同体の意味では"society"に"a, the"は不要
【例文】:そのスポーツ関係の協会は医療従事者にマスクを寄付した。
【英訳】:Sports society donated face masks to medical workers.
【英訳】:The sports society donated face masks to medical workers.
→"society"の意味は「協会、クラブ」、"the"が必要
漠然と人々の集まりを表わす「社会」の意味で"society"を使う場合、無冠詞単数形が普通です。
時の流れとしての「時間」の意味で使う場合、"time"は無冠詞単数形が普通です。
【例文】:時間は止めることも巻き戻すこともできない。
【 × 】:We cannot stop or rewind a time.
【 × 】:We cannot stop or rewind the time.
【 ○ 】:We cannot stop or rewind time.
→時の流れとしての時間の意味では"time"に"a, the"は不要
【例文】:故郷を出てずいぶんになる。
【 × 】:It's been long time since I left my hometown.
【 ○ 】:It's been a long time since I left my hometown.
→"time"の意味は「ある程度の長さの時間」、"a"が必要
【例文】:電気が存在しない時代、ろうそくが明りとして使われていた。
【 × 】:In time when there was no electricity, candles were used for light.
【 ○ 】:In the times when there was no electricity, candles were used for light.
→"times"の意味は「ある限定された時代」、"the"が必要
「主語 + 動詞 + 補語(無冠詞)」
無冠詞(2)
↑
役職名(captain, head, etc)をbe動詞や"become"の次で補語として使う場合、役職名の前の定冠詞(the)はよく省略します。特に、椅子が一つしかない役職の場合は無冠詞で使うのが普通です→【参照】:『「無冠詞:主語 + 動詞 + 目的語 + 補語(無冠詞)」』
# 主語 + be/become/etc + 役職名を表わす単数形の名詞(無冠詞)
【例文】:父は高校の校長でした。
【 ○ 】:My father was a principal of a high school.
【 ○ 】:My father was principal of a high school.
→"principal"は補語、"a"はよく省略する
【例文】:アメリカの大統領になるのが夢でした。
【 △ 】:I had a dream of becoming the President of the United States.
【 ○ 】:I had a dream of becoming President of the United States.
→"President"は補語、"the"はないほうが普通
「アメリカの大統領」の場合、"president"は無冠詞で大文字で始めるのが普通です。
【例文】:総理大臣は政府の長です。
【 ○ 】:The prime minister is the head of the government.
【 ○ 】:The prime minister is head of the government.
→"head"は補語、"the"はよく省略する
「主語 + 動詞 + 目的格 + 補語(無冠詞)」
無冠詞(3)
↑
役職名(captain, head, etc)を目的語の次で補語として使う場合、役職名の前の定冠詞(the)はよく省略します。特に、椅子が一つしかない役職の場合は無冠詞で使うのが普通です→【参照】:『無冠詞:「主語 + 動詞 + 補語(無冠詞)」』
# 主語 + appoint/designate/nominate/etc + 目的語 + 役職名を表わす単数形の名詞(無冠詞)
【例文】:総理大臣はあなたを内閣官房長官に任命しました。
【 ○ 】:The Prime Minister appointed you the chief cabinet spokesman.
【 ○ 】:The Prime Minister appointed you chief cabinet spokesman.
→"chief cabinet spokesman"は補語、"the"はよく省略する
【例文】:その地区は革新派の若い女性が議員として選出されました。
【 ○ 】:A liberal young woman was elected the lawmaker for that area.
【 ○ 】:A liberal young woman was elected lawmaker for that area.
→"lawmaker"は補語、"the"はよく省略する
【例文】:前の知事が大統領候補に指名された。
【 ○ 】:The former governor was nominated the presidential candidate.
【 ○ 】:The former governor was nominated presidential candidate.
→"presidential candidate"は補語、"the"はよく省略する
「前置詞 + 名詞(無冠詞)」
無冠詞(4)
↑
前置詞の次に「数えられる名詞」の無冠詞単数形を置くことがあります。
as(〜として)
無冠詞:「前置詞 + 名詞(無冠詞)」(1)
↑
前置詞"as"の次に役職名を表わす名詞を置くとき、定冠詞(the)をよく省略します。特に、席が一つしかない役職の場合は定冠詞(the)を省略するのが普通です。
# as + 役職名を表わす単数形の名詞(無冠詞)
【例文】:世界保健機関(WHO)の事務局長に選ばれたのは誰ですか。
【 △ 】:Who was elected as the director general of World Health Organization (WHO)?
【 ○ 】:Who was elected as director general of World Health Organization (WHO)?
→"director general"は"as"(〜として)、の目的語、"the"は付けないのが普通
【例文】:チームのキャプテンとして敗戦の責任を感じます。
【 △ 】:I feel responsible of the defeat as the captain of the team.
【 ○ 】:I feel responsible of the defeat as captain of the team.
→"captain of the team"は"as"(〜として)、の目的語、"the"は付けないのが普通
by(〜を使って)
無冠詞:「前置詞 + 名詞(無冠詞)」(2)
↑
前置詞の"by"が交通や通信の手段や方法を表わす場合、次に置く名詞は不定冠詞(a,an)や定冠詞(the)などを付けないのが普通です。
# by + 交通の手段や方法を表わす単数形の名詞(無冠詞)
# by + 通信の手段や方法を表わす単数形の名詞(無冠詞)
【例文】:自転車/バイク/バス/電車通学です。
【 × 】:I go to school by a bicycle/a motorbike/a bus/a train.
【 × 】:I go to school by the bicycle/the motorbike/the bus/the train.
【 ○ 】:I go to school by bicycle/motorbike/bus/train.
→"by"の次の"a, the"は不要
【例文】:町を回るには路面電車/路面電車/地下鉄/地下鉄が一番安上がりだ。
【 × 】:Going around town by a tram/a streetcar/a subway/a underground is the cheapest.
【 × 】:Going around town by the tram/the streetcar/the subway/the underground is the cheapest.
【 ○ 】:Going around town by tram/streetcar/subway/underground is the cheapest.
→"by"の次の"a, the"は不要
【例文】:商品は航空便/船便で送られます。
【 × 】:Goods are sent by an air freight/a sea freight.
【 × 】:Goods are sent by the air freight/the sea freight.
【 ○ 】:Goods are sent by air freight/sea freight.
→"by"の次の"a, the"は不要
【例文】:書類はファックス/郵便/郵便/メールで送ります。
【 × 】:I send you the document by a fax/a mail/a post/a email.
【 × 】:I send you the document by the fax/the mail/the post/the email.
【 ○ 】:I send you the document by fax/mail/post/email.
→"by"の次の"a, the"は不要
per(〜につき)
無冠詞:「前置詞 + 名詞(無冠詞)」(3)
↑
前置詞の"per"の意味は「〜につき、〜ごとに」です。割合を表わします。次に置く名詞は必ず無冠詞で使います。不定冠詞(a,an)や定冠詞(the)を付けません。
# per + 単数形の名詞(無冠詞)
【例文】:夕飯は一人につき五千円だった。
【 × 】:The dinner cost five thousand yen per a person.
【 × 】:The dinner cost five thousand yen per the person.
【 ○ 】:The dinner cost five thousand yen per person.
→"per"の次の"a, the"は不要
【例文】:人はおよそ時速四キロで歩く。
【 × 】:A human walks approximately four kilometers per an hour.
【 × 】:A human walks approximately four kilometers per the hour.
【 ○ 】:A human walks approximately four kilometers per hour.
→"per"の次の"a, the"は不要
【例文】:高校では平均すると生徒三十五人につき一人の先生が付いています。
【 × 】:On average, there are about 35 students per a teacher in high schools.
【 × 】:On average, there are about 35 students per the teacher in high schools.
【 ○ 】:On average, there are about 35 students per teacher in high schools.
→"per"の次の"a, the"は不要
「kind/sort/type of + 名詞(無冠詞)」
無冠詞(5)
↑
種類を表わす"kind of, sort of, type of"の次に置く名詞は通例、無冠詞で使います。"kind, sort, type"はほぼ同じ意味です。
# kind/sort/type of + 数えられる名詞の単数形(無冠詞)
# kinds/sorts/types of + 数えられる名詞の複数形(無冠詞)
# kind/sort/type of + 数えらない名詞の単数形(無冠詞)
# kinds/sorts/types of + 数えらない名詞の単数形(無冠詞)
「数えられる名詞」の場合、一つの種類を表わすときは単数形を使います。複数の種類を表わすときは複数形を使います。「数えられない名詞」の場合、複数形が存在しないので複数の種類を表わすときも単数形のままで使います。
【例文】:この種のクモはゴキブリを捕ってくれます。
【 × 】:This kind of a spider hunts cockroaches.
【 × 】:This kind of the spider hunts cockroaches.
【 ○ 】:This kind of spider hunts cockroaches.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:三十種類のハンバーガーがある。
【 × 】:There are thirty kinds of a burger.
【 × 】:There are thirty kinds of the burgers.
【 ○ 】:There are thirty kinds of burgers.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:この種のガスはオゾン層にダメージを与える。
【 × 】:This kind of the gas damages the ozone layer.
【 ○ 】:This kind of gas damages the ozone layer.
→"of"の次の"the"は不要
【例文】:この種の知識はどれも非常時に役に立つでしょう。
【 × 】:These kinds of the knowledge will help you in case of emergency.
【 ○ 】:These kinds of knowledge will help you in case of emergency.
→"of"の次の"a, the"は不要
"of"の次の名詞に前置詞句や関係代名詞が続いても名詞は無冠詞で使います。
【例文】:屋内に棲息するこの種のクモはゴキブリを捕ってくれます。
【 × 】:This kind of a spider that lives indoors hunts cockroaches.
【 × 】:This kind of the spider that lives indoors hunts cockroaches.
【 ○ 】:This kind of spider that lives indoors hunts cockroaches.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:この店のメニューには三十種類のハンバーガーが載っている。
【 × 】:There are thirty kinds of a burger on the menu of the shop.
【 × 】:There are thirty kinds of the burgers on the menu of the shop.
【 ○ 】:There are thirty kinds of burgers on the menu of the shop.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:冷蔵庫やエアコンに使われるこの種のガスはオゾン層にダメージを与える。
【 × 】:This kind of the gas that is used in air conditioners and refrigerators damages the ozone layer.
【 ○ 】:This kind of gas that is used in air conditioners and refrigerators damages the ozone layer.
→"of"の次の"the"は不要
【例文】:被災者の方々から得たこの種の知識はどれも非常時に役に立つでしょう。
【 × 】:These kinds of the knowledge from disaster sufferers will help you in case of emergency.
【 ○ 】:These kinds of knowledge from disaster sufferers will help you in case of emergency.
→"of"の次の"the"は不要
「the amount of + 名詞(無冠詞)」「the number of + 名詞(無冠詞)」
無冠詞(6)
↑
総量を表わす"the amount of"と総数を表わす"the number of"の次に置く名詞は必ず無冠詞で使います。
# the amount of + 数えられない名詞の単数形(無冠詞)
# the number of + 数えられる名詞の複数形(無冠詞)
集団の総数を表わすので"the number of"の次の名詞は複数形を使います。総量の場合は、「数えられない名詞」の量を表わすので単数形のままにしておきます。「数えられない名詞」に複数形は存在しません。
【例文】:二酸化炭素の量は減っている。
【 × 】:The amount of a carbon dioxide is decreasing.
【 × 】:The amount of the carbon dioxide is decreasing.
【 ○ 】:The amount of carbon dioxide is decreasing.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:自動車事故の数は増えてきた。
【 × 】:The number of the car accidents has increased.
【 ○ 】:The number of car accidents has increased.
→"of"の次の"a, the"は不要
"of"の次の名詞に前置詞句や関係代名詞が続いても名詞は無冠詞で使います。
【例文】:車から排出される二酸化炭素の量は減っている。
【 × 】:The amount of a carbon dioxide that is emitted from cars is decreasing.
【 × 】:The amount of the carbon dioxide that is emitted from cars is decreasing.
【 ○ 】:The amount of carbon dioxide that is emitted from cars is decreasing.
→"of"の次の"a, the"は不要
【例文】:携帯電話やスマートフォンが原因の自動車事故の数は増えてきた。
【 × 】:The number of the car accidents due to cell phones or smartphones has increased.
【 ○ 】:The number of car accidents due to cell phones or smartphones has increased.
→"of"の次の"a, the"は不要
「a piece of + 名詞(無冠詞)」「a box of + 名詞(無冠詞)」
無冠詞(7)
↑
「数えられない名詞」を数える"piece, bottle, etc"や「数えられる名詞」を数える"box, bunch, etc"などを"of"と一緒に使う場合、"of"の次の名詞は原則として無冠詞です。
# piece/bottle/etc of + 数えられない名詞の単数形(無冠詞)
# box/bunch/etc of + 数えられる名詞の複数形(無冠詞)
「数えられない名詞」には複数形が存在しないので、二つ以上を数えるときは"piece"や"bottle"などを複数形にします。「数えられる名詞」の場合は複数個をまとめて一つ二つと数えるので、"box"や"bunch"などの次の名詞は必ず複数形を使います。
【例文】:床に紙が何枚か落ちている。
【 × 】:There are several pieces of the paper on the floor.
【 ○ 】:There are several pieces of paper on the floor.
→"of"の次の"the"は不要
【例文】:二等賞は箱一杯の棒チョコでした。
【 × 】:Second prize was a box of the bar chocolates.
【 ○ 】:Second prize was a box of bar chocolates.
→"of"の次の"the"は不要