前置詞は「〜で」や「〜に」を表わす
英語の《前置詞》とは、お馴染みの"on"や"in"から、"in front of"(〜の前で)や"pending"(〜までずっと)など一見《前置詞》とは思えないような語句まで含みます。
ほとんどの《前置詞》はそれ自身のみでは具体的な意味を持たず、たいていほかの語句の前に置いて、その語句の意味にプラスαを付け加えます。
【例文】:A cat is sleeping in the pan.
【和訳】:猫が鍋の中で寝ている。
【例文】の場合、"in"が《前置詞》です。"in"のみだと意味は「〜の中で、〜の中に」ですが、"in the pan"となると「鍋の中で」という具体的な表現になります。
【例文】:My dream since childhood is to become a novelist.
【和訳】:子供のころからの私の夢は小説家になることです。
【例文】の場合、"since"が《前置詞》です。"since"のみだと意味は「〜のころからの」ですが、"since childhood"となると「子供のころからの」という具体的な表現になります。
前置詞は助詞の「てにをは」に近い
《前置詞》という言葉は日本語の文法では出て来ません。英語の《前置詞》の"in"や"at"は日本語に訳すと「〜で」「〜に」などに当たるので、意味的には「助詞」に近いところがあります。
日本語の「助詞」はたいてい語句の“次”に置きます。
【例】:雨が降ってきた。(「が」は助詞、「雨」は名詞)
【例】:暗記することに頼るな。(「に」は助詞、「暗記すること」は名詞として使った句)
【例】:虹が出ることは珍しい。(「は」は助詞、「虹が出ること」は名詞として使った節)
また、日本語の「助詞」は動詞や形容詞の次に置くこともあります。あるいは、語と語、文と文をつなぐこともあります。
【例】:わかるまで読んでみてね(「まで」は助詞、「わかる」は動詞)
【例】:赤いのが欲しい。(「の」は助詞、「赤い」は形容詞)
【例】:走ると疲れる。(「と」は助詞、「走る」と「疲れる」をつなぐ)
前置詞はプラスαの意味を付加する
英語の場合、《前置詞》は原則として名詞として使う語、句、節の“前”に置きます。前に置くから《前置詞》。そして《前置詞》は後に続く語、句、節の意味にプラスαを付け加えます。
【例】:We think about information.
【訳】:情報について考えてみよう。
→"about"は前置詞、"information"は名詞
【例】:We think about it.
【訳】:それについて考えてみよう。
→"about"は前置詞、"it"は代名詞
【例】:We think about global warming.
【訳】:地球温暖化について考えてみよう。
→"about"は前置詞、"global warming"は句
【例】:We think about what we can do.
【訳】:私たちは何ができるかについて考えてみよう。
→"about"は前置詞、"what we can do"は節
上記の【例】の場合、"about"はいずれも"about"の次にある語、句、節の意味を補足します。一方、日本語に直すと、「について」はいずれも「について」の前にある語、句、節の意味を補足します。
前置詞は目的語が不可欠
英語の場合、"on"や"near"のように、《前置詞》としても副詞としても使える語句があります。
たいていの場合、"on"や"near"が副詞なら、次の「目的語」は不要です。"on"や"near"単独でそれぞれ「(明りが)点いている」「(時間や場所が)近い」などの意味を表わします。
一方、"on"や"near"が《前置詞》なら、次に必ず「目的語」があります。《前置詞》として使う場合、「目的語」が欠けると意味不明になります→【参照】:『「前置詞の目的語」』
# 【前置詞】……目的語が必要
# 【副詞】……目的語は不要
【例文】:The ligth was on1, but nobody noticed the cat on2 the refrigerator.
【和訳】:明りは点いていたが、冷蔵庫の上の猫には誰も気づかなかった。
【例文】の場合、"on1"は次に「目的語」がなくても意味は通じるので、品詞は副詞です。一方、"on2"は「目的語」の"the refrigerator"が欠けると意味が通じなくなるので、品詞は《前置詞》です。
【例文】:Since midnight is near1, almost all the shops near2 my house were closed.
【和訳】:真夜中近いので、うちの近くの店はほとんど閉店している。
【例文】の場合、"near1"は次に「目的語」がなくても意味は通じるので、品詞は副詞です。一方、"near2"は「目的語」の"my house"が欠けると意味が通じなくなるので、品詞は《前置詞》です。
接続詞は「文」が続く
英語の場合、"since"や"after"のように、《前置詞》としても接続詞としても使える語句があります。
たいていの場合、"since"や"after"が接続詞なら、次に主語と述語を備えた「文」が続きます。一方、"since"や"after"が《前置詞》なら、次にそのまま「文」を続けるのは不可。名詞として使う語、句、節を置きます→【参照】:『前置詞の目的語に使えるモノ』
# 【前置詞】……次に「主語と述語を備えた文」を続けるは不可
# 【接続詞】……次に「主語と述語を備えた文」を続けるはOK
【例文】:子供のころからサッカー選手になりたかった。
【 ○ 】:I have wanted to become a soccer player since1 I was a child.
【 ○ 】:I have wanted to become a soccer player since2 my childhood.
"I was a child"は主語と述語を備えた「文」なので、"since1"は接続詞。一方、"my childhoood"は名詞句なので"since2"は《前置詞》です。
【例文】:朝御飯を食べたら歯を磨きなさい。
【 ○ 】:You must brush you teeth after1 you eat breakfast.
【 ○ 】:You must brush you teeth after2 breakfast.
"you eat breakfast"は主語と述語を備えた「文」なので、"after1"は接続詞。一方、"breakfast"は名詞なので"after2"は《前置詞》です。
一語の前置詞 = 単純前置詞
"in"や"on"など、比較的短い綴りでよく見かける《前置詞》は「単純前置詞」と言います。
【例文】:This coffe tastes like tea.
【和訳】:このコーヒー、紅茶みたいな味がするね。
→"like"は前置詞、意味は「〜のような」
【例文】:Yesterday there was a gas explosion near my house.
【和訳】:昨日、近所でガス爆発があった。
→"near"は前置詞、意味は「〜の近くで」
語尾が"ing"の前置詞
「分詞前置詞」(participial preposition)は名前の通り、もともとは分詞として使っていたものです。よく見かけるものをまとめます。
いずれの《前置詞》も分詞とや動名詞とは微妙に違う意味を表わします。
considering 〜(〜のわりには、〜を考えると)
前置詞の種類(3)分詞前置詞(1)
↑
"considering 〜"の意味は「〜を考えてみると(なるほどと思える)、〜を考えてみると(意外だ)」です。
【例文】:Considering the low price, this is a good digital camera.
【 × 】:安かったことを考えながら、このデジカメは良いカメラだ。
【 ○ 】:安かったことを考えると、このデジカメは良いカメラだ。
→"considering"は前置詞、"the low price"は名詞句
"considering 〜"は接続詞として使うこともできます。"considering"の次に主語と動詞を備えた「文」を置きます。
【例文】:Considering I bought it at the low price, this is a good digital camera.
【和訳】:安く買えたことを考えると、このデジカメは良いカメラだ。
→"considering"は接続詞、"I bought it at the low price"は文
concerining, regarding 〜(〜に関して、〜について)(= about)
前置詞の種類(3)分詞前置詞(2)
↑
"concerning"と"regarding"はほぼ同じ意味、「〜に関して、〜について」(= about)です。
二語ともやや堅苦しい言葉。いずれも「名詞 + concerning 〜」「名詞 + regarding 〜」の形で使います。「動詞 + concerning 〜」や「動詞 + regarding 〜」という表現はありません。
【例文】:I've just had a report concernig the accident.
(= I've just had a report about the accident.)
【 × 】:今しがたその事故を心配する報告書を受け取ったところだ。
【 ○ 】:今しがたその事故に関する報告書を受け取ったところだ。
→「名詞 + concerning 〜」はOK
【例文】:I've just had a report regarding the accident.
(= I've just had a report about the accident.)
【 × 】:今しがたその事故を見なすような報告書を受け取ったところだ。
【 ○ 】:今しがたその事故に関する報告書を受け取ったところだ。
→「名詞 + regarding 〜」はOK
【例文】:これから古生物学についてお話します。
【 × 】:I'll talk concernig paleontology.
【 × 】:I'll talk regarding paleontology.
【 ○ 】:I'll talk about paleontology.
【 ○ 】:I'll talk on paleontology.
→「動詞 + concerning/regarding 〜」は不可
pending 〜(時間的に〜するまで、〜に関する結果が出るまで)(= until)
前置詞の種類(3)分詞前置詞(3)
↑
"peinding"はやや堅苦しい言葉です。意味は"until"とほぼ同じ、「時間的に〜するまで、〜に関する結果が出るまで、事態が〜になるまで」です。
【例文】:Climbing was postponed pending the recovery of the weather.
(= Climbing was postponed until the recovery of the weather.)
【 × 】:未解決の天候の回復を登山は延期となった。
【 ○ 】:天候が回復するまで登山は延期となった。
barring 〜(〜がなければ、〜が起こらなければ)(= except for)
前置詞の種類(3)分詞前置詞(4)
↑
"barring"は条件を表わす文でよく使います。意味は「〜がなければ、〜が起こらなければ」です。
【例文】:Japanese Air Force One has already taken off and, barring accidents, it should arrive shortly.
(= Japanese Air Force One has already taken off and, except for accidents, it should arrive shortly.)
【 × 】:政府専用機はすでに離陸しました。トラブルを閉じ込めながらもうすぐ到着するはずです。
【 ○ 】:政府専用機はすでに離陸しました。トラブルがなければもうすぐ到着するはずです。
単語が複数集まった前置詞
「群前置詞」(group preposition)とはその名の通り、二つ以上の単語から成る《前置詞》です。「句前置詞」(phrasal preposition)とも言います。
単語が二つも三つもまとまって《前置詞》と言うのもヘンですが、一語一語を分離してしまうとまったく別の意味になるので、意味的なひとまとまりとして「群前置詞」あるいは「句前置詞」と呼びます。
「群前置詞」は《前置詞》の一種なので、原則として次には名詞として使う語、句、節を置きます。「主語 + 動詞」の「文」をそのまま置くのは文法的に不可→【参照】:『前置詞の目的語」:前置詞の目的語に使えないモノ』
【場所】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(1)
↑
どの群前置詞もバラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
【例文】:My house sits across from the school.
【 × 】:私の家は学校から横切ったにある。
【 ○ 】:私の家は学校の正面にある。
→"across from 〜"の意味は「〜の正面に、〜の反対側に」
【例文】:A dog was sitting in front of the convenience store.
【 × 】:コンビニの前の中で一匹の犬が座っていた。
【 ○ 】:コンビニの前に一匹の犬が座っていた。
→"in front of 〜"の意味は「〜の前で、〜前に」
【例文】:Several zombies came out of the ground in the cemetery.
【 × 】:墓地の土の中の外で数匹のゾンビが現われ出た。
【 ○ 】:墓地の土の中から数匹のゾンビが現われ出た。
→"ouf of 〜"の意味は「〜から、〜より」
【例文】:My two ferrets ran from behind the sofa.
【 × 】:ソファの背後でから二匹の飼っているフェレットが走って出て来た。
【 ○ 】:ソファの陰から二匹の飼っているフェレットが走って出て来た。
→"from behind 〜"の意味は「〜の向こう側から」
【例文】:Some kittens rushed from under the parked car.
【 × 】:駐車している車の下でから子猫が数匹走り出て来た。
【 ○ 】:駐車している車の下から子猫が数匹走り出て来た。
→"from under 〜"の意味は「〜の下から」
【例文】:Choose a card from among the cards.
【 × 】:このトランプの間から一枚を選んで下さい。
【 ○ 】:このトランプの中から一枚を選んで下さい。
→"from among 〜"の意味は「〜の中から」
【例文】:I heard the sound of violent sneezing from around the corner.
【 × 】:角の周りから誰かが大きなくしゃみをするのが聞こえた。
【 ○ 】:角の向こう側から誰かが大きなくしゃみをするのが聞こえた。
→"from around 〜"の意味は「〜の向こう側から」
【例文】:This CD contains folk music from around the world.
【 × 】:このCDは世界の周りから民族音楽を収録しています。
【 ○ 】:このCDは世界中から集めた民族音楽を収録しています。
→"from around 〜"の意味は「〜中(じゅう)から」
【関連】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(2)
↑
いずれの群前置詞もバラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
"as for"と"as to"の意味はほぼ同じです。たいてい、"as for"は文頭で使い、"as to"は文の途中に置きます。
【例文】:As for baseball, I went to a night game yesterday.
【 × 】:野球のためなので、昨日ナイターを見に行きました。
【 ○ 】:野球と言えば、昨日ナイターを見に行きました。
→"as for 〜"の意味は「〜について、〜と言えば、〜に関して」
【例文】:None of us knew as to which bus stop to get off.
【 × 】:どのバス停で下りるのかに対してなので、知っている人はいなかった。
【 ○ 】:どのバス停で下りるのかについて、誰も知らなかった。
→"as to 〜"の意味は「〜について、〜に関して」
【範囲】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(3)
↑
"up to"はバラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
"up to"は時刻や数値が「〜まで、最大で〜」の意味のほかに、場所的に「〜まで、〜な所まで」や量や範囲が「最大〜まで」という意味もあります。類義語の"till, until"にはない意味です。
【例文】:This dental clinic is open up to 9 p.m.
【 × 】:この歯医者は夜の九時に上に開いています。
【 ○ 】:この歯医者は夜の九時まで開いています。
→"up to 〜"の意味は「(時間が)〜まで」
【例文】:This airliner is capable of accommodating up to 200 passengers.
【 × 】:この旅客機は二百人の乗客に対して上に乗せることができる。
【 ○ 】:この旅客機は最大二百人の乗客を乗せることができる。
→"up to 〜"の意味は「(数が)最大〜まで」
【例文】:The smell of toilet air freshener reaches up to the entrance.
【 × 】:トイレ芳香剤のにおいが玄関までの上に届いている。
【 ○ 】:トイレ芳香剤のにおいが玄関まで届いている。
→"up to 〜"の意味は「(範囲が)〜まで」
【代理】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(4)
↑
二つともバラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
【例文】:You can use salad oil in place of olive oil.
【 × 】:あなたはオリーブオイルの場所でサラダ油を使うことができる。
【 ○ 】:オリーブオイルの代わりにサラダ油を使っても構いません。
→"in place of"の意味は「〜の代わりに」
【例文】:You can send the application form by fax instead of sending by mail.
【 × 】:あなたは申込用紙を郵便で送ることのそうではなくてファックスで送ることができる。
【 ○ 】:申込用紙は郵送の代わりにファックスで送ることができます。
→"instead of"の意味は「〜の代わりに」
"instead of"は"without"に近い意味で使うこともあります。意味は「〜なしで、〜を使わずに、〜省いて」です。
【例文】:Any person can cast his vote instead of going to the polls.
(= Any person can cast his vote without going to the polls.)
【 × 】:いかなる人物も投票所のことのそうではなく、彼の投票することはできる。
【 ○ 】:誰でも投票所に出向かなくても投票することができます。
→"instead of"の意味は「〜せずに、〜なしに」(= without)
【原因】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(5)
↑
いずれも「原因、理由」を表わします。"because of"が一番よく使う表現。"on account of"と"owing to"はやや堅苦しい表現。"due to"は結果が悪くなってしまったときによく使います。
いずれも、バラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
【例文】:I've caught a cold because of the rapid change of weather.
【 × 】:天気の急な変化のなので私は風邪をひいてしまった。
【 ○ 】:気候が急に変わるので風邪をひいてしまった。
→"because of"の意味は「〜なので、〜が原因で」
【例文】:The subway has been late due to the accident involving human injury.
【 × 】:人身事故に対して与えられるべき地下鉄が遅れている。
【 ○ 】:人身事故発生のため地下鉄が遅れている。
→"due to"の意味は「〜なので、〜が原因で」
【例文】:The prices of vegetables remain high on account of the long spell of rain.
【 × 】:長雨の説明の上で野菜の価格は高いままだ。
【 ○ 】:長雨のため野菜の値段は高騰したままだ。
→"on accout of"の意味は「〜なので、〜が原因で」
【例文】:A five-year-old boy was saved from under the rubble owing to a desperate rescue effort.
【 × 】:五歳の少年が懸命な救助努力に対して借りながら、瓦礫の下から救出された。
【 ○ 】:懸命の救助活動のおかげで、瓦礫の下から五歳の少年が救出された。
→"owing to"の意味は「〜なので、〜が原因で」
【意外】を表わす群前置詞
前置詞の種類(4)群前置詞(句前置詞)(6)
↑
"in spite of"は「意外、予想外」を表わします。
"in spie of"はバラバラに和訳すると別の意味になるので、まとめて一つの《前置詞》と見なします。
【例文】:The cat was quite unhurt in spite of falling from the third floor of the flats.
【 × 】:その猫はマンションの三階から落下の悪意の中でかなり無傷だった。
【 ○ 】:猫はマンションの三階から落っこちたがまったくの無傷だった。
前置詞のみでは内容がない
《前置詞》が作る句を「前置詞句」と言います。
《前置詞》はたいてい、ほかの語句と結び付いて初めて具体的な意味を表わします。日本語でも、助詞の「てにをは」のみでは具体的な意味はゼロです。「山で」「机の下に」のようにほかの語句と結び付くと、初めて意味が具体的になります。
【例文】:Now I am talking with my mother on the phone.
【和訳】:今、お母さんと電話で話しています。
【例文】の場合、"with my mother"と"on the phone"が前置詞句です。それぞれ、《前置詞》の"with"と"on"に語句がくっついています。前置詞句は二つとも動詞の"talk"の補足説明です。「話している」のは「母と」であり、「話している」のは「電話で」です。
このように、《前置詞》はほかの語句とつながって「前置詞句」となり、「前置詞句」はさらに別の語句の意味を補足します。
ほかの語句を補足説明する「前置詞句」
前置詞句は動詞の補足説明を行うほか、名詞や代名詞の補足説明も行います。
前置詞句が名詞を直接補足説明できることは、意外に見落としがちです。常に、「動詞 + 前置詞 + 語句」となるわけではありません。「名詞 + 前置詞 + 語句」もよく使います。
【例文】:The government has completely lost control over forces.
【和訳】:政府は軍をまったくコントロールできていない。
→前置詞句"over forces"は名詞"control"の補足説明
副詞として機能……動詞や形容詞の補足説明
前置詞句ってナニをするの?(1)
↑
前置詞句は動詞と形容詞の意味を補足説明するので副詞として機能します。
【例文】:You are not permitted to play fireworks at this park.
【和訳】:この公園で花火をすることは禁じられている。
→"at this park"は前置詞句、動詞"permitted"の意味を補足する
【例文】:I'm listening to heavy metal.
【和訳】:今、ヘヴィメタを聞いてる。
→"to heavy metal"は前置詞句、動詞"listening"の意味を補足する
【例文】:Sea otters are good at swimming.
【和訳】:ラッコは泳ぎが達者だ。
→"at swimming"は前置詞句、形容詞"good"の意味を補足する
【例文】:Vitamins are essential to our health.
【和訳】:各種ビタミンは健康には欠かせないものだ。
→"to our health"は前置詞句、形容詞"essential"の意味を補足する
文全体の補足説明
前置詞句ってナニをするの?(2)
↑
前置詞句は文全体の意味を補足説明することがあります。前置詞句全体が副詞として機能します。
【例文】:In my opinion, we do not need Upper House.
(= I don't think that we need Upper House.)
【和訳】:私の考えでは、参議院は不要です。
→"in my opinion"は前置詞句、文全体の意味を補足する
【例文】:Against all expectations, a six-year-old girl won the quiz contest.
(= No one expected that a six-year-old girl would win the quiz contest.)
【和訳】:予想を裏切って、クイズ大会を制したのは六歳の女の子でした。
→"against all expectations"は前置詞句、文全体の意味を補足する
名詞や代名詞の補足説明
前置詞句ってナニをするの?(3)
↑
前置詞句の中には名詞や代名詞を補足説明するもの、つまり形容詞として機能するものもあります。
【例文】:I found a house with no window.
【 × 】:窓がないのと一緒に家を見つけた。
【 ○ 】:窓がない家を見つけた。
【例文】の場合、"with"を「〜と一緒に」と和訳すると、日本語として意味不明です。"with"を「〜がある、〜という性質を持っている」と解釈すると、自然な日本語訳になります。
実は、前置詞句の"with no window"は、動詞の"found"ではなく、"with"のすぐ前にある名詞の"house"を補足説明しています。名詞の意味を補足説明するので、前置詞句"with no window"は形容詞として機能します。
前置詞句"of 〜"(〜の)
前置詞句ってナニをするの?(3)名詞や代名詞の補足説明(1)
↑
普段、よく見かける"of"(〜の)も、実は名詞を補足説明する前置詞句を作ります。
【例文】:One of my friends is a professional ballplayer.
【和訳】:友人の一人はプロ野球の選手だ。
"of"が《前置詞》。前置詞句の"of my friends"は、代名詞の"one"を補足説明します。つまり、前置詞句の"of my friends"は形容詞として代名詞の"one"の意味を補足します。
誤訳しやすい前置詞句
前置詞句ってナニをするの?(3)名詞や代名詞の補足説明(2)
↑
名詞を補足説明する前置詞句は意外に見落としやすいので、例文を追加します。どの前置詞句も名詞の後ろに置きます。
【例文】:出世の秘訣はよく働き、いい人間関係を築くことだ。
【英訳】:Hard work and good relationship are the key to getting ahead.
→"to getting ahead"は前置詞句、名詞"key"の意味を後ろから補足する
【例文】:幼なじみに会うといつも学生気分にもどってしまう。
【英訳】:Friends since childhood always make me feel as if I were a student.
→"since childhood"は前置詞句、名詞"friends"の意味を後ろから補足する
【例文】:いつの日か人類は生態系を完全に制御するかもしれない。
【英訳】:Someday human beings may have full control over ecosystem.
→"over ecosystem"は前置詞句、名詞"control"の意味を後ろから補足する
【例文】:ショーウインドウの中にいる尻尾の長い白猫は、ウチで飼っている猫ではありません。
【英訳】:The white cat with a long tail in the shop window doesn't belong to us.
→"with a long tail"と"in the shop window"は二つとも前置詞句、名詞"cat"の意味を後ろから補足する
前置詞の次に置く語句 = 前置詞の目的語
《前置詞》はたいていほかの語句にくっついて、その語句の意味にプラスαを付け加えます→【参照】:『前置詞ってナニをするの?』
英文法のお約束として、《前置詞》の次に置く語句は必ず名詞として使う語、句、節の「目的格」を使います。なので、《前置詞》の次に置く語句や節を「前置詞の目的語」と呼びます。
# 前置詞の次に置く語、句、節……「前置詞の目的語」
たとえば、「このコンビニで」は"at this convenience store"です。《前置詞》"at"の次に置いた"this convenience store"の中にある"store"は、ウソのようですが実は、名詞の「目的格」です。
英語の場合、一般の名詞だと、主格と目的格も見た目の形は同じなので区別がつきません。ところが、「前置詞 + 代名詞」の形だと、《前置詞》の次の語句が「目的格」であることがはっきりわかります。
【例文】:私は彼と話をした。
【 × 】:I talked with he.
【 × 】:I talked with his.
【 ○ 】:I talked with him.
【例文】:私は彼らと話をした。
【 × 】:I talked with they.
【 × 】:I talked with their.
【 ○ 】:I talked with them.
【例文】を英訳する場合、"with he"や"with they"、"with his"や"with their"は文法的に不可です。必ず、"him"と"them"を使います。"him"は"he"の「目的格」、"them"は"they"の「目的格」です。なので、《前置詞》の次に来る語句を「目的語」と呼びます。
意味的には、"him"と"them"の「目的格」としての意味「〜に、〜を」は消え失せて、「彼」と「彼ら」のみになります。
名詞的な語、句、節
《前置詞》の次にはたいてい、名詞として使う語、句、節を「目的語」として置きます→【参照】:『「前置詞の目的語」ってナニ?』
「前置詞の目的語」として使えるモノをまとめます。
名称は「目的語」ですが、実際の英文では複数の「語」が集まった「句」や、主語と動詞を備えた「節」も「前置詞の目的語」として使うことができます。
前置詞の目的語が「語」の場合
「語」が「前置詞の目的語」の場合、"mountain"や"future"などの一般の名詞や"you, us"などの代名詞のほか、"running, watching"などの動名詞も使用可能です。
【例文】:Craftsmen acquire skills through experience.
【和訳】:職人たちは経験を通して技術を獲得する。
→"through"は前置詞、"experience"は名詞(前置詞の目的語)
【例文】:I can't live without you.
【和訳】:あなたなしでは生きて行けない。
→"without"は前置詞、"you"は代名詞(前置詞の目的語)
【例文】:I'm good at swimming.
【和訳】:泳ぐのは得意だ。
→"at"は前置詞、"swimming"は動名詞(前置詞の目的語)
前置詞の目的語が「句」の場合
複数の「語」が集まった「句」も「前置詞の目的語」として使うことができます。
「the + 形容詞」(〜である人々)や「動名詞 + 〜」(〜をすること、〜であること)などもOK。いずれも名詞として機能するので「名詞句」と呼びます。
ただし、to不定詞は、ごく少数の例外を除いて、「前置詞の目的語」として使うことは文法的に不可です→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ……to不定詞』
【例文】:Technology beyond modern science appears in many films.
【和訳】:現代科学を超えたテクノロジーが多くの映画に登場します。
→"beyond"は前置詞、"modern science"は名詞句(前置詞の目的語)
【例文】:The swindlers preyed on the elderly.
【和訳】:詐欺師はお年寄りを食い物にした。
→"on"は前置詞、"the elderly"は「the + 形容詞」= 名詞句(前置詞の目的語)
【例文】:I'm surprised at hearing that your house caught fire.
【和訳】:あなたの家が火事になったと聞いてびっくりしています。
→"at"は前置詞、"hearing that your house caught fire"は動名詞が作る句(名詞句)(前置詞の目的語)
"who"や"what"も使える
やや意外に感じるかもしれませんが、"who 〜"や"what 〜"のような「節」も「前置詞の目的語」として頻繁に使います。「節」自体がかなり長くなってもOKです。
"who"や"what"などが導く「節」は名詞として機能するので「名詞節」と呼びます。
"if"は普通、「前置詞の目的語」として使うことはありません。「〜かどうか」の意味を表わすときは、代わりに"whether"を使います。
【例文】:人類が恐竜のように絶滅するのかどうかという議論があります。
【 × 】:There is a argument about if humans can go extinct like dinosaurs.
【 ○ 】:There is a argument about whether humans can go extinct like dinosaurs.
→"about if 〜"は通例不可、代わりに"whether"を使う
who, which, what, when, where, why, whether, how節
前置詞の目的語となる節(1)
↑
"who 〜"や"what 〜"のような「節」も「前置詞の目的語」として使えます。"who, which, what, when, where, why, whether, how"が導く「節」は名詞として機能するので「名詞節」と呼びます。
【例文】:I have no interest in who won the first prize.
【和訳】:誰が一等賞を取ったなんて興味はないね。
→"in"は前置詞、"who"以下はすべて"in"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:I'm unsure of which egg is boiled.
【和訳】:どっちがゆで卵なのかわかんなくなっちゃった。
→"of"は前置詞、"which"以下はすべて"of"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:We must think about what we should do for the people who lost their home due to the typhoon.
【和訳】:台風で家を失った方たちに対して何をしてあげられるのか、考えなければならない。
→"about"は前置詞、"what"以下はすべて"about"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:Nobody has a credible information about when this recession will end.
【和訳】:誰もこの不景気がいつ終るのか、はっきりした情報は持っていない。
→"about"は前置詞、"when"以下はすべて"about"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:Few people have knowledge of where their ancestors came from.
【和訳】:ほとんどの人は自分の祖先がどこから来たのか知らない。
→"of"は前置詞、"where"以下はすべて"of"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:There is no clear explanation as to why El Nino or La Nina occurs.
【和訳】:エルニーニョやラニーニャがなぜ発生するのかについて、はっきりしたことは何一つわかっていない。
→"as to"は前置詞、"why"以下はすべて"as to"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:The future of civilization depends upon whether we can invent a safe, alternative energy.
【和訳】:人類の文明の将来は、我々が安全な代替エネルギーを開発できるかどうかにかかっている。
→"upon"は前置詞、"whether"以下はすべて"upon"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:The children were briefed on how airplanes can fly.
【和訳】:子供たちは飛行機がどうやって空を飛ぶことができるのかについて、要点を教えてもらいました。
→"on"は前置詞、"how"以下はすべて"on"の目的語(前置詞の目的語)
that節
前置詞の目的語となる節(2)
↑
that節も「前置詞の目的語」として使うことがあります。ただし、次にthat節が来る《前置詞》はごく少数です。よく見かけるのは"in"のみ。「about + that節」や「with + that節」は通例、不可。
"that"が導く「節」は名詞として機能するので、「名詞節」と呼びます。
# in that 〜(〜の点において、〜が原因で)
【例文】:I was lucky in that a doctor was on board.
(= I was lucky because a doctor was on board)
【和訳】:乗客の中に医者がいたということが不幸中の幸いでした。
→"in"は前置詞、"that a doctor was on board"は"in"の目的語(前置詞の目的語)
the fact + that節
前置詞の目的語となる節(3)
↑
目的語にthat節を取ることができる《前置詞》は通例"in"のみです→【参照】:『前置詞の目的語に使えるモノ……that節』
ただし、that節単独ではなく、"the fact"を付け加えて「the fact + that節」とすれば、目的語としてたいていの《前置詞》で使うことができます。この場合、that節は「同格」を表わし、"the fact"の補足説明を行います。
【例文】:自殺者の数の急増が気になります。
【 × 】:I'm anxious about that the number of suicides has soared.
【 ○ 】:I'm anxious about the fact that the number of suicides has soared.
→"about"は前置詞、"the fact that 〜 soared"までは"about"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:朝は天気だったのに、さっきから土砂降りだ。
【 × 】:Despite that it was fine in the morning, it has been raining heavily.
【 ○ 】:Despite the fact that it was fine in the morning, it has been raining heavily.
→"despite"は前置詞、"the fact that 〜 morning"までは"despite"の目的語(前置詞の目的語)
【例文】:景気が回復基調にあるとはとうてい思えない。
【 × 】:I strongly disagree with that economic condition is recovering.
【 ○ 】:I strongly disagree with the fact that economic condition is recovering.
→"with"は前置詞、"the fact that 〜 recovering"までは"with"の目的語(前置詞の目的語)
「名詞的な語、句、節」以外は不可
「前置詞の目的語」は名詞として使う語、句、節です→【参照】:『「前置詞の目的語」ってナニ?』
なので、形容詞のみや副詞のみを「前置詞の目的語」として使うことは、一部の例外を除いて、文法的に不可。意味的にも破綻します。
「前置詞の目的語」として使えないモノをまとめます。
動詞
前置詞の目的語(6)前置詞の目的語に使えないモノ(1)
↑
動詞を「前置詞の目的語」として使うことはできません。無理に使うと、意味がヘンになります。代わりに"ing"を付けて動名詞を使います。
【 × 】:I talked about play baseball.
【和訳?】:野球をするについて話した
→"about"は前置詞、"play"は動詞
【 ○ 】:I talked about playing baseball.
【和訳】:野球をすることについて話した
→"about playing baseball"なら可、"playing"は名詞として使った動詞(動名詞)
形容詞
前置詞の目的語(6)前置詞の目的語に使えないモノ(2)
↑
一部の例外を除いて、形容詞を「前置詞の目的語」として使うことはできません。無理に使うと、意味がヘンになります→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ【例外】形容詞と副詞(in vain, for ever, from abroad, etc)』
【 × 】:I talked about beautiful.
【和訳?】:美しいについて話した
→"about"は前置詞、"beautiful"は形容詞
【 ○ 】:I talked about beauty.
【和訳】:美について話した
→"about beauty"なら可、"beauty"は名詞
【 ○ 】:I talked about beautiful flowers.
【和訳】:美しい花について話した
→"about beautiful flowers"も可、"beautiful flowers"は名詞句
副詞
前置詞の目的語(6)前置詞の目的語に使えないモノ(3)
↑
一部の例外を除いて、副詞を「前置詞の目的語」として使うことはできません。無理に使うと、意味がヘンになります→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ【例外】形容詞と副詞(in vain, for ever, from abroad, etc)』
【 × 】:I talked about slowly.
【和訳?】:ゆっくりとについて話した
→"about"は前置詞、"slowly"は副詞
【 ○ 】:I talked about a slow turtle.
【和訳】:のろまなカメについて話した
→"a slow turtle"なら可、"a slow turtle"は名詞句
【 ○ 】:I talked about my dream slowly.
【和訳】:自分の将来の夢についてゆっくりと話した
→"about my dream slowly"なら可、"my dream"は名詞句
to不定詞
前置詞の目的語(6)前置詞の目的語に使えないモノ(4)
↑
to不定詞は名詞として使うことができますが、ごく一部の例外を除いて「前置詞の目的語」としては使用不可です。代わりに動名詞を使います→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ【例外】不定詞(be about to 〜, nothing but 〜, etc)』
【例文】:息継ぎなしで五十メートル泳げます。
【 × 】:I can swim 50 meters without to breathe.
【 ○ 】:I can swim 50 meters without breathing.
→"without"は前置詞、動名詞の"breathing"を使う
"that"や"what"なしの独立した文
前置詞の目的語(6)前置詞の目的語に使えないモノ(5)
↑
「前置詞の目的語」として「文」をそのまま使うのは文法的に不可です。無理に使うと、意味がヘンになります。
必ず、(1)"who, what, how"などを付けて「名詞節」にする、(2)「名詞 + 〜」の形の「名詞句」にする、(3)動詞を動名詞にする、のいずれかを使います→【参照】:『前置詞の目的語に使えるモノ』
「文」の代わりに「名詞節」を使う例
前置詞の目的語:前置詞の目的語に使えないモノ:"that"や"what"なしの独立した文(1)
↑
【 × 】:I talked about tropical rainforests are disappearing rapidly.
【和訳?】:熱帯雨林が急速に失われつつあるについて話した。
→"about"は前置詞、"tropical rainforests are disappearing rapidly"は文
【 ○ 】:I talked about how rapidly tropical rainforests are disappearing.
【和訳】:熱帯雨林がいかに急速に失われつつあるかについて話した。
→"how tropical rainforests are disappearing rapidly"なら可、"how 〜 rapidly"は名詞節
《前置詞》"about"の次に「文」をそのまま置くことはできません。"how"を付けて「名詞節」ならOK。
「文」の代わりに「名詞句」を使う例
前置詞の目的語:前置詞の目的語に使えないモノ:"that"や"what"なしの独立した文(2)
↑
【 × 】:I talked about tropical rainforests are disappearing rapidly.
【和訳?】:熱帯雨林が急速に失われつつあるについて話した。
→"about"は前置詞、"tropical rainforests are disappearing rapidly"は文
【 ○ 】:I talked about tropical rainforests which are disappearing rapidly.
【和訳】:急速に失われつつある熱帯雨林について話した。
→"tropical rainforests which are disappearing"なら可、"tropical rainforests 〜 rapidly"は名詞句
《前置詞》"about"の次に「文」をそのまま置くことはできません。「名詞 + 〜」の「名詞句」ならOK。
「文」の代わりに「動名詞」を使う例
前置詞の目的語:前置詞の目的語に使えないモノ:"that"や"what"なしの独立した文(3)
↑
【 × 】:You must not drive without you wear glasses.
【和訳?】:あなたの場合、あなたが眼鏡をかけるなしに運転してはいけない。
→"without"は前置詞、"you wear glasses"は文
【 ○ 】:You must not drive without wearing glasses.
【和訳】:あなたの場合、眼鏡をかけずに運転してはいけない。
→"wearing glasses"なら可、"wearing glasses"は動名詞(名詞句)
《前置詞》"without"の次に「文」をそのまま置くことはできません。名詞として使える動名詞ならOK。
形容詞や副詞、不定詞、前置詞句を目的語に使う
通例、「前置詞の目的語」として使えるのは、名詞として使う語、句、節です→【参照】:『「前置詞の目的語」ってナニ?』
ただし、例外的に形容詞や副詞、前置詞句を「前置詞の目的語」として使うことがあります。よく見かける表現をまとめます。たいていはイディオムとして定着した表現です。
「前置詞 + 形容詞」(in vain, for sure, etc)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】(1)
↑
普通、"beautiful"や"bad"などの形容詞を「前置詞の目的語」として使うことはできません→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ』
ただし、例外的にイディオムとして定着した表現が少数あります。よく見かける表現をまとめます。
# in vain(何の成果も上げることなく、無駄に)
# for certain(確かに)
# for sure(確かに)
【例文】:I tried in vain to quit smoking.
【和訳】:禁煙の努力は無駄に終った。
→"vain"(無駄な)は形容詞だが、"in vain"はイディオムとして使用可能
【例文】:We can't conclude for certain that the driver pressed the accelerator instead of the brake.
【和訳】:確かに運転手がブレーキの代わりにアクセルを踏んだと結論づけることはできない。
→"certain"(確信している)は形容詞だが、"for certain"はイディオムとして使用可能
【例文】:Nobody knew for sure when the fire started.
【和訳】:火災の発生がいつだったのか確かに誰もわからなかった。
→"sure"(確信している)は形容詞だが、"for sure"はイディオムとして使用可能
「前置詞 + 副詞」(for ever, from abroad, etc)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】(2)
↑
普通、"easily"や"slowly"などの副詞を「前置詞の目的語」として使うことはできません→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ』
ただし、例外的にイディオムとして定着した表現が少数あります。よく見かける表現をまとめます。
# by far(非常に)
# for ever(永遠に)
# from abroad(海外から)
【例文】:I hear that a durian is by far the most stinky fruit.
【和訳】:ドリアンはとてつもなくくさい果物らしいよ。
→"far"(はるかに)は副詞だが、"by far"はイディオムとして使用可能
【例文】:I wish summer holiday lasted for ever.
(= I wish summer holiday lasted forever.)
【和訳】:このままずっと夏休みだったらいいのに。
→"ever"(ずっと)は副詞だが、"for ever"はイディオムとして使用可能
"for ever"は一語で"forever"と綴ることもあります。
【例文】:Our daily meals are now largely based on foods from abroad.
【和訳】:私たちの毎日の食事は大部分が輸入食品を基にしている。
→"abroad"(海外で、海外に)は副詞だが、"from abroad"はイディオムとして使用可能
「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】(3)
↑
普通、"to go"や"live"などのto不定詞や"to"のない不定詞(原形不定詞)を「前置詞の目的語」として使うことはできません→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ』
ただし、例外的にイディオムとして定着した表現が少数あります。よく見かける表現をまとめます。
to不定詞や"to"のない不定詞(原形不定詞)を目的語に取る《前置詞》は"about, but, except"の三語のみ。"but"と"except"はほぼ同じ意味(〜以外は、〜の他は)です。
be about + to不定詞(まさに〜しようとしている、今〜するところだ)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(1)
↑
イディオム"be about 〜"は例外的に《前置詞》"about"の次に必ずto不定詞を使います。動名詞は不可。
【例文】:今家を出るところです。
【 × 】:I'm just about to leaving home.
【 ○ 】:I'm just about to leave home.
(= I'm going to leave home very soon.)
→前置詞"about"の次はto不定詞のみ可
nothing but + 原形不定詞/to不定詞(〜以外には何もしない、〜するしかない)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(2)
↑
イディオム"nothing but 〜"は例外的に《前置詞》"but"の次に必ず"to"のない不定詞(原形不定詞)かto不定詞を使います。動名詞は不可。どちらかといえば、"to"なしの"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うほうが普通です。
"nothing but 〜"の直訳は「〜以外何もない」=「〜する他ない、〜しかない」です。
【例文】:猫というものは食っちゃ寝ばかりだ。
【 × 】:Cats do nothing but sleeping and eating.
【 △ 】:Cats do nothing but to sleep and eat.
【 ○ 】:Cats do nothing but sleep and eat.
(= Cats only sleep and eat.)
→前置詞"but"の次はto不定詞か原形不定詞のみ可
have no choice but + to不定詞(〜する他ない、〜せざるをえない)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(3)
↑
イディオム"have no choice but 〜"は例外的に《前置詞》"but"の次に必ずto不定詞を使います。"to"のない不定詞(原形不定詞)や動名詞は不可。
"have no choice but 〜"の直訳は「〜以外の選択肢を持っていない」=「〜する他ない、〜せざるをえない」です。
【例文】:台風のため修学旅行は中止にせざるをえなかった。
【 × 】:We had no choice but cancel the school trip due to the typhoon.
【 × 】:We had no choice but canceling the school trip due to the typhoon.
【 ○ 】:We had no choice but to cancel the school trip due to the typhoon.
(= We could not choose but cancel the trip due to the typhoon)
→前置詞"but"の次はto不定詞のみ可
"choice"の代わりに"alternative"を使う「have no alternative but + to不定詞」もほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:台風のため修学旅行は中止にせざるをえなかった。
【 ○ 】:We had no alternative but to cancel the school trip due to the typhoon.
(= We had no choice but to cancel the school trip due to the typhoon.)
(= We could not choose but cancel the trip due to the typhoon)
→前置詞"but"の次はto不定詞のみ可
cannot choose but + 原形不定詞/to不定詞(〜する他ない、〜せざるをえない)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(4)
↑
イディオム"cannot choose but 〜"は例外的に《前置詞》"but"の次に必ず"to"のない不定詞(原形不定詞)かto不定詞を使います。動名詞は不可。どちらかといえば、"to"なしの"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うほうが普通です。
"cannot choose but 〜"の直訳は「〜以外を選ぶことができない」=「〜する他ない、〜せざるをえない」です。
【例文】:竜巻に襲われたらコンクリート製の建物に逃げ込むしかありません。
【 × 】:You cannot choose but running into a concrete building when a tornado hits you.
【 △ 】:You cannot choose but to run into a concrete building when a tornado hits you.
【 ○ 】:You cannot choose but run into a concrete building when a tornado hits you.
(= You have no choice but to run into a concrete building when a tornado hits you.)
→前置詞"but"の次は原形不定詞かto不定詞のみ可
cannot but + 原形不定詞(〜する他ない、〜せざるをえない)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:不定詞「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(5)
↑
イディオム"cannot but 〜"は例外的に《前置詞》"but"の次に必ず"to"のない不定詞(原形不定詞)を使います。to不定詞や動名詞は不可。
"cannot but 〜"の直訳は「〜以外をできない」=「〜する他ない、〜せざるをえない」です。
【例文】:結論としていじめが時として命に関わる事件に発展すると言わざるをえない。
【 × 】:I cannot but to conclude that bullying sometimes leads to a deadly accident.
【 × 】:I cannot but concluding that bullying sometimes leads to a deadly accident.
【 ○ 】:I cannot but conclude that bullying sometimes leads to a deadly accident.
(= I cannot help concluding that bullying sometimes leads to a deadly accident.)
→前置詞"but"の次は原形不定詞のみ可
except + 原形不定詞(〜するほかに、〜する以外に)
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + to不定詞/原形不定詞」(6)
↑
《前置詞》"except"は次に"to"のない不定詞(原形不定詞)かto不定詞を使うことがあります。どちらかといえば、"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うほうが普通です。動名詞も可能ですが比較的まれです。
"except"が取ることができるほかの種類の目的語については別のコーナーでくわしく扱っています→【参照】:『前置詞の目的語:妙な目的語が使える前置詞"except"(〜を除いて)』
【例文】:日曜日はいつも日がな家でゴロゴロするだけだ。
【 △ 】:I have nothing to do all day except hanging around in my home on Sundays.
【 ○ 】:I have nothing to do all day except hang around in my home on Sundays.
【 ○ 】:I have nothing to do all day except to hang around in my home on Sundays.
(= I have nothing to do all day but hang around in my home on Sundays.)
→前置詞"except"の次は原形不定詞かto不定詞
「前置詞 + 前置詞句」
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】(4)前置詞句
↑
普通、"around the world"(世界中で)や"at 8 p.m."(午後八時に)のような前置詞句を「前置詞の目的語」として使うことはできません→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ』
ただし、例外的にイディオムとして定着した表現があります。よく見かける表現をまとめます。
until
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + 前置詞句」(1)
↑
《前置詞》"until"は次に目的語として前置詞句を取ることがあります。"until, till"が取ることができるほかの種類の目的語については別のコーナーでくわしく扱っています→【参照】:『妙な目的語が使える前置詞"until"と"till"(〜までずっと)』
# until at 〜(〜の時まで)
# until after 〜(〜の後まで)
【例文】:The vote counting continued until at midnight.
【 × 】:票の集計作業は深夜にまで続いた。
【 ○ 】:票の集計作業は深夜まで続いた。
→"until at midnight"の意味は「真夜中までずっと継続して」
【例文】:It will not rain until after 7 p.m.
【 × 】:午後七時の後まで雨は降らないでしょう。
【 ○ 】:午後七時過ぎまで雨は降らないでしょう。
→"until after 7 p.m."の意味は「午後七時を過ぎるまでずっと」
since
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + 前置詞句」(2)
↑
《前置詞》"since"は次に目的語として前置詞句を取ることがあります。
# since after 〜(〜の後からずっと)
# since before 〜(〜の前からずっと)
【例文】:Ethnic conflicts have frequently occurred in Russia since after the Cold War.
【 × 】:米ソの冷戦の後以来、ロシアで民族対立が頻発した。
【 ○ 】:米ソの冷戦が終結して以来、ロシアで民族対立が頻発した。
→"since after the Cold War"の意味は「冷戦が終ったあとずっと継続して」
【例文】:I had had stomachache since before the test.
【 × 】:試験の前以来お腹が痛かった。
【 ○ 】:試験が始まる前からお腹が痛かった。
→"since before the test"の意味は「テストが始まる前からずっと」
except
前置詞の目的語に使えないモノ【例外】:「前置詞 + 前置詞句」(3)
↑
《前置詞》"except"は次に目的語として前置詞句を取ることがあります。"except"が取ることができるほかの種類の目的語については別のコーナーでくわしく扱っています→【参照】:『妙な目的語が使える前置詞"except"(〜を除いて)』
# except at 〜([時や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except by 〜([手段や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except in 〜([場所や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
# except in the case of 〜([出来事や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
# except on 〜([時や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except under 〜([場所や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
【例文】:I wonder what Santa Claus is doing except at Christmas.
【 × 】:サンタクロースはクリスマスに除いて何をしているんだろう。
【 ○ 】:サンタクロースはクリスマスの時期以外は何をしているんだろう。
→"except at Christmas"の意味は「クリスマスの時期を除いて」
【例文】:It is impossible for me to write my novel except at home.
【 × 】:自宅で以外で小説の原稿を書くなんて無理だ。
【 ○ 】:自宅以外で小説の原稿を書くなんて無理だ。
→"except at home"の意味は「自宅にいる場合を除いて」
【例文】:When a massive disaster occurs, we cannot often communicate except by radio.
【 × 】:大規模災害発生時、無線で以外では連絡が取れないことも多々ある。
【 ○ 】:大規模災害発生時、無線以外では連絡が取れないことも多々ある。
→"except by radio"「無線を使うことを除いて」の意味は
【例文】:Now there is no place to hide except in the cellar.
【 × 】:もはや地下室の中で以外に隠れる所はない。
【 ○ 】:もはや地下室以外に隠れる所はない。
→"except in the cellar"「地下室を除いて」の意味は
【例文】:We are not allowed to use this staircase except in the case of emergency.
【 × 】:緊急の場合の中で除いてこの階段は使用を禁じられている。
【 ○ 】:緊急時を除いてこの階段の使用は禁じられている。
→"except in the case of emergency"の意味は「緊急事態の場合を除いて」
【例文】:Most estate agents are open except on Wednesdays.
【 × 】:たいていの不動産屋は水曜日に以外は営業している。
【 ○ 】:たいていの不動産屋は水曜日以外は営業している。
→"except on Wednesdays"の意味は「毎週水曜日を除いて」
【例文】:Water boils at 100 degrees Celsius except under special circumstances.
【 × 】:特殊な状況の下を除き水は摂氏100度で沸騰する。
【 ○ 】:特殊な状況を除き水は摂氏100度で沸騰する。
→"except under special circumstances"の意味は「特殊な状況である場合を除いて」
副詞や形容詞、前置詞句を目的語に取る
通例、「前置詞の目的語」として使えるのは、名詞として使う語、句、節です→【参照】:『「前置詞の目的語」ってナニ?』
ごく少数の《前置詞》は例外的に副詞や前置詞句、to不定詞などを目的語として使うことができます。
"until"と"till"(〜まで)
妙な目的語が使える前置詞(1)
↑
《前置詞》の"until"と"till"は例外的に副詞や形容詞、前置詞句を目的語に取ることができます。ただし、たいていの表現はイディオム的な定型句です。自由自在に副詞や形容詞、前置詞句を使えるわけではありません。よく見かける表現をまとめます。
"until"と"till"の意味は「〜までずっと」です。動作や状態の継続を表わします。
"till"は意味的には"until"とほぼ同じですが、ややくだけたニュアンスがあるので英作文では"until"を使うほうが無難です。
「until + 時を表わす副詞」
妙な目的語が使える前置詞:"until"と"till"(〜までずっと)(1)
↑
# until now(今まで)
# until then(その時まで)
# until recently(最近まで)
"until"は目的語として副詞の"now"や"then"、"recently"が使えます。
【例文】:Until now this limestone cave has been undiscovered.
【和訳】:今までこの鍾乳洞は未発見だった。
→"until"は前置詞、"now"は副詞
【例文】:Until then the paintings in the cave seemed to be merely scribbles.
【和訳】:それまで洞窟の壁の絵はただの落書きだと思われていた。
→"until"は前置詞、"then"は副詞
【例文】:Until very recently this village has no electricity and water supply.
【和訳】:つい最近までこの村には電気も水道もなかった。
→"until"は前置詞、"recently"は副詞
「until + 状態を表わす形容詞」
妙な目的語が使える前置詞:"until"と"till"(〜までずっと)(2)
↑
# until smooth(なめらかかになるまで)
# until thick(とろとろになるまで)
"until"は目的語として形容詞の"smooth"や"thick"が使えます。料理用語としてよく使います。
【例文】:Slowly add milk to the sauce and stir until smooth.
【和訳】:ゆっくりと牛乳を足して、なめらかかになるまでソースをかき混ぜます。
→"until"は前置詞、"smooth"は形容詞
【例文】:Put an egg yolk in a bowl and beat until thick.
【和訳】:卵の黄味をボールに入れて、とろみがつくまでよくかき混ぜます。
→"until"は前置詞、"thick"は形容詞
「until + 前置詞句」
妙な目的語が使える前置詞:"until"と"till"(〜までずっと)(3)
↑
# until after midnight(真夜中過ぎまで)
# until at 5 p.m.(午後五時まで)
"until"は目的語として前置詞句の"after 〜"や"at 〜"が使えます。
【例文】:I couldn't fall asleep last night until after midnight.
【和訳】:昨日は真夜中過ぎまで寝つけなかった。
→"until"は前置詞、"after midnight"は前置詞句
【例文】:All pupils have to leave school until at 5 p.m.
【和訳】:全校生徒は五時までには下校して下さい。
→"until"は前置詞、"at 5 p.m."は前置詞句
「until + 接続詞 + 主語 + 動詞 + 〜」
妙な目的語が使える前置詞:"until"と"till"(〜までずっと)(4)
↑
# until after the shop closed(閉店後まで)
# until after I'm married(結婚するまで)
"until"は目的語として「接続詞 + 主語 + 動詞 + 〜」が使えます。接続詞はたいてい"after"です。
【例文】:The thief hid in the restroom until after the shop closed.
【和訳】:泥棒は閉店過ぎまでトイレに隠れていた。
→"until"は前置詞、"after the shop closed"は「接続詞 + 主語 + 動詞」
【例文】:I didn't like children until after I'm married.
【和訳】:結婚するまで子供は苦手でした。
→"until"は前置詞、"after I am married"は「接続詞 + 主語 + 動詞 + 〜」
"except"(〜を除いて)
妙な目的語が使える前置詞(2)
↑
《前置詞》の"except"は例外的に副詞や形容詞、前置詞句を目的語に取ることができます。ただし、たいていの表現はイディオム的な定型句です。自由自在に副詞や形容詞、前置詞句を使えるわけではありません。よく見かける表現をまとめます。
"excpet"の意味は「〜を除いて」です。除外を表わします。
「except + to不定詞」
妙な目的語が使える前置詞:"except"(〜を除いて)(1)
↑
# except + to不定詞(〜する以外)
# 否定語(no, nothing, etc) + except + to不定詞(〜する以外なにもない、〜するしかない)
"except"は目的語としてto不定詞が使えます。よく、否定を表わす語句と一緒に使って「〜する以外に何もない、〜するしかない」の意味を表わします。
【例文】:We had no alternatives except to stay here because it was dangerous to move after sunset.
【和訳】:日没後に動き回るのは危険なのでここに留まるほかありませんでした。
→"except"は前置詞、"to stay"はto不定詞
「except + 原形不定詞」
妙な目的語が使える前置詞:"except"(〜を除いて)(2)
↑
# except + 原形不定詞(〜する以外)
# 否定語(no, nothing, etc) + do + except + 原形不定詞(〜する以外なにもない、〜するしかない)
"except"は目的語として"to"のない不定詞(原形不定詞)が使えます。よく、否定を表わす語句と一緒に使って「〜する以外に何もない、〜するしかない」の意味を表わします。
"excpet"の前に動詞の"do"を使うときは、to不定詞ではなく"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うほうが普通です。
【例文】:雨が止むまで待つこと以外に何もすることがなかった。
(= 雨が止むまでひたすら待った)
【 △ 】:I had nothing to do except to wait until the rain stopped.
【 ○ 】:I had nothing to do except wait until the rain stopped.
→"except"は前置詞、前に動詞の"do"があるので原形不定詞の"wait"を使うほうが普通
「except + 前置詞句」
妙な目的語が使える前置詞:"except"(〜を除いて)(3)
↑
# except at 〜([時や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except by 〜([手段や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except in 〜([場所や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
# except in the case of 〜([出来事や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
# except on 〜([時や場所などが]〜以外に、〜を除いて)
# except under 〜([場所や状況などが]〜以外に、〜を除いて)
"except"は目的語として前置詞句が使えます→【参照】:『前置詞の目的語に使えないモノ【例外】前置詞句(until at 〜, since after 〜, etc):except』
【例文】:Children were told that it was dangerous to cross the road except at a crosswalk.
【和訳】:横断歩道以外の場所を渡るのは危険だと子供たちは言いつけられていた。
→"except"は前置詞、"at a crosswalk"は前置詞句
【例文】:That town is inaccessible except by car.
【和訳】:その町は車以外で行くのは無理だ。
→"except"は前置詞、"by car"は前置詞句
【例文】:Pandas live nowhere else except in China.
【和訳】:パンダは中国以外のどこの地域でも棲息していない。
(= パンダは中国にしか棲息していない)
→"except"は前置詞、"in China"は前置詞句
【例文】:The bazaar is held outdoors except in the case of rain.
【和訳】:雨天の場合を除いてバザーは屋外で行なわれます。
→"except"は前置詞、"in the case of rain"は前置詞句
【例文】:I wonder why life can exist anywhere except on earth.
【和訳】:地球以外で生命が存在することはなぜできないのだろうか。
→"except"は前置詞、"on earth"は前置詞句
【例文】:You are not allowed to own guns except under special permit.
【和訳】:特別な許可が下りない限り銃の所有は禁止されている。
→"except"は前置詞、"under special permit"は前置詞句
「except + for」
妙な目的語が使える前置詞:"except"(〜を除いて)(4)
↑
# except for 〜(〜を別にすれば、例外は〜のみだが)[※たいてい文頭や文尾に置く]
# except 〜(〜を除くと、〜以外の)[※たいてい名詞のすぐ後ろに置く]
"except for"はたいてい文頭や文末に置いて副詞句として使います。意味は「〜を別にすれば、例外は〜のみだが」。
【例文】:Except for rush hour, the subway is almost empty.
【和訳】:ラッシュアワーを別にすれば、地下鉄はほとんど人が乗っていない。
→"except for"は前置詞、"ruhs hour"は名詞句
"excpet"を"for"なしで単独で使う場合はたいてい、除外の対象を表わす名詞のすぐ後ろに"except"を置きます。
【例文】:All planets except Mercury and Venus have at least one satellite.
【和訳】:水星と金星を除いたすべての惑星は少なくとも一つの衛星を持っている。
→"except"は前置詞、"Mercury and Venus"は名詞句
"except for"を"except"の意味で使うこともあります。ただし、"except"を"except for"の意味で使うことはありません。
【例文】:私を除いた家族はみんな犬が好きです。
【 ○ 】:Every memeber of my family except me likes a dog.
【 ○ 】:Every memeber of my family, except for me, likes a dog.
→"except" = "except for"(〜を除いた)
【例文】:ちょっと頭痛がすることを除けば大丈夫です。
【 × 】:I'm fine except a slight headache.
【 ○ 】:I'm fine except for a slight headache.
→文全体の意味を補足する副詞句の場合、単独の"except"は使えない
「except + that節」
妙な目的語が使える前置詞:"except"(〜を除いて)(5)
↑
# except that 〜(〜であることを除いて)
"except"は目的語としてthat節が使えます。ただし、"that"はよく省略します。
【例文】:私には大き過ぎたという点を除けば、スペシャルバーガーは本当においしかった。
【英訳】:The special burger was really delicious except that it was too big for me.
【英訳】:The special burger was really delicious except it was too big for me.
→"except"は前置詞、"that 〜 me"はthat節、thatは省略可能
"by"は「期限」を表わす、"until"は「継続」を表わす
二つとも「時」を表わす場合、"by"は「期限内のいずれかの時点」を表わし、"until"は「物事の継続」を表わします。"till"は"until"とほぼ同じ意味ですが、"until"のほうをよく使います。
until, till(〜までずっと、〜まで継続して)
似た意味の前置詞の使い分け(1)「時」を表わす"by"と"until"(1)
↑
【例文】:猛暑は九月末まで続くでしょう。
【 × 】:Intense heat wave will continue by the end of September.
【 ○ 】:Intense heat wave will continue until the end of September.
【 ○ 】:Intense heat wave will continue till the end of September.
【例文】の「九月末まで」は、「現在から九月末までずっと継続して毎日毎日」の意味なので"until"を使います。
"up to"も"until"とほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:猛暑は九月末まで続くでしょう。
【英訳】:Intense heat wave will continue up to the end of September.
(= Intense heat wave will continue until the end of September.)
by(〜までに、〜までのいずれかの時に、〜になる前に)
似た意味の前置詞の使い分け(1)「時」を表わす"by"と"until"(2)
↑
【例文】:九時までには帰ります。
【 × 】:I'll be home until 9:00.
【 ○ 】:I'll be home by 9:00.
【例文】の「九時までには」は、「七時か八時になるかもしれないけれど遅くとも九時には」の意味なので"by"を使います。
"before"も"by"とほぼ同じ意味を表わします。
【例文】:九時までには帰ります。
【英訳】:I'll be home before 9:00.
(= I'll be home by 9:00.)
ある程度の「時間の幅」を表わす"for"と"during"
二つとも「ある程度の時間の幅」を表わします。"for"はたいてい「二日間」や「百年間」のように数値を表現します。"during"は特に「何か物事が起こっている最中」を表わします。
for(〜の間に、〜の期間をかけて)
似た意味の前置詞の使い分け(2)「時」を表わす"for"と"during"(1)
↑
【例文】:六カ月かけて自動車の運転免許を取った。
【 × 】:I've obtained my driving licence during six months.
【 ○ 】:I've obtained my driving licence for six months.
【例文】の「六カ月かけて」は「六カ月間で」の意味なので、"for"を使います。
during(〜である最中に、〜している間に)
似た意味の前置詞の使い分け(2)「時」を表わす"for"と"during"(2)
↑
【例文】:夏休みの間に自動車の運転免許を取った。
【 × 】:I've obtainned my driving licence for summer vacation.
【 ○ 】:I've obtainned my driving licence during summer vacation.
【例文】の「夏休みの間に」は夏休みという物事の最中なので、"during"を使います。"for summer vacation"は「夏休みに向けての」の意味になります。
【例文】:午後に五分の仮眠を取ることは健康に良いそうです。
【 × 】:Taking a nap during five minutes for the afternoon would be good for your health.
【 ○ 】:Taking a nap for five minutes during the afternoon would be good for your health.
【例文】の「五分の」は「五分間の」の意味なので、"for"を使います。一方、「午後に」は「午後という物事の間に」の意味なので、"during"を使います。
ある限定した「時」を表わす"at, in, on"
"at"と"in"と"on"は三つとも「時の一点」を表わすことができます。
"at"はピンポイントで「時の一点」を指し示します。"in"は「時間的な幅の中での一時点」を表わします。"on"は「寒い朝(= on the cold morning」や「金曜日の夜(= on Friday night」など、時の一時点をさらに限定するときによく使います。
"next day"(次の日に)や"every Sunday"(毎週日曜日に)のように《前置詞》なしで「〜に」や「〜で」などの「時」を表わす表現があります。"next"のほかに、"last, this, that, one, some, all, every, each, other, another"+「名詞」の形が使えます→【参照】:『ゼロから始める副詞:前置詞なしで「時」を表わす副詞句』『間違えやすい形容詞:前置詞なしで「時」を表わす形容詞』
「年月日」……in, on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(1)
↑
【例】:2000年に、5月に、5月30日に
【×】:on 2010, on May, in May 30th
【○】:in 2010, in May, on May 30th
「西暦」は全西暦の中での「2000年」と考えて"in"を使います。同様に、「月」は一年十二カ月の中の一つでやはり"in"です。ところが、「○○月○○日」のように「月」に「日付」の指定が入ると"on"を使います。
「時刻」……at
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(2)
↑
【例】:午後三時に、午前三時に
【×】:in three o'clock on the afternoon, in three o'clock on the morning
【○】:at three o'clock in the afternoon, at three o'clock in the morning
何時何分の時刻はピンポイントなので"at"を使います。「午前」と「午後」は「一日の内の昼前か昼過ぎか」なので"in"です。
「午前と午後」……at, in, on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(3)
↑
【例】:午前に、午後に
【×】:on the morning, on the afternoon
【○】:in the morning, in the afternoon
「午前」と「午後」は「一日の内の昼前か昼過ぎか」なので"in"です。"morning"と"afternoon"は定冠詞(the)を付けます。
【例】:早朝に、日曜日の午後に
【×】:in the early moring, in Sunday afternoon
【○】:on the early moring, on Sunday afternoon
「午前」と「午後」は、「早朝」や「日曜日の午後」のように時を限定するとやはり"on"を使います。
「正午」……at, in
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(4)
↑
【例】:正午に、正午に
【×】:in noon, on noon, in midday, on midday
【○】:at noon, at midday
"noon, midday"の意味は「正午きっかり」なのでピンポイントの"at"を使います。
「昼と夜」……at, in
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(5)
↑
【例】:夜に、真夜中に、夕方に
【×】:in night, in midnight, on the evening
【○】:at night, at midnight, in the evening
「夜」と「真夜中」は"at"を使います。一方、「夕方」は「一日の内の日没から就寝前まで」と考えて"in"です。"evening"には定冠詞(the)を付けます。
【例】:金曜日の夜に、水曜日の夕方に
【×】:at Friday night, in Wednesday evening
【○】:on Friday night, on Wednesday evening
「夜」と「真夜中」はどちらも「曜日」などの限定が入るとやはり"on"を使います。"evening"の場合、"Wednesday"などの限定が入ると、定冠詞(the)は不要です。
【例】:昼間に、(労働時間としての)昼間に
【×】:on the day, on the daytime
【○】:in the day, in the daytime
「昼」は「一日内の太陽が出ている時間」と考えて"in"を使います。どちらも定冠詞(the)を付けます。
【例】:昼の間、夜の間
【×】:in day, in night
【○】:by day(= during the day), by night(= during the night)[※やや堅苦しい言い方]
やや堅苦しい表現では、「昼の間」と「夜の間」を"by"で表わすことがあります。定冠詞(the)は付けません。ニュアンスは"by day"(昼間は、日が明るいうちには)、"by night"(夜間は、日が沈んだ後は)です。
「曜日」……on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(6)
↑
【例】:日曜日に、毎週日曜日に
【×】:at Sunday, in Sundays
【○】:on Sunday, on Sundays(= every Sunday)
【例】:日曜日の朝に、日曜日の昼に、日曜日の夕方に、日曜日の夜に
【○】:(on) Sunday morning, (on) Sunday afternoon, (on) Sunday evening, (on) Sunday night
「曜日」はたいてい"on"を使います。「日曜日の朝に」のように限定が付くと、"on"を省略して"Sunday morning"のみで「日曜日の朝に」の意味を表わすこともあります。
「一週間」……at, in, on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(7)
↑
【例】:平日は、平日はいつも、週末に
【×】:on the week, in weekdays, in the weekend
【○】:in the week, on weekdays, on/at the weekend
"week"には「月曜日から金曜日まで」の意味があるので、「週七日間の内の五日間」と考えて"in"を使います。"weekday"は「土曜日と日曜日を除いた五日間」という限定的なニュアンスを含むので"on"を使います。
"weekend"は「週末」という特別な二日間を表わすので、アメリカ英語では"on"を使います。一方、イギリス英語では"at"を使います。イギリス人のほうが「週末」は時間的に短いと感じているのかもしれません。
「四季」……in
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(8)
↑
【例】:春にに、秋に
【×】:on (the) spring, on (the) autumn
【○】:in (the) spring, in (the) autumn
「四つの季節の中の一つ」と考えて"in"を使います。定冠詞(the)は付けないほうが普通ですが、付けることもあります。
【例】:2000年の春に、初冬に、晩夏に
【×】:on the spring of 2000, on early winter, on late summer
【○】:in the spring of 2000, in early winter, in late summer
「季節」の場合、「早い時期の(= early」や「遅い時期の(= late)」と限定が入っても"in"をそのまま使います。"on"は不可です。
「祝祭日」……at, on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(9)
↑
【例】:クリスマスの期間中に、クリスマス当日に、クリスマス当日に
【×】:in Christmas, in Christmas, at Christmas Day
【○】:at Christmas, on Christmas, on Christmas Day
クリスマスのような「祝祭日」の場合、"at"は「その祝祭日の期間中」を表わし、"on"は「その祝祭日の当日」を表わします。「クリスマス当日」はピンポイントなので"at"がよさそうに思えますが、「クリスマス期間中のある特別な一日」ということで"on"を使うようです。
【例】:月曜日のクリスマスに、寒いクリスマスに
【×】:at Christmas Monday, at cold Christmas
【○】:on Christmas Monday, on cold Christmas
「寒い」や「月曜日の」などの限定が入るとやはり"on"を使います。
「休日、休暇」……at, on
似た意味の前置詞の使い分け(3)"at"と"in"と"on"(10)
↑
【例】:休みの日に、休暇の時に、夏休みに、夏休みの期間中に
【×】:in holiday, in vacation, in summer vacation, for summer vacation
【○】:on holiday, on vacation, on summer vacation, during summer vacation
「毎週の土曜日と日曜日の休み」は"on"を使います。夏休みや春休みの「長期休暇」も"on"です。「休む期間」は特別な限定的な日々と考えて"on"を使うようです。
「夏休みや春休みの期間中ずっと」なら"during"を使います。
「手段」を表わす"with"と"by"
"with"と"by"はどちらも「〜で、〜を使って、〜によって」という「手段」の意味を表わします。
通例、「手段」を表わす場合、"with"は「人が何かものを使って〜」を表わし、"by"は「人が自ら何かを行って〜」を表わします。"by"はシステムとして存在する「交通や通信手段を人が利用して」の意味もあります。
【例文】:この絵は鉛筆で描きました。
【 × 】:I painted this picture by a pencil.
【 ○ 】:I painted this picture with a pencil.
【例文】の「鉛筆で」は筆記用具という「道具」を表わします。なので、"with a pencil"とします。
【例文】:この絵はわずかに三色で描きました。
【 × 】:I painted this picture with using only three colors.
【 ○ 】:I painted this picture by using only three colors.
【例文】の「三色で」は「(描き手が)三色を使って」の意味なので「動作」を表わします。なので、"by using three colors"とします。
「交通手段」を表わす"by"
似た意味の前置詞の使い分け(4)「手段」を表わす"with"と"by"(1)
↑
"by"は「車で」や「飛行機で」などの交通手段も表わします。"with"は不可。"by"に続く名詞はいずれも無冠詞です→【参照】:『無冠詞:「前置詞 + 名詞(無冠詞)」:by(〜を使って)』
【例】:by bicycle(自転車で), by bike(自転車/バイクで), by motorcycle(オートバイで), by motorbike(バイクで), by moped(原付で), by scooter(スクーターで)
【例】:by car(車で), by automobile(自動車で), by taxi(タクシーで), by cab(タクシーで), by bus(バスで), by double-decker/double-decker bus(二階建バスで), by coach(長距離バスで), with lorry(トラックで), with truck(トラックで)
「タクシー」の意味の"taxi"はイギリス英語、"cab"はアメリカ英語です。「トラック」の意味の"lorry"はイギリス英語、"truck"はアメリカ英語です。
【例】:by train(列車で、鉄道で), by tram/tramcar(路面電車で), by trolley/trolley car(路面電車で), by streetcar(路面電車で), by subway(地下鉄で), by underground(地下鉄で), by metro(地下鉄で), by tube(地下鉄で)
「路面電車」の意味の"tram, tramcar"はイギリス英語、"trolley, trolley car, streetcar"はアメリカ英語です。「地下鉄」の意味の"underground, tube"はイギリス英語、"subway"はアメリカ英語です。
【例】:by plane(飛行機で), by aeroplane(飛行機で), by airplane(飛行機で), by airliner(旅客機で)
「飛行機」の意味の"aeroplane"はイギリス英語、"airplane"はアメリカ英語です。
【例】:by boat(船で), by ship(船で), by canoe(カヌーで), by ferry/ferryboat(フェリーで), by hovercraft(ホバークラフトで), by hydrofoil(水中翼船で)
【例】:by land(陸路で), by sea(海路で), by air(空路で), by rail(列車で、鉄道で), by road(車/バス/トラックなどで)
【例】:by air freight(航空便で), by sea freight(船便で)
「通信手段」を表わす"by"
似た意味の前置詞の使い分け(4)「手段」を表わす"with"と"by"(2)
↑
"by"は「郵便で」や「メールで」などの通信手段も表わします。"with"は不可。"by"に続く名詞はいずれも無冠詞です→【参照】:『無冠詞:「前置詞 + 名詞(無冠詞)」:by(〜を使って)』
"phone"と"telephone"は"on, over"も使えます。"on, over"も「情報伝達」を表わす前置詞です→【参照】:『「情報伝達」を表わす"on"と"through"と"over"……「電話、携帯電話」の"on, over""』
【例】:by post(郵便で), by mail(郵便で), by email(電子メールで), by e-mail(電子メールで)
「郵便」の意味の"post"はイギリス英語、"mail"はアメリカ英語です。
【例】:by airmail(航空便で), by surface mail(船便で/鉄道便で/陸上便で)
"surfacmail"は航空便以外の郵送手段を表わします。
【例】:by telephone(電話で), by phone(電話で), by fax(ファックスで), by telegraph(電報で)
「情報」が送り手から受け手に伝わることを表わす"on, through, over"
いずれも「情報の伝達」を表わし、「〜で、〜にて、〜を通して、〜を通じて」の意味を表わします。
「テレビ、ラジオ」……on, over
似た意味の前置詞の使い分け(5)「情報伝達」を表わす"on"と"through"と"over"(1)
↑
「テレビ」や「ラジオ」は"on"を使います。"on"には「装置を稼動させて」の意味があるので、テレビやラジオは「装置のスイッチをオンにして使う」という意識があるのかもしれません。
【例】:テレビで、テレビで、ラジオで
【×】:with television, with TV, with (the) radio
【○】:on television, on TV, on (the) radio
"radio"の定冠詞(the)は省略することもよくあります。"television, TV"は必ず無冠詞で使います。定冠詞(the)を付けた"on the television"は意味が「テレビの上に、テレビの上で」になります。
「ラジオ」は"over"も可能ですが、現在ではやや古めかしい表現です。"on"を使うほうが普通です。
【例】:ラジオで
【△】:over (the) radio
【○】:on (the) radio
「インターネット」……on, over
似た意味の前置詞の使い分け(5)「情報伝達」を表わす"on"と"through"と"over"(2)
↑
「インターネット」は"on"と"over"を使います。"on"には「装置を稼動させて」の意味があるので、インターネットは「装置のスイッチをオンにして使う」という意識があるのかもしれません。
【例】:インターネットで
【×】:with the Internet
【○】:on the Internet, over the Internet
「電話、携帯電話」……on, over
似た意味の前置詞の使い分け(5)「情報伝達」を表わす"on"と"through"と"over"(3)
↑
「電話」も"on"を使います。やはり、「装置のスイッチをオンにして使う」という意識があるのかもしれません。
【例】:電話で、電話で、携帯電話で、携帯電話で
【×】:with the phone, with the telephone, with the cell phone, with the mobile phone
【○】:on the phone, on the telephone, on the cell phone, on the mobile phone
"telephone"と"phone"は"by"も可能です。無冠詞で使います。"by"は「通信手段」を表わす前置詞です→【参照】:『「手段」を表わす"with"と"by"……「通信手段」を表わす"by"』
【例】:電話で、電話で
【×】:with phone, with telephone
【○】:by phone, by telephone
"telephone"と"phone"は"over"も可能です。"by"とは異なり、"telephone, phone"の前に定冠詞(the)を置くのが普通です。
【例】:電話で、電話で
【×】:over phone, over telephone
【○】:over the phone, over the telephone
「マスコミ」……through
似た意味の前置詞の使い分け(5)「情報伝達」を表わす"on"と"through"と"over"(4)
↑
新聞や雑誌などをひとまとめにして指す「マスコミ」は"through"を使います。情報が発信者のマスコミから読者や聴取者に伝わるニュアンスを"thorugh"が表わします。日本語でも「マスコミを通じて」という表現を使います。
【例】:マスコミを通して、マスコミを通して
【×】:with media, with mass media
【○】:through the media, through the mass media
意味や使い方がわかりにくいもの
和訳、英訳で間違えやすい《前置詞》をまとめます。
"of"の和訳が「〜の」ではない場合
《前置詞》の"of"が所有や所属以外の意味を表わして、和訳が「〜の」では不自然な場合をまとめます。
部分や一部を表わす"of"
間違えやすい前置詞(1)所有、所属以外の意味の"of"(1)
↑
"of"は部分や一部を表わすことがあります。意味は「〜の中の、〜のうちで」です。不定代名詞(none, some, etc)や数詞(one, two, million, etc)などと一緒に使って、「〜の中の数人、〜の中の二匹」などの意味を表わします。
数詞の"one"は不定代名詞として使うこともできます。
不定代名詞の"some"を例に取って、"some 〜"と"some of 〜"を比較して"of"の意味を確認します。
# some students:(どの生徒とは限定せずに)ある程度の数の生徒たち
# some of the students:(どの生徒と限定した中の)ある程度の数の生徒たち
"some"にはもともと「どこの誰とは限定しないである程度数の」というニュアンスがあります。なので、"of"なしの"some students"のニュアンスは、「(どの学生とは特に限定せずに)ある程度の数の学生」です。
定冠詞(the)を付けた"some of the students"の場合、"of"は部分や一部を表わします。"of"の意味は「〜の中の」です。なので、"some of the students"のニュアンスは「特定の学生たちの中から選んだある程度の数の学生」です。"students"に定冠詞(the)が付いているので、すでに"students"の話題が話の中に出て来ています。あるいは、話し手も聞き手もすでに知っている特定の"students"を指します→【参照】:『間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か』
【例文】:Some students live in a dormitory. Their home is far from the school.
【和訳】:寮に住む学生もいる。家が学校から遠い生徒たちだ。
→"some"はどの学生とは限定せずに、学生全員の中の一部であることを表わす
【例文】:This school has a dormitory. Some of the students live in the dormitory.
【和訳】:この学校には寮があります。生徒の中には寮に住んでいる者もいます。
→"some of the"はすでに話題に出て来た"this school"(この学校)に在籍する生徒の一部であることを表わす
定冠詞(the)には名詞をどこの誰と明確に限定するニュアンスがあります。なので、"some of the students"のニュアンスは、「(すでに話に出て来て聞き手もすでに知っている)学生の中から選んだある程度の数の学生」です。定冠詞の"the"が付いているので"students"は漠然と世間一般の学生を指すのではなく、特定の学生を指します
部分や一部を表わす"of"は"some"などの不定代名詞のほかに、"many"や"a few"などと組み合わせて「(ある程度限定したグループ)の中の大勢」や「(ある程度限定したグループ)の中の少数」の意味を表わします。
【不定代名詞】:some of my friends(私の友人の中の数人)
間違えやすい前置詞:所有、所属以外の意味の"of":部分や一部を表わす(2)
↑
不定代名詞の"one, none, all, each, some, any, both, either, neither"は部分や一部を表わす"of"が使えます。"one"は数詞としても使うことができます→【参照】:『【数詞】:ten of the residents(その住民の中の十人)』
"of"の次に数えられない名詞が使えるのは不定代名詞の"none, allの二語のみです。
【例文】:このレストランは菜食主義者のための店です。すべての料理は野菜から作られています。
【 × 】:This restaurant is for vegetarians. All dishes are made from vegetables.
【 × 】:This restaurant is for vegetarians. All of dishes are made from vegetables.
【 ○ 】:This restaurant is for vegetarians. All the dishes are made from vegetables.
【 ○ 】:This restaurant is for vegetarians. All of the dishes are made from vegetables.
→すでに話に出て来た"this restaurant"が出す料理を指すので"dishes"には"the"が必要、"all"は"of"の省略が可能
【例文】:太陽系外にたくさんの惑星を発見した。それらの惑星のうちのいくつかは人が住めるかもしれない。
【 × 】:We have found many planets outside our solar system. Some planets may be inhabitable.
【 × 】:We have found many planets outside our solar system. Some of planets may be inhabitable.
【 ○ 】:We have found many planets outside our solar system. Some of those planets may be inhabitable.
(= We have found many planets outside our solar system. Some of them may be inhabitable.)
→すでに話題に出て来た"many planets"を指すので二つ目の"planets"には"those"が必要
【例文】:昨日、自転車で転けて川に転落して両腕を骨折してしまった。
【 × 】:Yesterday I fell off my bike into a river and broke both arms.
【 × 】:Yesterday I fell off my bike into a river and broke both of arms.
【 ○ 】:Yesterday I fell off my bike into a river and broke both my arms.
【 ○ 】:Yesterday I fell off my bike into a river and broke both of my arms.
→すでに話題に出て来た"I"の両腕を指すので"arms"には"my"が必要、"both"は"of"の省略が可能
【例文】:学校の近くには駄菓子屋が二軒ありました。今はもうどちらの店もなくなりました。
【 × 】:There were two cheap sweet shop near the school. Neither shops exist anymore.
【 × 】:There were two cheap sweet shop near the school. Neither of shops exist anymore.
【 ○ 】:There were two cheap sweet shop near the school. Neither of these shops exist anymore.
(= There were two cheap sweet shop near the school. Neither of them exist anymore.)
→すでに話に出て来た"two cheap sweet shops"を指すので二つ目の"shops"には"these"が必要
【例文】:何者かがサーバーに侵入したがデータの流失は一切なかった。
【 × 】:Someone invaded the server, but none of data leaked out.
【 ○ 】:Someone invaded the server, but none of the data leaked out.
→すでに話に出て来た"the server"にあったデータを指すので"data"には"the"が必要、"data"は数えられない名詞
【数詞】:ten of the residents(その住民の中の十人)
間違えやすい前置詞:所有、所属以外の意味の"of":部分や一部を表わす(3)
↑
"one, two, hundred, thousand, million"などの数詞は部分や一部を表わす"of"が使えます。"one"は不定代名詞としても使うことができます→【参照】:『【不定代名詞】:some of my friends(私の友人の中の数人)』
【例文】:私の学校の生徒数は三百人です。そのうち三人が交換留学生としてオーストラリアに行く予定です。
【 × 】:Our school has 300 students. Three students are going on an exchange to Australia.
【 × 】:Our school has 300 students. Three of students are going on an exchange to Australia.
【 ○ 】:Our school has 300 students. Three of the students are going on an exchange to Australia.
(= Our school has 300 students. Three of them are going on an exchange to Australia.)
→すでに話に出て来た"300 students"を指すので二つ目の"students"にtheが必要"
【例文】:ハリケーンが接近している州では住民のうち四万人が避難した。
【 × 】:A hurricane is approaching the state. Forty thousand residents have been evacuated.
【 × 】:A hurricane is approaching the state. Forty thousand of residents have been evacuated.
【 ○ 】:A hurricane is approaching the state. Forty thousand of the residents have been evacuated.
→すでに話に出て来た"the state"の住民を指すので"residents"に"the"が必要
【その他】:certain of the planets(その惑星の中のいくつか)
間違えやすい前置詞:所有、所属以外の意味の"of":部分や一部を表わす(4)
↑
数や量を表わす語句のいくつかは部分や一部を表わす"of"が使えます。
【例文】:私たちの太陽系には八つの惑星がある。そのうちのいくつかの惑星は輪を持っている。
【 × 】:There are eight planets in our solar system. Certain planets have rings.
【 × 】:There are eight planets in our solar system. Certain of planets have rings.
【 ○ 】:There are eight planets in our solar system. Certain of the planets have rings.
(= There are eight planets in our solar system. Certain of them have rings.)
→すでに話に出て来た"eight planets"を指すので二つ目の"planets"に"the"が必要
【例文】:百人のボランティアが来てくれた。そのうちの数人の方がパワーショベルを用意してくれた。
【 × 】:A hundred volunteers came here. Several volunteers offered us power shovels.
【 × 】:A hundred volunteers came here. Several of volunteers offered us power shovels.
【 ○ 】:A hundred volunteers came here. Several of the volunteers offered us power shovels.
(= A hundred volunteers came here. Several of them offered us power shovels.)
→すでに話に出て来た"a hundred volunteers"を指すので二つ目の"volunteers"に"the"が必要
【例文】:クラスは三十人です。そのうちの多くの生徒がクラブに入っています。
【 × 】:There are thirty students in my class. Many students belong to a club.
【 × 】:There are thirty students in my class. Many of students belong to a club.
【 ○ 】:There are thirty students in my class. Many of the students belong to a club.
(= There are thirty students in my class. Many of them belong to a club.)
→すでに話に出て来た"thirty students"を指すので二つ目の"students"に"the"が必要
【例文】:その学校は定期的に清掃活動を行っています。今月はより多くの児童が参加してくれました。
【 × 】:The school regularly organizes a cleaning activity. This month more pupils took part in it.
【 × 】:The school regularly organizes a cleaning activity. This month more of pupils took part in it.
【 ○ 】:The school regularly organizes a cleaning activity. This month more of the pupils took part in it.
→すでに話に出て来た"the school"の児童を指すので"pupils"に"the"が必要
【例文】:その作家は知っています。彼の作品はほとんど読んだことがあります。
【 × 】:I know the writer and have read most his novels.
【 × 】:I know the writer and have read most of novels.
【 ○ 】:I know the writer and have read most of his novels.
→すでに話題に出て来た"the writer"の作品を指すので"novels"には"his"が必要
【例文】:竜巻が町を襲った。被害を受けた家はほとんどなかった。
【 × 】:A tornado hit the town. Few houses were damaged.
【 × 】:A tornado hit the town. Few of houses were damaged.
【 ○ 】:A tornado hit the town. Few of the houses were damaged.
【例文】:竜巻が町を襲った。数軒の家が被害を受けた。
【 × 】:A tornado hit the town. A few houses were damaged.
【 × 】:A tornado hit the town. A few of houses were damaged.
【 ○ 】:A tornado hit the town. A few of the houses were damaged.
→すでに話題に出て来た"the town"にある家を指すので"houses"に"the"が必要
【例文】:この祠は数百年前から存在すると考えられているが由来はほとんどわからない。
【 × 】:This miniature shrine is believed to be hundreds of years old. We know little of history.
【 ○ 】:This miniature shrine is believed to be hundreds of years old. We know little of the history.
【例文】:この祠は数百年前から存在すると考えられているが由来は少ししかわからない。
【 × 】:This miniature shrine is believed to be hundreds of years old. We know a little of history.
【 ○ 】:This miniature shrine is believed to be hundreds of years old. We know a little of the history.
→すでに話題に出て来た"this miniature shrine"の由来を指すので"history"に"the"が必要
【例文】:どの子だって宿題に費やす時間をなるべく短くしてゲームの時間を増やしたいものだ。
【 × 】:Every kid wants to spend less of time on homework and more on video games.
【 ○ 】:Every kid wants to spend less of their time on homework and more on video games.
→一般的な"time"ではなく子供たち自身の"time"を指すので"time"に"their"が必要
【例文】:この港町には移民が多い。住民の半分はインドネシア人だ。
【 × 】:There are many immigrants in this port city. Half residents are Indonesians.
【 × 】:There are many immigrants in this port city. Half of residents are Indonesians.
【 ○ 】:There are many immigrants in this port city. Half its residents are Indonesians.
【 ○ 】:There are many immigrants in this port city. Half of its residents are Indonesians.
→すでに話題に出て来た"this port city"の住民を指すので"residents"に"its"が必要、"half"は"of"の省略が可能
同格を表わす"of"
間違えやすい前置詞(1)所有、所属以外の意味の"of"(2)
↑
"of"は同格を表わすことがあります。意味は「〜という」です。
# A of B(BというA、BであるところのA)
Bが一体どういう人やものであるか改めて説明するために、"A of"を"B"の前に付け加えます。
【例文】:Two of us are good at mathematics.
【和訳】:私たちのうち二人は数学が得意です。
【例文】:The two of us are good at mathematics.
【和訳】:私たち二人は数学が得意です。
"two of us"の意味は「(三人以上いる)私たちの中で二人」です。"of"は部分や一部を表わします→【参照】:『部分や一部を表わす"of"』
定冠詞(the)が付く"the two of us"の意味は「私たち二人」です。二人しかいない中で二人ともを表わします。"of"は同格を表わします。
同格の"of"はよく地名や人名の説明で使います。いずれの例でも"of"を「〜の」和訳するとたいてい日本語として不自然です。
【地名】:the nation of Japan(日本という国家)
間違えやすい前置詞:所有、所属以外の意味の"of":"A of B"(BというA)(1)
↑
地名は"of"を使って同格を表わすことがあります。
【例文】:The station of Shinjuku is the most crowded station in the world.
【 × 】:新宿の駅は世界でもっとも混雑する駅です。
【 ○ 】:新宿という駅は世界でもっとも混雑する駅です。
【例文】を和訳する場合、"of"の訳は「〜の」ではなく「〜という」です。現実として、"Shinjuku"に"the station"が付属するわけではありません。"Shinjuku"が駅の名前であることを改めてはっきりさせるために"the station of"を付け加えます。
単純に「新宿駅」と表現するときは"Shinjuku Station"でOKです。定冠詞(the)は付けずに"Station"は大文字で始めます。
【例文】:Shinjuku Station is the most crowded station in the world.
【和訳】:新宿駅は世界でもっとも混雑する駅です。
【例文】:The city of Saint Petersburg was called Leningrad.
【 × 】:サンクトペテルブルクの都市はかつてはレニングラードと呼ばれていた。
【 ○ 】:サンクトペテルブルクという都市はかつてはレニングラードと呼ばれていた。
"of"は同格を表わします。"Saint Petersburg"が"city"(都市)であることを表わします。
【人名】:the surname of Smith(スミスという名字)
間違えやすい前置詞:所有、所属以外の意味の"of":"A of B"(BというA)(2)
↑
人や動物の名前は"of"を使って同格を表わすことがあります。
【例文】:The surname of Smith is very common in the US.
【 × 】:スミスの名字はアメリカではよくある名字だ。
【 ○ 】:スミスという名字はアメリカではよくある名字だ。
"of"は同格を表わします。"Smith"が"surname"(名字)であることを表わします。
【例文】:The man goes by the name of Iron but nobody knows his true name.
【 × 】:その男性はアイアンの名前で通っているが、本当の名前は誰も知らない。
【 ○ 】:その男性はアイアンという名前で通っているが、本当の名前は誰も知らない。
"A go by the name of 〜"はイディオムです。意味は「Aは〜という名前で通っている、Aの通称は〜である」です。"of"は同格を表わします。"Iron"が"name"(名前)であることを表わします。
"of"の次の名詞の冠詞や数
「そのミツバチの中の一匹」は《前置詞》の"of"を使って"one of the bees"と表現します。「そのミツバチ」は特定のミツバチの集まりを指すので"bees"には定冠詞(the)を付けます。"of"は部分や一部を表わします→【参照】:『間違えやすい前置詞:部分や一部を表わす"of"』
一方、「一つのミツバチの群れ」は"a swarm of bees"です。"bees"に定冠詞(the)は付けません。
「of + 名詞」の表現はほかにもたくさんあります。"of"の次に置く名詞について、冠詞を付けるのか付けないのか、単数形を使うのか複数形を使うのか迷いがちです。ここで主な表現についてまとめます。
"of"の次の名詞に"the, his"などを付ける
間違えやすい前置詞(3)"one of bees"か"one of the bees"か(1)
↑
「名詞 + of + 名詞」の場合、原則として"of"の次の名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)を付ける表現をまとめます。
何かに所属することを表わす
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:名詞に"the, his"などを付ける(1)
↑
"of"で所属を表わすときは、"of"の前に所属されるもの、"of"の次に所属先を置きます。所属先の名詞には原則として冠詞(a, an, the)、指示形容詞(this, these, that, those)、人称代名詞の所有格(my, her, etc)のいずれか一つを付けて所属先を明確にしておきます。
【例文】:自分の車のキーを失くしてしまった。
【 × 】:I've lost the key of car.
【 ○ 】:I've lost the key of my car.
→所属先を明らかにするため"car"に"my"を付ける
【例文】:私はサッカークラブのメンバーです。
【 × 】:I am a member of soccer club.
【 ○ 】:I am a member of the soccer club.
→所属先を明らかにするため"soccer club"に"the"を付ける
所属先が特定の人物や物事ではなく一般論の場合、"of"の次の名詞に不定冠詞(a, an)を付けることがあります。あるいは無冠詞の複数形を置くこともあります。
【例文1】:政治家のむなしい公約など信用していない。
【 × 】:I distrust the empty promises of the politicians.
【 ○ 】:I distrust the empty promises of a politician.
【 ○ 】:I distrust the empty promises of politicians.
→特定の政治家を指すわけではないので"politician, politicians"に"the"は付けない
【例文2】:その政治家のむなしい公約など信用していない。
【 × 】:I distrust the empty promise of politician.
【 × 】:I distrust the empty promise of a politician.
【 ○ 】:I distrust the empty promise of the politician.
→特定の政治家の公約を指すので"politician"に"the"を付ける
【例文1】を英訳する場合、「政治家」は特定の個人ではなく政治家全員を指すので"politicians"または"a politician"と表現します。【例文2】を英訳する場合、「その政治家」とあるので定冠詞(the)を付けて"the politician"と表現します。「その政治家たち」と複数の場合は"the politicians"です。
全体の一部を表わす
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:名詞に"the, his"などを付ける(2)
↑
"of"で全体の中の一部を表わすときは、"some"や"all"などの不定代名詞や"one"や"hundred"などの数詞、"many, little, enough"など数や量を表わす言葉を"of"の前に置いて使います。
"of"の次に置く名詞には原則として冠詞(a, an, the)、指示形容詞(this, these, that, those)、人称代名詞の所有格(my, her, etc)のいずれか一つを付けて全体が何であるのかを明確にしておきます→【参照】:『間違えやすい前置詞:部分や一部を表わす"of"』
不定代名詞の"one"は数詞として使うこともできます。
【例文】:テーブルの上にワインのボトルが数本ある。空きびんは一つもない。
【 × 】:There are a few wine bottles on the table. None of bottles are emtpy.
【 ○ 】:There are a few wine bottles on the table. None of the bottles are emtpy.
→全体がどれなのか明らかにするため"bottles"に"the"を付ける
【例文】:たくさんチョコクッキーを作ったけれど全部焦げちゃった。
【 × 】:I've made a lot of chocolate cookies. All of cookies were burned
【 ○ 】:I've made a lot of chocolate cookies. All of the cookies were burned
→全体がどれなのか明らかにするため"cookies"に"the"を付ける
【例文】:これらの風景画のうち一枚がCGです。
【 × 】:One of landscape paintings is a computer graphics.
【 ○ 】:One of these landscape paintings is a computer graphics.
→全体がどれなのか明らかにするため"landscape paintings"に"these"を付ける
【例文】:動物園から逃げた猿のうち五匹は無事捕獲された。
【 × 】:Five of monkeys that had escaped from a zoo were captured safe.
【 ○ 】:Five of the monkeys that had escaped from a zoo were captured safe.
→全体がどれなのか明らかにするため"monkeys"に"the"を付ける
【例文】:これらのLPレコードのうち数枚は希少なものだ。
【 × 】:Certain of vinyls are rare.
【 ○ 】:Certain of these vinyls are rare.
(= Some of these vinyls are rare.)
→どのLPレコードなのか明らかにするため"vinyls"に"these"を付ける
【例文】:数名の児童が食中毒にかかり、病院に搬送されました。
【 × 】:Several of pupils suffered food poisoning and were sent to a hospital.
【 ○ 】:Several of the pupils suffered food poisoning and were sent to a hospital.
→どの児童たちなのか明らかにするため"pupils"に"the"を付ける
"of"の次の名詞に何も付けない
間違えやすい前置詞(3)"one of bees"か"one of the bees"か(2)
↑
「名詞 + of + 名詞」の場合、原則として"of"の次の名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けない表現をまとめます。
数(かず)を数える
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:"of"の次の名詞に何も付けない(1)
↑
「数えられる名詞」の数を数える"a box of"や「数えられない名詞」の数を数える"a piece of"などの表現の場合、原則として"of"の次に置く名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けません。
「数えられる名詞」を数える場合、二つ以上あるなら"of"の次の名詞は必ず複数形を使います。"people"や"audience"などの集合名詞は意味的には複数ですが語尾に"s"を付ける複数形が存在しないので、単数形のままにしておきます。「数えられない名詞」の場合も、複数形が存在しないので単数形のままにしておきます。
【例文】:ジュースを作るためぶどうを三ふさ摘み取った。
【 × 】:I picked three bunches of the grapes to make grape juice.
【 ○ 】:I picked three bunches of grapes to make grape juice.
→「three bunches of + 数えられる名詞(複数形)」の形で使う、"the"は不要
【例文】:パック牛乳十個は重過ぎて運べない。
【 × 】:Ten cartons of the milk are too heavy for me to carry.
【 ○ 】:Ten cartons of milk are too heavy for me to carry.
→「ten cartons of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"milk"の前の"the"は不要
【例文】:このパン一山を六つに切り分けてくれますか。
【 × 】:Can you cut this loaf of the bread into six slices?
【 ○ 】:Can you cut this loaf of bread into six slices?
→「this loaf of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"bread"の前の"the"は不要
【例文】:複数の個人情報が漏洩したのを確認した。
【 × 】:We confirmed the leak of several items of the personal information.
【 ○ 】:We confirmed the leak of several items of personal information.
→「several items of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"personal information"の前に"the"は不要
総数や総量を表わす
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:"of"の次の名詞に何も付けない(2)
↑
何かの総数を表わす"the number of"や何かの総量を表わす"the amount/quantity of"の場合、原則として"of"の次に置く名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けません。
「数えられる名詞」の数を表わす場合、"of"の次の名詞は必ず複数形を使います。"people"や"audience"などの集合名詞は意味的には複数ですが語尾に"s"を付ける複数形が存在しないので、単数形のままにしておきます。「数えられない名詞」の場合も、複数形が存在しないので単数形のままにしておきます。
【例文】:ガソリン車の数は減ってきている。
【 × 】:The number of the gaoline vehicles has been decreasing.
【 ○ 】:The number of gaoline vehicles has been decreasing.
→「the number of + 数えられる名詞(複数形)」の形で使う、"gasoline vehicles"の前の"the"は不要
【例文】:宇宙ごみの量は着実に増えつつある。
【 × 】:The amount of the space debris is steadily increasing.
【 ○ 】:The amount of space debris is increasing steadily.
→「the amount of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"space debris"の前の"the"は不要
【例文】:メスシリンダーは液体の量を測るときに使います。
【 × 】:A measuring cylinder is used to measure the quantity of the liquid.
【 ○ 】:A measuring cylinder is used to measure the quantity of liquid.
→「the quantity of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"liquid"の前の"the"は不要
"of"の次の名詞に前置詞句や関係代名詞などが続いていても、原則として"of"の次に置く名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けません。
【例文】:公道を走る電気自動車の数は世界中で急速に増えつつある。
【 × 】:The number of the electric vehicles on the road around the world is growing rapidly.
【 ○ 】:The number of electric vehicles on the road around the world is growing rapidly.
→「the number of + 数えられる名詞(複数形)」の形で使う、"electric vehicles"の前の"the"は不要
【例文】:海岸に打ち上げられたごみの量は百トンに達した。
【 × 】:The amount of the debris which had been washed up the coast reached one hundred tons.
【 ○ 】:The amount of debris which had been washed up the coast reached one hundred tons.
→「the amount of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"debris"の前の"the"は不要
【例文】:産業革命以降、大気中の二酸化炭素の量は爆発的に増加した。
【 × 】:Since the Industrial Revolution, the quantity of the carbon dioxide in the atmosphere has been explosively increased.
【 ○ 】:Since the Industrial Revolution, the quantity of carbon dioxide in the atmosphere has been explosively increased.
→「the quantity of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"carbon dioxide"の前の"the"は不要
種類やタイプを表わす
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:"of"の次の名詞に何も付けない(3)
↑
種類やタイプを表わす"kind, sort, type"の三語の場合、原則として"of"の次に置く名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けません。
"kind, sort, type"の三語はほぼ同じ意味です。
【例文】:この種のカタツムリはこの島の固有種です。
【 × 】:This kind/sort/type of a snail is peculiar to the island.
【 × 】:This kind/sort/type of the snail is peculiar to the island.
【 ○ 】:This kind/sort/type of snail is peculiar to the island.
→「kind/sort/type of + 数えられる名詞(単数形)」の形で使う、"a"や"the"は不要
【例文】:この島には五種類のカタツムリが棲息している。
【 × 】:There are five kinds/sorts/types of the snails in the island.
【 ○ 】:There are five kinds/sorts/types of snails in the island.
→「kinds/sorts/types of + 数えられる名詞(複数形)」の形で使う、"the"は不要
【例文】:どんなタイプの音楽が好きですか。
【 × 】:What kind/sort/type of the music do you like?
【 ○ 】:What kind/sort/type of music do you like?
→「kind/sort/type of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"the"は不要
【例文】:音楽は何でも聴きます。
【 × 】:I like to listen to all kinds/sorts/types of the music.
【 ○ 】:I like to listen to all kinds/sorts/types of music.
→「kinds/sorts/types of + 数えられない名詞(単数形)」の形で使う、"the"は不要
数値を表わす
間違えやすい前置詞:"one of bees"か"one of the bees"か:"of"の次の名詞に何も付けない(4)
↑
"of"の次に"ten, 100, 50%"などの数値や"May(五月), December(十二月)"などの月の名前を置く場合、原則として"of"の次に置く名詞に冠詞(a, an, the)や指示形容詞(these, those)などを付けません。
【例文】:十歳以上の子供たちがこのジェットコースターに乗れます。
【 × 】:Children of the ten and over are allowed to ride this roller coaster.
【 ○ 】:Children of ten and over are allowed to ride this roller coaster.
→年齢を表わす"tenに"the"は不要
【例文】:給料は一パーセント上がったが消費税は三パーセント上がった。
【 × 】:There was an increase of the one percent in my salary but five percent in the consumption tax.
【 ○ 】:There was an increase of one percent in my salary but five percent in the consumption tax.
→数値を表わす"oneに"the"は不要
【例文】:2011年3月21日、東日本大震災が発生した。
【 × 】:The Great East Japan Earthquake occurred on the eleventh of the March 2011.
【 ○ 】:The Great East Japan Earthquake occurred on the eleventh of March 2011.
(= The Great East Japan Earthquake occurred on March the eleventh 2011)
→月の名前を表わす"March"(3月)に"the"は不要
「前置詞 + 主語 + 動詞」は文法的に不可
接続詞と勘違いして次に「主語 + 動詞」を誤って置いてしまう《前置詞》をまとめます。
「without + 主語 + 動詞」
間違えやすい前置詞(2)次に「主語 + 動詞」は不可(1)
↑
"without"は《前置詞》です。
なので、目的語として次に「文」をそのままつなげるのは文法的に不可。"who"や"what"などを使う「節」にするか、名詞や名詞句、動名詞を使います。
【例文】:タバコをやめずに健康を保つことなどできない。
【 × 】:You can't keep your health without you quit smoking.
【 ○ 】:You can't keep your health without quitting smoking.
→「without + 主語 + 動詞」は不可、「without + 動名詞(quitting smoking)」にする
「because of + 主語 + 動詞」
間違えやすい前置詞(2)次に「主語 + 動詞」は不可(2)
↑
"because of"は一種の《前置詞》です→【参照】:『前置詞の種類:群前置詞(句前置詞)【原因】を表わす群前置詞』
なので、次に「文」をそのままつなげるのは文法的に不可。"who"や"what"などを使う「節」にするか、名詞や名詞句、動名詞を使います。
【例文】:携帯電話の普及により、公衆電話は数が減りつつある。
【 × 】:Public telephones have been disappearing because of cell phones have spread.
【 ○ 】:Public telephones have been disappearing because of the spread of cell phones.
→「because of + 主語 + 動詞」は不可、「because of + 名詞句(the spread of cell phones)」にする
"of"を取り去って"because"のみなら接続詞なので、次に「主語 + 動詞」を置くことができます。
【例文】:携帯電話の普及により、公衆電話は数が減りつつある。
【英訳】:Public telephones have been disappearing because cell phones have spread.
「instead of + 主語 + 動詞」
間違えやすい前置詞(2)次に「主語 + 動詞」は不可(3)
↑
"instead of"は一種の《前置詞》です→【参照】:『前置詞の種類:群前置詞(句前置詞)【代理】を表わす群前置詞』
なので、次に「文」をそのままつなげるのは文法的に不可。"who"や"what"などを使う「節」にするか、名詞や名詞句、動名詞を使います。
【例文】:喋ってないで働きなさい。
【 × 】:Put yourself into your work instead of you talk.
【 ○ 】:Put yourself into your work instead of talking.
→「instead of + 主語 + 動詞」は不可、「instead of + 動名詞(talking)」にする
「in spite of + 主語 + 動詞」
間違えやすい前置詞(2)次に「主語 + 動詞」は不可(4)
↑
"in spite of"は一種の《前置詞》です→【参照】:『前置詞の種類:群前置詞(句前置詞)【意外】を表わす群前置詞』
なので、次に「文」をそのままつなげるのは文法的に不可。"who"や"what"などを使う「節」にするか、名詞や名詞句、動名詞を使います。
【例文】:一日五食も食べてるくせに、ちっとも太らないね。
【 × 】:In spite of you eat five meals a day, you don't get fatter.
【 ○ 】:In spite of eating five meals a day, you don't get fatter.
→「in spite of + 主語 + 動詞」は不可、「in spite of + 動名詞(eating five meals a day)」にする
よく前置詞を間違える語句
次に続く《前置詞》をよく間違える語句をまとめます。
"for"ではなく"to"(important, precious, etc)
別の前置詞を使う(1)
↑
"important, precious, valuable"の意味はそれぞれ「重要な、貴重な、価値のある」です。三語とも「人や物にとっては」の意味を表わすとき、《前置詞》は"for"ではなく、"to"を使うほうが普通です。
# important to 〜(〜にとって重要)
# precious to 〜(〜にとって貴重、〜にとって大切)
# valuable to 〜(〜にとって価値がある、〜にとって有用)
【例文】:化石は考古学者にとって重要な意味を持つ。
【 △ 】:Fossils are important for archaeologists.
【 ○ 】:Fossils are important to archaeologists.
【例文】:家族は私にとって何よりも大切だ。
【 × 】:My family is precious for me.
【 ○ 】:My family is precious to me.
【例文】:今日、インターネットは学生にとってきわめて有用だ。
【 △ 】:The Internet is highly valuable for students today.
【 ○ 】:The Internet is highly valuable to students today.
"to"の代わりに"for"を使うと、「目的」や「利益」のニュアンスを強調します。ただし、"precious"が"for"を取ることは通例ありません。
【例文】:化石は古物商にとって重要な意味を持つ。
【和訳】:Fossils are important for antiquarians.
→「化石を売って利益を上げる」というニュアンスが出て来る
【例文】:今日、インターネットは企業にとってきわめて有用だ。
【和訳】:The Internet is highly valuable for companies today.
→「ネットを使って利益を上げる」というニュアンスが出て来る
"important"のみ、仮主語の"it"を使う構文で"It is important + for 〜"の形が可能です。ただし、"for 〜"はto不定詞の主語を表わし、意味は「〜が」です。
【例文】:It is important for archaeologists to discover fossils.
【和訳】:考古学者が化石を発見することは重要な意味を持つ。
→"for archaeologists"(考古学者が)は"to discover"(発見すること)の主語
"with"ではなく"to"(similar)
別の前置詞を使う(2)
↑
"similar"の意味は「見かけや内容が似ている、類似している」です。「〜に似ている」と表現するときは、"to"を使って"A is similar to 〜"とします。"with"ではありません。
# [主語] is similar to 〜([主語]は〜に似ている)
【例文】:一卵性の双子の外見はお互いに非常によく似ている。
【 × 】:Identical twins are very similar in appearance with each other.
【 ○ 】:Identical twins are very similar in appearance to each other.
→"with"は不可
【例文】:発泡酒の味が普通のビールと同じ味だとは言えないなぁ。
【 × 】:I can't say low-malt beer is similar in taste with regular beer.
【 ○ 】:I can't say low-malt beer is similar in taste to regular beer.
→"with"は不可
「主語 + 他動詞 + 前置詞」は通例不可
他動詞は《前置詞》なしで「〜に」や「〜を」などの意味を表わします。なので、「主語 + 他動詞 + 前置詞」は通例は不可。《前置詞》は不要です。誤って不要な《前置詞》を置いてしまいがちな他動詞をまとめます。
visit(〜を訪問する)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(1)
↑
"visit"には動詞として「〜を訪問する、〜に行く」の意味があります。なので、「〜を訪問する」と表現する場合、"visit"に《前置詞》の"to"は不要です。動詞の"visit"自体が「〜に」の意味を含みます。
【例文】:南極に行ってみたい。
【 × 】:I want to visit to Antarctica.
【 ○ 】:I want to visit Antarctica.
→"visit"は他動詞、意味は「〜に行く」、"to"は不要
"visit"を名詞として使うときは、《前置詞》の"to"を使います。意味は「〜を訪ねること、〜への訪問」です。
【例文】:I want to pay a visit to Antarctica.
【和訳】:南極に行ってみたい。
→"visit"は名詞、意味は「〜に行くこと」
approach(〜に近づく)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(2)
↑
"approach"には動詞として「人やものや数値が〜に近づく、〜に接近する」の意味があります。「何かに近づく」と表現する場合、"approach"に《前置詞》の"for"や"to"は不要です。動詞の"approach"自体が「〜に、〜へ」の意味を含みます。
【例文】:台風14号が日本に近づいている。
【 × 】:The typhoon No.14 is approaching for Japan.
【 × 】:The typhoon No.14 is approaching to Japan.
【 ○ 】:The typhoon No.14 is approaching Japan.
→"approach"は他動詞、意味は「〜に近づく」、"for, to"は不要
"approach"を名詞として使うときは、《前置詞》の"to"を使います。意味は「〜に対する方法、〜に対するやり方」です。
【例文】:Each person has a different approach to enjoying his own hobby.
【和訳】:趣味を満喫するやり方は人それぞれに違う。
→"approach"は名詞、意味は「方法、やり方」
discuss(〜について議論する)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(3)
↑
"discuss"には動詞として「他人と〜について意見を交わす、議論する」の意味があります。なので、「〜について意見を交わす、議論する、話し合う」と表現する場合、《前置詞》の"about"は不要です。"discuss"自体が「〜について」の意味を含みます。
【例文】:風力発電施設の騒音問題についてまだ話し合っていない。
【 × 】:We haven't yet discussed about the noise problem of wind power facilities.
【 ○ 】:We haven't yet discussed the noise problem of wind power facilities.
→"discuss"は他動詞、意味は「〜について話し合う」、"about"は不要
「議論の相手」を明示するときは"with"を使います。
【例文】:風力発電施設の騒音問題についてまだ地元の方たちとは話し合っていない。
【英訳】:We haven't yet discussed the noise problem of wind power facilities with local inhabitants.
enter(〜に入る)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(4)
↑
"enter"には動詞として「場所や施設に入る、入学する、入社する、入会する」の意味があります。なので、「〜に入る」と表現する場合、《前置詞》の"into"は不要です。"enter"自体が「〜に」の意味を含みます。
【例文】:警官隊はバスに突入して三人の人質を救出した。
【 × 】:The police squad entered into the bus and rescued three hostages.
【 ○ 】:The police squad entered the bus and rescued three hostages.
→"enter"は他動詞、意味は「〜に入る」、"into"は不要
【例文】:日本の学生は春に学校に入る。
【 × 】:In Japan students usually enter into a school in spring.
【 ○ 】:In Japan students usually enter a school in spring.
→"enter"は他動詞、意味は「〜に入る」、"into"は不要
inhabit(〜に住んでいる)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(5)
↑
"inhabit"には動詞として「人や動物が〜に住んでいる」の意味があります。なので、「〜に住んでいる」と表現する場合、《前置詞》の"in"や"on"は不要です。動詞の"inhabit"自体が「〜に」の意味を含みます。
【例文】:地球上に棲息する生物の種は何種類あるでしょうか。
【 × 】:How many species inhabit in the earth?
【 × 】:How many species inhabit on the earth?
【 ○ 】:How many species inhabit the earth?
→"inhabit"は他動詞、意味は「〜に住んでいる」、"in, on"は不要
"inhabit"はよく受動態で使います。
【例文】:The lake is inhabited by crocodiles.
【和訳】:この湖には複数のワニが住み着いている。
"A is inhabited by 〜"(Aに〜が住んでいる)
marry(〜と結婚する)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(6)
↑
「〜と結婚する」は"marry with 〜"ではなく、"marry 〜"です。《前置詞》は不要。動詞の"marry"自体が「〜と」の意味を含みます。
【例文】:怪物のお嫁さんになる少女が出て来るお伽話がある。
【 × 】:There is a fairy tale of a girl who marries with a beast.
【 ○ 】:There is a fairy tale of a girl who marries a beast.
→"marry"は他動詞、意味は「〜と結婚する」、"with"は不要
【例文】:両親は私を金持ちの人と結婚させたいと思っています。
【 × 】:My parents want me to marry with someone rich.
【 ○ 】:My parents want me to marry someone rich.
→"marry"は他動詞、意味は「〜と結婚する」、"with"は不要
"get married"は"marry"とほぼ同じ意味を表わします。《前置詞》は"to"を使います。
【例文】:怪物のお嫁さんになる少女が出て来るお伽話がある。
【 × 】:There is a fairy tale of a girl who gets married with a beast.
【 ○ 】:There is a fairy tale of a girl who gets married to a beast.
(= There is a fairy tale of a girl who marries a beast.)
→"A get married to 〜"(Aが〜と結婚する)、前置詞は"to"
【例文】:両親は私を金持ちの人と結婚させたいと思っています。
【 × 】:My parents want me to get married with someone rich.
【 ○ 】:My parents want me to get married to someone rich.
(= My parents want me to marry someone rich.)
→"A get married to 〜"(Aが〜と結婚する)、前置詞は"to"
resemble(〜と似ている)
間違えやすい前置詞(4)前置詞不要の動詞(7)
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"resemble"には動詞として「様子や見た目が〜と似ている、〜似だ」の意味があります。なので、「〜と似ている」と表現する場合、《前置詞》の"to"や"with"は不要です。動詞の"resemble"自体が「〜と、〜に」の意味を含みます。
【例文】:息子は母親に似る、娘は父親に似ると言われる。
【 × 】:People say that boys resemble to their mothers and girls resemble to their fathers.
【 × 】:People say that boys resemble with their mothers and girls resemble with their fathers.
【 ○ 】:People say that boys resemble their mothers and girls resemble their fathers.
→"resemble"は他動詞、意味は「〜と似ている」、"to, with"は不要
【例文】:津波が引いたあとの町は爆撃で根こそぎ破壊されたかのようでした。
【 × 】:After the tsunami receded, the town resembled to a bombed-out site.
【 × 】:After the tsunami receded, the town resembled with a bombed-out site.
【 ○ 】:After the tsunami receded, the town resembled a bombed-out site.
→"resemble"は他動詞、意味は「〜と似ている」、"to, with"は不要