there構文は存在を表わす
"there is "や"there are"で始まる文は通例、「〜がある、〜がいる」と訳します。何かが「存在すること」を表わします。先頭の"there"自体は和訳しません。
# there構文……先頭の"there"自体は和訳しない
【例文】:There is a shrine near my house.
【 × 】:そこに家の近所には神社がある。
【 ○ 】:家の近所には神社がある。
→文頭の"there"は和訳しない
人や動物の場合は「〜がいる」と和訳します。
【例文】:There is somebody in the elevator.
【 × 】:そこにエレベーターの中に誰かいる。
【 ○ 】:エレベーターの中に誰かいる。
→文頭の"there"は和訳しない
"there"自体はよく「そこで、そこに」と訳します。しかし、"there is "や"there are"で始まる場合、"there"に「そこで、そこに」の意味はたいていありません。
では「そこに〜がある、そこに〜がいる」はどう表現するのか。一見不自然ですが、"there"を二つ使います。
【例文】:そこに猫がいる。
【 × 】:A cat is there.
【 ○ 】:There is a cat there.
→"there"を二つ使う
【例文】を英訳する場合、一つ目の"there"は存在を表わします。意味は"there is 〜"で「〜がいる」です。二つ目の"there"は場所を指し示します。意味は「そこに」です。
新しい話題を表わすthere構文
まず、日本語で考えてみると、たとえば、「自分の家の近所に神社がある」という文は二つの状況で使います。
つまり「神社」という話題が“新規か既出か”のいずれかです。
それぞれ、英訳してみます。
【例文A】:家の近所には神社がある。
【 × 】:A shrine exists near my house.
【 ○ 】:There is a shrine near my house.
→「神社」は新規の話題、これから「神社」の話を始める
【例文A】を英訳する場合、通例《there構文》を使います。"A shirne exists"とはあまり言いません。すでに話に出た神社("the shrine")ではなく、これから話をする神社("a shrine")を表現する場合、"exist"ではなく、《there構文》を使うのが普通です→【参照】:『定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)の違い:意味』
【例文B】:その神社は家の近所にある。
【 × 】:There is the shrine near my house.
【 ○ 】:The shrine exists near my house.
→「神社」は既出の話題、今まで「神社の」話をしていた
【例文B】を英訳する場合、動詞には通例"exist"を使います。"There is the shrine"とはあまり言いません。これから話をする神社("a shrine"ではなく、すでに話に出た神社("the shrine")を表現する場合、《there構文》ではなく、"exist"を使うのが普通です→【参照】:『定冠詞(the)と不定冠詞(a, an)の違い:意味』
there構文のニュアンス
《there構文》は主語に必ず“新規の話題”を置きます→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
実際の文章や会話では“新規の話題”をいきなり口に出すと、唐突に感じられることがあります。なので、"there"で話を切り出していったんクッションを置いて話を始めます。
まず、日本語で考えてみます。
「これから神社の話をするぞ」という気持ちで会話を切り出すときはたいてい、1.より 2.のほうを好んで使います。いきなり「神社」とは言わず、会話の最後のほうに「神社」という言葉を持って来ます。
英語でも、いきなり"a shrine"とは言わず、「新規の話題ですよ」という印にまず"there is"を使い、次に"a shrine"(神社)を持って来ます。
【例文】:家の近所に神社がある。
【 ○ 】:There is a shrine near my house.
→これから神社の話を始める
ちなみに、上記の【例文】を"There is"を使わないで書くと、英語としてかなり不自然です。
【例文】:家の近所に神社がある。
【 × 】:A shrine is near my house.
→英文としては不自然
"there"は形だけの主語
《there構文》の場合、"there is"に続く名詞が意味的に重要な主語です。
# there構文の「文法上」の主語……"there"
# there構文の「意味上」の主語……"there is"に続く名詞
"there is"の場合、文法的にはbe動詞の"is"の前にある"there"が主語ですが、"there"自体を「そこで」和訳することはありません。実質的に意味上の主語として機能するのは"there is"の次に置く語句です→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』
【例文】:There is a shrine near my house.
【和訳】:家の近所には神社がある。
→意味上の主語は"is"の次の"a shrine"(神社)
【例文】:There is somebody in the elevator.
【和訳】:エレベーターの中に誰かいる。
→意味上の主語は"is"の次の"somebody"(誰か)
be動詞の「数」は"there"(文法上の主語)ではなく、"there is"の次に置く名詞(意味上の主語)に合わせます→【参照】:『there構文の「数」の一致』
【例文】:太陽系には現在八つの惑星がある。
【 × 】:There is currently eight planets in our solar system.
【 ○ 】:There are currently eight planets in our solar system.
→be動詞の「数」は意味上の主語の"planets"に合わせて"are"複数にする
【例文】:私が子供のころは近所にいっぱい空き地があった。
【 × 】:When I was a child, there was many empty lots in my neighborhood.
【 ○ 】:When I was a child, there were many empty lots in my neighborhood.
→be動詞の「数」は意味上の主語の"lots"に合わせて"were"複数にする
"there is"は最後に「〜がいる、〜がある」と和訳する
《there構文》の場合、確かに前から順々に和訳していくとおかしな日本語になります。
【例文】:There is a shrine near my house.
【 × 】:そこにある神社は家の近所だ。
《there構文》の意味は「〜がある、〜がいる」、"there"自体は訳さない、そして、主語は"There is"の次にあることがわかると、意外に簡単に和訳できます→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』『there構文の主語はどれ?』
【例文】:There is a shrine near my house.
【 × 】:そこにある神社は家の近所だ。
【 ○ 】:家の近所には神社がある。
→"there"は和訳しない、意味上の主語は"a shrine"(神社が)
【例文】:There is a very little water on Mars.
【 × 】:そこにある非常に少ない水は火星の上だ。
【 ○ 】:火星には微量ながら水が存在する。
→"there"は和訳しない、意味上の主語は"a very little water"(微量ながら水が)
【例文】:Do you think there might be life on other planets?
【 × 】:そこにあったかもしれない生活はほかの惑星にあると思いますか。
【 ○ 】:地球以外の惑星に生物がいるかもしれないと思いますか。
→"there"は和訳しない、意味上の主語は"life"(生物が)
【例文】:Are there any differences between eels and congers?
【 × 】:そこにウナギとアナゴの間にいかなる違いがありますか。
【 ○ 】:ウナギとアナゴはどこかに違いがありますか。
→"there"は和訳しない、意味上の主語は"any differences"(どこかに違いが)
「there is + 過去分詞 + 〜」の形
《there構文》の場合、"there"に受動態が続くことがあります。やや堅苦しい表現です→【参照】:『thatを目的語に取る動詞の受動態:there構文を使う』
いずれの動詞でも文法上の主語は"there"です。しかし、意味上の主語は動詞の次に置く名詞です。なので、"there"を「そこで」と和訳することはありません→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』『there構文の主語はどれ?』
主語を"there"で表現することで、誰からの話であるという明言を避けた、やや遠回しの言い方になります。「there + 受動態(there is thought + to不定詞)」の形が使える動詞は、たいてい「it is + 動詞の過去分詞形 + that節」も使えます→【参照】:『間違えやすい人称代名詞の"it":仮主語: It's thought that 〜.(〜であると思われる)』
【思考】
there + 受動態(there is thought + to不定詞)(1)
↑
# believe(〜だと信じる), consider(〜だと考える), think(〜だと思う)
三語ともたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There was believed to be a secret tunnel between the well and the castle.
(= It was believed that there was a secret tunnel between the well and the castle.)
【 × 】:この井戸とお城は秘密のトンネルでつながっているとそこで信じられていた。
【 ○ 】:この井戸とお城は秘密のトンネルでつながっていると信じられていた。
→意味上の主語は"a secret tunnel"、"there"は和訳しない
【例文】:There is considered to be no risk of health hazards to the residents.
(= It is considered that there is no risk of health hazards to the residents.)
【 × 】:住民に対する健康被害のリスクはまったくないとそこで考えられている。
【 ○ 】:住民に対する健康被害の可能性はまったくないと考えられている。
→意味上の主語は"no risk of health hazards to the residents"、"there"は和訳しない
【例文】:There was thought to be nine planets in the solar system.
(= It was thought that there were nine planets in the solar system.)
【 × 】:かつて太陽系には九つの惑星が存在するとそこで考えられていた。
【 ○ 】:かつて太陽系には九つの惑星が存在すると考えられていた。
→意味上の主語は"nine planets"、"there"は和訳しない
【理解】
there + 受動態(there is thought + to不定詞)(2)
↑
# know(〜を知っている), understand(〜だと理解している)
二語ともたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There is known to be no effective treatment for some kinds of diseases.
(= It is known that there is no effective treatment for some kinds of diseases.)
【 × 】:ある種の病気に対しては有効な治療法が存在しないことがそこで知られている。
【 ○ 】:ある種の病気に対しては有効な治療法が存在しないことが知られている。
→意味上の主語は"no effective treatment"、"there"は和訳しない
【例文】:There is understood to be good relationships between Russia and North Korea.
(= It is understood that there are good relationships between Russia and North Korea.)
【 × 】:ロシアと北朝鮮は友好関係にあるとそこで理解されています。
【 ○ 】:ロシアと北朝鮮は友好関係にあると考えられています。
→意味上の主語は"good relationships"、"there"は和訳しない
【予想】
there + 受動態(there is thought + to不定詞)(3)
↑
# expect(〜であると予想する)
"expect"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There is expected to be an announcement about dengue fever from WHO.
(= It is expected that there will be an announcement about dengue fever from WHO.)
【 × 】:デング熱に関して世界保健機関(WHO)から声明が発表されるそこで期待されている。
【 ○ 】:デング熱に関して世界保健機関(WHO)から声明が発表される見通しです。
→意味上の主語は"an announcement"、"there"は和訳しない
【発言】
there + 受動態(there is thought + to不定詞)(4)
↑
# imply(〜を暗示する), say(〜だと言う)
"imply"は"there is implied in A 〜"(Aの中には〜が暗示されている)の形でよく使います。
【例文】:There is implied in some old sayings practical and instructive advice.
【 × 】:諺の中には実用的でためになるアドバイスをそこに暗示されるものがある。
【 ○ 】:諺の中には実用的でためになるアドバイスを暗示してくれるものがある。
→意味上の主語は"practical and instructive advice"、"there"は和訳しない
"say"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There is said to be a monster in this lake.
(= It is is said that there is a monster in this lake.)
【 × 】:この湖には怪物がいるとそこで言われている。
【 ○ 】:この湖には怪物がいると言われている。
→意味上の主語は"a monster"、"there"は和訳しない
【その他】
there + 受動態(there is thought + to不定詞)(5)
↑
# bear(〜を生む), find(〜を見つける), hold(〜を開催する)
"bear"は"there is born 〜 to A"(Aに〜が生まれる)の形でよく使います。
【例文】:There were born eleven sons and five daughters to Ieyasu Tokugawa.
(= Eleven sons and five daughters were born to Ieyasu Tokugawa.)
【 × 】:徳川家康は十一男五女をそこで授かった。
【 ○ 】:徳川家康は十一男五女を授かった。
→意味上の主語は"eleven sons and five daughters"、"there"は和訳しない
"find"は"there is found in A 〜"(Aで〜が発見される)や"there is found 〜 in A"(〜がAで発見される)の形でよく使います。
【例文】:There were found in the tumulus some ancient earthenware and several bronze swords.
(= Some ancient earthenware and several bronze swords were found in the tumulus.)
【 × 】:この古墳から土器と数本の青銅の剣がそこで発見された。
【 ○ 】:この古墳から土器と数本の青銅の剣が発見された。
→意味上の主語は"some 〜 swords"、"there"は和訳しない
"hold"は"there is held 〜 "(〜が開催される)や"there is held in A 〜"(Aで〜が開催される)、"there is held 〜 in A"(〜がAで開催される)の形でよく使います。
【例文】:Next year there will be held in Japan an international conference on global warming and greenhouse gases.
(= Next year an international conference on global warming and greenhouse gases will be held in Japan.)
【 × 】:来年日本で地球温暖化と温室効果ガスに関する国際会議がそこで開催される。
【 ○ 】:来年日本で地球温暖化と温室効果ガスに関する国際会議が開催される。
→意味上の主語は"an international conference"、"there"は和訳しない
「there is + 形容詞(可能性や確信を表わす)」の形
《there構文》の場合、次に可能性や確信を表わす形容詞が続くことがあります。
いずれの形容詞でも文法上の主語は"there"です。しかし、意味上の主語は形容詞の後ろに置く名詞です。なので、"there"を「そこで」と和訳することはありません→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』『there構文の主語はどれ?』
「there + be動詞 + 形容詞」の形が使える形容詞は、たいてい「it is + 形容詞 + that節」も使えます→【参照】:『間違えやすい人称代名詞の"it":仮主語: It's obvious that 〜.(〜であることは明らかだ)』
【可能性】
there is + 形容詞(there is likely 〜)(1)
↑
# likely 〜(〜である可能性がある), unlikely 〜(〜でない可能性がある)
二語ともたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There is likely to be a massive explosive eruption if the volcanic tremor continues.
(= It is likely that there will be a massive explosive eruption if the volcanic tremor continues.)
【 × 】:火山性微動が続けば爆発的大規模噴火もそこでありうる。
【 ○ 】:火山性微動が続けば爆発的大規模噴火もありうる。
→意味上の主語は"a massive explosive eruption"、"there"は和訳しない
【例文】:There is unlikely to be a territorial conflict that can escalate into a war.
(= It is unlikely that there will be a territorial conflict that can escalate into a war.)
【 × 】:戦争に発展する可能性がある領土紛争はそこではなさそうだ。
【 ○ 】:戦争に発展する可能性がある領土紛争はなさそうだ。
→意味上の主語は"a territorial conflict"、"there"は和訳しない
【確信】
there is + 形容詞(there is likely 〜)(2)
↑
# sure 〜(きっと〜である), certain 〜(きっと〜である), bound(きっと〜である)
三語ともたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There were sure to be lots of fireflies on this river last summer.
【 × 】:この川には去年の夏たくさんのホタルがそこにいたはずだ。
【 ○ 】:この川には去年の夏たくさんのホタルがいたはずだ。
→意味上の主語は"lots of fireflies"、"there"は和訳しない
【例文】:There is certain to be a gap between demand in disaster areas and supply of relief material.
(= It is certain that there is a gap between demand in disaster areas and supply of relief material.)
【 × 】:被災地の需要と救援物資の供給にギャップがあるのはそこに間違いありません。
【 ○ 】:被災地の需要と救援物資の供給にギャップがあるのは間違いありません。
→意味上の主語は"a gap"、"there"は和訳しない
【例文】:There are bound to be some vulnerabilities on the website.
【 × 】:そのサイトに脆弱性がそこにあるにちがいない。
【 ○ 】:そのサイトに脆弱性があるにちがいない。
→意味上の主語は"vulnerabilities"、"there"は和訳しない
be動詞以外も可能
《there構文》の場合、"there"に続く動詞はbe動詞以外に"seem"や"live"などが使えます。やや堅苦しい表現です。
いずれの動詞でも"there"は何かが「存在すること」を表わします。具体的な場所を指し示すわけではありません。なので、"there"を「そこで」と和訳することはありません→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』
いずれの動詞の場合も"there"は文法上の主語、意味上の主語は動詞の次に置きます→【参照】:『there構文の主語はどれ?』
「there + 動詞」の形が使える動詞のいくつかは「it + 動詞 + that節」も使えます→【参照】:『間違えやすい人称代名詞の"it":状況、様子:It seems that we lost our way.(道に迷ったようだ)』
"come, go"を使う表現の"There comes our bus."(ほらバスが来た)や"There goes my hat!"(あら帽子が飛んで行っちゃった)の"there"は存在を表わす"there"ではなく、注意喚起を表わす"there"です→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき:be動詞以外の動詞』
【様子、外見】を表わすもの(appear, seem)
there + be動詞以外(there seems 〜)(1)
↑
# appear(〜のようだ), seem(〜のようだ)
"appear"と"seem"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。「to不定詞 + be動詞」の省略は可能。"appear"と"seem"はほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:There appeared to be nothing but weed in the flower bed.
【例文】:There appeared nothing but weed in the flower bed.
(= It appeared that there was nothing but weed in the flower bed.)
【 × 】:花壇にはそこには雑草しか生えていなかったようだ。
【 ○ 】:花壇には雑草しか生えていなかったようだ。
→意味上の主語は"weed"(雑草)、"there"は和訳しない
"appear"は「現われる、出現する」の意味も可能です→【参照】:『there構文で使える動詞:【移動、出現】を表わすもの(appear, follow, etc)』
【例文】:There seems to be no person in the gym.
【例文】:There seems no person in the gym.
(= It seems that there is no person in the gym.)
【 × 】:体育館にはそこに誰もいないようだ。
【 ○ 】:体育館には誰もいないようだ。
→意味上の主語は"person"(人)、"there"は和訳しない
【必要、重要】を表わすもの(need)
there + be動詞以外(there seems 〜)(2)
↑
# need(〜が必要だ)
"need"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。"there"を主語に使うと、必要としているのは特定の誰かではないことを表わします。
【例文】:There needs to be more understanding about how infectious diseases such as Ebola spread.
【 × 】:エボラ出血熱のような伝染病についてどのように広がるのかそこで理解を深める必要がある。
【 ○ 】:エボラ出血熱のような伝染病についてどのように広がるのか理解を深める必要がある。
→意味上の主語は"understanding"(理解)、"there"は和訳しない
【傾向、特徴】を表わすもの(tend)
there + be動詞以外(there seems 〜)(3)
↑
# tend(〜の傾向がある)
"tend"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There tends to be more electromagnetic interference due to greater sunspot activity.
【 × 】:太陽黒点の活性化が原因でそこで電波障害が多発する傾向がある。
【 ○ 】:太陽黒点の活性化が原因で電波障害が多発する傾向がある。
→意味上の主語は"electromagnetic interference"(電波障害)、"there"は和訳しない
【発生、開催】を表わすもの(happen, begin, etc)
there + be動詞以外(there seems 〜)(4)
↑
# there happen + to不定詞(たまたま〜する)(= it happens that 〜)
# there happen 〜(〜が発生する、〜が起こる)(= there occur 〜)
# occur(発生する、起こる), take place(起こる、開催される)
# begin(始まる)
「there happen + to不定詞」の意味は「たまたま〜する」です。to不定詞なしで「there happen 〜」の形で使うと、意味は「〜が発生する、〜が起こる」です。"occur"はto不定詞なしで「〜が起こる」の意味を表わします。
"happen"と"occur"はほぼ同じ意味。「起こる、発生する」の意味の"happen, occur"は、主語が語数的に長くなると"there"を使うことがあります→【参照】:『英語の“クセ”:英語は、長い主語が嫌い』
【例文】:There happened to be a power cut all around the city at that night.
(= It happened that there was a power cut all around the city at that night.)
【 × 】:その晩はたまたま市内全域で停電がそこであった。
【 ○ 】:その晩はたまたま市内全域で停電があった。
→意味上の主語は"a power cut"(停電)、"there"は和訳しない
【例文】:At that time there happened another violent eruption without warning.
(= At that time another violent eruption happened without warning.)
【例文】:At that time there occurred another violent eruption without warning.
(= At that time another violent eruption occurred without warning.)
【 × 】:その時、何の前触れもなく二度目の激しい噴火がそこで始まった。
【 ○ 】:その時、何の前触れもなく二度目の激しい噴火が始まった。
→意味上の主語は"another violent eruption"(二度目の激しい噴火)、"there"は和訳しない
"there take place 〜"はたいてい行事や会議の開催を表わします。主語が語数的に長くなると"there"を使うことがあります→【参照】:『英語の“クセ”:英語は、長い主語が嫌い』
【例文】:There will take place a marching band festival in this baseball stadium next Sunday.
(= A marching band festival will take place in this baseball stadium next Sunday.)
【 × 】:次の日曜日にこの野球場でマーチングバンドのフェスティバルがそこで開かれる。
【 ○ 】:次の日曜日にこの野球場でマーチングバンドのフェスティバルが開かれる。
→意味上の主語は"a marching band festival"(マーチングバンドのフェスティバル)、"there"は和訳しない
"begin"はたいてい次に「to不定詞 + be動詞」を使います。
【例文】:There began to be an armed rebellion against the national army and the government.
【 × 】:国軍と政府に対する武力反攻がそこで始まった。
【 ○ 】:国軍と政府に対する武力反攻が始まった。
→意味上の主語は"an armed rebellion"(武力反攻)、"there"は和訳しない
【移動、出現】を表わすもの(appear, follow, etc)
there + be動詞以外(there seems 〜)(5)
↑
# appear(現われる), come(来る), enter(入る), follow(後に続く)
四語とも主語が語数的に長くなるとき、"there"を使うことがあります。
【例文】:There appeared suddenly in the night sky an object shining like the moon.
(= An object shining like the moon appeared suddenly in the night sky.)
【 × 】:突如として夜空に月のように煌々と明るい物体がそこに出現した。
【 ○ 】:突如として夜空に月のように煌々と明るい物体が出現した。
→意味上の主語は"an object"(物体)、"there"は和訳しない
"appear"は「〜のようだ (= seem)」の意味も可能です→【参照】:『there構文で使える動詞:【様子、外見】を表わすもの:appear(〜のようだ), seem(〜のようだ)』
【例文】:There came sudden raps on the window from outside.
(= Sudden raps came on the window from outside.)
【 × 】:不意にコンコンと窓を外から叩く音がそこでした。
【 ○ 】:不意にコンコンと窓を外から叩く音がした。
→意味上の主語は"a sudden rap"(不意のコンコンと叩く音)、"there"は和訳しない
"come"は注意喚起を表わす"there"で使うこともあります→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき:be動詞以外の動詞』
【例文】:There entered the house sevral people in bulky protective clothing.
(= Sevral people in bulky protective clothing entered the house.)
【 × 】:大きな防護服を着用した数人がその家にそこで入って行った。
【 ○ 】:大きな防護服を着用した数人がその家に入って行った。
→意味上の主語は"sevral people"(数人)、"there"は和訳しない
【例文】:There followed multiple aftershocks of maximum intensity upper 6.
【 × 】:最大震度6強の余震がそこで続いて複数回発生した。
【 ○ 】:最大震度6強の余震が続いて複数回発生した。
→意味上の主語は"multiple aftershocks"(複数回の余震)、"there"は和訳しない
【状態、存在】を表わすもの(exist, live, etc)
there + be動詞以外(there seems 〜)(6)
↑
# exist(存在する), live(生きる), remain(変わらず残る), stand(立っている)
四語とも主語が語数的に長くなるとき、"there"を使うことがあります。
【例文】:There existed a possibility that both ships might sink.
(= A possibility that both ships might sink existed.)
【 × 】:二隻の船が両方とも沈没する可能性はそこでゼロではなかった。
【 ○ 】:二隻の船が両方とも沈没する可能性はゼロではなかった。
→意味上の主語は"a possibility"(可能性)、"there"は和訳しない
【例文】:Once upon a time on the edge of the village there lived an old lady and a black cat.
(= Once upon a time an old lady and a black cat lived on the edge of the village.)
【 × 】:昔々、ある村の外れに一人のおばあさんと一匹の黒猫がそこに住んでいました。
【 ○ 】:昔々、ある村の外れに一人のおばあさんと一匹の黒猫が住んでいました。
→意味上の主語は"an old lady and a black cat"、(おばあさんと黒猫)"there"は和訳しない
【例文】:There remain mud and debris carried by a flash flood on the road.
(= Mud and debris carried by a flash flood remain on the road.)
【 × 】:鉄砲水が運んできた泥やがれきが道路にそこに残ったままだ。
【 ○ 】:鉄砲水が運んできた泥やがれきが道路に残ったままだ。
→意味上の主語は"mud and debris"(泥やがれき)、"there"は和訳しない
【例文】:On the mountain there stands an old large castle.
(= An old large castle stands on the mountain.)
【 × 】:山の頂上には大きな古城がそこに立っている。
【 ○ 】:山の頂上には大きな古城がそびえている。
→意味上の主語は"an old large castle"(大きな古城)、"there"は和訳しない
人称代名詞や固有名詞は不可
《there構文》の場合、たいてい主語は動詞の次に置く名詞です→【参照】:『there構文の主語はどれ?』
ただし、《there構文》は主語に必ず“新規の話題”を置きます。なので、原則として人称代名詞や固有名詞、"the, this, that, these, those"、人称代名詞の所有格(my, her, etc)を含む語句を主語に使うことはできません。いずれの表現もたいてい既出の話題を扱うからです→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
ただし、「そこに〜がいる、そこに〜がある」のように"there"で場所を指し示すときは、"there"の次に人称代名詞や固有名詞が使えます→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
人称代名詞(I, we, you, he, she, it, they)
there構文の主語に使えないモノ(1)
↑
人称代名詞は通例、すでに話題に出て来た語句の代わりに使います。なので、"There is he 〜"や"There is it 〜"はたいてい不自然です。《there構文》の主語は“新規の話題”に限ります→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
【例文】:兄は新しい車を買った。彼はクルマの中にいる。
【 × 】:My brother has bought a new car. There is he in the car.
【 ○ 】:My brother has bought a new car. He is in the car.
→"he" = "my brother"
【例文】の場合、"There is he 〜."は不可。人称代名詞の"he" = "my brother"なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
ただし、「そこに彼がいる」のように"there"で場所を指し示すときは、"There he is."が使えます→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
"somebody"や"nobody", "something"や"nothing"などの不定代名詞は“新規の話題”を扱うことができるので、《there構文》が可能です。
【例文】:There's somebody in the warehouse.
【 ○ 】:倉庫に誰かいる。
【例文】:Is there anybody in the warehouse?
【 ○ 】:倉庫に誰かいるのかな。
【例文】:There's nobody in the warehouse.
【 ○ 】:倉庫には誰もいない。
【例文】:There's something wrong with this picture.
【 ○ 】:この写真はどこかおかしい。
【例文】:Is there anything wrong with this picture?
【 ○ 】:この写真はどこかおかしいのかな。
【例文】:There's nothing wrong with this picture.
【 ○ 】:この写真はどこもおかしくない。
固有名詞(John, London, NEC, etc)
there構文の主語に使えないモノ(2)
↑
固有名詞はすでに誰のことなのかはっきりしているので、"There is John 〜"や"There were Tom and Jerry 〜"はたいてい不自然です。《there構文》の主語は“新規の話題”に限ります→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
【例文】:ソクラテスはその遊園地にいる。
【 × 】:There is Socrates in the amusement park.
【 ○ 】:Socrates is in the amusement park.
→"Socrates"は人名 = 固有名詞
【例文】の場合、"There is Socrates 〜."は不可。固有名詞は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
ただし、「そこにソクラテスがいる」のように"there"で場所を指し示すときは、"There is Socrates."が使えます→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
所有格の代名詞(my, our, your, his, her, its, their)を含む語句
there構文の主語に使えないモノ(3)
↑
所有格の代名詞(my, our, your, his, her, its, their)が付いた語句も、すでに話題として出て来た語句を指し示して「私の、私たちの、あなたの、彼の、彼女の、それの、彼らの/彼女らの/それらの」という意味で使います。なので、"There is my car."や"There are our dogs."はたいてい不自然です。《there構文》の主語は“新規の話題”に限ります→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
【例文】:彼女のスマートフォンはソファの上にある。
【 × 】:There is her smartphone on the sofa.
【 ○ 】:Her smartphone is on the sofa.
→"her"は代名詞の所有格
【例文】の場合、"There is her smartphone 〜."は不可。"her"は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
【例文】:彼らの学校は海の近くにある。
【 × 】:There is their school near the sea.
【 ○ 】:Their school is near the sea.
→"their"は代名詞の所有格
【例文】の場合、"There is their school 〜."は不可。"their"は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
ただし、「そこに彼女のスマートフォンがある、あそこに彼らの学校がある」のように"there"で場所を指し示すときは、"There is her smartphone."や"There is their school."が使えます→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
"the, this, that, these, those"を含む語句
there構文の主語に使えないモノ(4)
↑
"the, this, that, these, those"が付いた語句も、すでに話題として出て来た語句を指し示して「この〜、その〜、あの〜、これらの〜、あれら〜」という意味で使います。なので、"There is the car."や"There are these dogs."はたいてい不自然です。《there構文》の主語は“新規の話題”に限ります→【参照】:『there構文はどんな時に使うの?』
【例文】:そのリモコンなら机の上にある。
【 × 】:There is the remote-control on the desk.
【 ○ 】:The remote-control is on the desk
【例文】の場合、"There is the remote-control 〜."は不可。定冠詞(the)は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
【例文】:この猫なら椅子の上にいる。
【 × 】:There is this cat on the chair.
【 ○ 】:This cat is on the chair.
【例文】の場合、"There is this cat 〜."は不可。"this"は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
【例文】:そのサンダルならバルコニーにある。
【 × 】:There are those sandals on the balcony.
【 ○ 】:Those sandals are on the balcony.
【例文】の場合、"There are those sandals 〜"は不可。"those"は特定の人物や物を指すのでたいてい既出の話題です。なので、“新規の話題”を扱う《there構文》には不自然です。
ただし、「そのリモコンはそこにある、この猫はそこにいる、そのサンダルはあそこにある」のように"there"で場所を指し示すときは、"There is the remote-control."や"There is this cat."や"There are those sandals."が使えます→【参照】:『there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき』
注意喚起の"there"
原則として、《there構文》の主語に人称代名詞(I, them, etc)や固有名詞、人称代名詞の所有格(my, her, etc)や定冠詞(the)や指示形容詞(this, those, etc)が付いた語句は使えません→【参照】:『there構文の主語に使えないモノ』
ただし、同じ"there"を使う構文でも、他人の注意を引いて「あそこに〜がいるよ」や「そこに〜があるね」と表現する場合は、主語に代名詞や固有名詞、所有格の代名詞(my, her, etc)や定冠詞(the)や指示形容詞(this, those, etc)が付いた語句を使います。
# There is + 〜 .(あそこに〜がいる、そこに〜がある)[※thereは注意喚起を表わす]
この場合、"there"は存在を表わすのでなく、「あそこに、そこに」という場所を指し示します。なので、存在を表わす《there構文》とは異なり、"there"を「ほらあそこに、ほらそこに、こんなところで」と和訳します→【参照】:『「there構文」って何だっけ?』
注意喚起を表わす"there 〜"はたいてい今現在の状況を表わすので現在時制で使います。
文法的には、場所を表わす"there"が前に出て来て語順が「there + be動詞 + 主語」となった倒置文です。主語が代名詞の場合は倒置を使わず語順は「there + 代名詞 + be動詞」です→【参照】:『なぜ倒置を使うの?文の流れを変化させる:場所や方向を表わす副詞(up, here, etc):here, there』
【例文】:Oh, there's Jim.
【和訳】:オヤ、あそこにジムがいる。
→"there"は他人への注意喚起を表わす、文の主語は"Jim"
【例文】:There are the scissors.
【和訳】:そのハサミはこんなところにある。
→"there"は他人への注意喚起を表わす、文の主語は"the scissors"
【例文】:There's my bike.
【和訳】:あそこにあるのは私の自転車です。
→"there"は他人への注意喚起を表わす、文の主語は"my bike"
「There + 代名詞 + is」
there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき(1)
↑
注意喚起を表わす"there 〜"の場合、代名詞を使うときの語順は「there + 代名詞 + be動詞」です。倒置を使いません。
【例文】:私のCDはどこ。あそこにあるよ。
【 × 】:Where is my CD? There is it.
【 ○ 】:Where is my CD? There it is.
→語順は「there + 代名詞 + be動詞」、"it" = "my CD"
【例文】:息子を探しているんです。アレ、あそこにいる。
【 × 】:We're looking for our son. Oh my, there is he!
【 ○ 】:We're looking for our son. Oh my, there he is!
→語順は「there + 代名詞 + be動詞」、"it" = "my son"
注意喚起の"here"
there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき(2)
↑
注意喚起を表わす場合、"here 〜"も使えます。"there"よりも近くにある人やものを指します。"Here you are."(これどうぞ)や"Here it is."(ここにあります)などは会話でよく使います。
【例文】:Here is my umbrella.
【和訳】:私の傘はここにあります。
→"here"は他人への注意喚起を表わす
【例文】:Here we are.
【和訳】:着いたよ。
→"here"は他人への注意喚起を表わす
【例文】:Here you are. We saved this cake for you.
【和訳】:はいこれどうぞ。あなたの分のケーキを取っておきました。
→"here"は他人への注意喚起を表わす
be動詞以外の動詞
there構文の主語に人称代名詞や固有名詞などが使えるとき(3)
↑
注意喚起を表わす"there 〜, here 〜"の場合、be動詞のほかに"come"や"go"なども使えます。"come"は《there構文》でも使えます→【参照】:『there + be動詞以外(there seems 〜)【移動、出現】を表わすもの 』
【例文】:Here I come.
【和訳】:お待たせー。
【例文】:Here we go!
【和訳】:いくぞー。
【例文】:There comes the train.
【和訳】:ほら、電車が来たよ。
【例文】:There goes the train.
【和訳】:ほら、電車が出るよ。
【例文】:Here comes the dish of the day.
【和訳】:ほら、今日のお薦め料理が来たぞ。
【例文】:There comes the newlyweds.
【和訳】:ほーら新婚さんのお出ましだ。
【例文】:Here goes my money.
【和訳】:お金がなくなっていく。
【例文】:There goes the fire alarm again.
【和訳】:また火災報知機が鳴ってる。
動詞の「数」に"there"自体は関係ない
there構文の「数」の一致(1)
↑
《there構文》の場合、文法上の主語は"there"ですが"there"に実質的な意味はありません。なので、動詞の「数」は原則として、動詞の次に置く名詞に合わせます→【参照】:『there構文の主語はどれ?』
# there構文の「数」の一致……動詞の次に置く名詞に合わせる
"there"に合わせて動詞を単数形の"is"や"was"に固定してしまうのは不可。"there"の次に置く名詞の「数」に合わせて"there are 〜, there were 〜, there has 〜, there have 〜"などを使い分けます。
【例文】:国会議事堂の前には数千人のデモ隊がいる。
【 × 】:There is thousands of demonstrators in front of the Diet Building.
【 ○ 】:There are thousands of demonstrators in front of the Diet Building.
→be動詞の「数」は、"there"ではなく、意味上の主語"demonstrators"(複数)に合わせて"are"を使う
【例文】:このあたり家はほとんどなかった。
【 × 】:There was few houses around here.
【 ○ 】:There were few houses around here.
→be動詞の「数」は、"there"ではなく、意味上の主語"houses"(複数)に合わせて"were"を使う
【例文】:この交差点では過去に多くの事故が発生している。
【 × 】:There has been many accidents in the crossroads
【 ○ 】:There have been many accidents in the crossroads
→動詞の「数」は、"there"ではなく、意味上の主語"accidents"(複数)に合わせて"have"を使う
"seem, tend"などbe動詞以外を使うときも、「数」は"seem, tend"などの動詞の次に置く名詞に合わせます→【参照】:『there + be動詞以外(there seems 〜)』
【例文】:この問題には複数の異なる解答が存在するようだ。
【 × 】:There seems to be several different answers to this question.
【 ○ 】:There seem to be several different answers to this question.
→動詞の「数」は、"there"ではなく、意味上の主語"answers"(複数)に合わせて"seem"を使う
【例文】:この地区は洪水や地すべりが発生しやすい傾向がある。
【 × 】:There tends to be floods and landslides in this area.
【 ○ 】:There tend to be floods and landslides in this area.
→動詞の「数」は、"there"ではなく、意味上の主語"floods and landslides"(複数)に合わせて"seem"を使う
「There's + 複数形の名詞」を使う場合
there構文の「数」の一致(2)
↑
砕けた会話などでは「There's + 複数形の名詞」を使うことがあります。正式な使い方ではないので、英作文では複数形の名詞に合わせて"There are 〜"や"There were 〜"とします。
「There is + 複数形の名詞」ではなく、必ず短縮形の「There's + 複数形の名詞」を使います。
【例文】:町には数軒のうどん屋さんがある。
【 △ 】:There's some udon restaurants in the town.
→くだけた表現、単数形の"is"を使う
【 ○ 】:There are some udon restaurants in the town.
→正式な表現、複数形の"are"を使う
複数の名詞を列記した語句を意味上の主語にするときも、"There's"を使うことがあります。やはり、正式な使い方ではありません。
【例文】:机の上にはシャープペン、ノート、そして数学の教科書がある。
【 △ 】:There's a mechanical pencil, a notebook, and a math textbook on the desk.
→くだけた表現、単数形の"is"を使う、話し言葉では普通
【 ○ 】:There are a mechanical pencil, a notebook, and a math textbook on the desk.
→正式な表現、複数形の"are"を使う
【例文】を英訳するの場合、《there構文》の意味上の主語は"a mechanical pencil, a notebook, and a math textbook"なので「数」は複数です。砕けた会話などでは、"There are"を使わず、"There's"とすることがあります。英作文では複数並んだ名詞に合わせて"There are 〜"とします。
"there"を中心にして作る
《there構文》の場合、疑問文や否定文、付加疑問文は文法上の主語の"there"を中心にして作ります→【参照】:『there構文の主語はどれ?』
動詞がbe動詞の場合とbe動詞以外の場合の構文をまとめます。
be動詞の場合
there構文の疑問文、否定文、付加疑問文(1)
↑
《there構文》でbe動詞を使う場合、疑問文のときはbe動詞を文頭に置きます。否定文のときはbe動詞に"not"を付けます。現在完了時制や過去完了時制、未来時制のときは、"has, have, had, will, would"を文頭に置いて疑問文を作ります。否定文は"has, have, had, will, would"に"not"を付けます。
付加疑問文のときは、"there"を文尾に置いて"〜, isn't there?"や"〜 haven't there?"とします。"thereを人称代名詞の"it"に置き換えた"〜, isn't it?"や"〜 haven't it?"は不可。
be動詞以外の場合
there構文の疑問文、否定文、付加疑問文(2)
↑
《there構文》の場合、be動詞以外の場合は、通例、疑問文を作りません。"There stood a tree."(木が一本立っていた)の疑問で"Did there stand a tree?"とは普通言いません。
be動詞を使わない場合、否定文のときは"do, does, did"を追加して"not"を付けます。現在完了時制や過去完了時制のときは"has, have, had"に"not"を付けます。未来時制のときは"will, would"に"not"を付けます。
付加疑問文のときは、"there"を文尾に置いて"〜, doesn't there?"や"〜 haven't there?"とします。"thereを人称代名詞の"it"に置き換えた"〜, doesn't it?"や"〜 haven't it?"は不可。
事故や災害などが「発生する」
《there構文》の場合、「〜が起こる、〜が発生する」という意味を表わすことがあります。「意味上の主語」に事故や災害などを表わす単語をよく使います。
# There is + 名詞(事故や災害などを表わす単語).(〜が発生する、〜が起こる)
日本語の「〜がある」は「〜が発生する、〜が起こる」の意味で使うことがあります。【例】:「事故があった」(= 事故が発生した)、「火事があった」(= 火事が発生した)。ここでは和訳が「〜がある、〜があった」では不自然になる例を中心にまとめます。
【事故】
there構文が「発生する」の意味を表わす場合(1)
↑
【例文】:There seems to have been a hit-and-run accident near my house yesterday.
【和訳】:昨日、うちの近所でひき逃げ事件が発生したようだ。
→"there seems to have been an accident"(事件が発生したようだ)
【例文】:Witnesses say that there was a small explosion in the station.
【和訳】:目撃者によれば、駅構内で小規模の爆発が起こった。
→"there is an explosion"(爆発が起きる)
【例文】:Set up a fire alarm at your home in case there is a fire.
【和訳】:火災発生に備えて自宅にも火災報知器を設置しよう。
→"there is a fire"(火事が起きる)
【例文】:The police said that there was a shooting incident and the suspect was still on the run.
【和訳】:警察によれば、発砲事件が発生して容疑者はまだ逃走中だ。
→"there is an incident"(事件が起こる)
【災害】
there構文が「発生する」の意味を表わす場合(2)
↑
【例文】:There was a massive earthquake on this day ten years ago.
【和訳】:十年前の今日、巨大地震が発生した。
→"there is an earthquake"(地震が発生する)
【例文】:Over the years there have been many floods in this area.
【和訳】:このあたりは数年にわたり洪水が何度も発生している。
→"there is a flood"(洪水が発生する)
【天候】
there構文が「発生する」の意味を表わす場合(3)
↑
【例文】:The weather forecast said there might be a heavy rain in the afternoon.
【和訳】:午後から大雨になるかもしれないって天気予報で言ってた。
→"there is a heavy rain"(大雨が降る)
【例文】:We should avoid going out if there is a rain storm.
【和訳】:暴風雨になったときは外出を控えるべきだ。
→"there is a storm"(嵐になる)
【例文】:Wind turbines cannot generate electricity if there is not enough wind.
【和訳】:発電用風車は充分な風が吹かなければ電気を作り出すことはできない。
→"there is wind"(風が吹く)
【疫病】
there構文が「発生する」の意味を表わす場合(4)
↑
【例文】:There was an outbreak of COVID-19 at the end of 2019 in China.
【和訳】:2019年の終わり、中国で新型コロナウイルス感染症が発生した。
→"there is an outbreak"(疫病などが発生する)
【例文】:During the last few decades, there were several epidemics like SARS and MERS.
【和訳】:ここ数十年の間に重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)のような疫病の流行が発生した。
→"there is an epidemic"(疫病などが流行が発生する)
【例文】:Just after the First World War there was a flu pandemic known as the Spanish Flu.
【和訳】:第一次世界大戦の終了直後、スペイン風邪として知られるインフルエンザの世界的大流行が発生した。
→"there is a pandemic"(疫病などが世界的大流行が発生する)
動詞との短縮形
《there構文》はアポストロフィ(')を使ってbe動詞や助動詞との短縮形を作ることができます。短縮形が作れるのは"is, has, have, had, will, would"の六語のみ。会話でよく使います→【参照】:『アポストロフィ(')の使い方:「there/here + be/have/will」の場合』
"have, had"は完了時制を表わす助動詞です。「持つ、食べる」の意味を表わす動詞ではありません。
"there's"は"there is"と"there has"の共通の省略形です。どちらの意味かは前後の文脈で判断します。同様に、"there'd"は"there had"と"there would"の共通の省略形です。どちらの意味かは前後の文脈で判断します。
助動詞の"must"や"could"などで短縮形を作ることはありません。"there could"の短縮形で"there'd"とは言いません。