助動詞やbe動詞を文頭に置く
《倒置》とは、文の主語と動詞の位置がひっくり返ることを指します→【参照】:『「倒置」って何だっけ?』
英語の場合も、主語の前に動詞や助動詞が出て来て、「動詞 + 主語」の語順になることを《倒置》と言います。もう一つ、助動詞のみを前に出して、「主語 + 動詞」の語順はそのままキープという《倒置》もあります。
"Do you like coffee?"(コーヒーは好きですか)のような見慣れた疑問文も一種の《倒置文》です。語順は主語の"you"の前に助動詞の"do"を置いて「助動詞 + 主語 + 動詞 + 目的語」です。
どこの語順を変えるのか
《倒置文》の作り方をまとめます。
《倒置》は疑問文や祈願文を作るときに使います。このほかに"as"や"at no time"などの語句の文頭に置いて意味を強調する場合、後に続く文に対して《倒置》を使うこともあります。
多くの場合、「主語 + 動詞」の語順はそのままキープして、助動詞やbe動詞を主語の前に置きます。助動詞やbe動詞が存在しない場合は、助動詞の"do, does, did"を追加して主語の前に置きます。
ただし、助動詞やbe動詞が存在しない場合でも、助動詞の"do, does, did"を追加せずに、シンプルに主語と動詞の語順をひっくり返して「動詞 + 主語」とすることもあります。
倒置のニュアンス
《倒置》で語順を変えることによって、疑問や感嘆など文に特別なニュアンスを付け加えることができます。また、語句の強調や省略を表わし、いつもとは異なる語順で文の流れに変化を与えることもできます。
倒置で意味を変化させる
《倒置》で文全体の意味を変化させる例をまとめます。代表的な使用例は疑問文や感嘆文です。
疑問文は倒置で表わす
疑問文は《倒置》で表わします。
元になる平叙文に助動詞やbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞の"do, does, did"を主語の前に追加で置きます。
文に助動詞がある場合
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:疑問文(1)
↑
疑問文を作るとき、元の文に"can"やwillなどの助動詞があれば、その助動詞を主語の前に置きます。
【平叙】:You can wear kimono by yourself.(あなたは一人で着物を着ることができる)
【例文】:一人で着物を着ることができますか。
【 × 】:Do you can wear kimono by yourself?
【 ○ 】:Can you wear kimono by yourself?
→疑問文は助動詞の"can"を文頭に置く、"do"は不要
【平叙】:You have been to India.(あなたはインドへ行ったことがある)[※現在完了時制]
【例文】:インドへ行ったことがありますか?
【 × 】:Did you have been to India?
【 ○ 】:Have you been to India?
→現在完了時制の疑問文は助動詞の"have"を主語の前に置く、"didは不要"
文にbe動詞がある場合
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:疑問文(2)
↑
疑問文を作るとき、be動詞があれば、そのbe動詞を主語の前に置きます。
【平叙】:You are hungry.(あなたはお腹が空いている)
【例文】:お腹空いた?
【 × 】:Do you be hungry?
【 ○ 】:Are you hungry?
→疑問文はbe動詞を主語の前に置く、"do"は不要
【平叙】:You were sleeping.(あなたは寝ていた)[※進行時制]
【例文】:寝ていたの?
【 × 】:Did you be sleeping?
【 ○ 】:Were you sleeping?
→進行時制の疑問文はbe動詞を主語の前に置く、"didは不要"
【平叙】:You were surprised.(あなたはびっくりした)[※受動態]
【例文】:びっくりした?
【 × 】:Did you be surprised?
【 ○ 】:Were you surpried?
→受動態の疑問文はbe動詞を主語の前に置く、"didは不要"
文に助動詞もbe動詞ない場合
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:疑問文(3)
↑
疑問文を作るとき、元の文に助動詞もbe動詞もないときは、助動詞の"do(does, did)"を追加して主語の前に置きます。
【平叙】:You dislike bugs.(あなたは虫が嫌いだ)
【例文】:虫は嫌いですか?
【 × 】:Dislike you bugs?
【 ○ 】:Do you dislike bugs?
→平叙文にbe動詞も助動詞もないので"do"を追加して主語の前に置く
感嘆文で使う倒置
感嘆文で《倒置》を使うことがあります。否定疑問の感嘆文は常に《倒置》を使います。
"what"や"how"を使う場合
なぜ倒置を使うの?(2)文に特別な意味を持たせる:感嘆文(1)
↑
ときどき、"what"や"how"を使う感嘆文で《倒置》を使います。動詞がbe動詞の場合に、そのbe動詞を主語の前に置きます。助動詞の"do, does, did"の追加は不要。やや古めかしい表現です。
【例文】:What a dark place this room is!
【和訳】:この部屋はなんて暗いんだ。
【例文】:What a dark place is this room![※やや古めかしい言い方]
【和訳】:暗き部屋かな。
→be動詞を主語の"this room"の前に置く
【例文】:How lovely the dog is!
【和訳】:なんてかわいい犬だろう。
【例文】:How lovely is the dog![※やや古めかしい言い方]
【和訳】:見目麗しき犬よ。
→be動詞を主語の"the dog"の前に置く
否定疑問を使う場合
なぜ倒置を使うの?(2)文に特別な意味を持たせる:感嘆文(2)
↑
"Don't 〜"や"Aren't 〜"などの「否定疑問」を使って感嘆文を作ることがあります→【参照】:『感嘆文:否定疑問を使う』
動詞や助動詞が主語の前に出て来るので一種の《倒置》です。たいてい、文末の記号が疑問符(?)ではなく感嘆符(!)なので、すぐに感嘆文とわかります。
「否定疑問」で感嘆文を作るとき、元の文に助動詞かbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞の"do, does, did"を主語の前に追加で置きます。
【平叙文】:You can operate a forklift truck.(あなたはフォークリフトを運転できる)
【例文】:フォークリフトを動かせるんだ。
【 × 】:Don't you can operate a forklift truck!
【 ○ 】:Can't you operate a forklift truck!
→助動詞の"Can't"を文頭に置く、助動詞があるので"Don't"の追加は不要
【平叙文】:It is cute.(それかわいい)
【例文】:それかわいいんじゃない。
【 × 】:Doesn't it be cute!
【 ○ 】:Isn't it cute!
→"Isn't"を文頭に置く、be動詞があるので"Doesn't"の追加は不要
【平叙文】:You did well.(よくやった)
【例文】:よくやったじゃないか。
【 × 】:Don't you well!
【 ○ 】:Didn't you do well!
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"Don't"を時制変化させて"Didn't"を主語の"you"の前に追加で置く
祈願文の倒置
願いを表わす祈願文で助動詞"may"を使う場合は、たいてい《倒置》を使います。助動詞"may"を主語の前に置きます。主語と動詞の位置は変化なし。やや堅苦しい表現です。
【例文】:May all the victims rest in peace.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:犠牲者の方全員のご冥福をお祈り申し上げます。
→"may"を主語"all the victims"の前に置く
【例文】:Long may you live.[※やや堅苦しい言い方]
【和訳】:ご長寿をお祈り申し上げます。
→副詞の"long"も一緒に前に置くこともある
倒置で「〜だけれども」(譲歩)の意味を表わす
接続詞の"as"や"thouth"を使う文で「譲歩」(〜だけれども)を表わすときに《倒置》を使うことがあります。
形容詞や副詞、名詞、動詞に"as"や"though"を付け加えて主語の前に置きます。助動詞の"do, does, did"の追加は不要。やや堅苦しい表現です。
動詞の前に「譲歩」の意味を表わす助動詞の"may"や"might"を置くことがあります。「〜だけれども」という「譲歩」のニュアンスを表わします。mayやmightがあってもなくても意味的にはほとんど変化はありません→【参照】:『譲歩を表わすmayの構文:Young as/though he may be(彼は若いけれど)』『譲歩を表わすmightの構文:Young as/though he might be(彼は若かったけれど)』
形容詞 + as/though + 主語 + 動詞 + 〜
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:「譲歩」の"as, though"(1)
↑
【例文】:この魚は今釣った。見た目は不気味だけど、案外おいしいよ。
【英訳】:I've just caught this fish. Weird as it looks, it tastes unexpectedly delicious.
【英訳】:I've just caught this fish. Weird as it may look, it tastes unexpectedly delicious.
【英訳】:I've just caught this fish. Weird though it looks, it tastes unexpectedly delicious.
【英訳】:I've just caught this fish. Weird though it may look, it tastes unexpectedly delicious.
(= I've just caught this fish. Although it looks weird, it tastes unexpectedly delicious.)
→「形容詞 + as」「形容詞 + though」を文頭に置く、助動詞の"do, does, did"の追加は不要
"this fish looks weird"(この魚は見た目は不気味だ)の場合、形容詞の"weird"に接続詞のas"や"though"を付け足して主語の前に置くと、語順は"Weird as/though this fish looks"です。「形容詞 + as/though + 主語 + 動詞」の語順で「〜だけれども」の意味を表わします。
「形容詞 + as/though」で譲歩文を表わす場合、「主語 + 動詞」の語順は一切変化しません。"do, does, did"の追加も不要。形容詞を文頭に出して次に"as"や"though"を置くだけです。
副詞 + as/though + 主語 + 動詞 + 〜
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:「譲歩」の"as, though"(2)
↑
【例文】:芸術家として父をたいへん尊敬していますが、私たちの仲はよくありません。
【英訳】:Deeply as I respect my father as an artist, we've never got along.
【英訳】:Deeply as I may respect my father as an artist, we've never got along.
【英訳】:Deeply though I respect my father as an artist, we've never got along.
【英訳】:Deeply though I may respect my father as an artist, we've never got along.
(= Although I respect my father as an artist, we've never got along.)
→「副詞 + as」「副詞 + though」を文頭に置く、助動詞の"do, does, did"の追加は不要
"I deeply respect my father as an artist"(芸術家として父をたいへん尊敬している)の場合、副詞の"deeply"に接続詞のas"や"though"を付け足して主語の前に置くと、語順は"Deeply as/though I respect my father as an artist"です。「副詞 + as/though + 主語 + 動詞」の語順で「〜だけれども」の意味を表わします。
「副詞 + as/though」で譲歩文を表わす場合、「主語 + 動詞」の語順は一切変化しません。"do, does, did"の追加も不要。副詞を文頭に出して次に"as"や"though"を置くだけです。
名詞 + as/though + 主語 + 動詞 + 〜
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:「譲歩」の"as, though"(3)
↑
【例文】:じいちゃんは戦闘機乗りだったけれど、高所恐怖症だったらしいよ。
【英訳】:Fighter pilot as my grandfather was, I heard he had acrophobia.
【英訳】:Fighter pilot as my grandfather might be, I heard he had acrophobia.
【英訳】:Fighter pilot though my grandfather was, I heard he had acrophobia.
【英訳】:Fighter pilot though my grandfather might be, I heard he had acrophobia.
(= Although my grandfather was a fighter pilot, I heard he had acrophobia.)
→「名詞 + as」「名詞 + though」を文頭に置く、助動詞の"do, does, did"の追加は不要
"my grandfather was a fighter pilot"(じいちゃんは戦闘機乗りだった)の場合、名詞の"fighter pilot"に接続詞のas"や"though"を付け足して主語の前に置くと、語順は"Fighter pilot as/though my grandfather was"です。「名詞 + as/though + 主語 + 動詞」の語順で「〜だけれども」の意味を表わします。
「名詞 + as/though + 主語 + 動詞 + 〜」の場合、名詞に冠詞は一切不要です。"A fighter pilot as 〜"ではなく、"Fighter pilot as 〜"でOK。不定冠詞の"a"は不要。
「名詞 + as/though」で譲歩文を表わす場合、「主語 + 動詞」の語順は一切変化しません。"do, does, did"の追加も不要。名詞を文頭に出して次に"as"や"though"を置くだけです。
動詞 + as/though + 主語 + 〜
なぜ倒置を使うの?:文に特別な意味を持たせる:「譲歩」の"as, though"(4)
↑
動詞の"try"に接続詞の"as"や"though"を付け足してを主語の前に置く「try as/though + [主語] + might」はイディオム的な表現です。
# Try as/though + 主語 + might, 〜.(努力してみたけれど〜だった)
【例文】:Try as I might, I was unable to find my cell phone.
【例文】:Try though I might, I was unable to find my cell phone.
(= However hard I tried, I was unable to find my cell phone.)
【和訳】:努力はしてみたものの、携帯電話は見つからなかった。
たいてい、「try as/though + [主語] + might」の形で使い、意味は「[主語]は努力をしてみたものの、[主語]がやってはみたけれど」です。「動詞 + as/though + 主語」の語順で「〜だけれども」の意味を表わします。
「動詞 + as/though + 主語 + 〜」で譲歩文を表わす場合、助動詞の"do, does, did"の追加は不要。動詞を文頭に出して次に"as"や"though"を置くだけです。
倒置で「〜もまた」(同様)の意味を表わす
「〜もまたそうである」の意味を表わすとき、"as"を前に置いて主語と動詞をひっくり返した《倒置》を使うことがあります。助動詞の"do, does, did"の追加は不要。やや堅苦しい表現です。
【例文】:姉がそうであるように、私も看護師です。
【英訳】:I'm a nurse, as my older sister is.
↓……"as"以下の主語と動詞の位置を入れ替えて倒置にする
【 × 】:I'm a nurse, as does my older sister is.
【 ○ 】:I'm a nurse, as is my older sister.[※やや堅苦しい言い方]
(= I'm a nurse, and so is my older sister.)
→"is"を主語の"my old sister"の前に置く、"does"の追加は不要
【例文】:ほかの多くのサラリーマンと同様に、私は毎朝早起きして会社に向かいます。
【英訳】:I get up early every morning and go to office, as many other office workers do.
↓……"as"以下の主語と動詞の位置を入れ替えて倒置にする
【 × 】:I get up early every morning and go to office, as do many other office workersu do.
【 ○ 】:I get up early every morning and go to office, as do many other office workers.[※やや堅苦しい言い方]
(= I get up early every morning and go to office as well as many other office workers do.)
→"do"を主語の"many other office workers"の前に置く、"do"の追加は不要
倒置で「その通り」(相槌)の意味を表わす
特に会話で相手の話にそうだよ相槌を打つとき、"so"を文頭に置いた《倒置》を使うことがあります。相槌の"so"の場合、主語と動詞の位置は変化させません。
"so"は「〜もまた」の意味を表わすことがあります→【参照】:『なぜ倒置を使うの?:語句の省略を表わす:「〜もまた」の"so"』
相槌の"so"は今言った相手の話に対して賛成を表わす返事なので、語句の繰り返しを避けて「so + 主語 + 動詞」と短くまとめます。"so"は相手の話の内容を指します。
【例文】:「お兄さんがいますよね」「兄がいます」
【英訳】:"You have a brother." "I have a brother."
↓……"a brother"を"so"に言い換えて文頭に置く
【例文】:「お兄さんがいますよね」「その通りです」
【 × 】:"You have a brother." "So have I."
【 ○ 】:"You have a brother." "So I have."
→"so"のみを文頭に置く、「主語 + 動詞」の語順は変化させない
【例文】:「ほら、雨が降りそうだ」「本当に、雨が降りそうだ」
【英訳】:"Look, it looks like rain." "Exactly it looks like rain."
↓……"exactly"と"looks like rain"を"so"に言い換えて文頭に置く
【例文】:「ほら、雨が降りそうだ」「そうだね」
【 × 】:"Look, it looks like rain." "So does it."
【 ○ 】:"Look, it looks like rain." "So it does."
→"so"のみを文頭に置く、「主語 + 動詞」の語順は変化させない
倒置で音のリズムに変化を与える
《倒置》で文の流れを変化させる例をまとめます。代表的な使用例は"Off goes the lid."(外れちゃた、蓋が)です。
"up, here"など一語の副詞の場合
"up, down, here, there"などの副詞を強調やリズムを整えるため文頭に置くとき、主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》を使うことがあります。
"up, down, here, there"など綴りが短い副詞の場合、リズムに変化を与えるため会話文でも《倒置》をよく使います。日本語でも《倒置》を使って、「植木鉢が上から落ちて来た」を「上から落ちて来た、植木鉢が」と表現することはよくあります。主語を強調するために主語を動詞の後ろに置きます。
up, down, back, off, etc
なぜ倒置を使うの?(6)文の流れを変化させる:場所や方向を表わす副詞(up, here, etc)(1)
↑
場所や方向の意味を持つ《副詞》(up, down, etc)が強調で文頭に出て来ると、主語と動詞の位置がひっくり返ります。助動詞の"do, does, did"を追加することはありません。主語が代名詞のときは倒置を使いません。
【例文】:日が昇って来た。
【英訳】:The sun came up.
↓……"Up"を文頭に置く
【例文】:昇って来たよ日が。
【 × 】:Up did the sun come.
【 ○ 】:Up came the sun.
→場所や方向を表わす副詞"up"の倒置では"did"を使わない
【例文】:警報が鳴り出した。
【英訳】:The alarm went off.
↓……"Up"を文頭に置く
【例文】:鳴り出した警報が。
【 × 】:Off did the alarm goes.
【 ○ 】:Off went the alarm.
→場所や方向を表わす副詞"off"の倒置では"did"を使わない
【例文】:彼がやって来た。
【英訳】:He came along.
↓……"Along"を文頭に置く
【例文】:やって来た彼が。
【 × 】:Along came he.
【 ○ 】:Along he came.
→主語が代名詞のときは倒置を使わない
here, there
なぜ倒置を使うの?(6)文の流れを変化させる:場所や方向を表わす副詞(up, here, etc)(2)
↑
"here 〜, there 〜"構文の意味は、存在を表わす「〜がいる、〜がある」ではなく、他人への注意喚起を表わすを表わす「ほらあそこに〜がいる、こんなところに〜がある」です→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
他人への注意喚起を表わす"here, there"が強調で文頭に出て来ると、主語と動詞の位置がひっくり返ります。助動詞の"do, does, did"を追加することはありません。主語が代名詞のときは倒置を使いません。
【例文】:タクシーが来たよ。
【英訳】:A taxi comes here.
↓……"Here"を文頭に置く
【例文】:ほら、来たよタクシーが。
【 × 】:Here does a taxi come.
【 ○ 】:Here comes a taxi.
→注意喚起を表わす副詞"here"の倒置では"does"を使わない
【例文】:これどうぞ。
【英訳】:It is here.
↓……"Here"を文頭に置く
【例文】:はいどうぞこれ。
【 × 】:Here is it.
【 ○ 】:Here it is.
→主語が代名詞のときは倒置を使わない
【例文】:帽子が飛んで行った。
【英訳】:My cap goes there.
↓……"There"を文頭に置く
【例文】:飛んで行っちゃった帽子が。
【 × 】:There does my hat go.
【 ○ 】:There goes my hat.
→注意喚起を表わす副詞"there"の倒置では"does"を使わない
【例文】:貧困のため充分な食事を摂れない子供たちがここにいます。
【英訳】:The children who are unable to eat enough food due to poverty are there.
↓……"There"を文頭に置く
【例文】:ここに貧困のため充分な食事を摂れない子供たちがいる。
【 × 】:There does the children who are unable to eat enough food due to poverty are.
【 ○ 】:There are the children who are unable to eat enough food due to poverty.
→注意喚起を表わす副詞"there"の倒置では"does"を使わない
"on the chair"など副詞句の場合
なぜ倒置を使うの?(7)文の流れを変化させる:場所や方向を表わす副詞句(on the 〜, in the 〜, etc)(1)
↑
"on the 〜, in the 〜"などの「場所や方向を表わす副詞句」を強調やリズムを整えるために文頭に置くとき、主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》を使うことがあります。
日本語でも《倒置》を使って、「人が通りに倒れている」を「通りに倒れている、人が」と表現することはよくあります。主語を強調するために主語を動詞の後ろに置きます。
【例文】:猫が椅子の上にいる。
【英訳】:A cat sits on the chair.
↓……"On the chair"を文頭に置く
【例文】:椅子の上にいるよ、猫が。
【 × 】:On the chair does a cat sit.
【 ○ 】:On the chair sits a cat.
→場所や方向を表わす副詞句"on the chair"の倒置では"does"を使わない
【例文】:驚くべき生物が水の中には棲息している。
【英訳】:Amazing creatures live under the water.
↓……"Under the water"を文頭に置く
【例文】:水の中には棲息している、驚くべき生物が。
【 × 】:Under the water do amazing creatures live.
【 ○ 】:Under the water live amazing creatures.
→場所や方向を表わす副詞句"under the water"の倒置では"do"を使わない
【例文】:バットマンが人込みの中に立っていた。
【英訳】:Batman stood among the crowd.
↓……"Among the crowd"を文頭に置く
【例文】:人込みの中に立っていた、バットマンが。
【 × 】:Among the crowd did Batman stand.
【 ○ 】:Among the crowd stood Batman.
→場所や方向を表わす副詞句"among the crowd"の倒置では"did"を使わない
【例文】:It came from outer space without warning.
【英訳】:それは何の前触れもなく宇宙からやって来た。
↓……"From outer space"を文頭に置く
【例文】:それは何の前触れもなくやって来た、宇宙から。
【 × 】:From outer space came it without warning.
【 ○ 】:From outer space it came without warning.
→主語が代名詞のときは倒置を使わない
【例文】:あなたは車道のど真ん中に座っていた。
【英訳】:You were sitting in the middle of the road.
↓……"In the middle of the road"を文頭に置く
【例文】:車道のど真ん中に座っていたよあなたは。
【 × 】:In the middle of the road were you sitting.
【 ○ 】:In the middle of the road you were sitting.
→主語が代名詞のときは倒置を使わない
主語がわかりにくくなる倒置
なぜ倒置を使うの?(7)文の流れを変化させる:場所や方向を表わす副詞句(on the 〜, in the 〜, etc)(2)
↑
場所や方向を表わす《副詞句》が長い上に《倒置》まで使うと、文の主語がどれなのかさっぱりわからんこともよくあります。ありがちな和訳ミスをまとめます。文頭にある語句が主語とは限りません。
【例文】は三つとも、場所や方向を表わす《副詞句》を強調のため文頭に置いて、さらに《倒置》を使っています。
【例文】:Around the water truck stood lots of children holding an empty plastic bottle or bucket.
(= Lots of children holding an empty plastic bottle or bucket stood around the water truck.)
【 × 】:水の周りにはトラックが立っていて多くの子供たちが空のペットボトルやバケツを抱えている。
【 ○ 】:給水車の周りにはたくさんの子供たちが空のペットボトルやバケツを抱えて立っていた。
→文全体の主語は"lots of children 〜 bucket"(空のペットボトルやバケツを持ったたくさんの子供たち)
【例文】:Deep in the jungle lies a magnificent, ancient pyramid which nobody has investigated.
(= A magnificent, ancient pyramid which nobody has investigated lies deep in the jungle.)
【 × 】:深いジャングルで壮大な古代の誰も調査していないピラミッドの嘘をつく。
【 ○ 】:ジャングルの奥深くにあるのは未調査の堂々たる古代のピラミッドだ。
→文全体の主語は"a magnificent 〜 investigated"(未調査の堂々たる古代のピラミッド)
【例文】:In front of the temporary city reception stood a long line of people who needed a disaster victim certificate.
(= A long line of people who needed a disaster victim certificate stood in front of the temporary city reception.)
【 × 】:仮設の市の受付の前が罹災証明書を必要とする人の長い列を立たせた。
【 ○ 】:仮設の市の受付の前では罹災証明書を必要とする人が長い列を作っていた。
→文全体の主語は"a long line 〜 certificate"(罹災証明書を必要とする人の長い列)
会話文の場合
会話文のときに《倒置》を使って「said + 人」と表現することがあります。主に小説で使うテクニックです。文のリズムを変える効果があります。
語順は単純に主語と動詞をひっくり返すだけで、助動詞の"do, does, did"を追加することはありません。また、主語が代名詞のときはたいてい《倒置》を使いません。
会話文の最後に"said"を置くときに《倒置》を使って「said + 人」します。"said"を会話文の前に置いて《倒置》を使うことはありません。
【例文】:「静かに」とボブは言った
【英訳】:"Be quiet," Bob said.
↓……"Bob"と"said"の語順を入れ替えて倒置にする
【例文】:「静かに」とボブは言った
【 × 】:"Be quiet," did Bob say.
【 ○ 】:"Be quiet," said Bob.
→"did"は不要、"said Bob"とする
【例文】:ボブは言った。「静かに」
【 × 】:Said Bob, "Be quiet."
【 ○ 】:Bob said, "Be quiet."
→会話文の前で"Said Bob"とは言わない
【例文】:「いらっしゃいませ」と店員は言った。
【英訳】:"Can I help you?" the sales clerk said.
↓……"the sales clerk"と"said"の語順を入れ替えて倒置にする
【例文】:「いらっしゃいませ」と店員は言った。
【 × 】:"Can I help you?" did the sales clerk say.
【 ○ 】:"Can I help you?" said the sales clerk.
→"did"は不要、"said the sales clerk"とする
【例文】:店員は言った。「いらっしゃいませ」
【 × 】:Said the sales clerk, "Can I help you?"
【 ○ 】:The sales clerk said, "Can I help you?"
→会話文の前で"Said the sales clerk"とは言わない
【例文】:「足元に注意して下さい」と彼は言った。
【 △ 】:"Please watch you step," said he.
【 ○ 】:"Please watch you step," he said.
→代名詞を使った"he said"は倒置しないほうが普通
【例文】:彼は言った。「足元に注意して下さい」
【 × 】:Said he, "Please watch you step."
【 ○ 】:He said, "Please watch you step."
→会話文の前で"Said he"とは言わない
"so"を使う場合
「so + 形容詞/副詞」を強調のため文頭に置くとき、主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》を使うことがあります。やや堅苦しい表現。特に、「so + 形容詞/副詞 + that + 〜」のときによく《倒置》を使います。
「so + 形容詞/副詞」を強調で文頭に置くとき、元の文に助動詞かbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞の"do, does, did"を主語の前に追加で置きます。
【例文】:食べ過ぎたので一カ月で五キロも太った。
【英訳】:I have eaten so much that I have gained five kilograms in a month.
↓……"So much"を文頭に置く
【例文】:過食が原因で一カ月で五キロも太った。
【 × 】:So much do I have eaten that I have gained five kilograms in a month.
【 ○ 】:So much have I eaten that I have gained five kilograms in a month.[※やや堅苦しい言い方]
→"have"を主語の"you"の前に置く、助動詞あるので"do"を使わない
【例文】:あなたの話はひどく奇妙なので信じられない。
【英訳】:Your talk is so odd that I can't believe it.
↓……"So odd"を文頭に置く
【例文】:君の話はすこぶる奇妙なので信じ難い。
【 × 】:So odd does your talk is that I can't believe it.
【 ○ 】:So odd is your talk that I can't believe it.[※やや堅苦しい言い方]
→"is"を主語の"your talk"の前に置く、be動詞があるので"does"を使わない
【例文】:日本語がずいぶんと上手いので日本人かと思いました。
【英訳】:You speak Japanese so fluently that I think you are Japanese.
↓……"So fluently"を文頭に置く
【例文】:日本語がたいそう達者なので日本人かと思いました。
【 × 】:So fluently speak you Japanese that I think you are Japanese.
【 ○ 】:So fluently do you speak Japanese that I think you are Japanese.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"you"の前に追加で置く
"such"を使う場合
"such that"の場合、"such"を強調のため文頭に置くと主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》を使います。動詞はたいていbe動詞です。やや堅苦しい表現。
【例文】:飼っていた猫がいなくなってしまった。ショックで食べられなかった。
【英訳】:My cat had disappeared. The disappointment was such that I was unable to eat.
(= My cat had disappeared. I was so disappointed that I was unable to eat.)
↓……"Such"を文頭に置く
【例文】:飼い猫が失踪した。失望のあまり食事が喉を通らなかった。
【 × 】:My cat had disappeared. Such did the disappointment was that I was unable to eat.
【 ○ 】:My cat had disappeared. Such was the disappointment that I was unable to eat.[※やや堅苦しい言い方]
(= My cat had disappeared. So disappointed was I that I was unable to eat.)
→"was"を主語の"the disappointment"の前に置く、助動詞の"do, does, did"の追加は不要
【例文】:新しい枕を買った。非常に寝心地が良くて寝坊した。
【英訳】:I had bought a new pillow. The comfort was such that I overslept.
(= I had bought a new pillow. The pillow was so comfortable that I overslept.)
↓……"Such"を文頭に置く
【例文】:枕を新調した。快適なあまり寝過ごした。
【 × 】:I had bought a new pillow. Such did the comfort was that I overslept.
【 ○ 】:I had bought a new pillow. Such was the comfort that I overslept.[※やや堅苦しい言い方]
(= I had bought a new pillow. So comfortable was the pillow that I overslept.)
→"was"を主語の"the comfort"の前に置く、助動詞の"do, does, did"の追加は不要
"than"を使う場合
"than"を含む「比較級」の文で、"than"以下の主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》使うことがあります。助動詞の"do, does, did"の追加は不要。やや堅苦しい表現です。
特に、"than"以下の主語が長くなるとよく《倒置》を使います。
【例文】:ささやかな生活は富や名声よりも多くの喜びを与えてくれる。
【英訳】:Simple life brings more joy than wealth and fame do.
↓……"than"以下の主語と動詞の位置を入れ替えて倒置にする
【例文】:ささやかな生活は富や名声よりも多くの喜びをもたらす。
【 × 】:Simple life brings more joy than do wealth and fame do.
【 ○ 】:Simple life brings more joy than do wealth and fame.[※やや堅苦しい言い方]
→"do"を"wealth"の前に置く、"do"の追加は不要
【例文】:子供は二十歳以上の大人よりも多くの水分が必要だ。
【英訳】:Children need more water than people over 20 years old do.
↓……"than"以下の主語と動詞の位置を入れ替えて倒置にする
【和訳】:子供は二十歳以上の大人よりも多くの水分を必要とする。
【 × 】:Children need more water than do people over 20 years old do.
【 ○ 】:Children need more water than do people over 20 years old.[※やや堅苦しい言い方]
→"do"を"people"の前に置く、"do"の追加は不要
語句の意味を強調する倒置
《倒置》で語句の意味を強調する例をまとめます。代表的な使用例は"Never have I seen it."(そんなの見たことない)です。
倒置文をよく使う副詞(意味的に否定を表わすもの)
意味的に否定を表わす副詞を強調で主語の前に置くとき、たいてい主語と動詞の位置もひっくり返して《倒置》を使います。やや堅苦しい表現です。
否定を表わす副詞を強調で文頭に置くとき、元の文に助動詞かbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞のdoを追加して人称と時制を変化させて《副詞》と一緒に主語の前に置きます。
"not"を使う否定文"I didn't see it."が《倒置》で"Not did I see it."になることは、通常ありません。ただし、"not"を含むイディオム的な表現(not until 〜, not a single 〜, etc)が強調のため《倒置》を使うことはあります→【参照】:『否定を表わす語句(on no account, not until, etc)』
hardly A when B, scarcely A when B, no sooner A than B(Aするや否やBだ)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(1)
↑
三つつともほぼ同じ意味。"hardly, scarcely"は""when"の代わりに"before"を使うこともあります。"no sooner"のみ"than"で固定。
三つともたいてい時制はAに過去完了、Bに過去を使います。和訳は前から順に「Aするや否やBだ」「Aをすると同時にBだった」でOK。
"hardly, scarcely"はそれぞれ単独の場合は、文頭に置いても《倒置》を使うことは比較的まれです。イディオムとして"hardly A when B, scarcely A when B"のときに、"hardly, scarcely"を文頭に置くと《倒置》を使います。
【例文】:鉄道が再開されるとすぐに町に観光客がたくさんもどって来た。
【英訳】:The railroad had hardly reopened when tourists and sightseers again flocked to the town.
↓……"Hardly"を文頭に置く
【例文】:鉄道が再開されるや否や町に観光客が大勢もどって来た。
【 × 】:Hardly did the railroad had reopened when tourists and sightseers again flocked to the town.
【 ○ 】:Hardly had the railroad reopened when tourists and sightseers again flocked to the town.
→助動詞の"had"を主語の"the railroad"の前に置く、助動詞があるので"did"は不要
【例文】:車に触ったとたん静電気がビリビリ来た。
【英訳】:I had scarcely touched the car when I got static shock.
↓……"Scarcely"を文頭に置く
【例文】:車に触るや否や静電気が走った。
【 × 】:Scarcely did I have touch the car when I got static shock.
【 ○ 】:Scarcely had I touched the car when I got static shock.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"had"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"did"は不要
【例文】:子供たちが部屋に入ったとたんクラッカーが派手に鳴らされた。
【英訳】:The kids had no sooner come in the room than lots of party poppers were pulled.
↓……"No sooner"を文頭に置く
【例文】:子供たちが部屋に入るや否やクラッカーが派手に鳴らされた。
【 × 】:No sooner did the kids have come in the room than lots of party poppers were pulled.
【 ○ 】:No sooner had the kids come in the room than lots of party poppers were pulled.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"had"を主語の"the kids"の前に置く、助動詞があるので"did"は不要
rarely, seldom(めったに〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(2)
↑
"rarely"と"seldom"はほぼ同じ意味。二語とも頻度を表わします。
【例文】:新聞はめったに読まないし、テレビニュースもほとんど見ない。
【英訳】:I seldom read newspaper and I rarely watch television news.
↓……"Seldom"を文頭に置く、"rarely"を"and"の次に置く
【例文】:新聞なぞめったに目を通さないし、テレビニュースを視聴することもほとんどない。
【 × 】:Seldom read I newspaper and rarely watch I television news.
【 ○ 】:Seldom do I read newspaper and rarely do I watch television news.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"I"の前に追加で置く
never(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(3)
↑
"never"は頻度がゼロであることを表わします。
【例文】:両国が経済協力を進めることに同意する日なんて想像さえできなかった。
【英訳】:I never imagined the day when both countries would agree to enhance economic cooperation.
↓……"Never"を文頭に置く
【例文】:両国が経済協力の促進に同意する日が来るなど想像すらできなかった。
【 × 】:Never imagined I the day when both countries would agree to enhance economic cooperation.
【 ○ 】:Never did I imagine the day when both countries would agree to enhance economic cooperation.
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
"never 〜 before"(今までに〜ない)や"never 〜 in one's life"(人生で一度も〜ない)を強調する場合、"before"や"in my life"も"never"と一緒に文頭に置きます。
【例文】:うちの犬がこんなにうれしそうなのは見たことがない。
【英訳】:My dog has never looked so happy before.
↓……"Never before"を文頭に置く
【例文】:飼い犬がこんなにうれしそうなところはかつて見たことがない。
【 × 】:Never before does my dog has looked so happy.
【 ○ 】:Never before has my dog looked so happy.
→助動詞の"has"を主語の"my dog"の前に置く、助動詞があるので"does"は使わない
【例文】:人生で一度もお酒を飲んだことがありません。
【英訳】:I have never drunk any alcohol in my life.
↓……"Never in my life"を文頭に置く
【例文】:生まれてこの方一度たりともお酒を飲んだことがありません。
【 × 】:Never in my life do I have drunk any alcohol.
【 ○ 】:Never in my life have I drunk any alcohol.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"have"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
little(まったく〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(4)
↑
"think"などの思考を表わす動詞の場合、副詞の"little"を前に置くと意味は「まったく〜ない、ちっとも〜ない(= not 〜 at all)」です→【参照】:『否定を表わす副詞:little(まったく〜ではない、少しも〜ではない)』
"little"を強調のため文頭に置くと倒置を使います。
# little(副詞) + "believe"など思考を表わす動詞(まったく〜ではない)(= not 〜 at all)
【例文】:コンピューターの使い方はまったく知らない。
【英訳】:I little know how to use computers.
↓……"Little"を文頭に置く
【例文】:コンピューターの使い方などまったく知らない。
【 × 】:Little know I how to use computers.
【 ○ 】:Little do I know how to use computers.[※やや堅苦しい言い方]
(= I don't know how to use computers at all.)
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"I"の前に追加で置く
【例文】:あんなに早く自分の夢がかなうとはまったく思っていなかったし、想像さえしていなかった。
【英訳】:I little believed or even imagined that my dream would come true so early.
↓……"Little"を文頭に置く
【例文】:あれほど早期に自分の夢が実現するとは露ほどにも思ってなかったし、想像さえもしていなかった。
【 × 】:Little believed or even imagined I that my dream would come true so early.
【 ○ 】:Little did I believe or even imagine that my dream would come true so early.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"主語の"I"の前に追加で置く
nowhere(どこにも〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(5)
↑
"nowhere"は人や物が見つからない、場所がないことを表わします。
【例文】:船がどこに行ってしまったのかはまったくわからなかった。
【英訳】:They could nowhere discover any trace of the ship.
↓……"Nowhere"を文頭に置く
【例文】:船の行方は皆目つかめなかった。
【 × 】:Nowhere did they can discover any trace of the ship.
【 ○ 】:Nowhere could they discover any trace of the ship.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"could"を主語の"they"の前に置く、助動詞があるので"did"は使わない
"nowhere in the world"(世界中に〜ない)や"nowhere on the earth"(地球上に〜ない)を強調する場合、"in the world"や"on the earth"も"nowhere"と一緒に文頭に置きます。
【例文】:日本以上に新旧の文化が日常生活の中で仲良く共存している国はない。
【英訳】:The modern and the ancient culture coexist in daily life more harmoniously nowhere in the world than in Japan.
↓……"Nowhere in the world"を文頭に置く
【例文】:日本ほど新旧の文化が日常生活の中で調和して共存している国は存在しない。
【 × 】:Nowhere in the world coexist the modern and the ancient culture in daily life more harmoniously than in Japan.
【 ○ 】:Nowhere in the world do the modern and the ancient culture coexist in daily life more harmoniously than in Japan.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"the modern and the ancient culture"の前に追加で置く
【例文】:地球上でアメリカほど竜巻の被害が多い所はない。
【英訳】:There is more tornado damage nowhere on the earth than in the US.
↓……"Nowhere on the earth"を文頭に置く
【例文】:地球上でアメリカほど竜巻の被害が甚大な場所は存在しない。
【 × 】:Nowhere on the earth does there is more tornado damage than in the US.
【 ○ 】:Nowhere on the earth is there more tornado damage than in the US.[※やや堅苦しい言い方]
→"is"を主語の"there"の前に置く、be動詞があるので"does"は使わない
neither, nor(…もまた〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞(6)
↑
"neither"と"nor"は否定文のあとに置いて追加でもう一つの話題の否定を表わすときに《倒置》を使うことがあります。"neither"と"nor"はほぼ同じ意味。
"neither"と"nor"は《倒置》で「〜もまたそうではない」「同様に〜ではない」の意味を表わすこともあります→【参照】:『なぜ倒置を使うの?:語句の省略を表わす:「〜もまたそうではない」の"neither"と"nor"』
【例文】:緊急事態宣言が出たことにびっくりはしませんでしたし、がっかりもしませんでした。
【英訳】:I wasn't surprised at the declaration of a state emergency and I wasn't disappointed at it either.
↓……"neither"か"nor"を"and"の次に置く、"not"と"either"を削る
【例文】:緊急事態宣言の発令に驚きはしませんでしたし、失望もしませんでした。
【 × 】:I wasn't surprised at the declaration of a state emergency and neither did I was disappointed at it.
【 × 】:I wasn't surprised at the declaration of a state emergency and nor did I was disappointed at it.
【 ○ 】:I wasn't surprised at the declaration of a state emergency and neither was I disappointed at it.
【 ○ 】:I wasn't surprised at the declaration of a state emergency and nor was I disappointed at it.
→be動詞の"was"を主語の"I"の前に置く、be動詞があるので"did"は使わない
【例文】:謝る必要はありません。また、自分を責めるべきでもありません。
【英訳】:You don't have to apologize. You shouldn't blame yourself either.
↓……"neither"か"nor"を文頭に置く、"not"と"either"を削る
【例文】:謝罪する必要はありません。自分自身を責めるべきでもありません。
【 × 】:You don't have to apologize. Neither do you should blame yourself.
【 × 】:You don't have to apologize. Nor do you should blame yourself.
【 ○ 】:You don't have to apologize. Neither should you blame yourself.
【 ○ 】:You don't have to apologize. Nor should you blame yourself.
→助動詞の"should"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
【例文】:広報官は噂を肯定もしなかったが否定もしなかった。
【英訳】:The spokesperson didn't affirm the rumor but she didn't deny it either.
↓……"neither"か"nor"を"but"の次に置く、"not"と"either"を削る
【例文】:広報官は噂を肯定も否定もしなかった。
【 × 】:The spokesperson didn't affirm the rumor but neither denied she it.
【 × 】:The spokesperson didn't affirm the rumor but nor denied she it.
【 ○ 】:The spokesperson didn't affirm the rumor but neither did she deny it.
【 ○ 】:The spokesperson didn't affirm the rumor but nor did she deny it.
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"she"の前に追加で置く
倒置文をよく使う語句(意味的に否定を表わすもの)
意味的に否定を表わす語句を強調で主語の前に置くとき、主語と動詞の位置をひっくり返してたいてい《倒置》を使います。やや堅苦しい表現です。
否定を表わす語句を強調で文頭に置くとき、元の文に助動詞かbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞のdoを追加して人称と時制を変化させて《副詞》と一緒に主語の前に置きます。
on no account(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(1)
↑
"on no account"は"not"よりも強い否定を表わします。ニュアンスは「どんな理由があろうとも〜はダメ」です。
【例文】:薬物に手を出してはいけない。
【英訳】:You must on no account take any durgs.
↓……"On no account"を文頭に置く
【例文】:決して薬物などに手を出してはならない。
【 × 】:On no account do you must take any durgs.
【 ○ 】:On no account must you take any durgs.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"must"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
under no circumstances(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(2)
↑
"under no circumstances"は"not"よりも強い否定を表わします。ニュアンスは「いかなる事情があっても〜は不可」です。"under"の代わりに"in"を使って"in no circumstances"も可能。意味は同じ。
【例文】:怪しいメールには返信してはいけません。
【英訳】:You must under no circumstances reply to suspicious emails.
↓……"Under no circumstances"を文頭に置く
【例文】:怪しいメールには絶対に返信しないで下さい。
【 × 】:Under no circumstances do you must reply to suspicious emails.
【 ○ 】:Under no circumstances must you reply to suspicious emails.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"must"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
on no condition(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(3)
↑
"on no condition"は"not"よりも強い否定を表わします。ニュアンスは「いかなる事情や理由があっても〜はダメ」です。
【例文】:暗くなってからの徒歩での外出は慎んで下さい。
【英訳】:You should on no condition walk out after dark.
↓……"On no condition"を文頭に置く
【例文】:暗くなってからの徒歩での外出は厳禁です。
【 × 】:On no condition do you should walk out after dark.
【 ○ 】:On no condition should you walk out after dark.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"should"は主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
by no means(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(4)
↑
"by no means"は"not"よりも強い否定を表わします。ニュアンスは「まったく〜ではない、絶対に〜ではない」です。
【例文】:柔道の奥義を極めるなんてまだまだです。
【英訳】:I have by no means perfected the art of judo.
↓……"By no means"を文頭に置く
【例文】:柔道の奥義を極めるにはまだ程遠い。
【 × 】:By no means do I have perfected the art of judo.
【 ○ 】:By no means have I perfected the art of judo.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"have"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
at no time(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(5)
↑
"at no time"は"not"よりも強い否定を表わします。ニュアンスは「一度たりとも〜ない、絶対に〜ない」です。
【例文】:車を運転したことはない。
【英訳】:I have at no time driven a car.
↓……"At no time"を文頭に置く
【例文】:車なんて一度も運転したことはない。
【 × 】:At no time do I have driven a car.
【 ○ 】:At no time have I driven a car.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"have"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
in no way(決して〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(6)
↑
"in no way"は"not"よりも強い否定を表わします。"no way"もほぼ同じ意味。"in"なしの"no way"はよく会話で使います。ニュアンスは「そんなことは絶対にありえない」です。
【例文】:いかなる戦争も支援してはいけない。
【英訳】:We must in no way support any kind of war.
↓……"In no way"を文頭に置く
【例文】:いかなる戦争も断じて支援してはならない。
【 × 】:In no way do we must support any kind of war.
【 ○ 】:In no way must we support any kind of war.
→助動詞の"must"を主語の"we"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
【例文】:苦いジュースなんて飲みません。
【英訳】:I am no way going to drink bitter juice.
↓……"No way"を文頭に置く
【例文】:苦いジュースなんて絶対にイヤだ。
【 × 】:No way do I am going to drink bitter juice.
【 ○ 】:No way am I going to drink bitter juice.
→"am"を主語の"I"の前に置く、be動詞があるので"do"は使わない
no longer(もはや〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(7)
↑
"no longer"は現状が過去とは異なることを表わします。ニュアンスは「昔はそうだったが今はそうではない」です。
【例文】:携帯電話はもう持っていない。
【英訳】:I no longer have a cell phone.
↓……"No longer"を文頭に置く
【例文】:携帯電話なんてすでに持っていない。
【 × 】:No longer have I a cell phone.
【 ○ 】:No longer do I have a cell phone.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"I"の前に追加で置く
not once(一度も〜ない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(8)
↑
ニュアンスは「一度たりとも〜ない」です。"never once"もほぼ同じ意味。
【例文】:スパム、つまり迷惑メールが来たことは一度もない。
【英訳】:I have not once received spam or nuisance email.
↓……"Not once"を文頭に置く
【例文】:スパム、つまり迷惑メールが届いたことなど一度たりともありません。
【 × 】:Not once do I have received spam or nuisance email.
【 ○ 】:Not once have I received spam or nuisance email.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"have"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
【例文】:何をするにしてもプレッシャーを感じたことは一度もありません。
【英訳】:I never once felt pressure to do anything.
↓……"Never once"を文頭に置く
【例文】:何をするにしてもプレッシャーを感じたことなど一度たりともない。
【 × 】:Never once felt I pressure to do anything.
【 ○ 】:Never once did I feel pressure to do anything.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
not A until B(BをするまでAではない、Bをして初めてAをする)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(9)
↑
"not A unitl B"の直訳は「BをするまでAをしたことがない」つまり「Bをして初めてAをする」です。
"not A unitl B"の場合、強調で文頭に置くのは"not until B"です。《倒置》を使うのは"A"のほうです。強調のため"until B"を文頭に出すと、自動的に"not"も付いて来て"Not until B 〜"となります。
【例文】:昨日まで自分の血液型を知らなかった。
【英訳】:I didn't know my blood type until yesterday.
↓……"Not"と"until 〜"を文頭に置く
【例文】:昨日やっと自分の血液型を知った。
【 × 】:Not until yesterday knew I my blood type.
【 ○ 】:Not until yesterday did I know my blood type.[※やや堅苦しい言い方]
→"did"を主語の"I"の前に置く、助動詞やbe動詞がないので"did"を追加する
「until + 主語 + 動詞 + 〜」も可能です。
【例文】:一人暮しを始めるまで自炊をしたことがなかった。
【英訳】:I hadn't made my own meals until I began living alone.
↓……"Not"と"until 〜"を文頭に置く
【例文】:一人暮しを始めてやっと自炊をした。
【 × 】:Not until I began living alone did I have made my own meals.
【 ○ 】:Not until I began living alone had I made my own meals.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"had"を主語の"I"の前に置く、助動詞があるので"did"は使わない
"not 〜 until"の場合、強調構文の"it is(was)〜 that "もよく使います。ただし、強調構文を使うときは"not 〜 until B"を"it"の次に置くだけで、主語と動詞をひっくり返す《倒置》は使いません→【参照】:『ゼロから始める強調構文:"It is not until … that 〜"』
【例文】:昨日まで自分の血液型を知らなかった。
【英訳】:I didn't know my blood type until yesterday.
↓……"not"と"until 〜"を"it"の次に置く
【例文】:昨日やっと自分の血液型を知った。
【 × 】:It was not until yesterday that did I know my blood type.
【 ○ 】:It was not until yesterday that I knew my blood type.
→"not until yesterday"を主語の"it"の次に置く、強調構文では倒置を使わない
【例文】:一人暮しを始めるまで自炊をしたことがなかった。
【英訳】:I hadn't made my own meals until I began living alone.
↓……"not"と"until 〜"を"it"の次に置く
【例文】:一人暮しを始めてやっと自炊をした。
【 ○ 】:It was not until I began living alone that had I made my own meals.
【 ○ 】:It was not until I began living alone that I had made my own meals.
→"not until 〜 alone"を主語の"it"の前に置く、強調構文では倒置を使わない
not a single 〜(一つの〜もない)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす語句(10)
↑
"not a single"で形容詞として機能します。ニュアンスは「〜は一つもない」です。
【例文】:写真は一枚も撮っていません。
【英訳】:I took not a single picture.
↓……"Not a single picture"を文頭に置く
【例文】:写真は一枚たりとも撮っていない。
【 × 】:Not a single picture took I.
【 ○ 】:Not a single picture did I take.[※やや堅苦しい言い方]
→"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
【例文】:駅には誰もいなかった。
【英訳】:There was not a single person in the station.
↓……"Not a single person"を文頭に置く
【例文】:駅には人っ子一人いなかった。
【 × 】:Not a single person did there was in the station.
【 ○ 】:Not a single person was there in the station.[※やや堅苦しい言い方]
→"was"を主語の"there"の前に置く、be動詞があるので"did"は使わない
倒置文をよく使う表現(onlyを含むもの)
副詞の"only"を含む表現の場合、強調で文頭に置くと《倒置》を使うことがあります。やや堅苦しい表現。通例、同じ"only"でも形容詞の"only"(唯一の)の場合、《倒置》を使うことはありません。
【例文】:ウイルスの拡散を防ぐためにできる唯一のことは都市封鎖(ロックダウン)だ。
【 × 】:Only lockdown is the thing we can do to prevent spread of viruses.
【 ○ 】:Lockdown is the only thing we can do to prevent spread of viruses.
→"only"は形容詞なので倒置は使わない、形容詞の"only"は名詞のすぐ前に置く
"only"を含む表現の中で《倒置》が使えるのは「時」や「条件」「場所」を表わすものがほとんどです。
副詞の"only"を含む表現を強調で文頭に置くとき、元の文に助動詞かbe動詞があればそれを主語の前に置きます。どちらもない場合は、助動詞のdoを追加して人称と時制を変化させて《副詞》と一緒に主語の前に置きます。
only after 〜(〜のあとにやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(1)
↑
【例文】:コンサートが終ったあとでやっと靴が片方ないのに気づいた。
【英訳】:I found that I lost my shoe only after the concert.
↓……"only after"以下を文頭に出す、"after"は前置詞
【例文】:コンサート終了後に初めて靴を片方失くしたのに気づいた。
【 × 】:Only after the concert found I that I lost my shoe.
【 ○ 】:Only after the concert did I find that I lost my shoe.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
「only after + 節」を強調で文頭に置く場合、《倒置》を使うのは「only after + 節」の次に続く節です。
【例文】:父は定年退職してからやっと運転免許を取得した。
【英訳】:My father obtained a driving licence only after he retired from the company.
↓……"only after"以下を文頭に出す、"after"は接続詞
【例文】:父は定年退職後にようやく運転免許を取得した。
【 × 】:Only after he retired from the company obtained my father a driving licence.
【 ○ 】:Only after he retired from the company did my father obtain a driving licence.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"my father"の前に追加で置く
only afterward(あとになってやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(2)
↑
"afterwards"を使った"only afterwards"も同じ意味。二つとも副詞なので目的語は不要です。
【例文】:あとになってやっとあの唐揚げはカエルだと教えられた。
【英訳】:I was told only afterward that those fries had been made from frog.
↓……"Only afterward"を文頭に置く
【例文】:あとになって初めてあの唐揚げはカエルだと教えられた。
【 × 】:Only afterward did I am told that those fries had been made from frog.
【 ○ 】:Only afterward was I told that those fries had been made from frog.[※やや堅苦しい言い方]
→"was"を主語の"I"の前に置く、be動詞があるので"did"は使わない
only later(あとになってやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(3)
↑
【例文】:あとになってやっと「警察」からの電話がにせものだったことに気づいた。
【英訳】:I found out only later that the call from "the police" was fake.
↓……"Only later"を文頭に置く
【例文】:あとになって初めて「警察」からの電話がにせものだったことに気づいた。
【 × 】:Only later found out I that the call from "the police" was fake.
【 ○ 】:Only later did I find out that the call from "the police" was fake.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
only now(今になってやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(4)
↑
【例文】:今になってやっと自活することがいかにむつかしく大変なのかわかる。
【英訳】:I realize only now how difficult and tough it is to earn my living.
↓……"Only now"を文頭に置く
【例文】:今になってようやく自活することがいかに困難で大変なことなのかわかる。
【 × 】:Only now realize I how difficult and tough it is to earn my living.
【 ○ 】:Only now do I realize how difficult and tough it is to earn my living.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を主語の"I"の前に追加で置く
only once(たった一度だけ)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(5)
↑
【例文】:父が涙を流すのをたった一度だけ見たことがある。
【英訳】:I saw my father shedding tears only once.
↓……"Only once"を文頭に置く
【例文】:父が涙を流すのを見たのは後にも先にもたった一度だけだ。
【 × 】:Only once saw my father shedding tears.
【 ○ 】:Only once did I see my father shedding tears.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"主語の"I"の前に追加で置く
only then(その時になってやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(6)
↑
【例文】:その時になってやっと自分がだまされていることに気づいた。
【英訳】:I realized only then that I had been deceived.
↓……"Only then"を文頭に置く
【例文】:その時になって初めて自分がだまされていることに気づいた。
【 × 】:Only then realized I that I had been deceived.
【 ○ 】:Only then did I realize that I had been deceived.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
only when 〜(〜の時になってやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(7)
↑
「only when + 節」を強調で文頭に置く場合、《倒置》を使うのは「only when + 節」の次に続く節です。
【例文】:暴風雪が収まってからやっと車をスタートさせて家に帰りました。
【英訳】:I started my car to go home only when the snowstorm subsided.
↓……"only when"以下を文頭に出す
【例文】:暴風雪が収まってからようやく車をスタートさせて家に帰りました。
【 × 】:Only when the snowstorm subsided started I my car to go home.
【 ○ 】:Only when the snowstorm subsided did I start my car to go home.[※やや堅苦しい言い方]
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
only in this way(このようにしてやっと)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(8)
↑
【例文】:このようにしてやっと大国は大量破壊兵器の生産を止めることができる。
【英訳】:The powers can only in this way cease producing the weapon of mass destruction.
↓……"Only in this way"を文頭に置く
【例文】:このようにして初めて列強は大量破壊兵器の生産に歯止めをかけることが可能だ。
【 × 】:Only in this way do the powers can cease producing the weapon of mass destruction.
【 ○ 】:Only in this way can the powers cease producing the weapon of mass destruction.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"can"を主語の"the powers"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
only if 〜(〜の場合のみ)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(9)
↑
"only if"の場合、《倒置》を使うのは"only if"を含む節でなく、"only if"に続く節のほうです。
【例文】:年齢が二十歳未満の人のみ、この高周波の音を聞き取ることができる。
【英訳】:You can hear the high-frequnecy sounds only if you are under 20.
↓……"only if"以下を文頭に出す
【例文】:年齢が二十歳未満の人に限り、この高周波の音を聞き取ることができる。
【 × 】:Only if you are under 20 do you can hear the high-frequnecy sounds.
【 ○ 】:Only if you are under 20 can you hear the high-frequnecy sounds.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"can"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
only by 〜(〜の場合のみ)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(10)
↑
ニュアンスは「〜以外ではダメ」です。
【例文】:絶え間ない努力によってのみ人は何かを成し遂げることができる。
【英訳】:One can accomplish something only by making continuous efforts.
↓……"only by"以下を文頭に出す
【例文】:不断の努力があってこそ人は何かを成し遂げることができる。
【 × 】:Only by making continuous efforts do one can accomplish something.
【 ○ 】:Only by making continuous efforts can one accomplish something.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"can"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
not only A but also B(AだけではなくBまでも)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(11)
↑
"not only A but also B"の場合、《倒置》を使うのは"not only"を含む節です。"also"はよく省略して"not only A but B"になります。意味は同じ。
【例文】:外は寒いだけではなく風も強い。
【英訳】:It is not only cold outside, but also it is windy.
↓……"Not only"を文頭に置く
【例文】:戸外は冷えるだけではなく風が吹き荒れる。
【 × 】:Not only does it is cold outside, but also it is windy.
【 ○ 】:Not only is it cold outside, but also it is windy.[※やや堅苦しい言い方]
→"is"を主語の"it"の前に置く、be動詞があるので"does"は使わない
only in 〜(〜のみで)
なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:"only"を含む表現(only then, only if, etc)(12)
↑
"in"の次には場所や状況を表わす語句を置きます。
【例文】:日本でのみ自販機で酒を買うことができる。
【英訳】:You can alcohol from a vending machine only in Japan.
↓……"only in Japan"を文頭に出して「倒置」にする
【例文】:自動販売機でアルコール飲料を購入できるのは日本だけだ。
【 × 】:Only in Japan do you can buy alcohol from a vending machine.
【 ○ 】:Only in Japan can you buy alcohol from a vending machine.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"can"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
【例文】:フィクションの世界でのみ瞬間移動や時間旅行が使える。
【英訳】:We can use teleportation or time travel only in fiction.
↓……"only in fiction"を文頭に出して「倒置」にする
【例文】:瞬間移動や時間旅行を使うことができるはフィクションの世界だけだ。
【 × 】:Only in fiction do we can use teleportation or time travel.
【 ○ 】:Only in fiction can we use teleportation or time travel.[※やや堅苦しい言い方]
→助動詞の"can"を主語の"we"の前に置く、助動詞があるので"do"は使わない
倒置で"if"の省略を表わす
《倒置》で語句の省略を表わす例をまとめます。やや堅苦しい表現です。代表的な例は"Were I you 〜"(= If I were you 〜)(もし私があなだったら〜)です。
倒置で"if"の省略を表わす
"if"を使う仮定法で《倒置》が"if"の省略を表わすことがあります。やや堅苦しい表現。《倒置》で主語の前に置くのは"were, had, should"の三つのみです。
否定文のときは"not"を単独で主語の次に置きます。
【例文】:Were I not a teacher, I would be an astronaut.[※やや堅苦しい言い方]
(= If I were not a teacher, I would be an astronaut.)
【和訳】:教師になっていなかったら宇宙飛行士になっているでしょう。
→"Were I not " = "If I were not"、疑問文ではない、"not"は主語"I"の次に置く
【例文】:Had you driven more carefully, you might have avoided the accident.[※やや堅苦しい言い方]
(= If you had driven more carefully, you might have avoided the accident.)
【和訳】:もっと注意して運転していれば、事故は避けることができたかもしれない。
→"Had you" = "If you had"、疑問文ではない
【例文】:Should you lose your way, please call me.[※やや堅苦しい言い方]
(= If you should lose you way, please call me.)
【和訳】:万が一道に迷ったら電話して下さい。
→"Should you" = "If you should"、疑問文ではない
「〜もまた」の"so"
"so"を使う文で《倒置》が語句の省略を表わすことがあります。
会話で「私もそうだ」「彼もそうだ」と短く返事をするときに、"so am I"や"so is he"のように主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》使います。
否定の意味で「私もそうではない」を表わすときは"neither"や"nor"を使います→【参照】:『語句の省略を表わす:「〜もまたそうではない」の"neither"と"nor"』
【例文】:両親はともに医者です。私も医者です。
【英訳】:Both my parents are doctors. I am a doctor, too.
↓……"So"を文頭に置く
【例文】:両親はともに医者です。私もそうです。
【 × 】:Both my parents are doctors. So do I am.
【 ○ 】:Both my parents are doctors. So am I.
→be動詞の"am"を主語の"I"の前に置く、be動詞があるので"do"は使わない
【例文】:私がミスをする可能性もあるし、あなたがミスをする可能性もある。
【英訳】:I could make a mistake and you could make a mistake, too.
↓……"so"を"and"の次に置く
【例文】:私がミスをする可能性もあるし、あなたがする可能性もある。
【 × 】:I could make a mistake and so did you could.
【 ○ 】:I could make a mistake and so could you.
→助動詞の"could"を主語の"you"の前に置く、助動詞があるので"did"は使わない
【例文】:友達の一人が献血した。私も献血した。
【英訳】:One of my friends made a blood donaton. I made a blood donation, too.
↓……"So"を文頭に置く
【例文】:友達の一人が献血をした。私もした。
【 × 】:One of my friends made a blood donaton. So made I.
【 ○ 】:One of my friends made a blood donation. So did I.
→元の文にbe動詞も助動詞もないので、"do"を時制変化させて"did"を主語の"I"の前に追加で置く
「〜もまたそうではない」の"neither"と"nor"
"neither"や"nor"を使う文で《倒置》が語句の省略を表わすことがあります。
会話で「私もそうではない」「彼もそうではない」と短く返事をするときに、"neither am I"や"neither is he"のように主語と動詞の位置をひっくり返して《倒置》を使います。"neither"と"nor"はほぼ同じ意味です。
肯定の意味で「私もそうだ」を表わすときは"so"を使います→【参照】:『語句の省略を表わす:「〜もまた」の"so"』
"neither"と"nor"は否定の意味の強調で《倒置》を使うこともあります→【参照】:『なぜ倒置を使うの?:意味を強調する:否定を表わす副詞:neither, nor(…もまた〜ない)』
【例文】:このウイルスがいかに危険なものか私は気づいていなかった。ほかの医師たちも気づいていなかった。
【英訳】:I was not aware how dangerous the virus was. Other doctors were not aware either.
↓……"Neither"か"Nor"を文頭に置く、"not"と"either"を削る
【例文】:このウイルスがいかに危険なものか私は気づいていなかった。ほかの医師たちもそうだった。
【 × 】:I was not aware how dangerous the virus was. Neither did other doctors were.
【 × 】:I was not aware how dangerous the virus was. Nor did other doctors were.
【 ○ 】:I was not aware how dangerous the virus was. Neither were other doctors.
【 ○ 】:I was not aware how dangerous the virus was. Nor were other doctors.
→be動詞の"were"を主語の"other doctors"の前に置く、be動詞があるので"did"は使わない
【例文】:私は風邪をひいたことがありません。父も風邪をひいたことはありません。
【英訳】:I have never caught a cold. My father has never caught it either.
↓……"Neither"か"Nor"を文頭に置く、"never"と"either"を削る
【例文】:私は風邪をひいたことがありません。父もありません。
【 × 】:I have never caught a cold. Neither did my father has.
【 × 】:I have never caught a cold. Nor did my father has.
【 ○ 】:I have never caught a cold. Neither has my father.
【 ○ 】:I have never caught a cold. Nor has my father.
→助動詞の"has"を主語の"my father"の前に置く、助動詞があるので"did"は使わない
【例文】:誰も君の意見など聞きたくはないし、私も聞きたくない。
【英訳】:Nobody wants to hear your opinion, and I don't want either.
↓……"neither"か"nor"を"and"の次に置く、"not"と"either"を削る
【例文】:誰も君の意見など聞きたくはないし、私もだ。
【 × 】:Nobody wants to hear your opinion, and neither want I.
【 × 】:Nobody wants to hear your opinion, and nor want I.
【 ○ 】:Nobody wants to hear your opinion, and neither do I.
【 ○ 】:Nobody wants to hear your opinion, and nor do I.
→元の文に"don't"があるので、"do"を主語の"I"の前に置く