語句を強調する構文
《強調構文》とは、文中に出て来た語句を強調するための構文です。通例、"it is(was) 〜 that …"の形を取ります。
# 【強調構文】:it is(was) 〜 that …
【例文】:It is pandas that eat bamboo.
【和訳】:笹を食べるのはパンダだ。
名詞の"pandas"を強調しています。強調する前の文は以下のとおり。
【例文】:Pandas eat bamboo.
【和訳】:パンダは笹を食べる。
過去時制のit was … that 〜も可能です。
【例文】:It was you that gave the loudest snore yesterday.
【和訳】:昨日、いびきが一番やかましかったのはあなただ。
代名詞の"you"を強調しています。強調する前の文は以下のとおり。
【例文】:You gave the loudest snore yesterday.
【和訳】:あなたが昨日一番やかましいいびきをかいた。
強調構文の作り方
次の例文の"coffee"(コーヒー)を強調してみます。
【例文】:I like coffee.
【和訳】:私はコーヒーが好きだ。
はい、できあがり。
【例文1】のように、強調する語句を文頭に持って来るだけでは、何を強調したのかわかりません。そこで、強調するターゲットを明確にするために"coffee"を"it is … that"ではさみ、目立つようにします。
強調構文が強調するもの
《強調構文》は、文中に出て来た名詞や名詞句、代名詞、あるいは副詞や副詞句を強調します。なんでも強調できるわけではありません。
# 強調構文で強調できるのは「名詞」と「代名詞」と「副詞」のみ
例を一つ。
【例文】:The magician took a red rose out of the air.
【和訳】:その手品師は空中から一本の赤いバラを取り出した。
【例文】の中にある名詞句("a red rose")と副詞句("out of the air")を強調してみます。
【例文】:It was a red rose that the magician took out of the air.
【和訳】:その手品師が空中から取り出したのは一本の赤いバラだった。
→名詞句("a red rose")を強調
【例文】:It was out of the air that the magician took a red rose.
【和訳】:その手品師が一本の赤いバラを取り出したのは空中からだった。
→副詞句("out of the air")を強調
では、動詞の"took"や形容詞の"red"を強調するときはどうするのか。《強調構文》を使わずに強調します。
【例文】:The magician did take a red rose out of the air.
【和訳】:その手品師は空中から一本の赤いバラをまさに取り出した。
→"do"を時制変化させて、次に動詞の原形を置く
あるいは、関係代名詞の"what"を使う構文や不定代名詞の"all"を使う構文で動詞を強調することもできます。
【例文】:What the magician did was to take a red rose out of the air.
【和訳】:その手品師がやったことは空中から一本の赤いバラを取り出すことだった。
→「what + 主語 + do + is + 〜」(主語がやることは〜である)
【例文】:All the magician did was to take a red rose out of the air.
【和訳】:その手品師がやったことは空中から一本の赤いバラを取り出しただけだった。
→「all + 主語 + do + is + 〜」(主語がやることは〜だけである)
形容詞の意味を強調するときには"very"などの副詞を使います。
【例文】:The magician took a very red rose out of the air.
【和訳】:その手品師は空中から真っ赤なバラを取り出した。
→通例、形容詞の直前に"very"などを置く
主格の代わりに目的格を使う
人称代名詞の主格(I, we, he, she, they)を強調する場合、会話では代わりに目的格(me, us, he, she, they)を使うことがあります。
"you"と"it"は主格と目的格の語形が同じなので事実上区別をつける必要がありません。
【例文】:感謝しているのは私のほうです。
【英訳1】:It is I who am grateful to you.[※やや堅苦しい言い方]
【英訳2】:It is me who's grateful to you.
【英訳3】:It is me that's grateful to you.
【英訳1】【英訳3】【英訳2】はほぼ同じ意味ですが、"I"を使う【英訳1】はやや堅苦しい言い方。会話では"I"の代わりに"me"を使う【英訳2】や【英訳3】が普通です。
強調前の文はこちら。
【例文】:私が感謝しています。
【英訳】:I am grateful to you.
【例文】:救急車を呼んでくれたのは彼です。
【英訳1】:It was he who called an ambulance.[※やや堅苦しい言い方]
【英訳2】:It was him who called an ambulance.
【英訳3】:It was him that called an ambulance.
【英訳1】【英訳3】【英訳2】はほぼ同じ意味ですが、"he"を使う【英訳1】はやや堅苦しい言い方。会話では"he"の代わりに"him"を使う【英訳2】や【英訳3】が普通です。
強調前の文はこちら。
【例文】:彼が救急車を呼んだ。
【英訳】:He called an ambulance.
文の強調
《強調構文》では、"because 〜"のような長い文を強調することもできます。
【例文】:It is because the weather is changeable that I dry the washing indoors.
【和訳】:洗濯物を部屋の中に干すのは天気が変わりやすいからです。
【例文】では"because 〜"(〜なので)を強調しています。強調前の文はこちら。
【例文】:Because the weather is changeable, I dry the washing indoors.
【和訳】:天気が変わりやすいので洗濯物を部屋の中に干します。
強調構文の和訳のコツ
《強調構文》の場合、強調する要素は前に出て来ます。しかし、和訳のときは、強調する要素を最後に持って来ると日本語らしくなります。
# 強調構文の和訳……強調する要素を最後に和訳する
【例文】:We took a math test the day before yesterday.
【和訳】:私たちはおととい数学のテストを受けた。
《強調構文》を使って上記の【例文】のいろいろな部分を強調してみます。
【例文】:It was a math test that we took the day before yesterday.
【和訳】:私たちがおととい受けたのは数学のテストだ。
→"a math test"(数学のテスト)を強調
【例文】:It was we that took a math test the day before yesterday.
【和訳】:おととい数学のテストを受けたのは私たちだ。
→"we"(私たち)を強調
【例文】:It was the day before yesterday that we took a math test.
【和訳】:私たちが数学のテストを受けたのはおとといだ。
→"the day before yesterday"(おととい)を強調
和訳では強調した語句、つまり一番言いたいことを文の最後に置きます。
"it"は絶対に訳さない
すべての《強調構文》において、文頭の"it"は一切和訳しません。"that"も和訳しません。
【例文】:It was Aaron that hit a home run.
【 × 】:それはアーロンです、ホームランを打った。
【 ○ 】:ホームランを打ったのはアーロンです。
"it"は代名詞です。しかし、既述の何かを指し示すわけではありません。これから《強調構文》が始まる「合図」に過ぎません。なので、和訳の際は「これは強調構文だ」と頭に入れるだけで、"it"を「それ」などとは絶対に和訳しません。
もう一つ、例文を。今度は副詞句("only yesterday")を強調した文です。
【例文】:It was only yesterday that I bought my PC.
【 × 】:それはつい昨日のことだ、自分のパソコンを買ったのは。
【 ○ 】:自分のパソコンを買ったのはつい昨日のことだ。
やはり、"it"は《強調構文》が始まる「合図」です。和訳の際、"it"を「それ」などとは絶対に和訳しません。
強調構文だと見抜く方法
和訳の際よくあるミスは、実は《強調構文》なのにそれと気づかず、訳してしまうタイプです。
誤訳の一例。
【例文】:It was yesterday that I broke my right arm at the school gym.
【 × 】:それは昨日だ、学校の体育館で右腕の骨を折った。
【 ○ 】:学校の体育館で右腕の骨を折ったのは昨日だ。
【例文】の"it"を「それ」と訳したため結果的に《強調構文》を見落としています。和訳も日本語として今一つ不自然。そこで、《強調構文》であることを見破る手を考えてみます。
ポイントは"it is(was)"と"that"の間に来る語句の「品詞」です。
《強調構文》が強調するのは、「名詞、名詞句」と「副詞、副詞句」のみです→【参照】:『ゼロから始める強調構文「何を強調するの?」』。なので、"it is(was)"と"that"にはさまれた語句の「品詞」をチェックすると、《強調構文》かどうか、かなりの確率で見破ることができます。
実例をいくつか。ただし、あくまでも原則なので、例外もあります。
"it is(was)"と"that"にはさまれた部分が「副詞や副詞句」の場合
どうやって見分けるの?(1)
↑
おそらく《強調構文》です。
【例文】:It was last year that I graduated from high school.
【和訳】:高校を卒業したのは去年です。
"last year"は副詞句です。
"it is(was)"と"that"にはさまれた部分が「形容詞」の場合
どうやって見分けるの?(2)
↑
《強調構文》ではありません。
【例文】:It is clear that natto is healthy.
(= That natto healthy is clear.)
【和訳】:納豆が体にいいのは明らかだ。
"clear"は形容詞、意味は「明らかに、はっきりとした」。"It"は"that"以下を指す仮主語です。"that"以下を主語に置いてほぼ同じ意味の文を作ることができます。
"it is(was)"と"that"にはさまれた部分が「動詞」の場合
どうやって見分けるの?(3)
↑
《強調構文》ではありません。
【例文】:It is said that natto is healthy.
【和訳】:納豆は体にいいらしい。
"said"は動詞、意味は「言った」。"It"はイディオムの"it is said that 〜(〜であるらしい)"の一部です。
"it is(was)"と"that"にはさまれた部分が「名詞や名詞句」の場合
どうやって見分けるの?(4)
↑
いろいろな可能性があります。
【例文】:It was this car that I saw near my house.
【和訳】:昨日、通りで家の近所で見たのはこの車だ。
"this car"は名詞句、意味は「この車」。《強調構文》です。
【例文】:It is a pity that I cannot drink at all.
【和訳】:残念なことに、私はまったく酒を飲めない。
《強調構文》ではありません。"it is a pity that 〜"(残念ながら〜である)というイディオムです。
【例文】:It was such a fat cat that I have never seen before.
【和訳】:それはかつて見たことないほど太った猫だった。
《強調構文》ではありません。"it"は代名詞。【例文】の前のセンテンスに出て来た"cat"を指します。
"it is(was)"と"that"にはさまれた部分が名詞や名詞句の場合、決定的な見分け方はありません。とりあえず、"it"を「それ」と訳してみて、前後の文をもう一度読み返し、「それ」が何を指すのか不明だったら《強調構文》の可能性があります。
"It"で始まる構文
"it"で始まり、後に"that"が出て来る構文は《強調構文》以外にもいくつかあります。《強調構文》を見破るため、《強調構文》以外の"it 〜 that"の例をもう一度チェックします。
"it"が代名詞、既述の内容を受ける
似た構文があってまぎらわしい(1)
↑
"it"が前のセンテンスに出て来た語句の言い換えです。人称代名詞としての基本的な意味です。
【例文】:Yesterday I tired to eat a hot dog. It was so big that I was not able to eat.
【和訳】:昨日、ホットドッグを食べようとした。それは非常に大きかったので私には食べることができなかった。
"it was 〜 that"の構文ですが《強調構文》ではありません。文頭の"it"は既述の何かを指します。【例文】の場合、"it"は前の文の"a hot dog"を指します。"that"は"so 〜 that"構文の一部です。"it"と"that"は構文の上で特につながりはありません。
"it"が仮主語、"that"以下の内容を指す
似た構文があってまぎらわしい(2)
↑
英語では長い主語を後回しにするため、文頭に仮主語の"it"を置くことがあります。
【例文】:It is true that Mt. Fuji is the highest in Japan.
【和訳】:富士山が日本で一番高い山であることは事実である。
【例文】:It is a wonder that you are still alive after an airplane accident.
【和訳】:飛行機事故に巻き込まれながらあなたがまだ生きていることは不思議です。
"it is 〜 that"の形ですが、二つとも《強調構文》ではありません。文頭の"it"は代名詞ですが、仮主語として機能しています。"it"に「それ」という意味はなく、"it"は"that"以下を指します。
上記の二つの【例文】の場合、本来の主語はともに"that"以下です。だけど、これを主語として文頭に持って来るとあまりに長過ぎて英語としては不格好なので、先に短く"it"と言って、本来の主語を後ろに回しています。
仮主語の"it"を使わずに書くとこの通り。
【例文】:That Mt. Fuji is the highest in Japan is true.
(= It is true that Mt. Fuji is the highest in Japan.)
【和訳】:富士山が日本で一番高い山であることは事実である。
【例文】:That you are still alive after an airplane accident is a wonder.
(= It is a wonder that you are still alive after an airplane accident.)
【和訳】:飛行機事故に巻き込まれながらあなたがまだ生きていることは不思議です。
【例文】の場合、二つとも下線部全体が文の主語になります。日本語の感覚からすると、さほど違和感を感じないかもしれませんが、英語の感覚からすると、きわめて不格好に映るようです。なので、仮主語の"it"を使います。
"who"や"which"を使う強調構文
《強調構文》では、"that"の代わりに"who"や"which"も使います。
強調するターゲットが「人」だったら"who"、「人以外」だったら"which"を使います。
【例文】:It was the president who called me yesterday.
【和訳】:昨日、私に電話をかけてきたのは社長だった。
→"the president"(社長)は人なので"who"を使う
【例文】:It is a hovercraft which can travel over land and water.
【和訳】:陸上でも海上でも走れるのはホバークラフトだ。
→"a hovercraft"(ホバークラフト)は人以外なので"which"を使う
"that"を使っても意味はほとんど変わりません。
【例文】:It was the president that called me yesterday.
【和訳】:昨日、私に電話をかけてきたのは社長だった。
【例文】:It is a hovercraft that can travel over land and water.
【和訳】:陸上でも海上でも走れるのはホバークラフトだ。
"It is not until … that 〜"は強調構文
"It is not until … that 〜"は重要な構文としてよく見かけます。意味は「…して初めて〜する」。実は、これも《強調構文》です。
【例文】:It was not until I got to school that I realized I forgot my lunchbox.
【和訳】:学校に着いて初めて弁当を忘れたことに気づいた。
強調前の文はこちら。
【例文】:I did not realize I forgot my lunchbox until I got to school.
【和訳】:学校に着くまで弁当を忘れたことに気がつかなかった。
"until I got to school"(学校に着くまで)を強調するために、文頭に出して"It was"と"that"で囲んでいます。ただし、《強調構文》を使うと、"until I got to school"と一緒に"not"も前に出て来て、"It was not until I got to school that 〜"と表現します。
英語の場合、「この文は否定文である」という情報はなるべく早く知りたいものなので、"not"も文頭へ持って行きます→【参照】:『英語の“クセ”:英語は、否定の意味を早目に伝える』
【例文】:学校に着いて初めて弁当を忘れたことに気づいた。
【 △ 】:It was until I got to school that I did not realize I forgot my lunchbox.
【 ○ 】:It was not until I got to school that I realized I forgot my lunchbox.
(= I did not realize I forgot my lunchbox until I got to school.)
→「強調構文」の場合、"not"を後ろに置くとやや不自然
語句の強調を目的とする類似の構文
"it is(was) 〜 that …"以外で、語句や文を強調する主な表現をまとめます。
what I need is 〜(私に必要なのは〜だ)
強調を表わすそのほかの構文(1)
↑
関係代名詞の"what"を使って名詞や名詞句、動詞を強調することができます。不定代名詞の"all"を使うとさらに強い強調を表わすことができます→【参照】:『強調を表わすそのほかの構文:all I need is 〜(私に必要なのは〜だけだ)』
「what + 主語 + 〜 is A」の基本的な意味は「主語が〜であるのはほかでもないAである」です。「A is what + 主語 + 〜」の基本的な意味は「ほかならぬAこそ主語が〜であるものだ」です。
名詞や名詞句を強調
強調を表わすそのほかの構文:what I need is 〜(私に必要なのは〜だ)(1)
↑
強調する名詞や名詞句を文頭や文末に置いて、そのほかの部分を"what 〜 is/was"ではさみます。
日本語でも「パンを食べたい」という文の中で「パン」を強調するとき、「食べたいものはパンだ」あるいは「パンこそ私が食べたいものだ」と表現することがあります。
【元文】:I want to eat bread.
【和訳】:私はパンを食べたい。
↓……"I want to eat"を"what 〜 is"ではさむ
【例文】:What I want to eat is bread.
【和訳】:私が食べたいのはパンだ。
【例文】:Bread is what I want to eat.
【和訳】:パンこそ私が食べたいものだ。
→強調する名詞"bread"(パン)を文頭か文尾に置く
【元文】:Kent had a male calico cat.
【和訳】:ケントはオスの三毛猫を飼っていた。
↓……"Kent had"を"what 〜 was"ではさむ
【例文】:What Kent had was a male calico cat.
【和訳】:ケントが飼っていたのはオスの三毛猫だ。
【例文】:A male calico cat was what Kent had.
【和訳】:オスの三毛猫こそケントが飼っていた猫だ。
→強調する名詞句"a male calico cat"(オスの三毛猫)を文頭か文尾に置く
動詞を強調
強調を表わすそのほかの構文:what I need is 〜(私に必要なのは〜だ)(2)
↑
「主語 + do/does/did」を"what 〜 is/was"はさみ、文頭に置きます。強調する動詞とその付属部分(目的語など)をto不定詞あるいはing形に変化させてbe動詞の次に置きます。to不定詞の代わりに"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うこともできます→【参照】:『"to"のない不定詞(原形不定詞):"What you do is 〜"や"All I have to do is 〜"など』
日本語でも「私は寝た」という文の中で「寝た」を強調するとき「私がしたのは寝ることだ」と表現することがあります。"do"を使って日本語の「私がしたのは」を"what I did"と表現するところがミソです。
【元文】:I slept.
【和訳】:私は寝た。
↓……"I did"を"what 〜 was"ではさむ
【例文】:What I did was to sleep.
→強調する動詞"slept"をto不定詞にして文尾に置く
【例文】:What I did was sleep.
→"to"のない不定詞も使える
【和訳】:私がしたことといえば寝ることだった。
【元文】:I dropped my tablet into the water.
【和訳】:タブレットを水に落した。
↓……"I did"を"what 〜 was"ではさむ
【例文】:What I did was to drop my tablet into the water.
→強調する動詞とその付属部分"dropped into the water"をto不定詞にてして文尾に置く
【例文】:What I did was drop my tablet into the water.
→"to"のない不定詞も使える
【和訳】:私がやらかしたのはタブレットを水に落したことだ。
【元文】:Children are playing Reversi.
【和訳】:子供たちがオセロをしている。
↓……"children are doing"を"what 〜is"ではさむ
【例文】:What children are doing is playing Reversi.
【和訳】:子供たちが何をしているかといえばオセロで遊んでいる。
→強調する動詞とその付属部分"playing Reversi"をing形にてして文尾に置く
「数」は単数扱い
強調を表わすそのほかの構文:what I need is 〜(私に必要なのは〜だ)(3)
↑
関係代名詞の"what"を使う強調構文の場合、「数」は"what"に合わせて単数にするのが普通です。
【例文】:私が食べたいのはハンバーガーとポテトだ。
【 × 】:What I want to eat are a hamburger and French fries.
【 ○ 】:What I want to eat is a hamburger and French fries.
【例文】を英訳する場合、文全体の主語の"what"が単数扱いなのでbe動詞は単数形の"is"を使うのが普通です。
all I need is 〜(私に必要なのは〜だけだ)
強調を表わすそのほかの構文(2)
↑
不定代名詞のallを使って名詞や名詞句、動詞を強調することができます。allの代わりに"the only thing"も使えます。意味はほぼ同じ。
関係代名詞のwhatを使う強調構文よりも強調の度合が強くなります→【参照】:『強調を表わすそのほかの構文:what I need is 〜(私に必要なのは〜だ)』
「all + 主語 + 〜 is A」の基本的な意味は「主語が〜であるのはほかでもないAだけである」です。
名詞や名詞句を強調
強調を表わすそのほかの構文:all I need is 〜(私に必要なのは〜だけだ)(1)
↑
強調する名詞や名詞句を文頭や文末に置いて、そのほかの部分を"all 〜 is/was"ではさみます。
日本語でも「デザインに興味がある」という文の中で「デザイン」を強調するとき、「興味があるのはデザインだけだ」と表現することがあります。
【元文】:I'm interested in design.
【和訳】:デザインに興味がある。
↓……"I'm interested in"を"all 〜 is"ではさむ
【例文】:All I'm interested in is design.
(= The only thing I'm interested in is design.)
【和訳】:興味があるのはデザインだけだ。
→強調する名詞"design"(デザイン)を文尾に置く
【元文】:The students wanted the abolition of unreasonable school rules.
【和訳】:生徒たちは理不尽な校則の廃止を望んだ。
↓……"the students wanted"を"all 〜 was"ではさむ
【例文】:All the students wanted was the abolition of unreasonable school rules.
(= The only thing the students wanted was the abolition of unreasonable school rules.)
【和訳】:生徒たちが望んだことは理不尽な校則の廃止だけだ。
→強調する名詞句"the abolition 〜 rules."(理不尽な校則の廃止)を文尾に置く
動詞を強調
強調を表わすそのほかの構文:all I need is 〜(私に必要なのは〜だけだ)(2)
↑
「主語 + do/does/did」を"all 〜 is/was"はさみ、文頭に置きます。強調する動詞とその付属部分(目的語など)をto不定詞に変化させてbe動詞の次に置きます。to不定詞の代わりに"to"のない不定詞(原形不定詞)を使うこともできます→【参照】:『"to"のない不定詞(原形不定詞):"What you do is 〜"や"All I have to do is 〜"など』
日本語でも「私は寝た」という文の中で「寝た」を強調するとき「私がしたのは寝ることだけだ」と表現することがあります。"do"を使って日本語の「私がしたのは〜だけ」を"all I did"と表現するところがミソです。
【元文】:I slept.
【和訳】:私は寝た。
↓……"I did"を"all 〜 was"ではさむ
【例文】:All I did was to sleep.
→強調する動詞"sleep"をto不定詞にして文尾に置く
【例文】:All I did was sleep.
→"to"のない不定詞も使える
(= The only thing I did was sleep.)
【和訳】:私がしたことといえば寝ることだけだ。
【元文】:We have to wear our mask, wash our hands and keep social distance.
【和訳】:マスクを付けて手洗い励行、社会的距離を保つことが必要だ。
↓……"we have to do"を"all 〜 is"ではさむ
【例文】:All we have to do is to wear our mask, wash our hands and keep social distance.
→強調する動詞とその付属部分"wear 〜 distance"をto不定詞にして文尾に置く
【例文】:All we have to do is wear our mask, wash our hands and keep social distance.
→"to"のない不定詞も使える
(= The only thing we have to do is wear our mask, wash our hands and keep social distance.)
【和訳】:やらねばならないことはマスクを付けて手洗い励行、社会的距離を保つことだけだ。
「数」は単数扱い
強調を表わすそのほかの構文:all I need is 〜(私に必要なのは〜だけだ)(3)
↑
不定代名詞のallを使う強調構文の場合、「数」はallに合わせて単数にするのが普通です。"all I need is 〜"(私に必要なのは〜だけだ)の構文の場合、all = "the only thing"(ただ一つのこと)なのでallは単数扱いです。
【例文】:今日口にしたものといえばクッキー二枚とコップ一杯の水だけだ。
【 × 】:All I have eaten today are two cookies and a glass of water.
【 ○ 】:All I have eaten today is two cookies and a glass of water.
【例文】を英訳する場合、文全体の主語の"all"が単数扱いなのでbe動詞は単数形の"is"を使うのが普通です。